最終審査、限界
「次の審査はショウでお願いしたい」
「wwww…分かったよww」
この屈辱…次の街に行ったら絶対痛い目見せてやる……。
ショウの審査とは…トレーニングで80点以上取る事だったよな。
「トレーニングって何なんだ?教えてくれ」
俺はショウにクラウンの時と同じように質問したが、その返答は想像していたものとは違ったものだった。
「嫌だよ?そこも自分で頑張って?」
……もう俺は怒らないよ?
怒りというかもう呆れ...っていうのかな?
どうせこういう奴らなんだって分かってたもん。
うん。そうだ。怒ってない怒ってない…。こういう時こそ冷静に、だぞ!
な訳あるか!!本当に許さない。後でコイツらボコボコにしてやる…覚悟しとけよ?
でも大丈夫。こんな時の為に1つ策がある。俺に無限を教えてくれた唯一の友人であり無限のガチプレイヤー…紗来奏多に教えて貰おう。
アイツはこんなヤツらと違って優しいからな!
俺は1度ゲームを中断し、奏多に電話をかけた。
電話がかかるまでの間、俺と奏多の関係を説明しよう。
端的に言えば、俺たちは幼なじみだ。小学校のまだコミュ障とか陰キャとかない時代からの友達で今も、今までもずぅっと同じ学校に通っている。俺の唯一と言っていい親友だ。お互いゲームという同じ趣味を持ち日々それに打ち込んでいる。俺は奏多だけにオタク趣味全開で話せるんだ。
おっともう繋がったようだ。
説明はこれまでだね。
「もしもし〜どうした?」
「無限についてなんだけど良い?」
「おぉそうか!了も始めたんだったな!」
「そう!で、無限にトレーニングって機能ある?今イクシードに行くために審査受けててそれで80点以上取らないとダメなんだけど」
「……俺はある程度無限のことは知ってるつもりだけどトレーニングとかは聞いたことないな。了お前…騙されてるんじゃね?」
「……やっぱりそうか。何となくそうかなって思ってたんだよね。でもたぶんこの感じで言うと「トレーニングなんて無い」って言ったら審査クリアになるんだと思う」
「大丈夫か?なんなら俺がイクシードの行き方教えようか?」
「いや大丈夫!出来るだけ奏多の助けは借りないようにって決めてるから。奏多に聞いちゃうと簡単に行けすぎて楽しみが無くなっちゃうからね」
「そうか!じゃあ頑張れよ!」
「うん。ありがと」
「あ、あとフレンド登録よろしく!じゃね」
電話が終わり、俺は再びVRゴーグルを頭に装着した。脳が現実からゲームの世界へと意識を切りかえ世界が変わる。
「どう?分かった?」
こいつ俺が誰かに聞きに行くことも想定して…。
「あ、あぁ分かったよ」
「じゃあ聞かせてみ?」
ショウは余裕の表情で俺を見る。何を考えているのか分からないショウに相対して、俺のストレスはとうの昔に限界値に達していた。
「そもそもこのゲームにトレーニングなんて機能はないんだ。だから…80点以上を取る事は出来ない」
「すごいね。そんなに自信もって言えるんだ。随分知識のある人に聞いたんだね」
ショウの嘘を見破ったのにも関わらず、まだまだ余裕の表情は崩さない。
「良いよ。審査クリアだ。残ってる審査ははぁとだけだね」
「あぁそれはもうクリアしてるよ」
俺はショウ達に一泡ふかせるのを期待して自信満々に答えた。
「だってさはぁと」
「凄いなわん!いつクリアしたんだ!?」
なんだ…もう疑いもしないのか…。ホントに思い通りにならない奴だな。
やっぱりコイツら…苦手だ。
はぁとの問いを俺は無視し、逆にショウに問いかけた。
「で、全部審査クリアだ。教えてくれよ次の街…イクシードの行き方!」
ショウはにっこりと笑って俺の肩に手を置いた。
「いいよ。教えてあげる。ただし…」
わんはショウが苦手すぎて段々性格が凶暴になってきてますね。
内なるわんが深淵から顔をのぞかせている。意外と人の深淵は近くにあるのかも。という哲学っぽい話でした。




