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ドゥープレックス ビータ ~異世界と日本の二重生活~  作者: ルーニック
第二部 第一章 夢の海外旅行
111/129

ゆかいなロンドン、楽しいロンドン

デンマークは象徴的ですねw。

人間性、犯罪率、環境的な話、税金等の数値をカット。

いや、フィクションですよw。

※この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、国、地方、大学、マスコミ、博物館の名称等は全て架空のものです。


【ヤバいよロンドン】


 日本を午後一時半位にプライベートジェットで飛び立って、15時間弱のフライトでロンドンに着いた。今は日本の時計だと午前4時位で時差がー8時間だからロンドンは夜8時だよ。私は最近睡眠時間が取れてなかったから夕方から寝ちゃってさっき起きた所だけど、このまま夜寝ていいって言われたら多分眠れると思うw。


 小さい頃に何回か来てるけどロンドンはかなり北にあって日本の感覚とは結構違う。

 実際にはイギリスは寒帯にあるからだけど、それでも温かい海流の影響で人が住みやすい土地で、だから霧も多くなる。

 まあ、白夜っていう訳じゃないんだけど、夏の初めくらいから夏には16時間くらい日長(太陽が出てる時間)があるけど、逆に年末のこの時期だともう凄く短くて日長は半分の8時間くらいになる。朝太陽が出るのが8時位で日没は午後4時位だよ。


 美麗の会社の部長さんと美麗のボディーガードの櫻井さんなんかも来てるよ。

 美鈴先生はロンドンは初めてだそうだ。


 ここでも長い車が待機しててロンドンの街を走り美麗の系列ホテルに行く。

 街並はもう完全に夜で、子供の頃は気が付かなかっただけかもしれないけど、意外と多くブルカを着用した移民の方がかなりの数歩いていた。


 美麗によれば最近は治安も悪いからあまり出歩かない方がいいらしい。

 最近は日本人観光客も狙われていて繁華街でもひったくりや『パスポートと財布を見せて』という警官のコスプレをした犯罪まであるそうだ。いや財布は警察関係ないよね。

 なんか昔伯父さんがイタリアに旅行した時、カメラで写真を撮ろうとして三脚を立てて写ろうと移動して見たらもうカメラがなかったって言う話を聞いた事があるけど、どうやらロンドンも今はそんな感じでかなり厳しいらしい。


 ヤバいねロンドン。


 そうなんだね。前は夜街に連れて行って貰った記憶もあるけどね。随分と変わった感じだね。

 まあ、別に詳しくない街で用事もないのに日本じゃないんだから夜中になんて出歩きませんよ。

 私は日本でも怖い目にあった事があるけどここはそれがもう少し進んだ感じだ。

 

 ドリンクやお菓子は飛行機の中で貰って食べてたけど流石にお腹が空いてきて、ホテルのレストランで夕食を食べながら軽く打ち合わせをする。


 明日は朝から先方とミーティングで、契約が決まっても決まらなくても保留でも夜は先方の予約してくれてるレストランで食事という予定で、そこがドレスコードのあるお店なのでドレスが必要なのだそうだ。


 藤井部長とその奥さん、そして私達だけどね。

 先方は最高執行責任者COOのリチャード・ロックマイヤーさんで社長のCEOはお兄さんなのだそうだ。名字がこの取引先の会社の一族だってわかる。

 どうやら美鈴先生の技術に興味があったようだけど、私と美鈴先生は説明するしかないから説明するだけだよ。

 藤井部長もいい人っぽいからお仕事のお話の方は美麗と部長さんに任せればいいよね。

 でも美麗によれば数年の契約で4000億とかとんでもない金額を言ってた気がするけど、きっと聞き間違えだと思う。そんなの大きめの企業の年商だよ。


 美麗としてはその額よりも日本の別の分野での彼らの協力を求めたくて、その為には大幅に割り引いてもいいというような営業的な難しそうな話を部長さんとしてたよ。


 私達は食後、高級ホテルで時差からかなんとなくボーっとしていた美鈴先生と色々とTV番組とかちょっと見てから早めに寝る事にした。


◇◇◇◇◇


【シークレット】


 エリザベス女王陛下の護衛も側使えもいるが、説明や危険回避の為に、文官のロザリア・フォン・マッケンゼンと第一騎士団のフランチェスカ・フォン・ブラウヒッチュが付く。しかし彼女達は言葉は話せず通訳を使う女王陛下の思いのままである。

 自由奔放に動き回るだけでなく、女王陛下には秘密があり、それを内緒にする事を約束してようやく2人は側に着かせて貰った。

 勿論、王家の護衛達は普通の人に紛れて遠くから護衛をしている。

 

 秘密は、、、。


 そう、子供達である。

 彼女には9歳になる双子の子供がいるが対外的にも政治の為に独身という事になっている。

 この事実をターオンにいる者達にも知られたくない為に普段は一緒に街へ出るなどという事は出来ないが誰も知る者がいないグレースフェールであればそれが叶うと今回のお忍びの来訪となったのが主な理由だった。

 一見、年上の側仕えの子供達のように見えるが少し一緒に過ごせば直ぐに女王陛下の子供達だと判る。


 女王陛下は子供達と繁華街で楽しく過ごし、柔らかすぎる位のソフトクリームを食べ、クレープやプリンを食べながら子供達の笑顔がはじけるのを楽しそうに見ていた。


 粗末なバッスルスタイルのドレスを着て、どこへ行っても自分の事を女王陛下と気が付いてないにも関わらず経験したことのない親切な人達ばかりで、これはここの宗教が良いのかとも思った。


 お店には宝石類、装飾品、ドレスなど、ターオンの常識では考えられない程面白いものを沢山発見し、数々の物を購入していたが、これは殆ど女王陛下本人のもので、今回はお忍びであり他の者にはあまり知らされていない。

 子供達は木製の空飛ぶ飛行機や、さまざまなゲーム、この時期に人気を博した小さなぬいぐるみの人形などを買って貰い嬉しそうにしていた。


 この小さなぬいぐるみのファンシーグッズは、ソフィアが原型を作りアメリアのお店アメリーで制作・販売している。


 ソフィアは当初日本で見たようなアクリルパネルのアニメキャラのイメージだったそうだが、当時アクリル板が未だなく、小さなデフォルメされたぬいぐるみを丸い板に固定された短いワイヤーの先につけ、机の上に置いて小さなぬいぐるみがブラブラと動くものであった。

 ソフィアの作ったものとしては、当初の構想の面影もない失敗作であったが、ファンシーグッズとして一番数が出ているものだったw。


 ターオンにはない数々の遊戯やオペラでない観劇も斬新を極めた『勇者と火魔法使い』の物語で子供達はその演出に大喜びだった。


 ・・・。


 ターオンと比べ、文化的側面があまりにも栄ている。


 自分は女王として様々な地域に派兵し、貴族達は戦争をして勝った、負けた、土地を取った、取られたと言っている間に、このグレースフェールはそんな事をせずに文化が急速に発展している。


 間もなく年が明け新年を迎える静かな夜が訪れエリザベスは思った。


 こんな事が出来る者こそが民を一番愛しているのかもしれないと。


 何故じゃ!


 他国を制服し富も得ている我がターオンの貴族達の方が明らかに裕福だろう。

 愛国心の強さも負けず、ノブレスオブリージュを高らかに唱え、敵が来れば例え一人でも敵に突っ込んで行くであろう。

 

 しかし、民も貴族もこの地の者達のような明るい笑顔でもないし、誠実な者もいない。

 ターオンでは騙しあいの策略や謀略で変死も相次ぐ。


 派兵も直ぐに対応しておるしイタリカの戦争も終結しフランクとスコッチランドの講和もなった。


 富も栄誉も軍備も圧倒的に我が国が勝っているであろうに何故なのじゃ!


 エリザベスは常々『自分程、民を愛している王はいない』と思っていたが、このグレースフェールの民達を見てその自信が揺らいでいた。



「ここの者達に気が付かれぬようにシークレットを呼べ」

「御意」


 ・・・。


「女王陛下、お呼びでしょうか?」

「なんじゃ、見た顔じゃな。其方は護衛に紛れておったのか」

「女王陛下のいらっしゃいますこの時だけでございます」


「この国の文化の発展の理由は掴んでおろうな? これはどんな理由なのか?」

「はい。その訳はルントシュテットにございます」

「隣の領地か? うむ、明日までにまとめて報告せよ」

「はっ、女王陛下の仰せのままに」



◇◇◇◇◇


【まだ何も話してないんですけど】


 ロンドンの先方の会社でミーティングが始まった。

 先方は最高執行責任者COOのリチャード・ロックマイヤーさんとその部下の男性一人女性一人でこちらは藤井部長と美麗、美鈴先生と私だ。


 お話がどう進むのか私も美鈴先生も全く判らなかったので、黙って聞いていようかと思っていた。


 ミーディングが始まると、リチャードさんは私を見て、


「やはりユメミさんですね。ミュール、今回の契約はそちらの言い値で契約しますよ。例の件も社長からGOサインが出てますから協力させて貰います。いやぁ、仕事が早く終わって助かりましたよ」


 私と美鈴先生だけでなく、美麗も藤井部長さんも何の事なのか全く判らなかったようだけど、先方は契約すると明言していたよ。


「そうだ、ミュール、今日の晩餐は場所がキャネリーに変わったからホテルまで迎えに行かせるよ。うちのお店で三ツ星を貰っている所だよ。凄く美味しいから楽しみにしていてね」

「わかりました、リチャードさん。ありがとうございます」


 なんか、私も美鈴先生も何も判らない内にしかも何も話さないで仕事が終わってたよ。

 美麗も藤井部長も良く事態が飲み込めていないようだ。


 私達は出来るだけ危険でない地域に向かって紅茶を飲みながら美麗と話したけど美麗もどうして上手くいったのか理由が判らないらしい。

 藤井部長さんは奥さんと買い物に出掛けますと余った時間を楽しみ、夜にまた会う約束をして別れた。

 私と美鈴先生は放っておかれると迷子にでもなりそうだから美麗にロンドンを案内して貰って買い物を楽しんだ。櫻井さん達の護衛もついているから結構安心だよ。


 乗って来た車でお昼のレストランに連れて行って貰っている途中で何かの騒動で車は完全に止まっていた。


 運転手さんが言う。

「最近多いのですが、ちょっとケンカが始まってしまったようです。危険ですから遠回りして歩いて行かれた方が時間的に早いと思いますが、どうされますか?」


 私達は歩いて遠回りしてレストランへ行く事になった。

 正直、美麗は結構気が短いから待つのはないかなぁと思ったよw。


 櫻井さん達が気を付けながら道を選んで他の護衛の人達も私達の周りで歩いてくれた。


 もうすぐレストランという所で、いきなりケンカが始まった。


 単純に、移民差別とか言う観点で言ってしまえば、ブルカを着用した方々だけでなく、この辺りではアジア人に対する差別もある。

 そういう意味では、そういった事が原因のケンカは日本人にとってもかなり危ないものだと思う。


 ブルカを着用した人が一人こっちに走って来た。


 えっ、この人殺意がある!


 櫻井さんが叫ぶ

「相場! 水無瀬! そいつを止めろっ!」


 別のボディーガードの人が体当たりして走って来た人を転がせると大きなナイフが落ちた。


 カシャン。

 えっ!!


 私は周りを警戒したけど、人の数が多くて続いて危険なのかは良く判らなかったけど、この人以外はあまり殺意のようなものは感じられなかった。櫻井さんにもなんかわかるんだね。


 美麗はそれを見ても顔色一つ変えずにいた。


 櫻井さんが路地に連れて行き暫くして戻ってくると美麗に何か話していた。


 こ、怖いよロンドン。


「夢美、美鈴、ちょっと驚いたでしょ。でも平気だから。こんなのはよくあるのよ」


 いや、よくあるんかいっ!


「ゆ、夢美ちゃん、わたし生きて帰れるかな」

「それは大丈夫だと思いますよ」

「そ、そう?」

「今日までですよ」

「そ、そうだね。一緒に乗り切ろうね」


 なんか美鈴先生と話すと私達が何かのタイムリミットのあるアクション映画の中にいるみたいだよw。


 私達はレストランでフィッシュアンドチップスを食べてからホテルに戻る事にした。

 正直あまり美味しくなくてホテルで食べた方が良かったかもしれないけど、これも経験だよね。


 さっき降りた長い車が待っていて問題なくホテルまで戻った。


 お茶をしながら美麗と話す。

「夢美、あなたさっきリチャードに『やはりユメミさんですね』と言われてたわよね。彼の事を知っていたのかしら?」

「いや、そんな訳ないじゃんか。今日初めて会ったに決まってるじゃん」

「そう。ではなんでこんなに簡単に先方から契約するなんて言って来たのかしら。今回は難しいから藤井を連れて来たのだけれど、、、」

「まあ、決まったならいいんじゃないの?」

「そんな訳ないでしょう。ビジネスのその理由が判らなければ組み立てが出来ない事もあるのよ。まあ調べさせるけど夜に貴方からも聞いて貰えない?」

「判ったよ。さっきの話を聞けばいいだけだよね」

「ええ。判れば今回の報酬を上乗せするわ」

「気前がいいね」

「それだけこちらにはメリットがあるのよ」


 もう美麗はビジネスの話が凄すぎて正直何を話してるのか良く判らないよ。本当に同じ学年だよね。

 まあ私達の考えをお金にしてくれる貴重な人なのは間違えないから信じてるし本当に感謝はしてるよ。


 美鈴先生がさっきのケンカを見た件でちょっと疲れたと言って部屋へ戻ると、ベッドに倒れ込んで寝息をたて出したよ。

 まあ、時差もあるからね。


 私もお昼寝に付き合ってみましたw。


◇◇◇◇◇


 いや、やっぱ夢美がお昼寝すると、こっちの私は夜中に目が覚めるんだよ。

 別にトイレとか行きたくないし、こっちは時差とかないのにね。

 何なのこのシステムw。


◇◇◇◇◇


【キャネリーにて】


 美麗によればキャネリーというお店は凄い三ツ星レストランで美麗でもなかなか予約は取れないそうだ。最初に予定していたレストランの倍くらい凄いらしい。

 藤井部長も正装で、奥さんもドレスを着て準備してきた。

 美麗はなんか凄いドレスなんだけど、めっちゃ似合ってるのは何故?

 いや結構マジで本当に同じ中二だよね。


 美鈴先生は結婚式に出席した時のドレスで、私はあのピチピチのセクシードレスだ。

 本当に早く買っておくんだったよ。


 お店の席に案内されるとリチャードさん夫妻が既にいた。

 社長夫妻は少し遅れるらしい。

 アペリティフが出され、私と美鈴先生はそのお酒は飲まずにアイスウォーター、美麗はスパークリングにした。

 藤井部長の奥さんもリチャードさんに挨拶して、リチャードさんの奥さんも紹介してくれた。そしてみんなに聞いて来た。


「皆さんは以前、ロンドンにいらっしゃった事がありますか?」

「勿論ありますよ」

「はい」

「わたしもあります」

「初めてです」

「わたしも初めて」


「ほんの数年前と違って結構治安が悪くなってしまってきっとガッカリしますよね。住んでいる私達もガッカリしているのですよ。この国では近年の生産性上昇率は過去200年で最低となり、社会保障も医療費もこれから増加し続けるでしょう。財政もこのままでは無理な事は目に見えています。GDPを上げる事などが目的であればそれを生活の安全やレベルまで落としてやるべきなのか?と国民も疑問に思ってます。ならば人口の多い他の誰も移民先にしたくないより酷い国の方がGDPは上だと。国民はそんな生活は望んではいません。政治家も残念な状態でもう前の過ごしやすい状態に戻るのは無理だと考えています」


「シンガポールのように社会保障をせずに労働力と割りきらなければどこも負債を増やしているだけでしかありませんからね。今は何処の国もにたようなものですわ。ドイツもかなり酷いですから」

「そうですね。そこでまだ極秘ですが、うちは工場を他国へ移転する予定で検討を始めました」

「えっ! ここも税収が大打撃でしょう。そんな事を教えて頂いてもいいんですか?」

「はい。政治家がそう進めているのだから仕方ありませんよ。ミュールの西園寺グループさんとはそこでも仲良くさせて頂こうかと思っています」

「それはありがとうございます」


 私は話に入ろうとさっき美麗に言われた質問をした。


「リチャードさん、今朝、私を見て『ユメミさんですね』と仰ってましたけど、私と面識はございますか?」

「あはははは、兄の所で調べたそうで、私は面識がありませんが、写真を見せて貰ってお顔は存じ上げていましたよ。実は兄の奥さんも私もかなりの親日家でして、、、」


 リチャードさんがそう言った時、CEO夫妻がやって来た。


 えっ!


「ウイリアムさん! リンダさん!」

「やあユメミ。イギリスへ良く来れくれたね。皆さんもこんばんわ」


「ゆ、夢美。お知り合いなの?」

「わたしの田舎のホテルに泊まりに来てくれたんだよ」


「あの時は世話になったよ。着物を着れた時は本当に感激したよ。あんなに簡単に着れるとは思っていなかったからね。私達はユメミのおかげで夢のような楽しい日々を過ごして、戻ってからリチャードに写真を見せながら自慢していたんだ。日本は世界一いい国だったよ」

「全く、兄が自慢ばかりするから今度は私が遊びに行くよ。ミュールもこんなに信頼できるユメミのような人と一緒にやってるのなら一切の心配はいらないと今回の話も即決だったよ」


「そうなのですね。工場は日本にでも移転しますか? うちで色々と用意しますよ」

「ありがとうミュール。そう出来たら僕らも嬉しいんだけどね。日本はいい国なんだけど税金も高いし何より電気代が高過ぎる」


「確かにそうかもしれません」

「電気代に関してはデンマークは象徴的ですが、イタリア、ドイツ、そしてイギリス、日本位までは厳しいですね。軒並み自然エネルギーに舵を切った国々には当たり前ですがどこの企業も移転はしませんよ。デンマークはほぼ自然エネルギーになりましたが電気代は他の国々よりダントツの世界最高額で、今はどの企業も競って逃げ出していますよ。そのうち一社もなくなるのではないかと思う程の勢いです。御存じありませんか? また自国の企業だけに補助金で補填している所も無理ですね」

「デンマークのこの業界では一年で40%の企業が逃げ出すとか信じられない事が今おきてるからな」


「先進諸国が衰退して欲しい勢力は本当に強いのですね。それでも抗うアメリカは電気代が日本の半額ですからね。でも国がダメになりそうですね」

「それが政治家の思惑なら滅びれば彼らにも判るだろう。それではもう手遅れだがね。日本であれ程の儲けを出せるミュールは尊敬に値するよ。だけどユメミの所へは遊びに行くぞ」


「夢美、本当にありがとう」

「いや、たまたまだよ。でもリンダさんも着物姿が凄く綺麗で、ウイリアムさんと一緒に凄く似合ってたってうちの従業員(みんな)も驚いてましたよ」


「ありがとうユメミ。正直日本の事はわたしは行く前はそこまで知らなかったんだ。でもユメミのところのとても興味深いパンフレットを見て日本人の事まで色々と知れて日本で色んな経験が出来たよ。日本人は誠実で親切で信頼できると判ったしユメミなら間違えないとね」

「あははは、ありがとうございます」

「また時間が出来たらリチャードよりも先に行くからね」

「ウイリアム、それはないよ。先に休暇をくれよ。僕のクリスマス休暇はいつ始まるんだよ」

「考えとくな」

「あははは」


「はい、皆さんお待ちしてます。リンダさん、今度はフロントで着物も売ってますから見てくださいね。お待ちしてますよ」

「ウイリアム。早速ユメミの所へ買いにいくわよ」

「ああ、ミュールの契約が一段落したらまた行こう。ミュール、例の件もGOだ。君も信頼できるパートナーだよ」

「ありがとうございます。ウイリアムさん」


 こうしてロンドンの夜は更けたけど、私達はその日のうちにプライベートジェットで帰路についた。

 もう朝だけど家まで送って貰い美鈴先生も私の部屋に泊まった。って言うか寝た。


 24時間働けますかレベルだったよw。

 でも高額の契約もすんなり出来て用事は完全に済んだと思う。


 でも美麗に別れ際に『後で話しがある』って言われたよ。


 でもロンドンは危なそうな場面もあったけど、ウイリアムさんとリンダさんに再会出来て嬉しかったよ。


 後はピアノでも練習しながら年末はゆっくりと過ごそう。


◇◇◇◇◇


【やっぱりヤバい人だった】


 デパートルノール二号店に寄らなかった事をお母さまに怒られた。

 早速お針子さん達がやって来て、サイズを図り、私は美麗の着ていたドレスを真似したけど、あそこまで自信はなかったので背中の空をちょっと少なくした。


 ラーラと話していると、お父さまに呼び出された。

 お母さまも同席している。というか口論してたよ。

 部屋に戻っていいですかね。


「ソフィア。エリザベス女王陛下とお会いしなかったか?」


 あー、あの変な人エリザベスさんって言うんだね。名前も聞いてないよ。


「いきなり蒸気自動車の前に飛び出して来たのでご注意しました」

「あのお方はターオンの女王陛下だ」


 げっ、この辺りの列強国の中でも最強の国、ターオンの女王様なの?

 めっちゃやばかったじゃんか。


「申し訳ございません。飛び出された事をご注意はしましたが、側使えの方がいらっしゃって女王陛下と仰ったのでどこかの国の王族である事は判りましたがターオンの女王陛下とは判りませんでした。詳しく色々と聞かれそうでしたので、すぐに退散致しました」

「その判断は正しい。少しでも機嫌を損ねればグレースフェールなどあっという間に滅ぼされかねん」

「判りました」


 や、やばいねターオン。


「そのエリザベス女王陛下が新年会の舞踏会にお出になるそうだ」

「えっ? 本国に戻られずにですか?」

「ご自慢の船で直ぐの距離だから問題ないと仰っていた」

「はぁ、それでは何か粗相があってはいけませんから私は新年会の舞踏会には出席せずにお家にいますね」


()()()()()!」

「レ、レオノーレ、、、」

「貴族が新年の舞踏会に出ないなど、余程の重病か貴族籍の放棄くらいしかないのですよ。まだソフィアは多くの貴族への顔つなぎも出来ていないのに出ないなんてあり得ません!」

「エリザベス女王陛下をソフィアに会わせる訳にはいかんのだ」

「女王陛下はあの広いホールでも国王様のお側にいらっしゃるはずです。後ろの方であまり目立たないようにしていれば見つかる事などございません。ヴァルター様はソフィアが将来結婚出来なくても良いのですか!」


 いや、お母さま。話が飛躍し過ぎですよ。それに一応私には婚約者もいるんですよ。オスカー様が聞いたら泣きますよ。


「判った。では出来るだけ目立たないドレスにして後ろの方にいると約束すれば出ても良い」

「先程、グレースフェールで一番目立つドレスを注文したばかりですよ」

「直ちに別のものを作るように。お針子達から文句が出ればわたしが説得する」

「はい。お母さま。よろしいですよね」

「判ったわ。でもあの素晴らしいドレスも是非作りましょうね」

「はい」


 この後、涙目のお針子さん達が来て凄く地味なドレスをもう一着お願いした。

 ドレスが思い通りにならないよ。

 ご、ごめん、みんな。

 

新年の舞踏会でとうとう女王陛下に捕まってしまう?

更にヴァルターと共に牢獄へ?

次回:舞踏会とお餅ともやし

お楽しみに♪

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