怪しい話
第二章 夢の冒険者の始まりです。
完全なオーバーテクノロジーで船を作っているソフィアw。
夢美は成瀬博士を率いれて調査を開始します。
※この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、国、地方、大学、マスコミ、博物館の名称等は全て架空のものです。
まったく、作者は私に何をやらせようとしているんですかねw。今回は慎重に行かないとw。
【学会で何時くらいに発表するのか?】
私は子供だけど、時々先生達が参加したり、発表したりする学会を見に連れて行って貰う事がある。
前島さんによると『殆どがそうだよ』というけど、研究している方々の中には、ちょっとトンデモな説を研究をされている事もある。
自由が保障されている日本ではそういった研究も発表可能なんだけど、あまりにトンデモな研究、つまり『怪しい話』は、始まって直ぐの人の集まらない最初に発表時間が設定されている事が多いのだそうだ。
うちの先生達は、勿論その時間に発表する事はないよw。
【実は歴史研究部だったのです】
みなさんは、私達の文化部の活動について、帝王学やビジネスなんちゃらーだと勘違いされてる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は中学生の『歴史研究部』なんですよw。
イベント的なレクリエーションや文化祭、いつもの活動なんかもあります。
今は御手洗部長がテーマを決めて、そのテーマの発表を持ち回りでする訳で、それについて、色々と討論して深めたりするのが普段の活動ですw。
知らなかったでしょw。(実は会社設立とかそんなお金儲けの部活動じゃなかったんですよねw)
今のテーマは日本人や人類のルーツ的な事と、とても大きな風呂敷を御手洗部長が拡げていて、私はこの前『メソアメリカ』の文明について発表したよ。
最初はメキシコのオルメカ文明からマヤ、アステカ、ティオティワカンという感じで、農作業の耕作棒コアを使った、豆、サンザシ(小さなリンゴのような果物)、カボチャなどの農業が盛んであった事や4世紀~7世紀にはティオティワカンでは二十万人の人口がいた事を話して、中でも衝撃的なのはどこでも『生贄文化』があった事なんかをレポートしました。
マヤの滅びた理由なんかをみんなと話して面白かったです。
その持ち回りの発表でも、神功先輩の回はいつも面白いんですよ。
なぜなら学会で言えば開始直後に発表するようなトンデモ説、つまり『怪しい話』を持ってくることが多いからだよw。
前回は、もう江戸時代の創作物であることが結論づけられている『神代文字』を持って来て説明していました。 私が『それはもう江戸時代の創作物って結論出てるやつですよね』と指摘すると、『うん、知ってる』と楽しそうに言ってたんだよ。完全に楽しんでいるようなので放っておいたよw。
でも私の別荘のは文字として年代測定済みの『物的証拠』が揃っちゃってるので今後進めようとは思っています。
内緒だけど。
今回の神功 任那先輩の発表は、案の定、幻の大陸の話でしたw。
いや、実はこの話は半分くらいは正しいと私も思っているお話です。
日本人はとても多様な遺伝子で有名ですが今回は南方からの人達についてでした。
幻の大陸って、他にも一杯知ってるけど概ね一般的なのは、アトランティス、ムー大陸、レムリア、メガラニカ、ジーランディアですかね。
一万年くらい前に一晩で海底に沈んだとか色んな説がありますね。
氷河期の頃って7万年前~1万4千年前の最終氷河期の頃、例えば、2万年前であれば海面は130m低い訳で、現在大陸棚として有名な様々な海の中で浅い所は大陸だった訳ですよね。
その後の1万2千年前~紀元前4千年の海面上昇で沈んだ訳で、聖書にあるノアの箱舟の話の洪水とこれらの説はごっちゃになって色々とおかしな伝説があるのかと思います。
アトランティスは、古代ギリシアの哲学者プラトンの著書『ティマイオス』と『クリティアス』に記述された伝説上の広大な島でそこに繁栄したとされる帝国があったとされるものでプラトンの時代の9000年前に海中に没したとされています。帝国って言ってるのは単に働かせる事の出来る封建的な事を言ってるのだと思うよ。
これは氷河期の後の海面上昇であれば話は判ります。でも大西洋であるとすれば大西洋中央海嶺かと思いますが山頂は水深2500m前後で、その麓は水深5000m前後だけど、アイスランドのように海嶺が海面上にまで姿を現した場所のような箇所もあるから本当にいくつもの島はあったのでしょうね。広大と言えるのか?それがどこだかは判りませんけど。
ムー大陸は適当なトロアノ絵写本のマヤ語の誤訳と想像から生まれた単なる間違えで、後付けで太平洋の巨石文明とこじつけられたのかなぁと思ってるよ。
巨石文明に関しては以前私が発表したメキシコの文明でもある訳ですから、巨石文明=超古代文明とは言えないですよねw。
レムリアはインド洋沖にあると言われてますけど、あそこって異常な火山活動によって長さ5500キロにもなる東経90度海嶺があってその驚くべき直線性は正直とても不思議ではありますw。
ジーランディアはニュージーランド付近のオーストラリアの隣でこれもかなり大きい。これは近年地質学的に証明されそうですね。
でも神功先輩の発表は今回は、『スンダランド』と『サフルランド』についてでした。
南方の遺伝子ミトコンドリアDNAのM7系統はここから? 現在の日本人に多いM7aに派生したと考えられる。という至極まともな話からでしたw。
現在もタイランド湾のマレー半島、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、パプアニューギニア付近からオーストラリアにかけて浅い海が広く連なっているけど、今から5、6万年前頃には水深80mくらいの浅いスンダ大陸棚がつづいている。
タイの中央部を流れタイランド湾に注ぐチャオプラヤー川が堆積して出来たスンダランドという半島があったというお話の事だね。
現在も大スンダ列島、スンダ列島という名前も残り、オーストラリアからパプアニューギニアまですっぽりと覆う地域の方は、サフルランドと呼ばれていた。
南極にあるとされた幻の大陸メガラニカは、今はオーストラリアの事だと話が落ち着いています。
でも私はこれはそのオーストラリアを含んだサフルランドだと思っているよw。
スンダランドとサフルランドは地続きで繋がっていた可能性もあるかもしれない。
神功先輩のお話のトンデモな所は、ここに超古代文明があって農業や産業が発展して繁栄し、その末裔が日本にやって来た。そしてスンダランドこそが東のエデンではないか? と言う説だったよw。
神功先輩の超古代文明は近代都市より科学が進んでたって言う話だからねw。
私の反論としては、「農業も発展し」と言う神功先輩が膨らませている話しに対して、
「確かにサフルランドの方や近辺にはいくつかの巨石文明がありますが、超古代文明という程の人口を養うのは難しくて、農業は塩害が酷くてナトリウムを吸着する作用がある石灰を含んだ土壌改良剤でも使わないと農業では栄えません」
という反論には納得して貰いました。あの辺りは『緑の砂漠』という位、塩害が厳しい地域ですからね。
その代り、彼らは造船、操船技術が発達して、魚などの魚介類からタンパク質を摂取する安定した生活を手に入れたのだと思ってるよ。
そして狩猟生活では大量の人口は賄えない。農業が栄えないと無理。
太平洋側は氷河期でも大西洋側よりも氷も少なく、あの近辺の赤道直下では気温は3度~20度であったと言われてますから、それでも安定した生活は出来たのかと思います。
サフルランド側に見つかった古い壁画にもカヌーとそれを漕いでいるものがあるからね。
まあオーストラリアだけどねw。
その後、氷河期後の海面上昇が始まり、一部は高い場所へ、他の人は海洋へと出て行き、6万年前頃から発生している黒潮に乗って自然と日本にたどり着く訳だよね。
沖縄で見つかった港川人と名付けられた人骨の堀の深い顔立ちはインドネシアのワジャク人に良く似ていると言われている。
日本には元々海人族がいましたが彼らは海女で潜って取る人達の事ですよね。
海人族が海を支配していましたが、古事記や日本書紀の神代記に出て来る、海幸彦は隼人の祖先で、それがスンダランド出身ではないか?
という説はそれっぽいと思うよw。
この後、参加していた葛城さんや私も面白くて議論に参加したけど、古い時代の黒曜石の分布、例えば武蔵野台地から発見された黒曜石は伊豆諸島の神津島から持ち込まれた黒曜石で、当時の船の技術では難しいと考えられてましたけど、スンダランドの操船技術なら本土までは30km位だから可能だと言うような議論ですw。
あの近辺の方々と日本人の遺伝子や様々な共通点はこんなのがあったからかもしれませんね。
様々な共通点や神話の類話などは共通祖先の可能性が高く面白い話も沢山ありますからね。
いや、神功先輩の発表にしては今回の『スンダランド』のお話は凄く面白かったよw。
(失礼なw)
◇◇◇◇◇
【飛び級か休学か?】
困った事に、私はまだ貴族学院で学び始めて1年と半年も経過してないんですよ。しかも結構休学もしています。でもここのプラマーリアで学ぶ事は全部終わってしまっていて、授業は時間の無駄だから飛び級か優良休学のどちらかを選ぶ方がいいと校長先生に呼び出されて言われたんだよ。
確かにユリアーナ先生の家庭教師の時には何も教える事がないとか言われましたがそれだと貴族学院へ行けなくなっちゃいますからね。特有の貴族学とか魔法の座学も好きなのですけど、、、。
例えば、魔法学なんかだと、一年は遠隔通話、2年は魔術具、3年は身体強化と学ぶんだけど、これ私もう全部終わってて、体力強化や癒しなんかも出来るんだけど、この辺りを日本の新倉先生と議論した人間の様々な能力やドーパミン、アドレナリン、白血球、免疫なんかの働きと照らし合わせて魔法学のヘルマン・フォン・アイヒホルン先生と相当議論しました。
先生は結構興味深そうに数日学校を休んで何かの論文を書いていたって言ってたよ。
確かに元々人の持つ能力かもしれないけど人は自由にこれらを意思で制御出来る訳じゃないからね。魔法は特別な力だよね。
他の教科も全部終わってるw。
飛び級も考えたけど、ようやくみんなの名前も覚えてきたしw、リナ達とも一緒じゃないと後々色々と面倒だよねと思ってプラマーリアを休学する事にしたよ。
一年半だけど、色々と遊べるかなと思うw。
(えっ、文明の発展? いや、休暇や寝る時間の方が優先だよねw)
でもそう決めたらリナ達からめっちゃ恨まれたよw。
当たり前だって?w。
開発の方は以前の知り合いは全部忙しくて多分そんなに私がお願いするのは無理。
フェリックスは懐中時計とストップウォッチを仕上げたけど、ちょっとラスティーネ叔母様の旅館へ3ヶ月の間、強制的に静養させてます。勿論、費用は私もち。
時々、週末にマルグリットが会いに行ってるみたいだけどね。
この懐中時計は今は3つしかなくて一つはお父様が使っていて後は私が使ってるよ。
私が持つのとマルテかノーラが持ってる。
今では仕事も中央のギルドにも頼んでいて(これは私が中央の貴族学院に通ってるからっていう理由で出来る事なんだけど)、ギルド長のライハートさん、アルビーさん、ハーノさん、ウィリアムさんなんかにも頑張って貰ってるよ。
私はのんびりでもいいんだけど、どうやらもうすぐクラウに頼んでいたのが出来そうなんだよね。
いや、これお休みだと私が動き易いよねw。
これはクラウのオリジナルエンジンだけど、高速艇の特殊クルーザーw。
エンジンは結構大きいです。
グラスファイバーのGFRP製で形状やスクリューの最新開発(実はアレもw)を利用、構造も機能も全体的にトンデモない技術を集めて作ってますw。前に出資した先生が凄い知識なんだよw。まだ若い助教授なんだけどね。恐らくGFRPの技術については後でもう少し詳しくお話出来るかと思います。
その先生が考えていた夢の船舶の設計と高速艇クルーザーの設計を頂いて合わせて改造したのがこれw。
これは時間もお金も凄く掛かってるw。
まあ日本で出来なきゃまずこっちでやるのですw。フィードバックの意見くらいなら私も言えます。
地球でのスクリュー船は19世紀なんだけどこっちはまだない。しかもこれは最高効率の最先端のもの。
形状もそうだけどダブルフロートを付けた波を吸収するタイプで揺れは1/4程度、波の力で電力もかなり賄うからエンジン発電に頼る分は軽減されるよ。
設計上の最高時速45ノットw。もう他の商船とか軍艦の倍以上なんだけどね。
連続航行距離も地球2周くらい平気w。
90人まで乗れて設備はキャンピングカーの比じゃないよ。
これは一般に広めるものじゃないからこれまで以上のオーバーテクノロジーで作ってますw。
これで海でバカンスとか最高だと思いませんか?w
これ作れるのこの世界ではクラウだけなんだよ。エンジンの話だけどね。他も私の技術者達じゃないと作れないw。
もう表彰したいくらいだよね。
クラウがエンジンを担当したクルーザーのシルバタリアでの進水式が先か?
ユリアーナ先生の鉄道の中央の1区間『ノブス ポンティス』と『ボナ フルーメン』の開通が先か?
今、密かに私の中だけで盛り上がってますw。
一般的には鉄道は開通式には国王様も出る予定だけど、船舶は非公開w。
大違いではあるんだけどね
◇◇◇◇◇
【冒険者】
こっちに冒険者がいない訳じゃないよ。何時の時代でも何処でもロマンを求める人達はいるのですw。
まあこれはマンガやアニメのとは全く違うけどね。
こっちの冒険者は大海原に出て新しい大陸を発見して一攫千金という感じなんだけど、普通は先住民族がいる訳だからそれは発見ではなくて到達ですよね。
この前疑問に思ってたのはトマトやじゃがいも、トウモロコシが何処から輸入されたのか?
が知りたいんだけど、貴族学院でユリアーナ先生から習った宗教的な地図だと全く判らないw。
海なんか周りに少し描かれているだけだからね。
でも、外国商人なら海図を持ってるんじゃないかと思うんですよ。
外国商人では無理でも冒険者ならあるかもだよね。
時折、冒険者が外国商人のようにやって来て貴族に面会を求めてロマンを説明してパトロンになって貰おうとする事があります。でも正直に言うと、とても『怪しい話』が多くて、この海の冒険者って海賊とあまり変わらなくて寄港先で金銀を奪って来る事が多いから貴族から海賊と言われて嫌われる事の方が多いんだよね。
元々バイキングで栄えてる地方もあるらしいからなんだかなぁですよね。
まあ長期の航海だとこの前みたいな壊血症なんかもあるし、食料やエールもお金が掛かるからパトロンが必要だけど結構難しいみたいだ。
◇◇◇◇◇
【雇用契約】
ガシャン!
うわっ、それウエッジウッドのカップだよね。
あー、、、。
美麗と神功先輩に話してから成瀬博士の所へ来て守秘義務のお願いをしてから、具体的にどう進めたらいいのか成瀬博士に古代都市の事を話して、この前見て貰った発掘物がある、かなーり古い街みたいのが残ってるって話したらちょっと高そうなカップを落としちゃったんだよ。
「ほ、ほ、ほ、本当なのかしら?」
「いや、私が嘘言ってお願いしてもしょうがないですよね」
いや、まずその落としたの拭こうよ。
「そうなんだけど、ちょっととても信じられないわ。かなり『怪しい話』よね」
「私達は詳しく調べた方がいいかなと思ってわたしもかなりの準備を進めているんですよ。でも広くてどうやって始めたらいいのか博士とご相談してからの方がいいかなと先にご相談させてもらいに来ました」
「そ、そこに構造物まで残っているの!?」
「はい、建物っぽいんですけど、かなり沢山あるみたいです」
「あ、あり得ないわよ。なんでそんなものが崩れないで残ってるのよ」
「いや、成瀬博士もご存知じゃないですか。品質保持の魔法が掛かっているんですよ。多分」
「そ、そ、そうなのね。直ぐに行くわ、行かせて頂戴!」
「いや、私の別荘なので週末までは少なくとも無理ですよ。何から始めればいいですか?」
「どれくらいの広さなのか正確に判る?」
「はい、ちょっと待ってください」
ガサガサ。地図に紀州さんに調べて貰った範囲を記載したものだ。
近隣の土地を含めた拡大地図で赤く地下空洞の範囲に枠を引いてある。
ピラッ。
「こ、こんなに広いの? これはどうやって調べたのよ」
「土木の専門の人に音波で地下空洞を調べてもらいました。以前シンクホール的なのがいくつかあったのですけど、今は調べて判る箇所は塞いであります。地下には私の別荘の専用エレベータから降りれます」
「準備は万端なのね。真っ暗だろうからまず照明を用意してヘッドライトなんかの準備からね」
「それが、、、なんか上の方から少し光が入って少しですけど見えるんですよ」
「そんなはずないでしょ。地下何十メートルも下なのに、、、」
「いや、そうなんですよ。でも明るくした方がいいので照明は準備してあります」
「よ、用意はいいわね。建物が無ければ音波かレーザーである程度スペースの状況は調べられるんだけど、何か高台みたいになってる部分はあったかしら?」
「ちょっと構造物が多いから無理な感じです。塔みたいのがあって頑張れば登れますけど遠くまでは見えないですよ」
「そ、そうなの。じゃあ少しずつマッピングしながら探索するしかないわね」
「そうですか。判りました。じゃあ週末の日曜に私の別荘まで来れますか?」
「隣でホテルもやってるのでしょ。空いていれば先に行ってるわね」
「判りました。では週末の日曜によろしくお願いします」
「九条さん。これ間違えなく世界遺産よ。色々と調査して論文を発表して、、、」
「成瀬博士。今回のお話はなかった事に、、、」
「わー! うそうそうそ、もう準備を始めるわね」
「はい」
◇◇◇◇◇
【敵基地?】
・・・。
「そうなのね。もう成瀬もだらしないわね。ちょっと待って」
美麗に話したらどこかに電話し始めた。
『櫻井? 草川に連絡して敵基地内部強行構造解析の小型ドローンを至急準備して頂戴。コントローラーはあなたのPCで。よろしく』
えっ! 今、『敵基地』って言わなかった?
「内部構造を先に割出してマッピングしてから探索出来るわよ。週末ね。判ったわ。私も出来るだけ参加するからあまり進めないで頂戴!」
「わたしが先にお宝を手に入れる」
「夢美。ちょっと神功 任那を監視してて頂戴ね」
「わかった。じゃあ二人共週末の日曜日に」
「ええ」
「らじゃ」
◇◇◇◇◇
【ルントシュテットへリズが来た】
私がルントシュテットへ戻るなりフォルカーさんから連絡が入りリズがルントシュテットへ行くと言われた。まあ判ってるけどね。尾行監視をキチンとやってくれてるんだね。
マルテもノーラもヘルムートもミスリアもルントシュテットへ戻り、ザルツ達はまたルントシュテットの屋敷まで引っ越して来た。
一年半だけど何回もごめんね。
リズには恐らくかなりの製品や発明者登録を規制前に確認されてると思う。
工業機器や線路なんかもだね。
まあ、今は見られても買われてもいいように経済産業省を作り輸出を制限しているから持ち出しは難しいはずだけど極秘に持ち出される可能性もあるから公安調査の方にも頑張って欲しい。
早速、お父さまに連絡が入り私と面会したいと言って来たそうだ。
まあ、いつまでも逃げるは難しいのかもだね。私は今休暇だしね。
週末に面会する事になったよ。
勿論、警戒しようと思ってる。
◇◇◇◇◇
【櫻井さんが参加】
週末、土曜日の夕方、別荘へ行った。
「美麗、神功先輩と成瀬博士も、、、」
「夢美、櫻井も一緒にやらせるわ。男手があった方がいいでしょ」
まあ、櫻井さんならいいか。
なんで前の日にもういるの。どんだけ楽しみにしてるんだってw。
私もだけど、、、。
「判った」
「ちょっと空間を調べるから先に地下に案内してくれない」
「えっ、明日からって言ったじゃん」
「探索はしないわよ。ドローンで空間を確認するだけだから直ぐに終わるわ」
「うん、判った。じゃあお腹空いてるから早くそれやっちゃおう」
◇◇◇◇◇
【自立型ドローンの自動マップに異常?】
秘密の部屋で鍵を使ってエレベータを出す。
「日本防衛隊の秘密基地みたいw」
神功先輩はTVの見過ぎですw。
私達は櫻井さんも一緒に別荘の秘密ルームから地下へ降りる。
ライトが点いている地下の部分でスイッチを操作して目隠しをしていたシートのカーテンを開けた。
ウィーン。
眼前に遠くまで古代都市遺跡が広がる。明るさはかなり暗く先の方はもう見えない。
「わぁ!」
「これこれ」
「凄いな」
「完全に古代都市ね。これがあれ程古いなんて、、、」
「もう外も暗くなるのにまだ少し明るいわね」
「うん、ちょっと不思議だね。でも夜中には暗くなるみたいだよ」
「そうなの。何なのかしらね」
「こんなに深い地下なのに少しでも明るい方が異常だわよ」
「櫻井、お願い」
「はい」
櫻井さんがアタッシュケースみたいなケースを開ける。
カチャ。
PCとかなり小さいドローンが十数台出て来た。
櫻井さんが脇のちょっと大きめのPCを操作すると、ドローンが順に飛び立って、どこかへ飛んでいった。
フィーン!
「これでいいわ。何時間かすれば構造が判るはずよ。一旦ホテルに戻って食事にしましょう」
私達はホテルに向かった。
「判った。ホテルに泊まってくれたの?」
「ええ、あそこにウイリアムが宿泊したのね」
「うん」
「和的要素もふんだんで喜びそうだわ。あのパンフレットも夢美が?」
「そうだよ。従兄の恵一さんも書いてる」
「あれはなかなかいいアイデアね。うちも早速取り入れさせてもらうわ」
「うちはもう指示した」
「任那っ!」
「何?」
「いえ、な、何でもないわ」
もう、この二人はもうしょうがない事ばっかだよ。
でも、なんか前よりも少し美麗が丸くなってきた気がする。
レストランに入る。
席に案内してくれたウエイトレスさんもいるけど、恐らくこの時間は恵一さんがコックさんと一緒に料理を作ってるはずだw。
先に飲み物を頼んでからメニューを吟味するw。
一応、和食主体だけど、色んなのが食べれるよ。わざと硬いパンもあるw。
美麗はあまりお腹が空いてないと言い色んな具材が詰まったフォカッチャ、神功先輩がこの地域の豚のトンカツ、私はやっぱりこの地域の豚もも肉とネギを使ったカレー、成瀬博士は冷たい舞茸の天ぷらうどん、櫻井さんがBLTサンドイッチにしたよ。
なんか色々だけど、恵一さん達頑張って~♪
「どう? 櫻井」
「はい。まだ一機も戻ってませんが近くからは情報が来てます。電波はかなり厳しいようですが、かなり迷路のようですね」
美麗がPCの画面を覗き込む。
「放っておいて大丈夫なんですか?」
「通信が出来れば情報は送れるけど、あそこは電波も厳しいからこれは自立型なのよ。これは距離計算だけど、探索のGPSも無理かもしれないわ。共通のアルゴリズムで全ての道を探査して探査が終われば自動的にさっきの場所へ戻るわ」
「なんか凄い機能だね」
「当然よ。これは、、、」
「お嬢様っ!」
「そ、そうだったわね。まあ良く出来ているのよ」
なんか櫻井さん慌ててたけど私達に聞かせられない話みたいだねw。
飲み物と美麗の色んな具材が詰まったフォカッチャが先に来た。
かなり美味しそうだ。私も食べたけど実際に美味いんだよ。
「では、お先に頂くわね。これはこの地方の和牛かしら?」
「うん、それは甘辛の焼肉だね。美味しいよ。結構この地域の食材を使ってるんだよ。私の豚も神功先輩のもそう。うどんも有名な美味しいやつ。櫻井さんのサンドイッチは、、、判らないや」
なんか櫻井さんがガクッとしてくれたよw。ありがとう。
「かなり美味しいわね」
「うん、それ美味いんだよ。その卵とブロッコリーのもキノコとエビのも絶品だよ」
「そうなの。でもこのホテルのVIPルームが埋まってるのなら夢美はかなりの売り上げでしょ」
「いや、わたしは未だ判らないよ」
「客層もよさそうだったわね」
「今日は美麗が泊まってくれたんでしょ?」
「わたしも」
神功先輩もVIPがとれたのか。
「何度も来るなら年間で借りてもいいかしら」
「他のお客さんがいるから勘弁して」
次々に料理が出来てきた。
「私は普通の部屋だけど、広くて凄くいい部屋だったわ」
「あれなら家族でも使えそうですね」
櫻井さんも普通の部屋なんだねw。
「はい、予約があれば追加でベッドを足せます」
「作りもセキュリティ的にばっちりですよ」
いや、そういうのは判らないけど櫻井さんが合格をくれたのなら大丈夫なかw。
まあ、前島さんだからねw。
「ユメミン、この辺りでUFOの目撃とか多発してない?」
神功先輩、UFO研究家の矢上純一ファンだって言ってたからなぁ。UFO地下基地説か!
「聞いた事ないですよ。ユメミンは勘弁してください」
はぁ、美味しかった。私、このカレー好き。
食べ終わったので、場所を移してコーヒーや紅茶を頼んで話し合った。
私は寝れなくなるから紅茶だw。
「もう、そろそろかしら?」
「えーと、まだ3機戻ってませんね。えっ!! 1機ロストしてます!」
「そんなはずないでしょ。敵兵がいる訳じゃないのよ」
「いえ、7号が大分先ですがロストしたようです」
「このエリアもおかしいわね」
「本当ですね。何か行けない理由があるのでしょうか?」
「すぐ草川に連絡しなさい!」
「はい」
櫻井さんが外へ出た。スマホだろうね。
なんか、ドローンがなくなったのかな。そんな慌てることなんだろうか?
櫻井さんが戻って来た。
『お嬢様。通常はあり得ないので後でデータを確認させて欲しいとのことです』
『草川には渡せないわ。仕方ないわね、これでやりましょう』
「これを見て頂戴」
美麗がPCをこっちに向けた。
画面のかなりの範囲に細かく線が繋がっている。まるで迷路だね。
数か所、地下のエリアのはずなのにいけない箇所があって、一番奥の方はほぼ判らないようだ。
「このマップを後でデータにして共有するから、このマップの端から調査して行きましょう」
「凄いね。こんなの出来るんだ」
「それが、今回は上手くいかなかった箇所があるのよ。まずは最初のこの不明範囲を目指しましょう。この地点をU1とします」
「アンノウンだね。美麗隊長!」
「あなたの調査隊よw」
「ユメミン調査隊!」
「神功先輩、それもういいです」
「では明日朝09:00に夢美の別荘の前に集合!」
「判った。今日はここに泊まらないで私の別荘でもいいよ」
「もう使ってるからこのままでいいわ」
「わたしもいい」
「今度から貸して欲しいわ」
「判りました成瀬博士。じゃあ今日はこれで。おやすみなさい」
「はい」
「じゃね」
別荘へ戻って私の部屋へ行くと美麗からデータが届いた。標準で開ける形式のやつだね。
地下の範囲に線がびっちり、エリアは盾と横に英字と数値が入って線が書かれてる。
さっきの位置にはU1、他のにもU2、U3と既に書かれていた。
なに、この手際の良さ。
多分成瀬博士もびっくりしてると思う。
よし、明日はたまには早めに起きて遅れないようにしようw。
◇◇◇◇◇
【怪しい話】
会議室じゃなくて、食堂の長いテーブルの部屋を少し片づけて準備した。
私が長いテーブルの端で遠くの端がリズさんの席だ。
「本当ですか?」
「はい。ありますよ」
国務長官であるクルツバッハ伯爵が『気を付けて下さい』と言っていた意味はリズが部屋に入って来た瞬間に理解した。
明らかにヤバい人だ。これは感覚的なのだけと穏やかそうに見える歩き方も雰囲気も予想外の能力をこの人は持っている。殺気までは見せないけど兵士達とは異なる言うなれば暗殺者のような感じだ。
一緒に連れてきた人も一人はリズさんと同じ感じで、他の二人は完全にダメ。黒いオーラのようなものさえ感じられそうな殺気のある暗殺者だ。
ランハートさんもレイモンドさんもこれには気がつき、ザルツやカーマインも勿論気が付いている。
こっちは護衛が六人もいる。
私はリズさん一人を席に座って貰い他の方は後の壁で待機して貰った。
元々リズさんとの面談なので席は一つしか用意しなかったからね。
リズさんは『是非、交易を』と言うけど産業機器の多くは武器作成が可能なので出せないと言うと、別の話を振ってきた。
冒険者の話だ。
リズさんも女性なのに二度航海に出て見知らぬ国に行った事があるそうだ。
『女性は船に乗れないのでは?』
と言うと、『ソフィア様もターオンへ出向かれた際に乗船してますよね。それは軍艦のお話ですよ』と至極まともに答えた。
『ソフィア様にはまだ早いお話かもしれませんが男達も多いので貞操の危機はあります。でも強ければ問題になりません』
いや、強そうだけどそういう解決方法なのw。
「それに、女性ばかりの冒険者や海賊もいるんですよ」
それは知らなかったよ。
「そうなんですね」
「なんならご紹介しますよ」
「大丈夫ですw」
いや、海賊の知り合いがいてもなぁw。
でも、この人ならもしかしたら海図を持ってるかもしれないよね。
そして聞いてみたら『今持ってますよ』って言うから『本当ですか?』って聞いたところだよ。
「本当ですか?」
「はい、ありますよ」
「それを見せて貰えませんか?」
「えーと、どうしようかなぁ、ソフィア様はわたしを警戒してるしなぁ」
この人w。
ザルツが気を発するとリズの後の人達も全員気を発した。
マルテもノーラもリズの態度にかなり不機嫌な感じだ。
「ザルツ。大丈夫です」
「ソフィア様は冒険に行きたいのですか?」
「いえ、まず世界の形を確認したいのです」
「確認!? わー、まるでソフィア様はご自分で不確かな世界を御存じのようですね」
ぐっ、しまった、言葉を間違えた。確かに地球のは判るけどこっちは判らないんだよね。
でもやっぱりこの人、気が抜けないね。
「いえ、貴族学院で習ったマッパ・ムンディしか知りませんよ」
「あー成る程、あれは最高に『怪しい話』です。宗教用なので本当の世界は全く違いますよ」
そりゃそうだよ。
「ではこうしましょう。ソフィア様の船が出来たらわたしを乗せて下さいませ。これで手を打ちましょう」
ぐっ、船を非公開で作ってるのリズさんは完全に知ってるよ。
まあ乗せるだけならいいか。
「判りました。リズさんお一人だけですよ」
「あはは、今日はガラの悪いのを連れて来たから嫌われちゃいましたね。はい、それでいいですよ」
「これが世界の地図です」
ソフィアの世界は過去の同じ地球なのか? 今、ここに真実が明かされる?w。
次回:ヤバい異世界地図?/地獄絵図
お楽しみに♪