閑話 叡智の女神ソフィア(ソミア)前書き フェルナンデス・ブロー
ちょっと時間が出来たので実在の宗教の話をしますね。
第三章の導入でもあるのですがあまり期待しないで下さいw。
※この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、国、地方、大学、マスコミ、博物館の名称等は全て架空のものです。
このお話はフェルナンデス・ブローの著書『叡智の女神ソフィア(ソミア)』の前書きとして書かれたものです。実在の名称はご容赦下さい。
【前書き:グノーシス主義に於けるソフィア】
私は歴史学者であり、宗教学者ではない。しかし神話に触れなければ理解出来ない程の歴史も存在するのだ。
プラトンのイデアの世界は有名でご存知の方も多いだろう。
プラトン主義に於いてはこの可視世界はデーミウルゴスによってイデア界の善き「似像」として作られた。
しかしグノーシス主義の場合は、一部の教徒から異端とされている。
グノーシス主義においてはこの世界を「誤り」で生まれた邪悪なものと見做し神ヤルダバオート(デーミウルゴス)を「偽の神」として否定し、更には選民主義的な教えが普遍的信仰に反したからだ。
グノーシス主義では、完全な神の世界プレーローマ界は至高神が第一の霊的神アイオーンとしてバルベーローを生み出し、プレーローマ界(至高神界:完全世界)を創造したとされる。
ソフィアはプレーローマ界(至高神界)に属する神アイオーンの一柱の女性的霊的存在だが、至高神を理解しようとプレーローマ界を模倣し単独で創造行為を試みる。霊的でなく可視的な物質世界、それが今の私達の人間のいるこの世界だ。
元の世界プレーローマ界を模倣して可視的世界を作ったソフィアは至高神に該当し、実際に作業したのがプレーローマ界のバルベーローに該当するヤルダバオート(デーミウルゴス)である。
プレーローマ界のヒエラルキーから逸脱した存在としてのデーミウルゴスが作った不完全(偽物)な世界が現在の我々人間のいる世界でこれはアルコーンと呼ばれる。つまり我々の世界が不完全なのは偽りの神が作った偽物だからだ。
霊的存在のソフィアは本来はペアで行う創造を単独で行った事が問題とされプレーローマから逸脱する。(このズレによって元の霊的なプレーローマ界へ戻れなくなる)
この可視的世界を創造する際にソフィア(ヤルダバオート(デーミウルゴス))が参照しているのが元の完全世界プレーローマ界だ。
完全な世界であるプレーローマ界を模倣し偽物世界を作ったソフィアの本質は悪ではなく、単に至高神を理解しようとしただけだ。
この完全世界の方がプレーローマ界で不完全な方が我々人間の住む可視世界だ。
つまり
「叡智の女神ソフィアは神の世界を参考にして(真似て)、デーミウルゴスに我々の世界を作らせた(作った)」
のだ。
これがグノーシス主義である。
私はグノーシス主義を否定したい訳でもバカにしたい訳でもない。
だからこれからの話はあくまでも私の妄想の話だと思って欲しい。
プレーローマ界は完全なはずだ。全要素が最初から最適配置され、何一つズレない状態が「美」なのだという。そしてそれは静的・不変・無個性・無時間・無形なのだ。
しかし、プレーローマ界にソフィアが戻れなくなった時点で一柱であるソフィアが抜けた分、完全ではなくなるはずだ。しかも最適配置とは動的な順番や位置(物質世界)が存在しなければ「配置」にはならない。
つまりその欺瞞は本来の完全ではない不完全だろう。
そして私は知っている。至高神界の「静的・不変・無個性・無時間・無形」これは「死」に近しい事を。
(※有名アニメ「エバンジェリオン」のラストシーンがまさに完全な精神世界に近しいだろう)
ここで仮に神アイオーンの一柱であるソフィアが作った世界が元のプレーローマ界よりも優れていたらどうなるだろうか?
完全にグノーシス主義はすべてその前提から崩壊し、そればかりか完全世界を作った至高神ですら古代の遺物とされかねない危険な考え方である。
学びは進歩であり、至高神を理解しようとするソフィアのような知的好奇心は学びの非常に重要なものだ。
模倣した偽物であっても新たに作ればそれらをより詳しく理解し本質の問題も発見しやすいだろう。
プレーローマ界が至高であり完全と考えるのはもしかすると保守的な硬直した思考なだけかもしれない。何故なら学ぶ事に限界など存在しないからだ。勿論前述のソフィアがいない最適配置崩壊の欺瞞も含んでいる。
学ぶ事に限界がないのであれば、イデアが完全世界などと考えるのは硬直しているだけで、まだ際限なく良くなるのではないだろうか?
我々人間の住む可視世界アルコーンを作ろうと頑張ったのは女神ソフィアだ。
女神ソフィアが模倣しなければ我々人間のいるこの世界など存在しないのだ。
そして女神ソフィアが行ったそれは私達人間にはあまりに凄すぎて、恐らく女神ソフィアが模倣しようとして見た神の世界を凌駕しているのでは? とすら思わざるを得ない。
それ程までにこの我々の可視世界は鮮やかで物理法則すら美しい。
そしてプレーローマ界には時間もなく可視世界でもないのでそれらの美は存在すらしない。
そう考えれば、これらの知識を元に、逆に神の世界を女神ソフィアがより良くしても決して不思議なことではなく、驕り高ぶる保守的に硬直したイデアをよりイデアたらしめたとしても私はなんら不思議に思わないだろう。
それ程、グノーシス主義に於ける我々の世界を作った叡智の女神ソフィアは凄い存在なのだ。
「より良い」という基準が我々人間なのか霊的神アイオーン達なのかで価値観が異なるのは当然だ。
しかし、我々人間から見ればそうとしか思えないのも事実だろう。
ここからは本書の話をしよう。
この書籍に記載した同名で且つ我々の歴史上に実在した最もすぐれた叡智の女神ソフィアは、神の世界を垣間見てそれを模倣してより優れたものを作り出したアイオーンの一柱女神ソフィアそのものであると言われても私はなんら異を唱えないだろう。
発明王などと称賛して我々と同列の人と考える事すらおこがましいからだ。
~『ソフィア皇妃。あなたは本当に神の世界を見ていたのではありませんか?』~
私はここまでの真実を見てあまりの衝撃にそう思わざるを得ません。そしてあなたは紛れもなく神々の一柱なのでしょう?
答えは「はい」か「Yes」しか考えられない。
それはあなたも本書を読めばご理解いただけるだろう。
では、ヤルダバオート(デーミウルゴス)は誰なのか!?
それは同時期に活躍したとされる錬金術師、鍛冶師、数多くの職人達、ユリアーナ・フォン・ビッセルドルフ、マクシミリアン・フォン・シュタインドルフ、マティーカ・フォン・マテマティカらの数多くの限りない才能を持ち合わせた者達だ。
そして願わくば、至高神界も我々のソフィアの手でより完全と近いものに改善できたのであろうと願いたい。
これから私が記す内容は紛れもない我々の誇らしい歴史的事実だ。
~アーナル学派 フェルナンデス・ブロー~
いや本当になろうさんどうしようか考えてますがどうすればいいですかね?w