新たな意識、仲間
「マジかよ…。やばいぞ囲まれた!!」
「何?どうしたの?」
まだ状況を理解していない王子の背後から1匹のゴブリンが飛びかかった。
「ッッ…!!何すん…」
良かった。王子は無事だ。少し距離があったせいか王子の方を突き飛ばすことしか出来なかったが…。
「王子は…大丈夫か!?」
「大丈夫かって…」
王子の顔が青ざめる。
「わん…あんた……肩に噛みつかれてるじゃん…!」
「え……?」
俺は王子を庇ったがため、右肩を噛まれてしまっていた。
「あがぁぁぁあ」
強烈に肩に突き刺さる歯の痛みに耐えつつ右肩のゴブリンを引き剥がそうとするも小さい体の割に力が強くなかなか剥がすことが出来ない。むしろ一層強く噛まれて痛みが増す。少しづつ力が入らなくなっていく感覚が分かる。
「…たのむ…王子だけでも……逃げてくれ……」
アイロニーで1度死んで分かったのだが、このゲーム…死ぬとペナルティが課される。
それに気づいたのは王子に言われてステータスを開いた時。ステータス画面で同時に所持金も確認できたのだが明らかに計算が合わない。半分近くに減っていた。
つまりこのゲーム……死ぬことのリスクが高い…。
ここで2人とも死んでしまったらまた次挑んだとしても結局マイナスになってしまう。王子が迷惑なのはまだギリ許せるが俺が他人に迷惑をかけるのは信条が許さない。
だから……逃げてくれ……王子…!!
「ウ゛ア゛ア゛」
「そんなの…出来ないよ!」
王子は逃げることはせず、俺の右肩のゴブリンに斬りかかり頭を落とした。
「わんにはこれからも私の為にしっかり働いてもらわないとダメなんだ!こんなとこで死んでもらったら困る!」
「王子……」
王子の一閃で右肩のゴブリンも消え、痛みも少し和らいだ。俺は剣を左手に持ち変え構え直した。
「行くよ王子!」
「あぁわん!絶対クリアしよう!」
俺たちは背中を合わせゴブリンを待ち構えた。それを見計らったかのようにゴブリンも一斉に飛びかかってくる。
「はァァァァ!!!」
「うぉぉおおおぉぉ!!」
「ウ゛ア゛ア゛ア゛」「ウ゛ア゛ア゛」
夢中でゴブリンを斬り続けた。斬っても斬っても湧いてくるゴブリンの群れをひたすら捌き続ける。
そうして、十数分が経過した。
「はぁはぁ…もう……私ダメかも…あと…何匹くらい…?」
肩で息をする王子の質問に対して俺は額の汗を拭い答えた。
「…終わったよ…今のが最後の1匹だ」
「あ〜〜〜〜〜」
2人は地面に大の字になり倒れ込んだ。
これが…仲間と掴む勝利か……
気持ちが良いな……。
この十数分の疲れが全て出て、体から湯気すら見える。
「ねぇわん!」
2人は仰向けになったまま顔を向かい合わせた。
「これからも…私と一緒にゲーム攻略してくれる?」
仲間か……。
今までのゲーム人生。その殆どを出来るだけ1人で攻略してきた。人に頼るとネタバレやキャリーなど自分の力でクリアしていない気がしていたから。
でも…仲間っていうのも案外悪くないかもな。恥じらいを隠すため、顔を逸らし俺は答えた。
「俺なんかで良ければ…全然良いけど…」
王子は裏などない、満面の笑みを見せた。
「ニッ!よろしく!!」
"ゴブリン達との遭遇"難易度2
挑戦者«わん、王子»
-クリア-
了の両親は彼をとても甘やかし小さい頃から様々な物を与えてきました。その中で一際了が食いついたのが携帯ゲーム機だったのです。それから了は携帯ゲーム機に始まりスマホゲームやPCゲームなどありとあらゆるデバイスでプレイをしました。
ただ唯一、ゲームセンターにあるダンスで得点を稼ぐゲームは苦手だそうです。




