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ドゥープレックス ビータ ~異世界と日本の二重生活~  作者: ルーニック
第八章 夢のミサキ
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悪夢のストーカー/別の目的?

「悪夢のストーカー」と「別の目的?」は大幅にカットして1話にしました。

 どこもそうですが、基本的に生活や秩序、モラル、安全を破壊するのは殆どが侵略する事が目的で、それを綺麗ごとで反対するのがやはり常ですね。それに手を貸す者達も大勢いる訳です。

 日本に於けるこれらのお話をほぼ削除しましたがw、まあ、オレアンジェスの教会の方々も似たような感じなので短くはなりましたがソフィアの思考回をお楽しみください。


  様々な事を教会に邪魔されるソフィア達。

  側近達と話し合い、ある一つの答えにたどり着く。

  日本では任那に捕まり白魔法を任那と美麗に教える事になる夢美。

  様々な問題はさらに大きく、、、。

 ここまで領主アデルさんとその側近の方々から聞いた話、漁村の人達、街の状況、ここに来るまでの畑の状況を考えれば、誰でも同じ答えにたどり着くと思う。

『農業』と『漁業』の復興は不可欠だ。


 農業は土地が痩せた焼き畑農業のせいだと判っているので、肥料などの対策はお父さまが後ろ盾になり今も大量に運んで頂いている。繰り返し届けて改善を続け、適した作物の種を使えば、徐々にではあるけど対策は可能だろうと思う。その間は食料支援も必要だね。


 でも漁業はクジラを狩るしかないと思う。

 問題は、「クジラ」が聖堂も多いこの地の紋章であり、神の「ミサキ」であって、突然死まで多発しているのに信仰を優先しているこの領地の方々に協力して貰えるかどうかだね。


 アドリアーヌ王妃からもアドバイスをお願いされているとのことなので、朝食の際に領主アデルさんに肥料が今どこまで来ているのかの報告と『恐らくクジラを狩る必要がありますよね』と正式な進言ではなく試しに話してみた。


「えっ!」


 領主のアデルさんは驚いたようにこっちを見ただけだったけど、文官長ハリエットさんも武官のコアトさんも何も言わなかったのとは対照的に、文官のカトレアさんはガバッっと立ち上がりながら


「神への冒涜です!! そんな事をすれば神罰が下ります!!」


 と異様な程に反対された。


 チャキ!


 ザルツとミスリアが剣の鞘を左手で掴む程には異様だった。

 この人こんなに信仰が強かったのか。


 もしも『センテレリージョ教』の教えが正しく、クジラが神のミサキなのであればそれは人ごときが狩るなどは許されない行為かなのもしれない。でもそれは人が死んでもよければだ。

 これは神様達に聞いてみれば冒涜なのかどうかが判るかと思う。冒涜であれば漁業は諦めて動物性タンパク質の為に新たに酪農に力を入れるしかない。

 どの神様が海の生物の担当なのかは判らないけど48も加護があるのならば色々と聞いてみれば判るかと思う。


 聖堂へ行ってお祈りをしてみよう。

 

「カトレアさん。判りました。聖堂へ行って神に確認してみようかと思います」 


「『センテレリージョ教』でないと聖堂に入れませんしソフィア様が海の生物の神の加護をお持ちとは思えません」


 と言う。

 聖堂に入れない? あれ? そうなんだっけ? それっておかしな話だよね。

 そんな事をすれば信者もお祈りをする人も一人も増えないよね。


 でも、確かに『海の生物の神』なんて私の加護にあるとは思えないけど、ここの方々は私が自分でも把握しきれていない程、沢山の加護を持っている事も知らないよね。

 まあ、神様とお話してみてからだね。


 なんとなくこの発言以降、文官のカトレアさんから睨まれているような感じがして実際にチラチラと何度も見られた。



 地母神ゲー様からも『迷ったら礼拝堂へお祈りに来なさい』と言われていたよね。


 食後、蒸気自動車でサクレールの聖堂へ向かった。

 場所は聞かなくてもこの街で一番大きく、領主館よりも立派な建物なので直ぐに判ったよ。

 こんなのを幾つも作っていたら相当な資産家でも大変だと思う。


 領主館に行く際にも通った道だったよ。


 車を停めて聖堂へ向かおうとすると、聖堂の入口に兵士が2人立っていた。

 あれ? こんなのいたっけ?


 長い槍で前を塞がれて聖堂へは入れて貰えなかったよ。

 私がルントシュテットの領主の娘だと説明してもダメだったよ。


 初めてまともに礼拝堂へお祈りに来たのに聖堂に断られたよ。

 『センテレリージョ教』でないとダメだなんて普通はないと思ったけど、ここはそうだったよ。

 こうなったらお祈りが可能な教会でも聖堂でもいいから探してお祈りさせて貰うしかないね。


 他の街巡りが始まった。


 いくつもの街にある聖堂や大き目の教会も入れて貰えず、小教区の小さな教会も断られたよ。

 北にある海側の海沿いのノートレードの街とセンスルビーチェの街の聖堂は新しく作ったそうだけど、まるで灯台のある要塞のようだった。

 海があるので機能をまとめているのかもしれないけどちょっと異様な感じがした。


 ヒーシュナッセとの国境があるモンセンローラの街とメダイの街の聖堂はどうみても要塞にしか見えない。なんでこんな聖堂を作っているのか意味が判らないよ。


 途中に見つけた小教区の教会も全滅だったよ。どこも使わせて貰えない。


 私達は仕方なく領主アデルさんの領主館へ戻り、尖塔師のウイルソンさんにルントシュテットのレオン司教に『センテレリージョ教』でないと聖堂に入れないという事があるのか? を聞いて貰い、燃料も追加で持って来て貰えるようにお願いした。


 困ったね。神様に確認出来ないよ。

 宗教を信じているこの地の方々は私の味方とは言えないと思う。

 取り敢えず食事の際の会話では躱して誤魔化し寝る時にドロミス神と会話が出来ればいいと思うけど、これまでも私の思い通りに出来た事はなく、これはドロミス神様次第だね。


 でも、運良くこの夜にドロミス神が微睡の際に話しかけて来てくれた。


『ソミア。クジラを狩る事で迷っている事は理解している。地母神ゲー様は人のみならず、植物、動物全てを慈しんでいるからその答えは難しいだろう。ソミアに加護を与えている神々は全て人の神だ』

『ドロミス神様。海神オーケアヌス様や海泉神テテュス様は海の神様なのではありませんか?』

『いや、海の神だが、船を航行する際の海流をつかさどる人の為の神であったり人の使える水の神であったりするだけで、海の生物は見ていない』

『成程、海の神様と言っても海の生物の神様ではなく人の為の海の神様なのですね』

『その通りだ。しかしゲーの子、海の神ポントスとゲーの間に生まれたネレウスならば海の生物は判るだろう』


 ネレウス神!? 聞いたことがないし私は加護を頂いてないね。


『ネレウス神様ですか? どのような神様なのでしょうか?』

『海の老人と言われ海にかなり詳しい』


 わぅ、海の老人ならば相当知識がありそうだけど、おじいさん達と話すのって大変だけどこれはそのネレウス神様とお話させて貰うしかないよね。


『ドロミス神様。わたくしはネレウス神様とお話することは出来ますか?』

『それは判らないが尋ねるくらいは出来るようにしてみよう』

『お願いします』


 ・・・。


◇◇◇◇◇


 うぉっ!


 神功先輩が私の真後ろにいたよ。

 最近、遠くから私の事を見ているのは気が付いていたけど、だんだん近づいて来てメリーさんみたいになって来た。メリーさんじゃないかもしれないけど、とうとう私の真後ろにいる。

 完全に私の『ストーカー』だよ。


「な、なんですか? 神功先輩」

「地下遺跡の古代の街、探険したい」

「いや、あそこは伯父さんの土地だからわたしの一存では、、、」

「じゃあ、魔法教えて」

「な、何言ってるんですか」


 あ、美麗が後ろから近づいて来てる。


「夢美、面白そうな話をしているわね。私にも教えて頂戴」


 この三人の秘密だけど、私この二人の目の前でやっちゃってるからね。

 まあ、嘘をつくのも嫌だし、バレちゃってるから嘘をついても仕方ないか。


「わ、わかりました。私が教えるとなると実際に教えられる事は少ないですけど、放課後に歴史研究部の会議室Aに集まりましょう」

「やったー」

「ふふふふふ」


 あー。

 これ一番不穏な人達に魔法がバレちゃってるよね。困った事にならなければいいけど、、、。


 ・・・。


 放課後。


「当たり前ですが、他の人には絶対に話さないでくださいね。それが約束して貰えないなら教えられません」

「判った」

「判ったわ。でもトンデモなくお金になるかもしれないのに、、、」


 美麗が何を考えているのかは今の私じゃ判らないけど、一応言質はとったよ。


「わたしが使った魔法は神の加護がないと使えないものが多くて、あの治癒の魔法も神様に教わったものなのです」

「夢美は神と会話できるの? それは信じられないわ。わたくしは神の存在を信じてないもの」

「わたしも同じ」

「まあ、別にそれは信じて貰えなくても白魔法は構わないんだけど、、、」


 あはははは。そりゃあ現代日本人ならそうだよね。


 私は貴族学院で最初に学んだように神的魔法、黒魔法、白魔法があって、それぞれがどういうものなのか教わったように詳しく説明した。


 その後、遠隔通話の『ボカ・リモーティス』について詳しく説明する。

 魔法の呪文『~バルバリーベラ・オス~』を覚えて貰い私が試しにやってみせた。


『~バルバリーベラ・オス~』


 美麗の頭の中と会話する。


『美麗、聞こえる?』

『な、何コレ!? 頭の中に直接聞こえるのね』


『神功先輩、わたしが話しかけているのは判りますか?』

『判る。凄い』


 ニカッ!


 私は『ボカ・リモーティス』の通話を終えて二人に笑いかけた。ちょっとドヤっているw。


「でも、これ魔法じゃなくて九条さんだけの超能力っていう事もあるよね」


 ないよ。そんなの。私にそんな特殊な能力がある訳ないじゃんか。


「わたしにそんな超能力とかある訳ないじゃないですか。中二病じゃないんですよ」

「本当に白魔法なら、わたしか西園寺が出来るはず」

「そうね。確かにわたくしか神功さんが出来て初めて夢美だけの超能力ではないと言えるわね」


 超能力じゃないって言ってるでしょ。

 はぁ。私は溜息をついた。

 日本人は神を信じる人も少ないし、日本人の感覚だとなかなか信じて貰えないけどこれは本人にやって貰うしかない。


「では、二人共、呪文を使って試してみてください。他言しないという秘密保持がありますからこの3人の中でお願いします。この呪文は心の中で唱えても大丈夫ですけど、発音が違えばダメですから慣れないうちは私の言葉を心の中で再現してやってみてください。もう一度やりますね」


 私はもう一度声に出して呪文を唱えた。


『~バルバリーベラ・オス~』


『お二人共頑張ってくださいね』


 私はマルチに二人に通話した。


「よし、わたしも魔法使いになる」

「やってみるわね」


 二人は、目を瞑ったり、呪文を声にだしたり、様々に繰り返し頑張っていた。

 そう言えば貴族学院の講義でも最初の授業で出来たのは私だけだったから簡単には出来ないのかもしれない。


 それでも結構な時間、二人は頑張っているよ。

 私は二人に何が飲みたいのか聞いて飲み物を買いに使い走りに行き、戻っても二人はずっと頑張ってたよ。

 そろそろ暗くなる。今日はここまでかな。


「わたしと一緒に習ってた人達もなかなか出来なくて、最初の講義で出来たのは私だけだったのですよ」

「貴方に出来てわたくしに出来ないなんてそんな事があってはいけないわ」


 美麗。もう凄い負けず嫌いだよ。

 

『、、、ゆ、、、ゆめ、、夢美! 聞こえるかしら』

『き、聞こえたよ。出来たじゃん美麗!』


 まだやっとという感じだったけど出来たよ。何度も反応があるまで私を呼んでたんだね。


『そうね。本当に魔法だったのね』

『信じてなかったの?』

『そうでもないわよ。信じてなければこんなにやらないでしょ』

『確かに』


 おお、なんか最初の呼びかけよりもスムースに会話出来た。

 私は会話を止めて美麗に拍手した。


「美麗、すごーい」


「な、何。もしかして西園寺が出来たの!? 嘘っ!」

「本当ですよ。その人の想いが強い人から出来ると言う事なので美麗は神功先輩より私と付き合いが長いからですかね」

「なんか、凄く悔しい!」

「また後で練習しましょう」

「発音が難し過ぎて再現してくれないと無理。じゃあ西園寺。これ九条に伝えてみて」


 神功先輩が教科書を開いて何かを指さした。

 本当かどうかを確認したいんだね。


『夢美。くだらない事をやるけど、答えは『二酸化窒素』よ』

『判った』


「神功先輩。『二酸化窒素』です」

「当たってる。本物。九条の超能力じゃなくて本物の白魔法だ」

「最初からそう言ってるじゃないですか」


「まあ、現代ではスマホもあるからそう大した話ではないのかもしれないわね」

「電池がいらない」


 神功先輩、なんかすごく面白いよ。


「夢美。これは遠くでも会話できるのかしら?」

「遠くだと難しくなるそうで、出来る人と出来ない人がいるっていう話だよ。わたしだと関東くらいなら大丈夫だと思う」

「なんで難しくなるのよ」

「人が多いと沢山の人の想いが交差して重なるかららしいけど、詳しくは判らないよ」

「そうなのね。そもそもその人への想いが通じるものだものね」

「うん、その通り」


「とても面白かったわ。家まで送るわよ」

「ありがとう」

「なんか凄く悔しいんだけど」

「神功先輩も頑張れば出来るかもしれません」

「うぅっ」


◇◇◇◇◇


 ドロミス神の話では、このまま海の老人ネレウス神様とお話出来るまでは無理だという事が判ったよ。

 仕方ないので僅かに営業している街をまた見に行く。


 早速、護衛達みんな気が付いているけど、黒いフードを被った怪しい2人がついて来る。

 マルテとノーラは危険にさらしたくないけど、これ出来れば捕まえてどこの手先なのか確認したいね。

 ザルツとカーマインに目配せする。

 二人はそのまま私達から離れ脇道にそれていく。


 私達はそのまま街中を歩く。


 私は心の中で呪文を唱えた。

『~バルバリーベラ・オス~』


『ザルツ! どうですか?』

『姫様。(とら)えましたぞ』

『直ぐに行きます。自害しないように口の中に、、、』

『しまった。何か毒を、、、』


 くっ! 遅かったか。私達は走ってザルツ達の元へ急いだ。

 

 二人のストーカーは口から泡を吹いてもうこと切れていた。

 あ、悪夢だね。この光景は。


 ザルツとカーマインが所持品などを確認しても判らず、『センテレリージョ教』の紋章が入った小物入れを持っていたけど、ここまで信者が多いと教会の手先とも言い切れないよね。


「姫様。外は危険ですから出来るだけ外出しない方が良いでしょう」

「そうですね。少しみんなで話し合いしましょう」


 ザルツとカーマインが兵士の所まで自害した尾行者の報告へ行き、私達は領主館へ戻った。

 ノーラにお茶を入れて貰い、ザルツ達を待った。


【他の目的?】


 ザルツ達が戻り話し合いをする為に側近と護衛達を小さく集める。

 人気(ひとけ)を確認するとドアの外に文官のカトレアさんがいるようだ。

 ザルツ達にも判っているようだ。

 もしもの為にミスリアにドアの前に立って貰う事にした。

 ミスリアを見てカトレアさんが何事もなかったように去って行く。


 これはちょっと色々と厄介かもしれない。


 何かに私達は付け狙われ、その情報を流すスパイがカトレアさんかもしれない。

 それは恐らく教会の勢力だと思う。カトレアさんのあの異常な反論はおかしかったからね。

 

 これはザルツ達ももうそう思っていたようだ。


 一般的にまともな案を出せば、誰も困らないと思いきや反対する人もいる。

 明確な理由があれば別だけど、大抵の場合、異常な人達はおかしな理由をこじつける。

 これらはその殆どが反対して利益を得る人達の手先で、それが組織単位もしくは国単位であれば単なるスパイだからね。


 でも証拠がなければ只の陰謀論だろうから、外堀から埋めるしかないだろうね。


「教会は使えませんが神々と会話が出来て確認してからになりますが、わたくしとしては、クジラを狩る事を強く領主アデルさんに進言しようと思います」

「姫様。あの漁村のように船がクジラの大群により壊れている状況では狩れないのではありませんか?」

「そうですね。それはシルバタリアのフリッツ伯父様にお願いして蒸気船を大量に貸して頂こうと考えています」

「成程。クジラが減れば恐らく以前のように魚も取れるようになりそうですな」


「ええ、でも何のためにクジラをミサキと崇めているのでしょうか? この不漁は漁師達はクジラのせいだと気が付いているのでしょう?」

「それはご神託があったという事ではありませんか?」

「地母神ゲー様は動物、植物など全てを見ていますが、わたくしたちの神々はその殆どが人の神で海の生物の神ではないそうです。人の神が人が困る神託を下すとは思えないのです」

「それは確かにおかしな話ですね。では教会には他に目的があると?」


 別の目的? そうかもしれない。

 秩序を破壊する為に宗教などの綺麗ごとを使うのは彼らの常套手段だ。


「ザルツとカーマインは新しく出来た聖堂や教会をどう見ましたか?」

「まるで要塞のようでしたな」

「はい。あそこに兵を配置すればヒーシュナッセの軍勢はいとも簡単に退ける事が出来るでしょう」

「海沿いの教会も要塞のようで、港も近く灯台もございましたから海からの敵にも備えられるかと思います」

「うーん、そうですね。でも何故それを領主や街の貴族ではなく教会がやっているのでしょうか?」

「民を守るという意味では、領主の資金が枯渇しているのでしたら教会が軍備まで考えて領民を守ろうとしているのではありませんか?」

「それはおかしいですよ。だって宗教にお金をつぎ込んだから領主のお金がなくなったのですよね」


 なんか教会が矛盾だらけだね。

 ・・・、あっ!!


「仮にあの要塞のような教会がヒーシュナッセの橋頭堡(きょうとうほ)として使われたらどうなりますか?」


 !!


「ヒーシュナッセの!!」

「それはかなり不味いですね。堅牢な要塞となり得ますのでグレースフェールへの侵攻がいともたやすくなります」

「あの海沿いの灯台付きの教会はもっと不味いです。海からヒーシュナッセの船でいくらでも敵兵を呼び込む事が出来ます」


 違和感はこれだったよ。


「エリザベートさんが亡くなった寂しさにつけ込んで資金を枯渇させあの要塞を建造する。土地を枯らせ作物を取れなくし、クジラをミサキとする事によって漁業も壊滅させる。オレアンジェスの弱体化はこれで完成する訳で、理由は宗教として綺麗ごとを盾にする。これはヒーシュナッセの工作と考えれば全て辻褄が合いますね」


 !!


「姫様。それですぞ!!」

「そ、そんな恐ろしい工作が進んでいるのでしょうか?」

「本当に神の神託かもしれませんから神々には確認しますが、その可能性が大いにあると思って行動した方が良さそうです」


「だとすると、領主アデル様にクジラ狩りを強く進言すれば、間違えなく教会の者達、ひいてはヒーシュナッセと表立って敵対する事になりますぞ」

「まだ仮説ですが、恐らく動く可能性がありますね。無駄足になればいいのですが、ルントシュテットと中央に少し戦力を派遣して貰う必要があるかと思います」

「はっ。直ぐに手配します」


 カーマインが尖塔師のウイルソンさんにお願いして戻って来るとレオン司教に確認して貰った返事が来ていた。


『教会が教徒でないものを聖堂に入れないなどないし、あってはならない』


 という事だった。

 やっぱり教会は怪し過ぎる。

 あまり動かずに肥料の到着を待ってタイミングを見て正式に領主アデルさんに進言するしかなさそうだね。


 この日はこれでお開きにして、明日からはストーカーに狙われても仕方ないので領主館の庭を借りて護衛達と訓練をする予定にした。


◇◇◇◇◇


 次回:『宗教か人命の尊さか?』

 ようやくネレウス神と話、クジラ狩りを決意し実行するソフィア。

 オレアンジェス編のクライマックスへ!

 レオン司教とシルバタリアのビルム子爵が乱入し力強い味方に!

 ヒーシュナッセの軍と衝突し敗走が続く。そしてソフィアは謎の睡眠が始まる。

 日本の早朝にたっくんの柏木家から衝撃の連絡が、、、。

 

 お楽しみに♪


 と、言いつつ、来週は23日から出張で更新は難しそうです。

 申し訳ありませんが1週お休みとなります。


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