表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/51

"完全没入型VRゲーム"

 ゲンテンオブムーンクエイク。頭文字をとって通称"無限"。


 今、ゲーム界隈を密かに賑わせているゲームである。無限をプレイした事のある者は口を揃えて言う。


「無限は紛れもない"神ゲー"だ」


 ではなぜそれ程までのゲームがまだ世間的には知名度がそこまでないのか。

 そこには2つの要因があった。


 1つ目は制作会社だ。


 無限を開発、発売は全て"ディサポイント"という会社が行っている。1つの会社で全ての事業を行うには相当な実力と人材が必要になってくる。

 だがディサポイントには全く知名度がなかった。

 なぜなのか?


 答えは簡単。ディサポイントにはこれまでに活動履歴が一切無いのだ。

 無限が初めて会社が動いた事業という事になっている。全てが謎の会社。信頼も実績も0だ。逆に謎な部分が味を出していて良いと言う変わったゲーマーも居るのだが……。


 そして2つ目は拡散力だ。


 無限は一切の広告を出していない。つまり、1アマチュアゲーマーがこのゲームを見つけるのはほぼ不可能だった。

 なぜこのように巷で話題になろうとも広告を出さないのか、それはディサポイントにしか分からない。


 ~~~


「じゃっ!早速やるか」


 俺は購入してきた無限のゲームセットを開封した。中には専用のVRゴーグルと1枚の説明書が入っていた。


『ゲンテンオブムーンクエイク

 これは完全没入型VRゲームです。

 やり過ぎにはご注意下さい。』


 という1文と共にゴーグルの取り付け方が図で記されている。その説明に従って頭にゴーグルを装着した。その後ゴーグルの横の耳部分のボタンを押すと目の前が暗闇から光に変わった。


 これが完全没入型VRゲームか……。

 最新の技術すげぇ〜!!


 実を言うと俺は今まで1度もこの手のVRゲームを全くプレイした事が無かった。


 世間でブームになっていてもちろん気になっていたのだが値段がね……。


 最新技術への感動も置いといて、ゲームに集中すると目の前にモニターが表示され、アナウンスがされた。


『まず、自分の名前と姿を決めてください』


 キャラメイクか!自称ガチゲーマーのこだわりを出すとするか。


 名前は…"わん"!


 俺はほとんど全てのゲームにこの名前を付けている。

 由来はある。この説明をするのは少し気恥しいが良いだろう、してやるよ!

 ……どのゲームでもナンバーワンになりたいからだよ...!


 ……あと由来とか聞かれたら犬の鳴き声って誤魔化せるから…。


 さ!次次!


 次は髪色か。もちろん…白!目の色は黄色と赤のオッドアイ!髪型は少し遊ばせたい気持ちもあるが普通のボサ髪!

 理由は全部かっこいいから!!

 自分で言うのもなんだがゲームの中くらいイキりたい年頃だ。

 そのくらい許してくれ。


 そして体格は中肉中背。

 この手のキャラメイクの自由度が高いゲームでバケモン見たいな体型にする人がいるが完全クリア目指すなら普通が1番バランスが良くて最適だったりする。

 これは裏技ね!


 そんなこんなでキャラメイクが終わった。


 途端目の前が変わり一面モッサモッサの木々に囲まれた。その中でも一際大きな木が1本自分の後ろに生えている。


 ここは…森か?匂いまで自然の透き通った空気になっている。

 それで自分は……と。


 自分の体を見ると白いボロ布を上下着用していた。


 まぁ最初はこんなもんか。


「……キュ」


 ん?なにか後ろから音が…ってあ!


 後ろの草むらを見るとスライムがこちらに向かって飛びかかっていた。


 あぶね…!


 俺はすんでのところで転がるようにかわした。


 当たってたらどうなってたんだ...?

 んで、このスライム…グラフィック凄ェ!!!


 これが無名の会社のゲームとは思えないほど質感や色、存在感が現実かと錯覚させるほど美しかった。普段冷静的なキャラで行ってる俺でも興奮が隠しきれない。で、よく見ると目の右上に"チュートリアル"の文字がある。


 …なるほどね……。


 この世界観にこの完成度...俺はこの新時代のゲームに胸の高鳴りが治まらなかった。


 とりあえず…チュートリアルって事はこのスライムを倒せば良い…って事か?


 なんせ事前知識はほぼゼロに近い状態。何もかもが手探りだった。


 俺はこの手のゲームでお馴染みの持ち物を確認しようとしたが、始めたばかりだからかチュートリアルだからかどうしようとも持ち物を確認することは出来なかった。


「やるしかないのか…?」


 俺はとりあえずこのスライムと素手で戦うことに決めた。


 俺はさっき言った通り今まで数々のゲームを完クリしてきた。それはもちろん格闘ゲームも例外ではない。


 だから何となく行ける気がした。大事なのは間合いとワンツー相手の動きをしっかり見切って…


「キュー」


  スライムが再びこちらに飛びかかって来た。


「ここだ!」


 俺は横に少し飛び、スライムの着地に上から拳を合わせた。拳がスライムの体にめり込む。もにゅんとしていて気持ちがいい。弾き返されそうになるも俺はそのまま拳を押し込んだ。


 体に押し込んでいる最中、拳が何か硬いものに当たりそれが割れた音がした。気が付くとスライムは消滅していてその場に何か赤くて丸い物が落ちていた。俺がそれを拾うと突然視界の中心に画面が表示された。


 画面の上部に"持ち物"と書かれている。その画面はマス目が沢山あり、右上に1つアイテムが入っていた。


 "スライムの核"


 どうやら俺はドロップアイテムを手に入れたらしい。


 ドガーン


 !?!?!?


 突然の轟音と共に左上にまた別の文字が表示された。


 実績解除

『スライム格闘家』

 条件→素手でスライムを倒す


「実績…」


 とにかく俺は完クリに1歩近づいたらしい。だが、その実績という要素は、完クリがまだまだ先であるという証明でもあった。


「おもしろいねぇ」


 すると、また画面が切り替わり今度はステータス画面になった。


 わん

 Lv1

 HP…12

 攻撃力…3

 防御力…2

 魔力…0

 知力…1

 胆力…2



 胆力…とかいう他のゲームでは聞き馴染みがないものもあるが…

 これのカンストも目指していく事になるからしっかり上げていこうか。


「おっと!」


 よく見ると右上のチュートリアルの文字は消えていた。


 ここまでがチュートリアルって事か…


 チュートリアルだけでゲームの作り込みが感じられた。この先もこのクオリティで進行すると思うとガチゲーマー心が燻られる。


「さ!行くか!」


 俺は森を抜け出すため、1歩1歩と歩みを進めた。

付いている固有名詞には殆ど意味を持たせてます。暇だったら和訳などしてみると……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ