閑話 【ショートストーリー】ソフィア誕生の秘密 ~夢美の幼き日の事故とヴァルターの記憶~
上手く更新が出来ませんでした。これで大丈夫だといいのですが、、、。
幼い夢美の死線を彷徨う程の事故と異界のヴァルターの想いがドロミスによって交差する。
ソフィア誕生の秘密が明らかに。
いやー、自分でもびっくりする程短いお話になってしまいましたw。
簡単に言うと全体的に不要な文をカット、平穏神ドロミスと敵対する苛烈神フェロックスに操られた子供が夢美を突き落とした部分を夢美が落ちたと変更、ドロミスが夢美を助ける部分、明菜と警察や町の人と色々と話す部分、明菜の眠れない夜の心情、医師の話をカットしてあります。ショートバージョンですがソフィア誕生の秘密をお楽しみ下さい。
【夢美の幼き日の事故】
夢美の母、九条 明菜の実家は内陸に位置する災害の少ない土地で古墳が多く様々な土偶などの出土が数多く確認される全国でもやや特異な地域だ。
実際にこの土地に住む者達はよく知られている事だが、あまりにこれらの出土が多い為、考古学的にはとても残念な事だが開発工事を止めない為にあまり公表される事はない。
実際には古墳時代だけでなくさらに遥か古くの遺跡も多いがその事実を知る者は少ない。
まだ言葉もたどたどしい幼い夢美は母の実家に母と共に行き自然豊かな土地で走り廻っている。
普段住む都会では接する事が難しいヤギや鶏など夢美には珍しいものも多い。
近所の子供達と川の側でかくれんぼをしていると、隠れた位置に偶然あった深い縦穴に落ちた。
ドスっ。
はりゃ? なんか挟まっちゃった。まっ暗。
あたち穴に落ちたん?
なんか背中とお腹がジンジンする。
はぁはぁはぁ。
ちょっと苦しいよ。
目が慣れて来た。少し見える。
わっ!! 何だろこれ。
怖い像。なんかの神様?
お腹が温かい。あれ? これ私の血かな?
私ここで死んじゃうの?
ちょとねむねむになって来た。
『神様。助けて、、、』
『むっ、うむむ、何千年ぶりという所か。まだわしに祈りを捧げるものがいて目覚めたか?』
『神様??』
『おお、幼子よ、名はなんと申す?』
『夢ちゃん』
『夢? ソミアか? 死にそうではないか』
『ねむねむになって来たよ』
『痛みすら感じぬ程のあまりの傷に血だらけで息絶えそうだな。上から落ちそこの岩に刺さったか。岩は消し傷は塞いだがこのままでは死ぬな。わしに祈りを捧げ目覚めさせてくれたならば報いたいが既に魂が半分死んでしまっておる。しかしなんとかしてみよう。寝ても良いが少し待っておれ』
◇◇◇◇◇
【ヴァルターの記憶】
ああ神よ、お救いください。。。
レオノーレが出産を控えかなり早い時期に破水し大量出血した。
治癒師や産婆も険しい顔をしているが何よりレオノーレの苦しそうな顔をこれ以上見ていられないと私は部屋から逃げ出して来た。
レオノーレの具合が悪くなり付き合って私も何日か寝ていないせいで現実感が薄くなって来たが逃げてばかりはいられないな。
私を追い部屋を出て来た治癒師が絶望的な事を言う。
「ヴァルター様。レオノーレ様もあまり良い状況ではございません。出来ればお側でお覚悟を持ってお見届け下さい」
「・・・判った。直ぐに戻る」
治癒師クラベリが部屋へ戻る。
あの何事にも慎重なクラベリがこういう言い方をするのは新たな子だけでなくレオノーレまで相当厳しいのか。
私にはレオノーレの手を握る位しか力になれないが何があってもレオノーレの手は離さないからな。
グラッ!
くそっ、しっかりしろヴァルター。覚悟を決め、戻るぞ。
『人よ』
うん? 寝ていない疲れの微睡から空耳か?
うわっ、両足に大きな蛇が巻き付いている。まさかお前が話しかけたのか?
『空耳ではない。私は平穏と安らぎをもたらす微睡の神ドロミスだ』
寝不足が重なり微睡の神に話しかけられるとは、、、これは現実か?
『ドロミス神よ。今私の妻が危険な状態なのです。何卒お助け頂けませんか?』
『判っておる。既に魂は半分死んでおり後半時程でお前の子は完全に死にお前の妻もその後死ぬだろう』
『半時!! な、なんとか助けて頂けませんか?』
『そこで取り引きに来たのだ』
取り引き? まさかドロミス神は神ではなく悪魔なのか?
『悪魔ではないぞ。わしを目覚めさせてくれた異世の魂があるがこれもあと半時程で死にそうなのだ。魂は双方とも半分既に死んでおる。その魂を重ね2つを1つとすれば生き延びさせる事が出来ようが協力しては貰えぬか?』
『わたくしは何をすればよいのでしょう?』
『何、異世の者と魂を重ね一緒となれば他から奇異の目で見られる事もあろう。わしを目覚めさせてくれた異世の者と共に傷つかぬよう双方共守るが、人前でそれはなかなかに難しい事もある。幸いお前は地位が高い。それをお前の心の中だけに留め上手く許容してくれればよい』
『異世の者と魂が一緒!? それは私の子なのですか?』
『間違えなくお前の子だが異世では別の親の子だ。つまりは魂が二重=ドゥープレックスとなるだけだ』
『その異世の子の名は?』
『夢=ソミアだ』
『ソミア、、、。それで私の子とレオノーレの命が助かるのでしたらお願いします』
『お前はわしの事を悪魔と思っているのではないか?』
『それでレオノーレと子の命が守れるならば悪魔でも構いません』
『よかろう。他の者にこのことは口外してはならん。頼んだぞ。では健やかな生活=ビータを』
フッ。
・・・。
「・・・。・ター様、ヴァルター様!」
「うっ!」
「大丈夫ですか? もう何日もお休みになられていらっしゃらないですからうたた寝をされていたのですね」
「すまん、少しうとうととしていたようだ」
「レオノーレ様のご容態が安定されました!」
「何! 本当か? 直ぐに行く」
ドロミス神の言っていた事は本当だったのか。何とかこのまま助かって欲しい。
ダッ!
「レオノーレ。気が付いたか!!」
「ヴァルター様。おかげさまで、、、」
私は涙を流しながら心の中で微睡の神ドロミス神に感謝した。
信仰するものがなくお休みになられていた神であれば、誰も信仰しなくとも毎日私がドロミス神の為に祈ろう。
夢=ソミアか。
しかし、流石に生まれて来る子に夢=ソミアと名付ける訳にはいかないな。
男の子ならばソミル、女の子ならソフィアとしよう。
こうして間もなくソフィアが生まれた。
◇◇◇◇◇
【明菜へのお告げ】
「えっ! 夢美がかくれんぼの途中でいなくなった!?」
ご近所総出で捜索したが見つけられず警察に届け捜索を始めるも1日目は見つからなかった。
明菜が夢美を失うのではないかとの恐怖にかられ眠れない夜を過ごし朝方少し微睡むと声が聞こえた。
『川の石塔の脇に崖がある。その下の穴にソミアがいるから早く助け出せ』
はっ!
な、何! 今の。ソミア?
明菜が古い石塔に走る。見ると言われたように脇に小さな縦穴があった。
思わず暗い穴に叫ぶ。
「夢美~っ!」
「ママ~」
いたっ! 弱った声だが確かに夢美の声だ。
直ぐに助けを呼び細い縦穴へ体の小さな中学生が縄で縛って中に入り夢美を助け出した。
穴から出された夢美の服は血だらけだったが救急車で運ばれた先では直ぐに元気になり小さなアザ以外傷跡一つ見つからなかった。夢美に聞いても落ちた時の事は何も覚えていなかったという。
この出来事以降、夢美は不思議な夢を見始めるのである。




