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ドゥープレックス ビータ ~異世界と日本の二重生活~  作者: ルーニック
第二章 夢の冒険者
125/129

マダガスカル

ボストンでお茶を捨てられてしまう事は避けられるのか?w

動物のくだりを直すの大変でしたw。

※この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、国、地方、大学、マスコミ、博物館の名称等は全て架空のものです。


◇◇◇◇◇


【助かったかも】


「美麗。もしかしたらクマかもしれないよね。わたし前に凄く大きなクマを見た事があるんだけど、人よりずっと強い感じだったよ」

「そうね。対人で最高性能のはずだったけどクマの相手は無理だったみたいね」


 この後、美麗のロボットは回収出来たけど、記録装置も破壊されていて映像も見る事は出来なかった。

 こんなの人が行ってたら死んでたかもしれないからマジで助かったかもだね。


◇◇◇◇◇

 

【気圧低下】


 マダガスカルの動物はどうやってアフリカ大陸を渡ったのか様々な説がある。

 私は海流に乗って渡ったという説が有力なんじゃないかと思っているよ。

 

 一応これでもアニメ映画『マダカスカール』は映画配信で見てるからねw。


 間もなくという辺りで気圧が結構下がってきた。

 うっ、やっぱりフラグだったのだろうか?


 波もかなり大きくて、細かく揺れるのではなく、大きな波が外洋から襲って来る。

 結構大きなクルーザーだけど、アン船長と操船するメアリーさんが必死に波に向かって船を立てている。波はマダガスカル島の方へ向かい大きなしぶきになって砕けていた。


 ほんの少し飛び出ている岬のような位置が最も砕け方が酷い。

 でも、船をつけるのはあそこしかないんじゃないかと思うけど、ちょっと今は無理だ。


 波は長い間続いていて流石にちょっと揺れにまいって来たよ。

 ようやく気圧が戻って来る。


「船長、メアリーさん。気圧が戻って来たのでもう少しです」

「ほう、そんなんがわかるんだね」

「今はそれどころじゃないよ。しっかり掴まってな」


 更に30分位頑張っていると、ようやく波が穏やかになって来た。


 ふう、今回はなんとか切り抜けられたね。


 船内の設備も全部揺れても大丈夫な造りでこれらの被害もなかったよ。


「本気でこの船はスゲーよ姫さん」

「自然の驚異はどんな時も侮ってはダメですよ」


 取り敢えずフラグになりそうなのは先に折っておこうw。


「そりゃあ、あたしたちの言う事なのにこりゃあ姫さんに一本取られたね」


「あそこの岬は随分と難しそうですけど、島に船をつけられそうですか?」

「ああ、任しときな」


 メアリーさんは実に器用に船を操り岸につけた。

 海賊の1人が飛び降りてロープで岩に結ぶ。


 バイクや砲車は降ろさずに人が降りられるだけのタラップを降ろした。


 浅瀬だけど水の中だね。

 と思ったら後ろからラヴェンナさんにまた抱きかかえられたよ。

 

 私達は丁度少し飛び出たような岬の北側へ降りたんだけど、降りて直ぐにそれが見えた。


【残骸が目の前に】


 船の残骸でアン船長によれば、これが探したかった船だという。特徴的な神様の顔が先端についている。

 破片と破壊された船の先端しか残っていなかった。


「メアリー、、、」

「一日でいい。ここの現地の人に生存者がいなかったか確認したい」

「姫さん、いいかい?」

「判りました。では、私達は近くの見学をしてから船に戻りますね」

「ああ、またヤシガニの大群に襲われちゃかなわねーからなw」


 かなり緑が多い島だよ。

 人も住んでいるようだ。


 お家は全部赤い土で作られたお家で、この辺りはこの島でも2番目に栄えている『トゥアマシナ』という地域なのだそうだ。

 ここから西へ行けば女王様のいる宮がある『アンタナナリボ』という場所があるそうだ。


 明日の朝までには戻って来るという。


 ・・・。


【ジャングル】


 私の地球の知識では、マダガスカルの雨季はこの前夢美に調べて貰ったけど、11月~3月で丁度雨季の真っただ中になる。森の生物も活発になるだろうけど、寄生虫などはかなり危険だし、頻繁に丁度私達が遭遇したような破壊的なサイクロンが襲来する時期だね。

 まあ、安心できる時にササッと出航した方がいいね。


 私があのアニメ映画で見てw印象的だったのは、都会の動物達じゃなく現地の小さなおサルさん達だねw。でもヘビとか出て来たら悲鳴を上げる自信があるよw。

 色々と近くで見たいけど病気も怖いから出来るだけ野生動物に触れないようにするのが得策だと思う。


 靴も頑丈なブーツで服も厚手の服を着る。

 気温は20度位と今の所そこまで暑くはないよ。


 ジャングルのような中をいくと、あちこちで野生動物の鳴き声が聞こえてマルテとノーラと共に毎回一緒にビクビクしてるよw。

 まだ夜行性の時間帯ではないけど、昼間も活動する動物は多そうだ。


『マルテっ!』


 私が小さな声で呼んで樹上を指さす。

 マルテが慌ててカメラを構えて撮影する。

 何ていうのか今は判らないけど、黄色い身体に目の廻りが瑠璃色の綺麗な鳥だ。

 その一つとなりの枝には、真っ黒に目の周りが緑の鳥もいる。

 両方とも15cm位だと思う。

 こっちの木の上にはカメレオンだ。本当に色が判りづらくなってるw。


 撮れたポラロイドを見ると凄く綺麗に映っていたよ。

 こういうのはやっぱりいいね。


 樹上に尻尾が横シマ模様の小さなグレーのサルが何匹かいる。お腹部分は白だ。

 かなり大きな池か湖のようなものがあって、その先では茶色のキツネザルが集団で水を飲んでいる。

 私がアニメ映画で見たの多分あれだよw。


 マルテは大忙しだw。

 今度は開けたところで顔と耳が黒い小さなおサルさんが二足歩行で横っ飛びで移動してるよ。

 両手を広げてるw。でも野生動物だから跳躍力も半端ないね。多分10m位は飛んでると思う。

 あそこにいるのはとても大きなリクガメだね。


 マルテに頑張って貰ったけど、ぶれてないのは一枚だけだったよw。

 カメは遅くて大丈夫だったよw。

 

 少し暗くなって来た。

 もう写真は難しいかな。


 流石に夜は怖いから、ヘルムートとミスリアの先導で船まで戻る。

 さっきの水辺に真っ赤なカエルがいた。

 夕焼けのせいじゃなくて赤いカエルだよ。こんなの見た事ないw。さっきいなかったから暗くなって出て来たんだね。


 なんか凄かったよ。

 本来なら人間が足を踏み入れない方がいいのだろうけど多分こういうのってなかなか見られないよね。


 ノーラもマルテもリズさんやラヴェンナさんも興奮してたよ。

 私が一番興奮してたけどねw。


 みんなでポラロイド写真を見ながら『凄かったねー』って飲み物を飲みながら話していて、船長達も明日の朝には戻るっていうから今日は早めに寝て明日に備えようね。


◇◇◇◇◇


【宿題と居眠り】


 ソフィアの宿題が多いよ。org.

 動物図鑑が一番で百科事典と一応あまり信じてないけどネットも使う。


 黄色い身体に目の廻りが瑠璃色のが『マミヤイロチョウ』で黒かった方は『ビロードマミヤイロチョウ』。あのカメレオンは『パンサーカメレオン』だね。


 尻尾が横シマ模様の小さなグレーのサルは『ワオキツネザル』。

 凄い距離横っ飛びしてた黒い顔で白いおサルさんは『ベローシファカ』。

 茶色いのは多分『アカビタイキツネザル』だね。これがアニメ映画のやつだよきっと。


 大きくて背中に模様のあったカメは『マダガスカルホシガメ』。

 赤いカエルは恐らく『アカトマトガエル』だと思う。


 ひゃー、やっと調べられたよ。

 疲れた~。おやつにしようかな。


 って、あれ? 急に眠気が、、、。

 パタリ。


◇◇◇◇◇


【深夜の銃声】


 パン!


 はっ! 真夜中に近くで鉄砲の音がして目が覚めた。

 折角波の音が気持ち良かったのに、、、。

 ミスリアがドアを開けて入って来た。


 多分あの音は単筒で、アン船長もメアリーさんも持っていたやつだ。


 二人には絶対に現地の人達に危害を加えないように言っている。

 ま、まさか、そんな事はしてないよね。


「ソフィア様。わたくしがヘルムートと共に見てまいりますので、このままこちらにいてください」

「気を付けてくださいねミスリア」

「はい。お任せ下さい」


 ドアを開けるとラヴェンナさんがいた。

 私はそのまま廊下の窓まで行き、暗い外を見る。


 握るライトを持ってミスリアとヘルムートがジャングルの側迄歩いて行く。

 ジャングルの入口でこっちに向かって手を振った。


 月明かりも明るいし、ここから見てる事がバレてるね。

 私はラヴェンナさんとリズさんと一緒に外に出て、懐中電灯(これも手で握るやつ)を持ってミスリア達の所まで行った。


 アン船長とメアリーさんが『アンタナナリボ』から帰って来たようだ。


「どなたか現地の方を撃ってしまった訳ではないですよね?」

「ああ。そんな事はしてない。リンディーがいたら殺してやろうと思っていたがな」


 えっ、仲間でバイキングなんじゃ、、、。


 こ、これ多分かなり複雑な事情みたいだね。口を出せないだろうし余り聞かない方がいいね。


 あっ!


 小さな、細くて白いおサルさんが血まみれで倒れている。

 

「こ、このおサルさんは?」

「さっき近づいて来たらリンディーの顔に見えて撃ったんだよ」

「なんて事を、、、」

「いいじゃねーか。人を撃った訳じゃないだろ」


 ・・・。

 恐らく命云々ってメアリーさんと口論しても無理だろう。

 血だらけのおサルさんを確認したらもう死んでいた。

 

 えっ、めっちゃ小さい子がしがみついてる。


 おサルさんの子供?

 この死んじゃったおサルさんの子供だろうと思う。


 私は羽織って来た上着を脱いで小さくまとめ、小さなおサルさんを多分お母さんの死体から引き剥がして布にしがみつかせてから抱きかかえた。

 アン船長とメアリーさんに言いたい事は色々とあったけど、私はそのまま船に戻った。


 私の部屋へ戻り、段ボール箱に布毎入れてそのまままた寝ました。

 多分、夢美が困っているからねw。


◇◇◇◇◇


【触っちゃいました】


 朝、起きるとまだ段ボールの中にいたよ。

 まだ赤ちゃんだからか余り暴れてはいないようだけど、もう起きていて小さな目がクリクリしてる。

 これ乳が必要だよね。

 哺乳瓶とかないから、クルトにケチャップの入れ物の新しいのを貰って先端にゴムをつけて穴を開ける。

 クルトは不思議そうにしてたけどドアの外に置いて貰って接触は一切しない。

 ここにひと肌に温めた乳を入れておサルさんにあげてみた。

 

 両手で一生懸命持って飲んでるよ。

 なんか身体を見ると緑の葉をすり潰したようなものがお尻の方についていた。額の所が赤く固まっている。さっきのお母さんの血かもしれない。


 でもこの葉っぱをすり潰したのってもしかして「セルフ・アノインティング」かな。

 薬効のありそうな抗炎効果のある葉を噛み砕いて身体に塗るやつをお母さんサルがやってたのかもしれないね。取り敢えずそのままにしておこう。


 でも、困ったよ。野生のおサルさんを触っちゃったね私。


 マルテとノーラが部屋に入ろうとしたので、お断りして色々とお願いする。


 私は隔離だね。


 最も怖い感染症は恐らくペストだと思う。他にも爪なんかで傷つけば破傷風の恐れも大きいと思う。

 地球の現代であったとしてもペストは世界中の至る所で現存する。ましてこんな時代に大丈夫だなどという保証は1mmもない。

 仮にペストならば、潜伏期間は1日~7日と考えれば、この子をケージに移してミルクとかは安全に与えて私の様子を隔離して7日間観察すれば大丈夫だと思う。

 検査するものがないから他のも発症を確認するしかないけど、かなり面倒な事になっちゃったねw。


 という事で私は隔離しますから、この部屋に入らないでもらう。


 まあ、私の意思でこの子を拾い上げたんだから自業自得と言えばそれまでだけどね。


 クラウにお願いして、ダンボールでも何でも使って、取り敢えずおサルさんが入れるケージを作ってもらう。きっとクラウ程の鍛冶職人なら段ボールの工作なんて簡単にやってくれるよねw。


 後は、定期的にミルクを。


 ①隔離 離れてから7日くらい

  食事は部屋まで運んでね。

 ②クラウの工作

  色々となければ段ボールでもいいよ。

 ③ミルクw

  ひと肌で。


 いや、フルーツとかもう食べるかな。 


 ここから紅海まで2日だとして、7日後くらいに丁度シルバタリアに戻れるんじゃないかと思う。


 という事で、ケージが出来るまではもう触っちゃってるからちょっと抱っこしてみよう。

 脇に手を入れて持ち上げようとしたら、みょぃーんって凄く身体が伸びたよ。

 これ、ネットで見た液体タイプの猫みたいだw。


 正直な話をしちゃうと、これまで動物とか飼った事がないし、どうしようって思ってます、はい。


◇◇◇◇◇


【隔離の間に宝石のデザイン】


 早く着いちゃったよ。

 私だけ船を降りれないw。


 まあ、あと一日様子を見てだね。今のところこの子も大丈夫そうだよ。


 よく簡単に知らない野生動物を仲間にしちゃうとか兄のマンガでも読んだことあるけど、多分危険かもしれないからみなさんは絶対にそんな事はやらないように気を付けて下さいねw。


 隔離期間を取るのが一番だと思うよ。

 狂犬病の時もワクチンではなく最終的には隔離が無くしているからね。


 えーと、私一人で暇なんだけど、ミルクをあげてから何しようかな。


 今回動物に触れてはたっと気が付いたけど感染症対策は必須だね。私はこっちでも少し衛生面が進んだからといって平和ボケしていたようだよ。

 糞尿の処理は下水完備を進め地球の中世のような酷い状態ではないよ。そして当時の江戸時代のように糞尿処理後の肥料のサイクルも割合は全部じゃないけどやっている。


 現在の地球人類の歴史を考えれば最も多くの死者を出した感染症はペストの大流行であり、世界的パンデミックは人類の歴史で考えれば、3回発生している。最初の7世紀頃の黒人奴隷の感染はこっちにも記録があるからこちらでのパンデミックは1回だと見ていいと思う。


 だとすると地球の例を考えれば二回目のパンデミックは貿易船によるパンデミックだと思う。

 日本ではペストは北里先生の功績によってパンデミックにならずにすんでいるけど、衛生的に綺麗にする事は勿論ですけど、ネズミと蚤の対策を優先しないとダメだね。

 逆にこれをうまく出来ればペストの予防は可能だと思っているよ。


 幸い私には新倉先生という異常なまでに頭のいい医学を学んだ力強い先生がいるw。

 後は抗生物質やアスピリンなどを優先してマラリア予防薬や狂犬病などは後回しだけど検疫をしっかりすれば防げそうだ。これはマクシミリアン叔父様に頑張って貰おうw。

 石油化学で優先すべき薬のような事は本当に重要だね。



 実は、今回の冒険をする為に最初に女海賊さん達を紹介して貰う際にリズさんに頼まれた事がある。


 リズさんが当初考えていた様々な事は、グレースフェールの様々な取り決めによって殆どが防がれてしまったそうだ。まあそうご本人が言ってますw。どうせ私の仕業だろうってw。

 こっちは慌てて決めたんだけどね。はい。言わないけど私の仕業ですよw。



 エリザベス女王陛下にリズさんが報告するのに、成果が乏しいと女王陛下に顔向けが出来ない。


 リズさんは女王陛下と仲も良いそうで、女王陛下、リズさん、私とこの三人で何か記念になる宝石を今回の宝石の売買で取得したもので作って欲しいというのがリズさんの条件だったんだよ。


 まあ、私としてはお父さまの宝石を取り引きするついでだと思ってたからそんなでもないかなと考えてました。


 アエジープトスの帰りには私は船から降りないで残りの商品を交換して貰ったけど真珠がいくつか手に入ったんだよね。本当はピラミッドを見たかったけどorg.

 以前、グレグリストで金銀を大量に手に入れているから、私がデザインして色々と作って貰えばいいと思う。


 取り敢えずデザインしてみる。

 まず、見送りに来てくれたシルバタリアの人達の分からだね。この秘密ドックの協力もして貰ってるし奮発してもいいと思う。フリッツ伯父様と奥様のルイーゼ様は赤メノウつまり『カーネリアンストーン』を使って綺麗な金細工で縁取って貰うのを二つだね。

 ウルリヒ兄さまの婚約者アリッサ様にはブルーサファイヤのイヤリング、次女がアンネマリー様にはルビーのイヤリング。そんなに大きなものじゃないけど、現代風のカッコイイ形にしたよw。


 あのスリーブラザーズにはみんな同じで台座を3つつけて大きさの違うカーネリアンストーンを3つずつ飾ったものにする。まあ石は一杯あるからこのスリーブラザーズを三個だね。

 取り敢えずフリッツ伯父様達の分はこれでいいか。


 お父さまのはこのめっちゃ大きなダイヤモンドとブルーサファイヤの2つを渡して自分で作って貰うのがいいと思う。記念なんだからこれは私が造っちゃダメですよね。


 うちの兄達のは後で考えるとしてw、問題はエリザベス女王陛下のだね。


 交換して貰った宝石の中で、次に大きなダイヤモンドをセンターにして、廻りを真珠4個で飾る。

 そこに大きなルビー3つを△のバランスで配置して金細工で綺麗に加工する。

 結構大きなデザインになっちゃうけど、これなら女王陛下にお渡ししても問題ないと思う。

 女王陛下、リズさん、私の三人をイメージして名前は『スリーシスターズ』w。


 一度くらいはつけて貰えるといいね。


 リズさん、これならリズさんも仕事してるっぽいですよねw。


◇◇◇◇◇


 ペストは大丈夫だったよ。

 隔離期間が終わり下船すると、みんなが待っててくれたよ。

 

 リズさんが宝石が出来たら一度ターオンに戻ると言ってる。

 あの連れて来た子サルも欲しいという。女王陛下へ献上したいのだそうだ。


 私は『大切に育ててくれるのならいいですよ』とお譲りする事にした。

 額の赤いのは洗ってあげたけど落ちなくてなんか骨が変形したみたいな小さな突起のようなものだった。

 以前、カイゼルさんの馬に角が生えているのを見た事があったので、こっちにはこういう種類もいるんだろうと思っていたから別に不思議ではなかったよ。


 リズさんには今回の冒険で色々と見られていると思う。

 こっちの人達の常識と違う事やあのズンダランドでの私の苦い想い出も全部だよ。

 これでグレースフェールが滅ぼされちゃったりしないよね。大丈夫だよね。

 


 私はこっちの世界で生まれても実は頭の中では日本語で考えている事が多い。簡単に言うと色んな事を考えたり表したりして自分の頭の中を整理するのにとても便利だっていつも思っているからだよ。

 こっちの言葉は文字の数が少ないだけじゃなくて、日本語を簡単にこっちの言葉や英語に出来ないことって結構多いんだよ。


 女王陛下へのデザイン宝石は必死に職人が制作中で直ぐにでも出来そうだと言う。

 リズさんがエリザベス女王陛下へ何かお手紙でもって言われてるんだけど、ビジネス的なレターなら、日本人ビジネスマンなら

『お世話になっております。』の書き出し的な感じだよね。

 こっちの言葉だと、まずこれに該当する適切な言葉がないんだよw。

 多分、終わりの言葉の

『よろしくお願いします』

 も、適切に翻訳する言葉なんてない。


 そう考えると何なんだろうね、日本語w。


 私はなんか書けなくて『Anon』(またお会いしましょう:のこの時代の言葉)とだけお伝えして貰う事にした。いや、勿論、社交辞令ですよ。絶対にもうお会いしたくなんかありませんよw。


◇◇◇◇◇


【成瀬博士に青銅の人についての可能性を話してみた】(~成瀬博士、夢美~)


・・・


「く、九条さん、あなたまさか、、、。た、確かに、あそこには文字の物証があるのだからもう否定は難しいけど、、、ま、まさか、あそこの遺跡がこれではないか? と言いたいの?」

 

「はい! だって今のホモサピエンス、つまり人類発祥の時代と同じ頃なんですよ。少なくとも現人類には無理です」

「・・・」


「神功先輩の言うように宇宙人かもしれませんけど、、、w」


 一瞬、成瀬博士が笑顔で受けてくれたよw。

 私は向こうのゾームの樹海で実際に青銅の人と思われるロボットと戦った事もあるからね。

 勿論、同じだとは限らないけどね。


 こ、この子の言うことは確かに神話とは辻褄があうけど、その時代の遺跡だとでもいうの? なんでギリシャでなく日本で、、、。


 近年では神話として取り扱われて来た事も、色々調査も進んで実際に遺跡が発掘されるなんていう事も多くなって来た。間違えなく私は幻想研究家としてこれを探索して確認しなければならないわ。


「その方向性で可能性をまとめて後で私達に講義して貰いたいのですよ。勿論、講義の料金は普通にお支払いします」


「判ったわ。九条さん。ちょっと色々と整理したいから今日はここまででいいかしら?」


「あっ、はい。地球のギリシャ神話のお話を聞けて楽しかったです。ありがとうございました」

「うん? 地球の?」

「い、いえ、何でもないです」

「おかしな子ねw」


「良く言われますw。じゃあ今日はこれで」

「はい、気を付けてね」


 あははは、ちょっと不味ったかなw。


◇◇◇◇◇


【エリザベスの肖像】


 エリザベスはグレースフェールから戻ったリズの報告を聞きリズを抱きしめて働きを労った。

 この際にリズは最高の礼を持って遇されたという。


 一般的な人と感性もかなり異なるソフィアの様々な行動の事をエリザベスは『素晴らしく面白い』と表現したそうだ。そしてその場で異次元の領域で産業や社会発展で活躍するソフィアをとても称えたという。


 エリザベスはソフィアから貰った宝石の事をいたく気に入り、白い子ザルも気に入ったようで、その後、彼女が死ぬまでの間、エリザベスの肖像画の多くにこの宝石『スリーシスターズ』と、生きていた頃の白い動物が描かれているものが多い。


 この動物は白い子ザルとも白いテンであるとも言われているが赤いルビーのような宝石を飾ったと言われていたのは額に宝石を持つアルビノ個体のカーバンクルであったという噂がある。

 

 

◇◇◇◇◇


【レヴァント貿易会社・東インド会社】


 ちょっと予想外の事が起きたよ。結構私的には大事件だ。


 クラウがメアリーさんと結婚する事になった。


 クラウに、メアリーさんが闇を抱えていそうな事も色々話したけど、それを自分ならどうにか出来ると言っている。

 正直、このグレースフェールで最も成功した職人の一人で今、船用と言っても恐らくこの世界でエンジンを作れるのはクラウただ一人だ。勿論私が手放す事はないよ。これからも活躍して貰いたい。


 問題はメアリーさんがバイキングwっていうか、あっちというか、そっちwは大丈夫なのかっていう事と海賊を続けるつもりなのか? という事だ。


 

 バイキングはクラウとベタベタなので心配はいらなそうだ。メアリーさんもそろそろ安定した生活を送りたいそうだけど、船には乗りたいのだそうだ。

 なんか冒険者なんだけど『愛』の力ってちょっと凄いね。

 でも、その両立は難しそうだけど、、、。


 アン船長達も今、クラウとの結婚を認めて貰うのを説得しているらしい。



 どうやらアン船長達他の海賊も本心としては安定した生活が欲しいものの、船には乗りたいのだそうだ。

 

 まあ根っからの『冒険者』なんだね。



 レヴァント貿易。


 レヴァントを中心に栄えたこの貿易圏は、アエジープトスの情勢がカイロを中心に廻り出した事によって安定して栄えて来たようだ。

 イタリカの活躍もあるけどエウロパからの輸出には私の知らない内に私がかなり貢献していた事も判った。


 地球とは少し違うけど、地球の歴史を考えれば、やはりアジア圏、特にインドとの貿易は欠かせない。

 でも、それはスエズ運河が無かったから条件が違い過ぎるんだよね。



 地球の歴史ではレヴァント会社が貿易を行っていたけど、アフリカ大陸の先端のケープをイギリスが植民地にして『ケープ経由』が主体となって東インド会社の特権的会社によって、喜望峰、マゼラン海峡間の貿易を独占したんだったよね。


 でも、私がこれを待つ必要はないよね。


 この条件下では、レヴァント会社側の地中海はナイル海峡によって優位になって衰える事はないはずだ。ジブラルタルもあるからその先も強いはず。

 でも商売の先を考えればケープ経由も考えられるし、カナダ、アメリカと大西洋経由で交流してというのも有効なはずだね。ただケープは植民地にする程重要ではなくなると思う。


 ブラジルからは金、銀、砂糖、当時のアメリカの大半であったヴァージニアやルイジアナにはタバコや工業製品、バハマやメキシコ側からはこれまで通り、銀やコーヒーの輸入も可能だ。食料品も必要だったと思う。


 そして冒険者としてはいつの日にか大平洋に出るためにサフランドを回り込みジーランディア側の調査並びに日本まで手を伸ばして貰いたい。これには私がお金を出してもいいと思う。


 うん、私でもこの貿易と冒険なら行ってみたいくらいだね。


 これを海賊さん達の貿易の商売とすると、、、。


 はい、これはどう考えても大商(おおあきな)いですよねw。

 私じゃやりたいことも他に多いし忙しくてもう無理だ。マルテに頼もうw。


 レヴァンド貿易会社、東インド会社の2社を設立して、海運業を先行して行って貰おう。

 私達はターオンがやるまで待つ必要なんてないからねw。

 つまり売り先はグレースフェールだけでなくてターオンやフランク、イタリカ、そして自国といくらでもあるよ。

 茶や織物の需要はこれからも増え続けるはず。



 私がこう判断した一番の理由は、地球であった中世ヨーロッパからの『奴隷貿易』を止める事は出来ないのかもしれないけど少しは緩和は出来るかもしれないと考えたからだ。

 先に私達が色々と普通の貿易をやって搾取ではなく取引先として主流になってしまえば、あまり色々と出来なくなって奴隷貿易もそこまで栄えないのではないかと考えている。ゴムも希少金属も先に全部ツバをつけるよ。

 甘いかな?

 当然グレースフェールに連れて来ても奴隷は全部お断りして貰うつもりだ。


 地球ではポルトガルがアフリカに到達して以降行われ続けている数々のヨーロッパ諸国の蛮行は一応第二次世界大戦後の敗戦国を裁く為にニュルンベルク憲章が定められているけど今もCFAフランなどの植民地政策を続けるフランスや当時のベルギー国王だったレオポルド二世などトンデモない歴史がある。

 地球ではたった100年前でもヨーロッパのたった7カ国による植民地支配が行われていたし近年の中国などもダメだ。


 ここでは彼らに搾取される前にキチンと国として契約しまともな取り引きを行う。

 契約先には分断統治もさせないし搾取するために壊すならどの国だろうと取引先であるグレースフェールが相手だ。

 現代の日本のような教科書では恐らくこの植民地支配と正式な取り引きの差ですら正しく伝えられないと思う。とても残念だけど、私は今ここにいるのだから出来る事をやりたいと思う。


 まあこの船を遊ばせておいても仕方ないから最初はこの高速艇クルーザーでもいいけど、儲かれば大きな船を作ってもいい。安く出来るように燃費のいい貿易船とか豪華客船もありかなw。


 対応できる港があればだけど、ダメならシルバタリアに大きな港を作ればいいw。

 沖に停泊して小型船で行ってもいいね。


 各地を植民地化をしていくつもりもないし入植の予定もないから『ボストンでお茶を捨てられちゃう事』も多分ないと思うw。


 よし、これ行けそうだよ。



 という事で、マルテ、アンチームとメアリーチームで貿易会社2つ作るからお願いね。



「あう、あう、あう」

 うん、反応がよく判らないけどこれははOKと見たw。

 勿論、マルテが直接行く必要はないけど経営はお願いね。



【世界を知る者の評価】


 もう夕方になるけどアン船長を呼んで詳しく説明した。


 私からのアン船長達への要望は、

 むやみに現地の人達を傷つけない事。

 後で冒険譚を聞かせて欲しい事。出来れば本に書いて欲しいと言う事。


 だけだよ。


「アン船長さん、メアリーさん達、私のパトロンの件もこれでいいですか? これは私が出資しますよ」

「お、おう」



 アン船長はそう返事をしてからお城の窓から街を見ながら更に答えた。


「ああ、任しときな。しかしあたしは世界中を見て来たがこのルントシュテット程この時間にかまどの煙が見える領地は見たことがないね。これも恐らく姫さんのおかげなんだろ?」


 確かに以前より食も生活も少しは良くなって来たかもだね。


 私はアン船長に言葉で答えずに笑顔で答えた。

 

 これは決して私だけの力じゃない。みんなの力がそうしてきたんだよ。


 これからも困難な事も続くだろうし私の安眠を妨げる事は多いと思う。


 でも前を向いて行くよ。


なろうさんでのドゥープレックス ビータは今回で打ち切りの最終回となります。

長い間ご愛読頂きありがとうございました。

評価や感想を頂けると励みになります。


 またどこかでお会い出来ると嬉しいです。


 アレクを表でやっていた際の足元にも及びませんでしたが、私自身の勢いというか初心など色々と思うところはありました。なろうさんはなろうさん側が限界かもしれませんね。書いてない訳ではありません。まあ無理せずにやって行きます。


質問に答えておくと鋳潰した剣を刀と同じ加工をしたら小刀になっちゃいますよ。


 この後、長々と1万文字以上、以降の話の概要を書いていましたがカットしました。

 機会があればお話できると思います。


 このお話は余り人気もないので心配はしていませんが、気が向いたら書きますのであまり期待せずにお待ちください。


 恐らくアレク系はなろうさんと言うかミッドナイトノベルズに残し、他の活動は

 別の所と言う感じかと思います。


 このお話も暫くは公開しておく予定です。


 では、お元気で♪

 

 

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