閑話 勿体ない文化
しばらくお時間を頂きありがとうございました。適当wな閑話は今回までです。
これまでソフィアがやると言っていた事をルントシュテットの面々に割り振って協力を申し出ている領地の技官に説明しているのを長兄のエバーハルトが聞いて驚いている場面。
しかし江戸時代の日本文化は今の日本とは比べ物にならないほどエコでした。現代の偽物のエコでなくこう言う本物はいいですね。
私の名はエバーハルト。ルントシュテットの次期領主だが実際はまだ貴族学院を卒業したてで父上について実践を学び始めた所だ。
今後のルントシュテット及びグレースフェール全体の開発の進め方についてマクシミリアン叔父上、ラスティーネ叔母上らのルントシュテットのメンバーから、中央並びにルントシュテット、シルバタリア、イエルフェスタ、ピシュナイゼルの技官を集め説明会とルントシュテットがこれまで行ったインフラ整備の内容と現状進捗の報告があった。
父上からピシュナイゼルの砂漠化を食い止める方法、石油採掘に石油プラント、シルバタリアのフィリッツ伯父上から蒸気船、ユリアーナ先生から蒸気機関車、ヴィクトール伯爵の発電用大規模ダムと、どれも信じられない程のこれまでの技術の解説があった。私などが聞いても出来る事は判るがどれも半分程しか理解は出来ていないだろう。どれだけ多くの研究やその改善があればここまで練った案になるのだろう。どれも人の一生では無理と思えるほどの理論ばかりだ。
ラスティーネ叔母上の夫であるヴィクトール伯爵は叔母上と貴族学院の治水学の授業で知り合っての恋愛結婚だが、今回の事業は別々で、ヴィクトール伯爵がクラトハーンの発電用大規模ダムを作り、ラスティーネ叔母上はルントシュテットと中央の間に流れる河川をピシュナイゼルまで繋げる方法などを今説明をしている。
「・・・というように小型タンカーをこのような方法で高さの異なる河川を繋げ移動します。その為、喫水は15.2m、水深24mです。以上になりますが何かご意見や質問のある方?」
「ラスティーネ姉上。いきなりこんな難しい話をしてもすぐの質問は無理でしょう。取り敢えず持ち帰り質問をまとめてから確認するというお話でどうでしょう?」
「あら、マクシミリアンらしくない意見ね。まあいいわ。ではわたくしの発表はここまでです。後はマクシミリアン、あなたの番よ」
マクシミリアン叔父上のこの話も難しい話だった。
マカダム舗装とは低廉で耐久性が考えられ路床を傷めないように細かい砕石を敷き、その上に7~8cm位の砕石と10cm位の砕石の2層にして排水の為の傾斜をつけて交通に開放する。しばらくして踏み固めた後に2.5cm程度の砕石を5cm位の厚みで敷けば頑丈で安価な舗装道路が出来るというものらしい。
これで初めて馬車も馬が結構な速さで走れるようになるし、蒸気自動車もその性能を発揮できるというものらしい。既にルントシュテットでは幾つかの道で実施され好結果を得ている。ここに来るまでの馬車道もその道の良さを皆実感している。
そして砕石にはルントシュテットの工業機械が威力を発揮する。
同様に鉄道の線路もこの方法で進めるのだそうだ。
私は貴族学院で領地経営を学び様々な道の整備の論文を読んだがこんな話は見た事も聞いた事もない。
街道の整備は税の一つである賦役で週に何日か市民を多数駆り出し、道に飛び出た石や雑草を排除して保つのが普通で石の掘り方や雑草の処理の論文はいくらでも読んだ。
翻りこの画期的な舗装道路は、誰が何年掛けて踏み固めた舗装道路の有効性を確認したというのだ。妹ソフィアの案であれば赤子の時からやっていたとでもいうのだろうか?
確かにユリアーナ先生の言うソフィアは大賢者か女神様だと言うのは本当なのかもしれない。
やはりこの話もルントシュテットの技術があっての事のようだ。
参加した多くの者達にも判ったと思うが、有事の際の移動がとんでもなくスムースになる。
成程、国王様が力を入れる訳だ。先日発表された鋼鉄の剣の技術も口止めされているがルントシュテットの技術だそうだ。
参加した技官の半数は笑顔だったが半数は難しい顔をしていた。
各事業毎に人員を割り振り現在ルントシュテットのみで行っていた事業などにも他の領地からも人員が参加する事が決まり説明会が終わった。
このインフラ整備でグレースフェールは新しい時代を迎えるだろう事が理解出来た。
子供の頃、国の停滞を感じていたが、どうやら私の生きる時代は活気に満ち溢れ忙しそうだな。
この後、そのまま連続でピシュナイゼルとの会議だ。
領主である父上はやはりここまでお忙しいのか。頭を切り替えていかないと。
ルントシュテットの会議室でピシュナイゼル復興の話が行わた。
参加者はピシュナイゼルの領主オズワルド・フォン・ピシュナイゼル(伯爵)、クルツバッハ伯爵(ピシュナイゼルの領主の弟)、私の父上ルントシュテット領主ヴァルター(公爵)、私次期領主でソフィアの兄エバーハルトの4名の打ち合わせだ。先程父上から大まかな石油開発の計画が説明され、砂漠緑化計画の説明が終わったがその更に具体的な話だった。
こういう場で『私はもう子供ではない』と父上に認めてもらいたい。
この会議でも出来るだけ発言して行こう。
「しかしこのような石油開発や砂漠緑化計画のような知識を一体どちらから、、、」
「オズワルド兄上っ!」
「はっ、そうだったな。申し訳ないルントシュテット卿。聞かない約束であったな。ルントシュテットに来てあまりの発展ぶりの凄さや先程の説明会の凄さにわたしも動揺してしまったようだ」
「オズワルド様大丈夫ですか? えー、こちらの推奨する作物の種は今中央で開発していますからそちらから提供出来るでしょう」
「利用する保水の藁に関してはこちらからも大量にお譲り出来るかと思います」
「本当にありがたい話です」
私の発言に父上がこちらを見てニッコリとした。このような打ち合わせでも私も発言出来るところをアピールしておかないとね。
藁に関しては父上から調査しておくように言われていたものだ。
「種の開発など出来るのですね。正直本当に神の技術のように感じます」
「次々と種は開発出来ていますから普通の事のようですよ」
しかしピシュナイゼルのオズワルド様のこの気持ちは良く判る。私も中央からルントシュテットに戻って私の妹ソフィアの行ったという数々の事業のあまりの凄さに未だに驚いている。おそらくまだ全貌など全然把握さえ出来てさえいないだろう。
ソフィアは料理が好きなだけかと思っていたがざまざまな開発だけでなく軍備や領政まで全てが画期的な話ばかりだ。正直私ですら凄いと憧れてしまう。
そればかりか先程の説明会の大規模事業もソフィアの案らしい。
私は現在ルントシュテットの次期領主の地位にあるが、いまや妹のソフィアの方が領主に相応しいと、この城で働く部下達や領民の全てが間違えなくそう思っているだろう。
私の側使えエドワードも先日から私付きとなった文官フレデリーカもそう思っているかもしれない。
いや、いけない、今は領政の実践に慣れる為に父上に参加させて頂いている大切な会議だ。集中して考えよう。
「現在秘密にしていても、いずれ開発が始まり石油の利用が始まればその価値の大きさから必ず都合の良い言い訳で他国からの侵略の対象となるでしょう」
「どの侵略性国家も資源があると判った時からそうなるもですから」
「マドグラブルに最も近い街であったスボーレス粛清の話は聞いていらっしゃるかと思われますがいかがでしょう?」
「はい、うかがってます。見事な対処でしたな」
「それもこれもヴァルター様の弟ぎみマクシミリアン殿が財務の文官ブレドウ卿のスパイ行為を暴いて頂いたからです」
「中を見れば常識から誰の目にも不正が明らかなのに中央の監査まで誤魔化していた目に余る行為だったからですよ」
「そんな監査のような所まで侵されていたのかと思うと怖い限りですね、父上」
「ああ、そうさせぬように監査があるはずなのにだ。つまり人材は大切だという事だ。よく覚えておくと良い」
「はい」
私がルントシュテットの大切な人材になれるかどうかの方がこれは不安だな。
「しかし出資頂けるのはあくまで国に有益な石油開発や河川整備であって今でも少ない税収の中から軍備を増強すれば領民の生活はどうなる事か、、、」
「オズワルド様。ここが頑張り所です。軍備に関しては少なからずルントシュテットも国も助力は惜しみません。こちらからも画期的な兵器を提供出来ると思います。今やピシュナイゼルはこの国の宝。国が侵略されるのは協力して防がねばなりませんから」
「はい。真にありがとうございます。しかしそうなると石油開発が終わるまでの間、財政を切り詰める生活を領民にもして貰わなければならないでしょう」
「そちらに関してもこんな発案があるのですがお聞きになりますか?」
!!
「なんと。そんな事まで!?」
オズワルド様もクルツバッハ伯爵も驚いているがこれも我が妹ソフィアの案なのだろうか? 先読みしてそこまで考えていたのだろう。
しかしそんな事が出来るならどんなに厳しい財政の領地でも統治が出来るではないか。
「ソフィアの発案なのでまたしてもおかしな題目ですが『勿体ない文化』、『エコ文化』もしくは『リユース文化』だそうです」
「『勿体ない』? それはどういう意味ですか?」
「はい、、、」
父上がとても楽しそうに瞳を輝かせて細かな説明を始めた。
簡単に言うと物が壊れても直して何でも再利用して出来るだけお金を掛けずに末永く使うという文化だそうだ。捨てる物が殆どなくゴミも減らせるという。
例えばお皿などの焼き物の修理では、焼き物は割れても捨てずに焼き継屋という職業で白玉粉、ふのりを使って窯で焼き直す。ランプも修理してこれまでよりずっと長く使う。どうやらこれはガラスを溶かして使うもののようだ。
服は修繕してボロになるまで使い、その後雑巾にする。それもボロボロになったら蒔木の代わりに燃やす。しかもその灰すらも捨てないという。
灰は回収して酒造、製紙、製剤や主に肥料にする。
鉄製品も鋳掛け屋という職業で、ふいごを利用して再溶接する。その後使い倒した鉄製品も回収して再度溶かして使う。
紙は原紙に『こうぞ』という植物を使った繊維の長いものにして回収して細かくした古紙を煮て搾り叩いて再生紙とする。
古物商という商いにより古い物を買い取り直して売る。
糞尿も集めて肥料にする。
部屋のホコリや落ちた髪の毛も回収して商品とする。
!!
「物を大切にするという文化です。現在ピシュナイゼルのいくつかの地域に避難民の集まる場所があると思いますがそこに簡易な職人街を作り避難民にこれらの職業訓練や回収業務の訓練を行います。優れた者に教えを乞うのも良いでしょう」
「こ、こんな事が、、、。 何も捨てるものがないではありませんか!?」
「そうですね。しかしなかなかに受け入れて貰うのは難しいものがあってルントシュテットでもようやく受け入れて貰って居留民や周辺民達は喜んで行ってますよ」
「ヴァルター公爵様。いくつかお伺いしたい事がございます」
「クルツバッハ伯爵。そう畏まらなくとも結構。どうぞ」
「2つの問題があるように思えます。物を直して使う文化はとても良いと思います。しかし物が売れなくなり商人が困るのではありませんか? もう一つは食器などが割れれば捨てる事が当たり前であったこれまでの価値観を変え市民達が受け入れるのは難しいのではありませんか?」
流石クルツバッハ伯爵。考えも単純ではなく良く先が見えていらっしゃるようだ。
「わたしも最初はそう思ってました」
父上もそう思っていたのか。
「グスタフ。すまないが商人の販売をまとめた資料を持ってきて貰えないか?」
「畏まりました旦那様」
「当初は商人達からのそのような不平の声が上がっていましたが今は誰も困らなくなりました。それどころか販売単価が上がり販売数当たりの手数料などを勘案すると以前よりも良い状況になっているというのが現状です」
「どういう事でしょう?」
「例えば元々居留民や周辺民は住む場所を移動する事も多いからあまり多くの物を持ちません。食器などは割れてしまえば終わりだから高級なものは使わないのです。しかし直して使えるならば少し高くとも良い物が売れるようになっているという訳です」
父上の側使えグスタフが商人の販売資料を持って来た。
「このグラフに示すように売れている商品の単価がここ1年半で跳ね上がっています。勿論価格が値上がりしている訳ではなく高級な物が売れているという訳です」
「これは判りやすい図で見事な資料ですね。つまり数で稼ぐのではなく高価な物が売れれば手間や倉庫も少なくて済むという訳ですね?」
「その通り。市民達ブルジョワジーはより高級なものを購入しています。切り詰めるべきは切り詰めお金を出せる者はより高級なものが売れる」
「市民達ならばまだ判りますが貴族達上流階級では割れた食器など使わないでしょう?」
「ははは、仰る事は良く判ります。うちも貴族のお客様がいらっしゃれば余程親密な方でない限りは使いませんよ」
「ミリー。すまないがあのミスネンシスの大皿を持って来てくれないか?」
「畏まりました旦那様」
「ち、父上っ!!」
「いいじゃないかエバーハルト。エバーハルトの事は話さないよ」
「は、はい」
「確かに領民の価値観を変えるのはなかなかに難しいです。しかし貴族が率先してやれば市民達、そして居留民や周辺民にも使われるようになるでしょう」
「まさかルントシュテット公爵様が!?」
「ええ、エバーハルトに睨まれてしまうのであまり詳しくはお話出来ない家族の話ですが、ミスネンシスの大皿をエバーハルトが子供の頃割ってしまいまして、、、」
くっ! あ、あれは今でも恥ずかしく赤面してしまう話だ。
「ミスネンシスの大皿と言えば下手をすれば金貨100枚にもなろうかという食器では、、、」
「ええ、あれは金貨180枚でした。その為割れても捨てられなかったものを昨年修繕したのです」
「本当に公爵様が食器を修繕して使われているのですか?」
「旦那様。こちらです」
「ありがとうミリー。この大皿がそうです」
・・・。
「こ、これは、、、。どう見ても非常に高価な割れた大皿だが割れた箇所が金色に!?」
「先程の焼き継屋という技術は簡単に言えば割れた部分をガラスで低温で修繕するものですが、これはもう少し高級な修繕の方法で、漆を使って修繕し継いだ箇所に金の粉や銀の粉を利用して直す技術で『金継ぎ』というものです。修繕した箇所も良く見ると趣があって今ではわたしも結構気にいっているのですよ」
「確かに。使われた年月が感じられかえってこの金の筋が絵をより際立てているようにも感じますね」
「でもそれは持っている者にとってはそれ以上なのです。何しろ『想い出』を形にしたものがこの修繕した大皿なのですから」
「『想い出』を、、、」
「このような技術でわたしの後悔の念が少しでも救われ、割れた大皿に新しい命を吹き込む訳ですが、食卓でこの大皿が使われる度にわたくしは父上や母上、叔父上にまで未だに揶揄われます。今では弟や妹も何度も聞かされてこの事を覚えているでしょう」
「成程。エバーハルト様。それは逆に羨ましい想い出ですね」
「ルントシュテット卿。エバーハルト様。ピシュナイゼルの為のご助力真にありがとうございます。本当にこれらの技術を無償でご提供頂いてよろしいのでしょうか?」
「ええ、ピシュナイゼルからお金を取ったなどと言えばソフィアに怒られますよ。職業訓練や回収業務の訓練にはソフィアも出資させて欲しいと申しておりました」
「ソフィア様に無限の感謝を。有難く頂戴し石油採掘が成せるまで何としても復興したピシュナイゼルをお見せする事がルントシュテットの皆様への恩返しになると思い、ピシュナイゼルの貴族一同団結してやらせて頂きます」
「それをソフィアも望むでしょう。ピシュナイゼル卿、クルツバッハ伯爵、一緒にこの国を発展させましょう」
や、やはり、本当にこの発案も全てソフィアのものだったのか。
どれ程の知識をソフィアは知っているのだ。まるで無限に涌き出てくるアイデアや知識のようだ。悔しいがこれはどうあがいても今の私では太刀打ち出来そうにない。
「時にルントシュテット卿。わたしの娘クラウディアがソフィア様の『使徒』にして頂き巫女の力が使えました。つきましては正式に巫女にして頂けく事は出来ませんか?」
「えっ!!」
使徒とはどういう事だ。ピシュナイゼルはこの国でも信仰が少し違うが『使徒』とは『神』に使える者ではないのか? やはり妹のソフィアは本当に神なのか!?
「ソフィアは噂にはしていますが女神ではありません。神の加護を頂いた普通の人間です。ソフィアが許したのはまだ幼いですから『使徒』の意味が判っていないかと思います。成人後本人にきちんと理解して貰った上で確認するのが筋でしょう」
「畏まりました。そのように致します」
会議が終わりピシュナイゼルの領主オズワルド様達はルントシュテットの城で一泊した後ブランジェルを見学してから帰るようだ。契約その他技術的伝達などは技官が数名残って行われる。
◇◇◇◇◇
「エバーハルト。どうした?」
「いや、ソフィアがあまりに凄くてわたしは次期領主の事を少し不安に思っています」
「なに、ソフィアは寝ることが好きで国王や領主などやる気は毛頭ないと言っている。次期領主はエバーハルトだぞ」
「確かに国王様には『寝る時間が減るから玉座に興味はない』と申しておりましたが、、、」
「ソフィアはまだ貴族学院に入ったばかりだしエバーハルトに頑張って欲しいと言っていたぞ。今度の商業特区はエバーハルトに任せるそうだ」
「えっ!! そんな重要な件をわたくしにですか?」
私の側使えエドワードも文官フレデリーカも驚愕の表情をしている。
「正直もうルントシュテットでは人材が足りないのだ。ピシュナイゼルの石油開発だけでなく鉄道に舗装道路、河川までも国から請け負っている。マクシミリアンは舗装道路に鉄道の線路、ラスティーネ達はダム工事にピシュナイゼルまでの河川を、ユリアーナが講師の合間に蒸気機関車を作る。他にもソフィアの側使え達ですら新しい物を作っているのだ。わたしは全てを責任を持ってあたる。商業特区はエバーハルトにやって欲しいとわたしも思っているのだ」
「わ、わかりました」
「しかし商業特区は商人の街になるが教会や他領との調整を頼むぞ」
「は、はい!」
いきなり凄い実践来たな。
もしも、もしもソフィアだったらこんなとんでもない話も簡単にこなしてしまうのかもしれない。
基本的に商人と教会は仲が悪い。教会は商人の事をお金を優先していると嫌悪しているからだ。
商人は民に人気があり司教など教会の上層部は腐敗から民に人気がない。
商人の街であっても教会を中心に街を作らなければならないからこれは想像以上に大変そうだぞ。
しかも中央、シルバタリア、イエルフェスタとどう上手くやるかなど私のような貴族学院を卒業したての私に出来るだろうか? イエルフェスタなどこれまで敵対していたのかと思えば掌を返したようにすり寄って来た。
この商業特区の話もソフィアが国王様に申し出た話らしいが国王様の機嫌を損ねない為にも失敗する訳にはいかない。
私には湧いて出て来るような『無限のアイデアや知識』などないが、ソフィアのように頭を使い考えて慎重にも素早く行動しなければならないだろう。
しかし本当に先が思いやられるがこんなチャンスはないだろう。
よし、やるぞ。
次回:第七章 悪夢の暗殺者
ルッツの死を聞いて落ち込むソフィア。落ち込んでばかりもいられないと貴族学院で過ごしながらも新しい街『レヴァント』の商業特区について日本で学ぶ夢美。日本はダメで海外を見習え? えっ!?
閑話ばかりでお時間を頂きありがとうございました。
これでやっと本編に戻れますw。