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ドゥープレックス ビータ ~異世界と日本の二重生活~  作者: ルーニック
第四章 夢のファッション
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良いではないか良いではないか

 もうすぐ運動会なんだけどみんなで練習をしていると美麗がやって来た。


「夢美。貴方は剣道の大会で優勝したのでしょ? この運動会でも活躍を楽しみにしているわ」


 何で知ってるの。でも私は運動神経が悪い方だし目立ちたくもない。まさか身体強化を使って運動会に参加するわけにもいかないからね。


「いや、わたしじゃ無理だって足も遅いし」

「そんな訳ないでしょ。わたしは知ってるのよ。とにかくわたしは活躍するから貴方もわたしに食い下がるくらいには頑張るのよ」

「美麗の活躍を応援するよ」

「そうじゃないでしょ。もう。いいから貴方は実力を見せなさい。いいわね」


 いや、このお嬢様頭いいんだけと本当に面倒だね。まあこう言うのは元気な知佳ちゃんに任せておけばいいよね。


「舞ちゃん、そろそろ帰ろ」

「うん」


 家に帰り母に色々と洋服の事について聞いた。

 下着やブラも昔は自分達で作っていた時代もあったという話を聞きこれはそれからだと思った。

 後でドレスや洋服も詳しく聞いてみたいし自分でも調べてみようかと思う。



 バーミリオン部隊の練習をカーマインさんに任せて、朝からギルド長を呼んでゴムの樹液が届いた事を話した。加硫ゴムの作り方を普通のゴムとエボナイトについて詳細に説明して、タイヤのカーボンシリカの量を指示した。普通の長いゴム紐と銅の被膜ケーブルの作成と電池もお願いする。

 本来は色々なジャンルが分かれているからギルド長が上手く割り振ってくれている事を期待しよう。


『エボナイトは削り出しやすいから装飾を施した万年筆なんかにいいですよ』と教えてあげたら『姫様、万年筆とはなんですか?』と逆に聞かれ仕事を増やしてしまったよ。

 失敗、失敗。


 でも、めげずに『プラスチックのインク交換式ではなく、ゴムを利用すればスポイト式のが作れますよ』と説明しようとしたら『姫様、スポイトとはなんですか?』と更に仕事が増えたよ。

 あぅぅ、これ、もう無限に質問が伸びるような気がしてきたけど私は根性で頑張ったよ。パウルさんに理解して貰わないと何も進まないからね。



 フリッツ伯父様、つまりシルバタリアのドミノスから何度も冷風機を作ってくれと連絡が入った。ごめんなさい忙しくて手が回りません。もうすぐ秋になって涼しくなれば忘れてくれる事を願いながら氷室の氷のサイズを確認して、銅板で氷の入れ物を作って箱形の木製冷蔵庫を大型と小型の二種類作ってあげた。こんなのは誰でも作れるから発案料はタダだよ。大型は上段と中段に氷の入る大型の物だ。シルバタリアは暑くて氷室も少ないから必要だと思う。名前はグラーチェスボクス。

 ルントシュテットでも売れるかと思ったけど貴族とお食事処に大きな物しか売れず、シルバタリアでは両方売れたそうだ。これが予測出来なかった私には社会学とかの勉強が必要かもしれないと思ったよ。



 お昼は忙しいからと私の部屋に運んでもらう。実は忙しいからじゃなくて何故ならラーメンなので家族の前だとズルズルと食べられないからね。

 量は少な目で半チャーハンと3個餃子、中華スープのセットだよw。

 やばい美味しい。日本人の好きな味だね。


 マルテとノーラ、エミリーとリナも同じものを一緒に食べ、護衛の人達も量は違うけど同じものにして感想を聞く。

 ノーラとエミリーは美味しいのだけど食べづらいと言っていた。うーん、この二人はお箸も使わないしスプーンも小さなものでとてもお上品に貴族っぽい食べ方だから食べるのが難しいのかもだよ。


 夕飯はオムライスでリベンジに挑もう。お兄さま達の分まで私がケチャップで絵を描くからね。



「なっ、何をなさいます姫様!」

「ふふふ、マルテ。良いではないか良いではないか」

「あ~れ~」


 ノーラのじっとりとした視線が痛い。いやこれ遊びだからね。


 最近体育の着替えの際に学校で知佳ちゃん達とふざけた遊びだけど、こっちは本当は遊びじゃないんだよね。いやでも公爵家の娘の私がそんな事をやるとマジで洒落にならないか。


 ルントシュテットのファッションの流行は今の所お母さまにお任せしている。やはり女性にとってファッションやショッピングは楽しみとして欠かせないものだ。最近色ガラスの加工技術が上がり、細工品としてお願いしたブローチや髪留めが出来てこれも売り出せばファッションアイテムとして売れると思う。お金が回り出して少し余裕が出来てきたからショッピングは絶対に市場があると思う。フェリックスが作ったやつだけどどれも出来がいいからね。お母さまに後で報告する予定だ。

 髪留めのピンは絹の花をつけたものを母さまのブランドでもう売り出しているよ。


 大人のファッションの流行については今の所私は口を出していないけど、まず口を出したいのは下着だよ。パンツが問題でここでは『パンタレッテ』というズロースのさらに大きなのを履いている。

 私の感覚では日本のパンツの方が履きなれていてどうも紐で縛るパンタレッテは何ともなじめないし、トイレの時も紐をほどくんだよ。もう、間に合わなかったらどうするのっていう感じだよ。


 恐らく待ちに待ったゴムが一週間もすれば出来るはずだから、日本で履きなれたゴムを入れたショーツを作りたいんだよね。材料としてはレースや先日手に入れた絹もあるからね。大人の要望にも対応できるはず。

 

 ここは私の部屋なので側仕え見習いの男子のマティーカは入れないけど、扉の外をミスリアに守って貰い側仕えや側仕え見習い、針仕事の得意なケイトとハイデマリーも加えて大人の下着を確認している所だ。


 みんなおっきなズロースだよ。紐の閉じ方を長めにクロスさせているぴっちりとしているのがノーラので他はみんな一か所縛っている緩いタイプのものだ。


 上は『コールセット』と呼んでいるコルセットで下乳を少し上げるようなものでエミリーやリナの子供のものはウエストを締めるだけのものでノーブラだったよ。私はコールセットは使ってない。こっちの私はリナと同じ年で幼いからまだ胸のふくらみはないしね。うん、今はだよ!


 メイドのケイトとハイデマリーはパンタレッテだけでノーブラで貴族以外はコールセットも付けないらしい。


 うーん。


 小さな型紙のような図とレースとリボンのついたショーツの完成図をみんなに見せる。勿論これにはゴムのための紐を通す袋があって、伸びて簡単に履けるんだよ。

 まあ、まだゴムがないから縮んで押さえてくれるというのを理解してもらうのは結構大変だけど、まあなんとなくでもいい。ゴムの跡がつくのが嫌なら脇を紐にしてもいいからね。(俗に言う紐パンだよ)


「ソフィア様、これは結構、だ、大胆ですね」

「いや、ノーラ、大胆って一体誰に見せるのですか?」

「誰にも見せませんよ」

「えっ・・・」


 どう大胆なんだろう。


「姫様、これだとお腹やお尻が冷えちゃいませんか?」

「もう少しお尻まですっぽりと覆うデザインもあるのですよマルテ。絹は肌にもいいですし、レースでなくて綿のショーツだとお腹もお尻も気持ちいいんですよ」

「そうなのですね」


「ソフィア姫様、これだと洗濯は楽そうですね」


 うん、ケイトらしい感想だね。ハイデマリーも苦笑いしている。

 エミリーはちょっと引いていて、リナは履いてみたいです。と好評だった。

 私は毎日のように自分が過ごしやすいように頑張っているけど、あちこち手を出していて目まぐるしいらしくてまだ側仕え見習いのエミリーとリナは面食らっていて私達の会話には参加しづらいのかもだね。頑張って仲良くなって何でも言い合える間柄になろうね。


 一応みんな履いてみたいと言ってるからこれは試作して使ってみた方が早そうだね。


 いくつかみんなの意見を聞きながら、ノーラに他の新しいアイデアやみんなの希望のデザインの絵を描いてもらう。こんな風にちっちゃなリボンを前に付けると可愛いよ。私も将来使うかもしれないから生理用品の事も考えてサニタリーショーツのような幅広のものもいくつか試作した方がいいね。タイプはジャストウエスト、ビキニと抵抗のある人用にはボーイズレングスの絹のキャミソールも作ってもうらおう。冬には毛糸のパンツも必要かもしれない。

 因みに生理用品は綿の布を折りたたんだものを使っていたそうだけどノーラの希望で中に綿(わた)を入れたものを試作して使って貰っているよ。高分子ポリマーが出来たら作るからね。


 ケイトとハイデマリーがみんなのサイズを測って、取り敢えずゴムを通す穴には縫った紐を通してもらい引っ張って縛るようにするものを作ってもらう事にした。これは後でゴムにすればいいからね。二人共また仕事を増やしてごめんね。


 よし、これでショーツは試作出来そうだ。



 このままコルセットでもいいんだけど次はブラだよ。


 胸が大きく開いたドレスを着る際には、ノーラのような胸を下から押し上げるだけのコールセットもありかもしれない。でも普段からこれつけてたら大変だよね。苦しそうだし。

 でもエミリーも付けているっていう事は私ももうすぐつけるんだよね。エミリーの胸を見るとちょっと私の胸の大きさが心配になって来たよ。どうすればいいのか全く判らないけど日本の私も頑張れ。


 今度はブラジャーの型紙の図と可愛い系のブラジャーの完成図を描く。肩紐のないタイプも描く。


「ここはしっかりと止められるように少し厚くしてワイヤーをこういう場所に入れる事もあります。後ろや前でこういうフックで止めてしっかりと胸を支えるのですよ」

「これはウエストは絞らないのでしょうか?」

「苦しくないですか?」

「飲みすぎたり食べ過ぎたりすると苦しい事もありますがドレスが入らなくなってしまいそうです」


 ノーラ、そんなに飲み食いするの。いや良くお酒を飲むのは知ってるよ。


「普通、平民はコールセットをしませんから隠れたおしゃれとして着るのも楽しいかもしれませんね」

「では少し大胆に、こんな風に上をレースで作るとさっきのショーツもそうですが殿方に見られてもカッコイイですよ」

「ひ、姫様!」

「あっ、ごめんなさい。大人のお話ですね。でも、大胆というからには誰か殿方に見られる事もある訳ですよね。そういった場合、先程のショーツはこんなすごいのもあります」


 私はノーラに怒られそうだけど、Tバックの絵を描いた。


「「ええーっ!」」


「こ、これだとほぼ履いていないのと同じなのではありませんか?」

「ノーラ。これは身体にフィットするような服を着た場合にショーツのラインを服の上から見せない為の下着なのですよ」

「な、成程。つまり身体のラインを出すような服もあるのですね」

「はい、コールセットもラインを見せるものですけど、健康的なラインを出すものがあります。今はファッションはお母さまにお任せしていますからそれはもっと後ですね。今はゴムが出来た記念です」

「ゴムが出来た記念なのですか、、、」

「姫様、面白い記念ですね」


 うん、ゴムが出来た記念でショーツだからね。気になる所からコツコツと直さないといつまでも気になって残るからだよ。


「姫様、これは胸の大きさによって違うサイズも作るのでしょうか?」


 もちろん、エミリーのサイズでも作るよ。


「はい、何種類もサイズがあって、アンダーバストとトップバストでサイズが決まりますよ」


 試しにみんな測ってみる。

 エミリーはお腹だけのコールセットなのに結構胸が大きいんだよね。日本的に言うとBカップだよ。こっちの私より1歳上だからまだ八歳なのに何食べてるのか後で聞きたいよ。全く勝てる気がしない。

 リナは私と同じでぺったんこだからなんか安心したよ。


 マルテがFカップ。ノーラとハイデマリーがCカップ、ケイトがDカップだね。

 私とリナは一応Aにしておこうっと。Eカップがいないけど中間という事でケイトとハイデマリーに頑張ってもらおう。


  うーん。ゴムが出来る一週間後が楽しみだよ。




「・・・というソフィア様のお話でした。レオノーレ様」

「まあ、まあまあ。ソフィアもファッションに興味があったのですね。嬉しいわ。早く服のデザインを始めてくれないかしら。きっと想像も出来ないようなデザインを作ってくれそうだわ」

「ブローチや髪留めの他、新しい花の折り方もこちらにいくつかあります」

「綺麗だわね。わかりました。ソフィアから申し出があれば直ぐにでも売れるように準備致します。でもその前にケイトを呼んで頂戴」

「えっ? ケイトですか?」

「ええ、そうよ」


 お母さまがEカップだった。



 私はその晩、夕食で完全にあてが外れた。


 みんなのオムライスに可愛い絵をケチャップで描くつもりだったけど、こっちは入れ物が違うから絵を上手く描けなかったよ。みんなスプーンで簡単な同じ絵を描いた。


 エバーハルトお兄さまが『これは何の絵だい?』


 と聞くので、


「大好きのハートマークですよ♪」


 と答えた。


「おお、そうかソフィアありがとう」


 エバーハルトお兄さまも大叔父様もお父さまも嬉しそうに食べてたけど、ウルリヒお兄さまは私が答える前に半分食べ終わってたよ。


 ケーキとかももっとクリームがカッコイイのがあってもいいし、栗を使ったモンブランなんかも作りたいから搾り口をフェリックスに作ってもらおう。


 でもガックリだね。



「ソフィア様。レオノーレ様から伺ったのだが女性用の下着を作っているらしいな」

「マクシミリアン叔父様。一週間後くらいにサンプルが出来たらお母さまにご相談する予定ですが、叔父様も興味がおありなのですか?」


 そう言えば男性用のものはまったく考えていなかったよ。今度見せて貰うしかないねw。


 お父さま、大叔父様、エバーハルトお兄さま、お母さまのクスクスという笑い声が漏れ聞こえた。

 ちょっと受けたね。


「い、いや、そうではない。これまでは女神様としてソフィア様のおかげと言いつつもわたしに聞いて欲しいと矢面にたったのはわたしだが流石に女性用の下着はちょっとわたしが矢面に立つのはだな、、、」

「良いではないですか良いではないですか」


 クスクスクス。


「な、なんなんだそれは。レ、レオノーレ様お願いしますよ」

「あら、面白そうだったのに残念ですね」

「あ、兄上!」

「二人ともその辺で勘弁してやってくれ。レオノーレ頼むぞ」

「はい。ヴァルター様。マクシミリアンと共にソフィアを支えますからご心配なく」


 お母さま、頼りにしてます。


 でも面白そうだったのに残念w。


 

次回:日本で問題? いや、夢ちゃんがどうにかしちゃう?

 下着のはずが大事に、、、。

 お楽しみに。

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