貴族学院で過ごす為のモテ期対策 ~私が本当の恋をするのは~
昨日MTGで他の人今日から休みにしていると聞き慌ててお休みにして今書いていますw。
本来は明日から休みだった事もその時知りましたよw。今やってる仕事も全く終わらないしもう来年ですねw。
これからも貴族学院で生活しなければならないのにソフィアのモテ期はトンデモない事に、、、。
その理由はソフィアの容姿にもあった。
対処の為に魔法を、、、w。もう無理とリナがめげてしまう。勿論上手くは行かないけどどうなるのか?
そんな中、レオノーレから無茶な連絡が、、、。
【魔道具】
魔法学の講義でヘルマン・フォン・アイヒホルン先生から魔道具の作り方を教えて貰った。
ここでは魔法文字と言われているルーン文字を普段身に着けるものに刻んでそれを持っている人に対する悪意に対応するというものだ。
以前この講義でも習った『黒魔法』と呼ばれるものは、どんな魔法の系統であったとしても『呪い』から生まれたものなのだそうで、当然の事のように、人が社会を営めば優劣や境遇から理不尽な妬みや恨みが発生する。勿論、騙されたり、裏切られたりする事でも人を恨んだり呪ったりもするのは普通だね。
私も恨みを知らないところで相当買っているらしいからねw。
黒魔法の基本はこの呪いの対象者に災いが降りかかるように、それまでの経験や言い伝えから培った様々な手法があって、これは黒魔法の系統によって色々と違う。例えば麻薬系の薬草を焚くものやトランス状態になるもの、性魔術、自分の身体を傷つけるもの、魔法円を使うもの、生け贄、人や獣の血液を大量に使うもの、呪いの人型を使うものなどの数々の方法があるそうだ。私の常識だと余り正常とは思えない怖さがあるね。
この辺りは一年の最後に合宿があるから今からみんなビクビクしているw。
過去に事実関係は正確には不明だけど、この黒魔法により呪われて世にも恐ろしい病気に罹った人や壮絶な死を迎えた人の例を聞いても、出来るだけ恨まれないように過ごしたいものだとつくづく思ったよ。
本当に悪事を働いている人であれば、神罰なのか黒魔法の呪いなのかはよく判らないね。
逆に、白魔法はこれらの『呪い』を防ぐ為に開発された魔法で、これも事実効果の程はあまり良く判っていないけどいくつかの方法があるそうだ。
今日習うのは、こっちでは魔法文字と言われているルーン文字を使った白魔法の魔道具を作るもので、ルーン文字には文字の1つ1つに言霊と呼ばれる力が備わっているそうだけど、呪いに対抗する幸せのおまじないの単語を色々な道具に刻んでそれをお守りのように身に着けるという講義だったよ。この辺りは成瀬博士の話と同じだねw。
浄化、防御を意味するルーン文字のベオークとユルの文字を紙に書き面白い手順で折りたたんで御守りを作るものだ。(それぞれのルーン文字の意味は単一じゃないよ)
出来た順に先生の所へ持って行き、紙の折り方や中に書いたルーン文字が正しいかどうか確認して貰った。何故かまた私が一番だったよ。みんな領主の娘の私に気を使って手を抜いてないよねw。
でも確かに他の人達よりもルーン文字に関しては私の方が日本でも色々と教えて貰って触れているから詳しいかもしれない。
日本にも護符という概念はあって、日本の文字にも言霊が宿ると言われている文字もあるし、御守りの文化もある。御守りレベルであったとしてもこのルーン文字の御守りがどの程度の効果はあるかは判らないけど白魔法の一つだと思えば面白いなぁと思った。
ここからはもう少し効果の高いという魔石について教えて貰った。
魔石と言っても普通に鉱石なんだけど、先生に質問すると魔石を使った方が効果が高いと様々な実験で証明されているのだそうだ。
実験内容を聞くと、実験動物に対して行ったものもあって、正直ここでは書けないような可哀想な事だけど、明らかに魔石の御守りを持たせた方が生き残る確率が高かったそうだ。
鉱石といっても様々な宝石にはより効果が高いものがあり、それぞれの種類によって色々な効果があるそうだ。
地球や日本では、恐らくスピリチュアルなお話だし、パワーストーンと呼ばれる種類に属するあっち系のお話が近いかもしれない。でもこれも講義なんだから私は真面目に受けますよw。
恐らく地球や日本のお話と色々と違うだろうからちょっと期待もしているw。
最も面白かったのが、一般的に魔石と呼ばれて最も効果が高いと思われているのが、蛍光石で、蛍石は鉱物のフッ化カルシウムの等軸晶系で色は無色で、内部の不純物により黄、緑、青、紫、灰色、褐色などを帯びるものがあるものだ。放射性物質を含んだ隕石などは危険だけど、見つかったものは数日間光っていたそうで、これは神の祟りと思われていたそうだ。
これらの光る石は錬金術の関係から貴重と考えられているようだ。
機能を言う場合には蓄光石と言うんだけど、人工的なものは地球では17世紀頃にはイタリア北部にあるボローニャ地方のパデルノ山から見つかったものがあって、地球でも錬金術が盛んな時代で、金に換わる最適な石として錬金の技を駆使されたそうだ。勿論金に換える事は出来ないけどこの石を炭と一緒に焼くと暗い所で赤く光ったそうだ。錬金術だね。勿論現代ではいくつかの方法で作れるよ。何時間も光るものが作られたりもしている。
でもこっちの錬金術では作れていなくて自然界で見つかるあまり長時間は光らないものでも結構貴重品として扱われているよ。ルビーなんかにも蓄光機能は少しだけどあってこれはブラックライトを当てると良く判る。
これらには加熱すると発光するものもあるし通常は紫外線を受けたものが暫く光り続けるという程度で、ちょっと残念だけど当たり前にこれを夜間の街灯にすることは出来ないよ。そんなものは物質として存在しない。(自然界で見つかるものはそこまで長持ちする訳じゃないからね)
まあブラックライトを当てれば見つかりやすいんだけどこっちではその技術がまだないからねw。
この光を発する石が魔石として優れているという発想は、神が顕現する際の発光現象を崇めているからでその神威だと言う事なのだそうだ。それでも隕石の時の『神の祟り』よりはマシだと思うw。
以前、キャンプした際にマクシミリアン叔父様が呪文を唱えてテントの真ん中に置いてくれた石もランプを消してからもしばらくの間発光し続けたから光を蓄光したそういう物だと思っている。
これらの魔石を使った道具や装飾品に魔法文字(ルーン文字)を刻んで呪文を唱えると効果が高い防御魔法となるという講義の内容だったよ。
呪文は
『~ノニントレビット~』
という呪文だそうだ。
今回も面白い魔術の講義だったよw。
そう言えば私はルーン文字も全部の意味を表にして習ったし、いくつも新しいルーンの呪文を手に入れてたね。
『力を与える魔法』、『傷を癒す魔法』、『人を虜にする魔法』、『富を得る魔法』、『死を悼む魔法』『人を手当する魔法』なんかだよ。
成瀬博士から教えて貰った『人を虜にする魔法』はとても面白い内容だった。
『人を虜にする魔法』の呪文は、成瀬博士のレポートによれば日本語で発音すると『アルウ』と言うそうだ。
これをルーン文字で表すと、アッシュ、ラグ、ウルで古英語ではA、L、Uに当たる。
(※作者注:アッシュは æ と発音します。アとエの中間位?)
アッシュ
ラグ
ウル
これを垂直方向のシンメトリーでダブルルーンにすると、
(※作者注:中心線は描きやすくしたもの)
これが記載された骨壺が地球に残っていてイギリスのノリッジキャッスル博物館に展示してあるそうだ。(ダブルルーンのもの)
何で死んだ後の骨壺なんだろうね。死後の世界の人気の為かな?
つまり人を虜にしたければ、人と会う際に、聞こえないレベルで口の中でこの呪文を言うか心の中で『アルウ』と呪文を唱えればこの魔法が使えるという事だね。更に『~ノニントレビット~』を唱えれば神のご加護が与えられる事がもしもあれば魔石を使っていれば少し仄かに魔石が光る事があるそうだ。これも発光石の力だけでなく神威によって光ると言われているけど、どこまでがその神威なのかはこれだと判らないね。
勿論、この魔法の力よりも強い力で憎まれたり、恨まれたりしていればなかなかこの魔法だけでは対処するのは難しい事もあるだろうけど、最大限、つまり魔石を使い、ルーンを刻んだ装飾品でも持ってこの呪文を唱えれば最大限にこの白魔法を使う事は出来るかと思う。
成瀬博士から聞いた面白い話は、このルーンの呪文はそのままビールの名前に使われたとう事だ。
ビールは元は『エール』と呼ばれていたけど、この『エール』の言葉の元がこの呪文『アルウ』だという事だ。
世の中の大人達には、『エール』の虜になっている人も少なくないのかもしれないけど、結構この名前の付け方は反則に近いよねw。
◇◇◇◇◇
いつもの如く私の説明は拙いので、私の容姿は日本人の様だと誤解されている方もいらっしゃるかと思う。確かに髪は漆黒で子供なのでまだ痛みもなくつやつやしてて真っすぐだよ。でもこれは日本人の私の感覚とここの人達の感覚が違うので問題も多い。
私の肌は普通に白だし、他の人よりも唇の色が赤い。これ大人になってもルージュがいらないんじゃないかと思う程なんだけど、時々ルージュを使ってなくても使っていると言われる事もある。
あまりに酷ければUVコンシーラーを作ってるからそれを塗ればいいんだけど、まあ普段は化粧水だけで素っぴんだから本人的にはあまり気にしてないんだけどね。
私の髪は真っ黒だけど、私の好みとしてはお母さまやアメリアのような金髪の方が何倍も綺麗だと思っているんだけど、こっちの人の美しいという感覚では黒い髪の方が好まれているという私の感覚と逆転現象があって、それもあってこっちのモテ期が問題になっている。
あの白雪姫を産んだお后様は、縫物をしている際に自分の指を針で刺してしまいその血を見た際に
『雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い子供が欲しい』と言ってその通りの白雪姫が生まれたというお話がある。
確かに地球の中世ヨーロッパでは魔法の鏡さんから世界一の美女と言われるこんな姿が人気なのかもしれないけど、こっちでもってどうなの?
日本人の感覚の私はお母さまの美しさやアメリアの可愛さが世界一と思ってるのに何故か二人共私の事を『美しい』といつも言ってるんだよ。きっと魔法の鏡は故障してるしお母さま達は錯覚だと思う。
こういった感覚のズレは私がモテ期で混乱している原因でもある。
この貴族学院でこれからも穏やかに過ごす為に私はある事を計画し、鍛冶職人のフェリックスとエミリー、そしてリナにも手伝って貰う事にした。
フェリックスは凄く喜んで、エミリーも直ぐに納得してくれた。リナは中々了解してくれなかったけど説得してようやく協力してくれる事になったよ。
これ以上私に求婚者が毎日のように訪ねて来られると貴族学院の生活にも様々な開発にも正直悪影響の方が多いからね。
まず、フェリックスに魔石(これは蛍光石だよ)を小さな指輪にしてもらいピンキーリングを作って貰う。
この指輪の金属に刻印する為のルーン文字のポンチを作って貰い、指輪の裏に『人を虜にする魔法』の呪文『アルウ』を刻む。
つまり指輪の持ち主に『人を虜にする魔法』がかかるようにしたいという訳だ。
これには魔法文字の話を聞いてフェリックスが感激してとても興奮してたよ。
「どこまで効果があるのか判りませんよ」
「それでもあった方が良いでしょうし、そこまで手間のかかるものではありません」
成程、確かにそうだね。
この後、フェリックスと例えば蒸気自動車には安全や防御などの魔法の呪文を見えない所に刻む事を提案され、他の商品にも有効と思われるものはクラウと考えて後で相談させて欲しいとフェリックスが興奮している内にこの作業が終わったよw。
ルーン魔法の御守り付き蒸気自動車か。後でもっとこれが増えたら事故率なんかを統計計算してみたいねw。ラスティーネ叔母様のは絶対にこれにしようw。
何にしても、この『人を虜にする魔法』が刻まれたリングをエミリーとリナの小指にはめて貰い、お化粧をして見た目も凄く美人にする。
貴族学院の服もとっても魅力的に見えたり、可愛く見えたりする少し攻めた服を作り二人に着てもらう。もう現代式で攻めすぎかもしれないけどリナごめんね。
私は以前のままだけど、出来るだけ私が地味に見えるように振舞いたいと思っている。
私の側使えをしている時にこの体勢で挑んでみよう、という作戦だよ。
私に近づく人の多くは私の産業革命の実績とか事業や権利の魅力で近づいていると思うのでそこまでの効果は期待してないけど一応、婚約の申し込みが目的であるのだから少しは私の防御になると思ってるよ。
◇◇◇◇◇
早速のお茶会で効果が表れ始めたよ。
なんか私が呪文を唱えると指輪が光るんだよ。
『~ノニントレビット~』
ポゥ!
今日も私との婚約が目的だと判っているお茶会なんだけど、明らかにエミリーやリナを物凄く見ている。特にエミリーの私よりやや大きめの胸とか可愛くて睫毛の長いリナの顔とかだねw。
側使えの男性陣も明白で、それを注意しようともしない。女性の側使えがかろうじて小さく耳打ちすると『はっ、そ、そうだったね』と一瞬気を取り戻すけど、また純真な少年の憧れの的のような視線でエミリーやリナを見つめてるよ。
私が
『これでは仕方ありませんから今日はそろそろお開きにしましょう』
と提案しても反応が直ぐにはなく、女性の側使えが気が付いて慌てていたけど、もう私は席を立った後だった。
やった。成功だ!
その後、この魔法は男性を虜にするだけでなく同性の女性にも効果があることが判り二人は大人気となった。
私も魔法にかかっているのかもしれないけど確かに以前より二人共魅力的だよ。
お化粧、服、魔法と相乗効果がものすごいよ。
こんな感じでいくつかのお茶会を乗り越え、気が付けばエミリーとリナ宛に婚約目当てのお茶会のお誘いが舞い込むようになって来た。
「姫様。もう勘弁してください」
あー、これはそうなるよね~。
エミリーがリナに話してくれた。
「あら、リナ。ソフィア様のお願いなのですよ」
「でも家のような貧乏な男爵家にこんなお話はまだ困ります」
「良い貴族であればそれこそ玉の輿じゃないの?」
えっ!? リナのお家はガラスの流通を取り仕切っていてもう相当儲かっているはずだけど、もしかして娘のリナは知らないのかな?
「でもそれはわたし本来の魅力ではないですよね」
「そうかもしれないけど、それでもリナ本人である事は間違えないでしょ? わたしたちはまだ子供だし色々な事を経験して知識を貯める事も必要です。リナが本当にイヤで性格的にお断り出来ないのであれば、わたしが一緒に出てきっちりとお断りしますよ」
リナの言い分は一見正論のように聞こえるけど、それを言い出したら、身だしなみの全てが否定されちゃうよ。この国だと男性はあまり身だしなみは気にしないけど、あまりひどいのは勘弁して欲しいし臭いのはイヤ。これは女子の嗜みとしての一部だよリナ。
エミリーの事も少し怖いとか思ったけど頼りになるこういうのは本当に仲間で良かったと思ったよ。
と、正論を言ってみてもこれも私の貴族学院で過ごす為のモテ期対策だけどねw。
リナは少し下を向いて考えてから顔を上げた。
「あ、ありがとうございます。エミリー」
「ソフィア様ばかり大変で、少しでもわたくし達がお役に立てるのでしたらこんな事は大した手間ではありません」
「わ、判りました。わたしももう少し頑張ってみます」
「ありがとう♪ リナ、エミリー」
わーい。
「勿体ないお言葉です。ソフィア様」
「はい」
◇◇◇◇◇
なんとなく二人に悪い気がしてきた頃、お母さまから
「ソフィーネの店舗拡大と人員確保が出来たから至急新しい化粧品を売りたい」
と無茶な連絡が来た。
『ソフィーネ』と言うのは私が展開しているリップやお香などを販売している店舗だけど、人手不足のこの状況なのに、店舗数の拡大、販売店員、錬金術師と信じられない程の人員が既に確保さるていると言う。
今のルントシュテットでは私はこれ以上何を進めるのも人手がなく無理だと思っていたし、たとえ領主のお父さまがやろうとしても無理だと思えるんだけど出来ているそうなのだ。
試作品しかお母さまに置いて来なかったのに、、、。
お母さまによれば『どんなに忙しくても睡眠時間を減らしてもやらせて欲しい』と皆言っていると言う。
わ、私は世の中の女性達を甘く見ていたようだ。
これは作り出した私の方も結構大変な話で、基礎化粧品やリップも販売迄にはかなり時間がかかっている。
どんな薬も販売するには責任を伴う。概ね人体に害がないと判っているのは地球での話でこっちでも同じと言う保証などない。
薬や化粧品の場合、販売には領主への申請許可が必要で、他領に販売する場合にも他領の領主の認可がなければ販売は出来ない。
その為に、当たり前だけど臨床試験を行う必要がある。古くには無茶な事をやって、奴隷達を使ったり、勝手に売り出したりしていた事もあったそうで、このあたりの法整備は前回の基礎化粧品やリップの際にルントシュテットでは私が行っているよ。他領への販売の際にはそれらの書類を領主へ提出すると、今ではルントシュテットルールで許可を直ぐに頂いていると言う感じだ。
個人で使う物はその限りではないけど一般販売は別の話だ。
これは利用者を守るのもあるけど販売者の方を守る意味の方が大きい。何か問題が発生して訴えられれば裁判のあるこの世界では有罪にもなる訳で、薬の問題だったとしてもその責任を販売者がおえば大抵死刑になってしまう。騙したとして舌が抜かれる場合もある。領主の責任で注意事項を周知して初めて販売出来る訳で作ってそのまま売るなんていう無茶なのは当たり前だけど出来ないよ。
たとえ神々の作った薬だとしても当たり前に適当な販売は許されない。一つそれを許せばぐちゃぐちゃになっちゃうからね。
何も悪くなくても簡単に冤罪をふっかけられることもある世の中だし貴族だからといってそのルールを破る事はしないよ。民間療法の怪しいのもかなり規制した。
基本は以前の通りだけど私の方でそれまでかなり適当だったけどこの辺りルールはもう整備したよ。
このような化粧品の一般治験の場合は50名で、薬の場合は期間も必要で単回投与は200名、長期投与は100名でそれぞれ2年としている。影響が少ないと考えられるこのような化粧品の場合は試用期間は免除されて運用後のチェックが入る仕組みで素早い販売までこぎつけている。
本人への説明や免責事項と承諾を正式に集め治験結果をまとめ少なくとも問題発生があればそれを販売時に購入者に理解して頂き、正しい使い方を文字が読めない人にも説明して理解して頂かないといけない。
(識字率が低いからこれも結構大変だけど販売員に頑張って貰うよ)
お母さまから来た連絡を私が『無茶だ』と言ったのはこの臨床実験すら出来ていない物の店舗拡大や人員確保まで出来ていると言う事は遅れればそれだけ逆に人件費などの損害が発生する。
正直、私の顔色が悪くなるレベルの話だった。
私がサロンで真っ青な顔をしてお母さまからの連絡を読んでいると流石にみんな心配そうにしてくれてユリアーナ先生が訪ねて来た。
「成る程、レオノーレ様も無茶な事をなさいますね。後でわたくしからも言っておきますが対処が必要です」
ユリアーナ先生が大きな声で
「女子生徒の皆さん! こちらにお集まり下さい」
授業の合間なので結構な数がいる。
ユリアーナ先生がリナとエミリーを前に出して他の女子生徒に説明した。
「少しソフィア姫様がお困りです。皆さんも見て既に御存じかと思いますが、この二人のように新しい化粧品をソフィア姫様が開発されました。、、、」
ユリアーナ先生が概略を説明するとみんなリナ達を見て興味津々だったようで特に忙しそうな私達に声をかけづらかったようだ。
直ぐにこの場で30名を越える治験者が集まり他の女子生徒にも知らせて貰えるようになった。
治験の契約書類や各化粧品の作成を大急ぎで揃えて貰うように手配した。
ルントシュテットの商工ギルド長のパウルさんも『近々に言われると思っていたが人をどうしようかと頭を悩ませていた』そうで、こんなに協力的にやって頂けるとは思っていなかったようで、パウルさんも他の年齢層の方々に声を掛けてみると直ぐの治験者は集まったよ。
どうやらパウルさんも世の女性達を甘く見ていたようだw。
パッチテストの方法や使用時のルールや方法をまとめ試験方法を整備して行く。
みんな進んで協力してくれて僅か数日で申請許可の書類が出来ると、なんとその日のうちにお母さま本人がルントシュテットから書類を受け取りに来てパウルさんと私に結構な額の報償金を治験者達へと渡してトンボ返りでルントシュテットへ戻って行った。
・・・。
えっ、、、。
私もパウルさんも呆気にとられて顔を見合わせて笑ったよ。
その後、ルントシュテットの女子生徒全員が本格的にお化粧を始め、今ではリナと私だけが素っぴんと言う前と逆転したけど貴族学院内ではルントシュテットの女子生徒が大人気となり、これ以降私は以前より過ごしやすくなったよ。
結果、無茶振りされたお母さまに助けられたねw。
◇◇◇◇◇
一応、清廉学院中等部内での私のクラス内では色々な誤解は解けた。逆に私があの変な外国人の一人を倒した事が男子からも憧れられていたよ。
勿論、そんなのを広めたり憧れられたりしてはダメだ。ああいった場合には逃げるに限るから『僕も練習して試してみよう』なんて思われたら目も当てられない。
神崎くんは親切にも私に対しての誤解を解くために他のクラスのみんなにも教えて来ると言う。
(怖い人と言う誤解だね)
「九条さんの変な噂が流れているから、ぼくが他のクラスの友達にも教えて来るよ」
「ちょ、ちょっと待った!!」
いや、そっちの私に関しての噂は誤解されたままでいいと思う。
目立たないように過ごして平穏に過ごせればいいよ。
「なんでだい?」
「そっちはわざわざ誤解を解くまでもないよね」
「そうなの?」
「言いたい人には言わせておけばいいよ」
「そっか。そうだね。ぼく達みんなが仲良くしていればその内みんなも気が付くよね」
へっ? 『ぼく達みんなが仲良く』
「そうだね」
「まあ、いいんじゃない?」
みんな、、、。あの状況に一緒にいた人達だ。
「うん、危ない事しなければいいんじゃないかな」
「そうだよ。夢っち」
おお、あんな危険な状況を経験をしてなんか連帯感的なのが生まれちゃってるよ。
「うん、判ったよ」
梨乃ちゃんはもう男子の丸山くんと仲がいいみたいだけど、花音ちゃんも私も陰キャなのに何となくこれはリア充の気配だよ。
清廉学院中等部の生活が過ごしやすければいいし、中学生なのにこの男女のグループなんて日本で言えばこれ充分モテ期なのかもしれないねw。
でも、私が本当の恋をするのはもう少し先みたいだw。
冬休みを頂いた後、新しい章に入ります。
第十章ではグレグリストに行く事になりますが、グレグリストはあのゲートルード元王妃の出身地。
子供達が何故あんな酷い事になったのかそのルーツは、、、。
次回:グレグリストの地図と『閑話:ゲートルード元王妃の手記』をお送りする予定です。
それでは皆さん良いお年を。