閑話 【ショートストーリー】手作りコスメ教室
割り込み更新していましたがシステム的に更新された連絡はなかったそうで最終更新は一月以上前となっていたそうですが普通に毎週割り込み更新してました。判らなかったですね申し訳ありませんでした。まあ「なろう」の仕様らしいので諦めてます。
漁村の閑話と軍務長官の閑話は改修は無理っぽいので諦めました。八章絡みの割り込み更新は今回が最後です。
今回は舞ちゃんを巻き込んでお出かけですw。
美麗の件で吹っ切れたのもあるけど、私は現実が受け入れられなくて本当に周りに一杯迷惑をかけちゃったよね。
迷惑のかけついでじゃないけど、舞ちゃんに土曜日に一緒にお化粧品の制作教室へ行こうって誘ったらOKしてくれた。
日本で唯一セリサイトを採掘しているのは愛知県の方なんだけど、最寄り駅の浜松からは結構遠い山の中だね。
採掘をしている人がツアー的なのを組んでいてくれて、鉱山の見学とファンデーションやチークの作り方なんかの教室をやってくれている。これはナイスなセットだねw。
参加出来るのは小学校4年生以上なので中一の私達は参加可能だよ。
私達の通う清廉学院中等部ではリップや薄いお化粧なら許されているけど、こういうのはまだ学ぶ年代でもないしお化粧なんて判らない。
でも、型で押したような整形美人のお化粧や雑誌に載ってるモデルの人の凄いのとかちょっとな人もいるからそういうのは嫌だけど、とっても自然に和風美人に仕上がっている人を見ると正直憧れてしまう。
恐らくこんなのも思春期の私達が特に感じることなのかもしれないね。
私は二人分、鉱山見学&ファンデーション作り体験というのに申し込んだ。
なんかそういうのをやってる工場みたいで、子供が遊びに行く感じではなく、主に年配の女性が引退後に趣味的に参加するような感じだけど頑張って参加してみようかと思う。
私はお金がない訳じゃないので、舞ちゃんと朝早くの新幹線で浜松まで出て、タクシーで向かったよ。
浜松の駅前は道路の車線も多く普通の地方都市っていう栄えた感じだったけど、タクシーで現地に向かい1時間半くらい掛かって現地に到着した。
途中からもう完全に山の中っていう感じで舞ちゃんも私も旅行感が高まったよ。
工場の受付のお姉さんに予約していると名前を言いよろしくお願いしますと挨拶した。
10:30~だそうでもう少し待っててと言われた。
他にも品が良さそうで優しそうな年配の女性が幾人かいて一緒に見学や教室に参加するのだと思う。
舞ちゃんと私を見てニコニコしていた。
なんかおばあちゃん位の感じだから孫を見る感じかもしれないねw。
時間になると閉じられたシャッターの前でこの工場の社長さんが説明してくれた。工場の歴史やセリサイトについてで、この辺の鉱石に関してはもう私の知識にあるけど改めて聞いて面白かったよ。
確かに採掘はお休みじゃないと見学なんて無理だと思うから土曜にやってるんだね。
早速鉱山の中の見学だよ。
結構狭いね。
『頭に気を付けて』って社長さんが言ってたけど私と舞ちゃんは屈まなくても平気だったw。
やっぱりこういう掘削では水が出る事があるのでポンプで水を外に出す水路や空気を送る機械なんかを設置してある。
外は山の中なのでめっちゃ寒かったけど、坑道の中はそんなに寒いって感じなくなったよ。
やっぱり地中は外気の影響が少ないね。夏なら涼しいのだと思う。
トロッコで採掘したセリサイトを運ぶようでトロッコの道があって、脇にはトロッコをかわすためのスペースがあったよ。結構広い。
電車なんかでは駅ではホームの下には退避スペースがあるけど、あれって相当狭いよね。
これくらい広ければ大丈夫だね。
カツーン!
ん? なんかかわすスペースの奥から手堀りのノミのような小さな音が何度かした。
き、気のせいだよね。今日は採掘はお休みだし見学のツアーだけだよ。
「夢ちゃん、どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
「ほら遅れるから行くよ」
「判った」
社長さんは結構遅く歩いてくれている。
採掘したものをトロッコで外に運び出し易いように少し昇りになっていて15分くらいしてセリサイトの採掘現場に着いた。
採掘している場所に露出している白いのがセリサイトだと言う。
めっちゃ近くでしっかりと確認したよ。
手に持たせてもらうと鉱石(雲母)というよりも少し湿っているからか白い粘土のような感じだったよ。
ここでは機械ではなくて手堀で掘り出しているそうだ。
他の地質はかなり硬いらしい。
えっ! 更に奥の少し暗い所でどう見ても小人が採掘しているよ!
先の方のセリサイトを手で集めているよ。
「これがファンデーションの原料なんだね。夢ちゃん?」
「こ、小人っ!」
「えっ! 何? こびっと? 消費者金融か何か?」
「いやそうじゃないよ。舞ちゃんあれ」
振り返ると小人達はいなくなっていた。
「なんなん?」
「い、いや何でもなかったよ」
「じゃあ戻ってファンデーション作ろう」
「そ、そうだね」
見間違えだったのかな。本当に小人だったら、成瀬博士の言うノッカーかドワーフだったと思うけど錯覚からそう信じるなんていう事もあるのかもしれないよね。私は最近色々とそう言う話を聞き過ぎているのかもしれない。
見学の後は手作りコスメ教室だ。
教室のような部屋で細かくスライドを使いながら教えてくれた。
最近のお安い海外製のチークなんかには、マイカパールではなく魚の鱗が使われているそうだ。
日本でも昔のラメには使われていたらしい。
マジ!? お姉さん達のキラキラしてるの魚の鱗をつけてるの?
だからピチピチ!w いや魚ならビチビチ!
わ、私は普通ので頑張ろうかな!w
セリサイトやカオリンをきっちりと分量を量り、乳鉢ですり潰す。
ゴリゴリゴリ。
なんか参加した皆さんは凄く頑張ってるよ。
これは私達が子供だからって負けてはいられないね。
でも料理でゴマを摺るより力も必要で結構大変だったよ。
先生が見て廻ってくれて、舞ちゃんと私の肌の色に合わせる難しい調整をしてくれた。
これ私用のオーダーメードのファンデーションだよ。一品物で本当に凄い事やってるよ。
力も時間もかかったけど、不覚にも私は新幹線が朝早かった事もありウトウトとしてしまった。
(なんかいつもだよねw)
・・・。
「夢ちゃん、夢ちゃん! 出来た?」
はっ!! し、しまった。
あれ? なんか出来てるよ。
私の足元に何かがサラッとかすめて姿を消す。
こ、小人だ。
ま、まさか、これ小人さんが作ってくれたの?
いや、私が寝ぼけてるだけだよね。でもファンデーションは何故か出来てたよw。
「わー、夢ちゃんの凄く良く出来てるね」
記憶にない。だらだらだら。
「う、うん。舞ちゃんのもバッチリだね」
「うん、わたし今度お化粧の仕方も勉強するよ」
「こんなに自分のお肌の色にあったファンデーションがあったら本当にお化粧始めたくなるよね」
「うん♪」
舞ちゃんはとっても嬉しそうだった。
先生から専用の容器を貰ってそこに入れて手作りコスメ教室は終了した。
教えてくれてありがとうございました。
セリサイトは完全に覚えたし作り方もバッチリだ。お肌の色の調整は先生みたいには難しいけど頑張れば出来ると思う。
終わってタクシーで浜松まで戻ったけどちょっとお昼もだいぶ過ぎて遅くなっちゃったね。
『ちょっとお腹減ったねー』って舞ちゃんとどうしようかと少し歩いていると駅前でさっきのコスメ教室で一緒だった品が良さそうで優しそうな年配の女性がいた。
「あら、さっき一緒にコスメ教室に参加した子達ね。どちらからいらしたの?」
「あっ、どうも。私達は東京からです」
「そう。二人共一生懸命頑張っていて、私達もあなた方の姿を見てとても楽しく出来たのよ」
「いえ、わたし達こそ皆さんのような大人の方が参加されていて心強かったです」
誰も参加してなかったらちょっとどう行動していいかも手探りだったからねw。
「二人共、ご飯が未だだったら近所にいいお店があるのよ。ご一緒にどうかしら? おばさんがおごるわよ」
「えっ、悪いですよ」
「子供なのに遠慮せずに地元の料理も食べてみたいでしょ? 行きましょ」
私が舞ちゃんを見て目で合図してご一緒させてもらう事にしたよ。品が良さそうで優しそうな女性はちょっと強引だったw。
繁華街のすぐ裏の大きな日本家屋だった。看板も出てないし普通のお家みたいだった。
優しそうな年配の女性はそのまま大きな門をくぐり入って行く。
舞ちゃんも私も後をついて行った。
玄関から中に入ると、確かになんとなくお店っぽくはなっていたけどこれ普通の家だよね。
隠れ家的なお店なのかもしれない。
座敷に上がり座ると確かにメニューもあったけど、直ぐに女将さんのような方が来たけど、この方もさっきのコスメ教室にいた人だよ。
「さっきのコスメ教室に参加していた子達を連れて来たわよ」
「あら、そうなんね。わたしも参加していたのよ。私は久我と言います。ようこそいらっしゃいました」
「覚えています。急にお邪魔させて頂いてすみません」
私は先に舞ちゃんに自己紹介して貰おうと舞ちゃんの方を見る。
「わたしは二宮 舞です」
「わたしは九条 夢美です。私達は東京から来ました」
「やっぱりしっかりしているのね。わたくしは花山院です。久我さん、今日は愛知の郷土料理を頂けるかしらね」
「そうね。直ぐやからちいとねゃあおとなしくしとってね」
「「はい」」
いや、返事したけどなんて言ったんだろw。
花山院さんから京都ではなく東京なのかというような他愛もない話をしていると本当に直ぐ料理が出て来た。
久我さんによると、これはレストランメニューではなく、家庭料理なのだそうだ。
久我さんが『かきまわし』と呼んでいるトリメシ、とうがん汁、煮味噌、ふろふき大根、はぜの佃煮、そしてハーフサイズのきしめんをご馳走してくれた。
家庭料理の郷土料理と言っても凄く美味しい料理だったよ。
ご馳走様でした。
二人共終始私達をニコニコしながら見て楽しそうだった。
久我さんからはこの隠れ家的なお店のカードを、花山院さんからは名刺をいただいたけど、私達はそんなの持ってないしスマホの連絡先を交換してもしょうがないから二人共『清廉学院中等部』に通っていますと説明した。
お二人にお礼を言って私達は東京へ帰った。
化粧品作りで苦労した力業的なのってなんとなく小人さんがやってくれた気がしないでもないけど、仕事が忙しいサラリーマンも徹夜の時に小人さんがやってくれるなんていう都市伝説もあるから、まあ普通の事だと思っておこう。
気分も晴れたし、美味しい郷土料理も食べられたし、舞ちゃん付き合ってくれてありがとう。
今度お礼するね♪
次回:イグリッツア様の対処やランハートの対処など面倒な事は片付けて早く睡眠時間が欲しいソフィアw。今回付き合ってくれた舞ちゃんへのお礼もあります。
お楽しみに♪




