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ドゥープレックス ビータ ~異世界と日本の二重生活~  作者: ルーニック
第四章 夢のファッション
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バッグと環状線

明日、時間が取れないので先に更新させて頂きました。

 私の最終目標はあくまでも安らかな睡眠だ。その為に戦争で敵をやっつける事も領地の繁栄でも必要ならば頑張るけど、今の個人的な目標は寝室が欲しいんだよね。


 でも今の私の立場ではお城の中に勝手に私の部屋以外に寝室を作るのは難しい。これは自由に館を建てられるようなお金持ちに私が嫁入りするまで難しいのかもしれないね。いや私の資産でももう建てられそうではあるんだけど、、、。


 当面の課題としてはファッションなので今はそっちを改革しようとしている。

 最も重要なテーマは女性の社会進出だよ。もっと女性も活躍しないとダメでしょ。交通網を発達させて外出する機会を増やしていくにはやっぱり服装もそうなんだけどバッグが必要だよね。

 

 女性が外出する時には色々なものを持ち歩く事が多い。久美子先生は楽譜や教本も入れてるからいつも大き目のトートバッグを使っているし沢さんも美鈴先生も当然持ってくる。

 私はハンカチくらいしか持ち歩かないんだけど、大人になると『櫛やお化粧品、ハンカチ、コンパクトなんかは持たないで出かける事はあり得ない』と言う。蒸気エンジンで汽車なんか出来ちゃったらチケットも無くさないようにして貰わないといけないからね。ってちょっと気が早いか。でも妄想が止まらないよw。



 美鈴先生が歴女だという事は間違えないんだけど、科学史や工学史以外は日本の歴史に偏っている事も多い。

 日本にハンドバッグなんかが入って来たのは洋服の頃なんだけど、古くには家財の重要なものを女性が袋に入れて保持する事から『お袋さん』なんて言う言葉も生まれているという説もあるそうだ。

 

 江戸時代の頃に着物と共に流行っていたのは綺麗なちりめんや着物に合わせた筥迫(はこせこ)と呼ばれるおしゃれなものを着物の(ふところ)から少しはみ出すようにわざと見せるファッションが流行っていたらしい。御殿女中や武家の女性が正装して『打掛』を着る際には必ず持ち歩く必須アイテムだったそうだ。元は懐紙を挟んで持ち歩いたものが進化したそうだ。つまりわざと見せるファッションアイテムとして小物入れは重要なものだったんだね。


 着物の懐から少しはみ出すように見せるなんて美鈴先生の「粋だよね」という意見に私も同意だよ。


 その後も筥迫が勝手に開かないように真ん中で留めてるのが「胴締め」で、あの銀のビラビラがついた(かんざし)を刺してわざとビラビラを外に飛び出させて見せるように持ち歩いていたそうだ。

 わたしも髪飾りにあのビラビラも付けようかなw。


 もう、粋っていうより目立ちたがりとか見栄っぽいよね。いや女性のファッションはそれでいいんだよ。

 私が許す。


 日本の印籠からヒントを得たという小ぶりでポシェットみたいな『ヴァニティーバッグ』や高級で『小銭入れ』と『コンパクト』をセットにしたパーティー用のバッグもいくつか絵に描いてみる。

 手で直接掴むクラッチバッグやハンドバッグ、家庭教師の先生たちが使っているようなトートバッグなんかも必要だよね。

 今よりも女性が外出するようになれば絶対に売れると思うから売り出した方がいいと思うけど一応他の人の意見も聞いた方がいいよね。


 お母さまのデパートでも傘とかはマルテの実家のマンスフェルト商会が店舗を担当する予定でマルテは女性の外出やショッピングにはすごく賛成派だ。


 貴族の女性は買い物は誰か別の者に行かせて商人から買う際には家まで持ってこさせるのが普通だからね。そう言えば日本でも母の所にデパートの外商の人が来る事があるけど、やっぱり色々なものを見て買い物を楽しむ方が私は楽しいと思う。日本の母も買い物に出かけるのが別に嫌だという訳ではなくて一緒に出掛けると楽しそうだからね。



 そんな貴族の中でもラスティーネ叔母様はかなり行動的で中央でもあちこちに出向いて手広く社交を行っていたらしい。一度叔母様と話してみるのがいいかもしれないね。


 私はさっそく試作品を作ってもらう。


 リナはポシェットがいいと言う。実際に使って貰うと可愛くてとても似合う。


「感想ですね。姫様、これがあれば忘れ物がなくなっていいと思います。でもこれを袋に入れると他のものと紐が絡まってほどけなくなっちゃってあせりました」


 いやリナは何やっても可愛いからほどけないのを焦って頑張ってほどく姿も可愛いからいいんだよ絡んでもw。


 クラーラはわたしよりも背が高い。クラッチバッグを片手で掴んでも丁度良く掴める。今回クラーラが持っているのは手のひらの裏側にサポートベルトが付いているやつだ。


「姫様。これだと私はどこかに忘れて来ちゃいそうですがこのベルトで辛うじてなくしはしないと思います。他の袋に入れるのも楽ですしとても便利ですね。でもこれを手に持っていたら剣が抜けません」


 いや、頼むからおしゃれしている時に剣は抜かないで。

 クラーラにはウエストポーチかな。


 マルテとノーラにも着替えてもらいトートバッグとハンドバッグを合わせてみる。

 マルテは似合い過ぎてこのまま日本にもいそうなお姉さんだし、ノーラはキャリアウーマンにしか見えない。

 よし、これは行けそうだね。


 ノーラも貴族だけどここはラスティーネ叔母様にも意見を聞いておこう。


 私はラスティーネ叔母様に面会をお願いした。叔母様の側使えに確認すると午後はがっつりと開いているそうだ。遊びに行くよ。


 ラスティーネ様の部屋へ行くと綺麗な小物や私のプレゼントしたぬいぐるみが置いてある。ラスティーネ様が育った子供の頃から使っている部屋でベッドも可愛い感じのままだ。

 ラスティーネ様は可愛い系美人でちょっと気が強くて男勝りな印象があるけどお部屋は超可愛くてこっちがラスティーネ様の本当の姿だと思う。


「ソフィア様。貴方のせいね」


 へっ? 叔母様は何を言ってるんだろう。いきなりな言いがかりだよ。


「ラスティーネ様。わたくしには何の事なのか、、、」

「ウルリヒもそうだけど、わたしもソフィア様の料理を食べ続けてウエストがまた太ったのよ」


 はい? 一応、一食分のカロリーなんかはちゃんと考えて作ってるけど、、、。


「一応、栄養素やバランスを色々と考えてお食事は提供していますよ」

「お、美味しいから食べ過ぎちゃうのよ!」


 いやいやいや、そんなに頬を赤らめて言われても、でも、それは私のせいじゃなくない?

 これは完全な言いがかりだね。ここはスルーしよう。


「ラスティーネ様は中央ではあちこち出歩いて活動的だったとお聞きしてます」

「ええ、でも馬車で移動していたわよ」

「もっと歩きやすい靴や動きやすいお洋服を作ったのですよ。ご試着なさってみませんか?」

「歩きやすい靴に動きやすいお洋服? どんなものかしら?」


 私は叔母様に試作品をいくつかお見せした。マルテとノーラにリナがお手伝いをして綺麗に見やすく並べた。うちの側使えはそのままデパートの外商が出来そうだよw。


「まあ、これなんかはシックなのに凄く可愛いわね」


 むふっ、可愛いのに食いついて来たよ。一応立場上シックな雰囲気も必要だよね。


「ちょっと着てみてください。下着も新しいものがあるのですよ」

「下着まで作ったの? 本当にソフィア様は、、、」

「はい。ノーラ、ラスティーネ様用のものをお願い」


 サイズは叔母様の針子からもう聞いてるからね。叔母様はDカップだよ。

 叔母様が着替えた。あの下着を見て抵抗なく試着出来るんだね。さすがラスティーネ様。


 おお、なんか凄く似合ってるしラスティーネ様も嬉しそうだ。リボン付きの襟の輪郭をラウンドタイプにしたブラウスにシックなベストで締めて下はほんの少し長めのフレアスカートでラスティーネ様が動くとふわりと広がる。ウエストも細く見えるし脚も綺麗だよ。


「凄く軽くて動きやすいのにとっても可愛いわね。着やすいし靴も歩いてて苦にならないわ」

「ラスティーネ様は外出の際にどのようなものを持ち歩いているのですか?」

「ブラシや化粧品ね。でも側使えが袋に入れて抱えて行くわよ」

「では、この試作品のバッグに入れてお持ちになってみてください」

「私が持つの?」

「はい、そのバッグを持つ姿も可愛いのですよ」


 ベストとスカートの色に合わせた2色のクラッチバッグだ。


 わぉ、このままファッションショーに出て貰いたいくらい可愛いよ。


 ノーラがお世辞ではなく褒める。


「ラスティーネ様、とてもお似合いです」

「そ、そうかしら? うん、なんか凄く可愛いしいいわね。ソフィア様、ブランジェルの街に出掛けましょう」


 行動力っ!!


 そうだった。ラスティーネ様は活動的なんだった。

 いや、まだ色々とやらなきゃなんない事が、、、。


 私はラスティーネ様に引き出されて馬車でブランジェルの街まで出て、これでもかって言うくらいに歩かされたよ。ラスティーネ様が歩くといい匂いがする。私が作った石鹸の匂いだ。

 道行く男性がラスティーネ様を振り返り溜息をつく。ラスティーネ様もまんざらではないようだ。


 ラスティーネ様はそうやって動いてれば直ぐに痩せられると思うよ。

「ソフィア様、あそこのパフェ食べて行こう」


 ってそれだよ!! それ!


 結局、食べたけどね。うまうま。




 馬車はおおよそ速くても8km/hくらいの速さで一日50kmは進める。(馬車で一時間に進める距離をこっちの単位では1リーグって言うよ)仮に蒸気自動車でゆっくりと30km/hくらいで走ってもその距離でも2時間とは掛からない。

 本来は蒸気機関車として線路を敷設して列車を走らせるのもありだけどさすがにこれは現状からは膨大な作業が必要で現在作った工作機械から考えてもあまり現実的ではないと思う。


 そこで、電車のような牽引する列車を作って、その車両を引っ張って移動するようなシステムをルントシュテットの各街を山手線のように環状線で巡回する移動サービスを提供する。以前、家族でアメリカへ行った際に見た二つつながったシャトルバスの様な物だ。確か日本語では連節バスとか言うのだったと思う。馬力さえあればもっと繋げられるよ。

 おおよそ数か所の道路を整備して繋げれば出来るはずだ。

 運転は免許制にして安全運転を交代で行う。


 各街の主要部にステーションを作ってその周りを開発しましょう。


 と、お父さまに提案した。これはギルド長から2号機が出来たと連絡を貰った勢いで考えたものだ。まだ見てないけど。



「あっ、お、落ち着けソフィア!!」


 いや、確かに私も少し興奮してるけどお父さまに落ち着いてほしい。


「このお話はお父さまだけでも決済が可能ですが、各街の貴族を集めて話し合えばスムースに運ぶと思います。ルントシュテットの発展はもう目の前ですよ」


 マクシミリアン叔父様は目を瞑ったまま静かにしている。眠いのかな。


「荷も運ぶことは出来ますけど、いきなりそこまで手を付けてしまうと商人達が困るかもしれませんよね」

「いや、ソフィア様。商人達はより効率的で安価なものを利用するだけだから困りはしないと思うよ」

「では貨物もありですね」


 なんだ。叔父様起きてたのですね。


「どういうルールでそれに乗れるんだい? ソフィア様」

「大叔父様。各ステーションにチケット販売所を設けます。尖塔師の方に各街と売れ行きを共有していただいて席のチケットを購入して乗車します」

「各街の間ならそう難しくはないな。幾人も可能だろう」

「よかった」


「ラスティーネはどう思う」


「私は大賛成だわ。気軽に他の街へも行けて一日あれば北から南まで全ての街への移動が出来るから楽しくなるわよ」

「各街には特産品や名物、観光を前向きに考えて頂いて旅行客を如何に呼び込むかを競い合って欲しいのですよ。叔父様は観光の冊子も作ってくださいませ」

「ソフィア様。クラトハーンは何がいいかしらね?」

「ラスティーネ様。クラトハーンは温泉を推して行きましょう。温泉にはお饅頭と決まっているのですよ」

「いいわね。オマンジュウが何か判らないけど直ぐに相談するわ。ソフィア様も一緒に温泉にいらっしゃる?」

「おい、ちょっと待てラスティーネ。他の街もあるのだからソフィアの囲い込みは困るぞ」


「ソフィア様。何台かを運転させて各街の交通網を整備する事は理解した。あの蒸気自動車を個人で持って運転するのもありなのだろう」

「マクシミリアン叔父様。それはかなり特殊ですからお父さまの許可制にしてくださいませ。信頼出来る貴族には許可してもよろしいかと思いますが増えすぎると交通事故が増えるので細かなルールが必要になるのですよ。その分の蒸気エンジンは先に工業に廻しましょう」

「馬車で事故がない訳ではないから同じだがな。よし判った。マックとステーションの位置を考えて貴族を呼んで開発を進めよう」


「蒸気自動車と牽引列車が出来たらまずクラトハーンからリバーサイズまで折り返しで運行しましょう」

「ソフィア、各街にデパートを出すわよ。全部だわ全部!」


 お母さま、落ち着いて。


 以前、荷馬車を引っ張る実験は見せて貰ったけどタイヤを沢山つけて取り回しは難しいけど牽引車1つなら楽に引っ張れる。これで行けると思う。


 で、私のルントシュテット家の蒸気自動車は馬車3台分くらいのキャンピングカーの仕様のものを接続できるようにして貰ったよ。



 予告詐欺でした。環状線の話を書いてたら光までたどり着けませんでした。

 次回:光あれ!

 お楽しみに。

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