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異世界から来たリクは本当に使えない  作者: 地底人のネコ
39/40

サクトルとヴェルク(2)

悪夢が始まった。

ついに全てのアカウントのネット接続が中断され、異世界の勇者達はログアウトできずに荒れたアカナの大地に身体を晒す事となったのだ。


それは、経験値をあげる為に貪欲に殺戮した代償か。


ただのゲームが現実世界となった時、プレイヤー達は今までの傍若無人な行いを清算する事となる。

「行くぞぉおおーー!!」


歯車の軋む音と共に下半身が蛸、上半身が筋骨隆々の『恐怖』の像が動き出した。

みると巨像の胸にはマルリン大司教の顔が露出しており『異世界の切り離し』と言う最後の切り札にかけて、狂気に笑っていた…!!


シムラ:「来るぞ!!」

ケンジ:「面白くなってきたな!」

V CHAN:「うん!!」

ヒキ:「やるか!」

シムラ率いるパーティがマルリン大司教に立ちはだかる。


jnonや他のアカウントは来たるべき選手交代とアイテム補助を担い。

Writeは漠然とした嫌な予感に新規アカウントの陰に隠れていた。


皆、大多数のユーザーが1つのサーバーにパーティとして入れる事に湧き立ち。

徐々に接続を切って退出する事が出来なくなっている事を脅威とは思っていなかった…。

退出できない者は幾ばくかの不安を抱えたまま戦闘が終わるのを見守り、巨額の富と経験値に目が眩んで大きな声を上げなかったのだ。


───この時が来るまでは────


マルリン大司教が一本の触手を挙げて呪文を唱える。

「風の女神クアラ・フフルよ!!その強靭な刃で愚者を吹き飛ばし、切り裂きたまえ!!ウィンドエペレルラ!!」

ウィンドエペレルラは風属性の中級魔法であり、巨大な盾や地面を上空に吹き上げ、次に横に切り裂く緑の刃が飛んできた。


シムラ:「風属性魔法か!あぶねっ!」

シムラのハルバートが上に持ち上がり、緑の刃が切り裂く。

しかし、限界まで強化したシムラの鎧では、まったく刃が立たなかった。

他も例外ではなく、皆が緑の刃を防ぐ。


シムラ:「え?これだけ??」

ケンジ:「次に凄いのが来ると思ったぜ!」


シムラ率いるパーティーメンバーがマルリン大司教を囲む。

しかし、あるアカウントが悲痛をあげた。


女性アカウント:「キャアアア!!」

アカウント:「おい!それ、血じゃねーかよ!!」


1人の新規アカウントの手をウインドエペレルラが切り裂いたのだ。

その瞬間血の臭いが立ち込め、新規アカウントが呆然としたまま切断された手のひらを見た。

落ちた剣と切断された指。

どの年齢制限(レーディング)にも無い残酷な演出。

それは激痛をもって現実に起こった事である事を思い知らされた。

新規アカウント:「ううう!!うわぁああー!!!!」

「なんだよこれ!!」



マルリンは容赦なく魔法を唱える。

「風の女神クアラ・フフルよ!!その強靭な刃で我らの信仰を嘲笑う者を切り裂きたまえ!!ウィンドエペレルラ!!」

マルリン大司教はさらに複数の風の刃を作り出すと、シムラ達のいる方向へ投げつけた!


風の刃は不気味な音を立てて飛ぶと、別のアカウントの胸や腹を切り裂いた。


「うがぁ!!」

「うぎゃー!!」

風の刃はアカウントの鎧や喉を切り裂き、血を噴き出させ、内臓を露出させた。

最初の動揺で魔法精度がぶれ、V CANが大きく動揺する。

いつしか光属性魔法はV CANの早まる鼓動に合わせて点滅を始め、底知れぬ恐怖に絶望する頃には光属性魔法の効力はガラスの割れる音と共に完全に失われてしまった。

それを発端に攻撃力上昇魔法や防御力上昇魔法が次から次へと壊れて行く。

しかし、積み重なる魔法の崩壊以前にアカウント達は身に降りかかる激痛と惨劇に驚いていた。


「な!どうなってんだよコレ!!どうなってるんだよ!!」

「誰か助けてーー!!!」

「あーーー!!!!」

「た、、たすけて!!!!」


伝説の勇者もとい、異世界に取り残された人達は唯一存在する出口に殺到し、お互いの髪を引っ張り、押し退けあいながら出ようとした!

しかし、逆に入って来ようとするアカウントとぶつかり、お互いを激しく罵り合うと相手は泡を噛みながら叫ぶのだった。


「青の修道女が復活して大挙してこっちに来るんだ!!!早くそっちに入れてくれ!!!!」

「青の修道女!?!?」


部屋からの脱出を試みた者達が一瞬止まる。

青の修道女はアンデットの中でも最高クラスの難敵だ。

それも彼女達は即死魔法を使い、死を恐れず、それでいて倒しても一定の時間で回復して立ち上がった。


ヒキ:「あれ・・・?シムラ・・?HPが0なのにログアウトできない」

シムラはヒキを見てヒッと悲鳴をあげた。


ヒキは驚いた顔をしたままシムラに歩み寄る。

深く刻まれた胸の傷からは黒い血が出て泡く立ち、顔面は蒼白だった。

ヒキ:「オカシイ…タスケテ…シムラァア…!」


シムラの頬にヒキの血が付着する。

シムラは頬に付いた血を手で触ると、絶句したまま目の前の惨劇を見ていた。


マルリン大司教が言う

「オルオオーカナ ディ シムラ。エ ラ キルキルリア エンヅ…ハハハ(安心するが良い、勇者シムラ。君が死ぬのは最後だ)」

大司教は下半身に生えている無数の触手を伸ばすと、アカウント達に襲いかかった。


「ギャーーー!!」

「ウワァーーーー!!」

マルリン大司教の触手がアカウントを吊り上げ、引き裂き、貫き、引きちぎる。

「私は何も悪い事してないのに!!ダズゲデ!!!ギャアアア!!!!」

巨大な盾を持った女戦士の頭を触手で握り潰す。


後方からは青の修道女達が挟み撃ちにし、降伏や救いを懇願するアカウントも増えた。


「降伏する!!降参だ!暴力はやめよう」

1人の中堅アカウントが槍を捨て、青の修道女の前で跪く。

ゲームでは『降伏』を受けた場合、相手が『捕虜にする』か『処刑』かを委ねられる。

それが統括されたモンスターである場合、運が良ければアイテムやオルガ硬貨を破棄することなく『逆三角の牢獄』と言う中難度のダンジョンからの脱出となる。

どっちみちそこで撃破されては終わりなのだが、中堅アカウントは僅かの延命のためにこれを選んだようだ。

あるいは『逆三角の牢獄』に活路を見出したか。


「・・・ぐっ!!ちょっと!ちょっと待って!!」

中堅アカウントの胸に鋭利な鎌が突き立てられる。

「エイヅ テ テ パルテナ ノーノノ。アヌ マルリアヌ エクカーダー ブルリアル・アカナティア・フィメア(その提案はお断りします。私達、マルリン大司教と運命を共にする青の修道女)」


「話せばわかるだろ!!待ってくれ!待っ────」

青の修道女が癒しの鎮魂歌を口ずさみながら中堅アカウントの胸に鎌を挿し入れてゆく。

その切れ味は凄まじく、まるで海綿に刃を入れるように簡単に進入を許してしまう。

「ま───が────」

青の修道女の血の気の無い顔が微笑む。

中堅アカウントは驚いた顔のまま血の気が引き。

まるで真冬の湖のように凍りついてしまった。

青の修道女が与えるのは『安らかな死』であり、時にそれは凍てつく氷の微笑みなのだ。


隠された扉が出現し、メルポの王子が顔を出す。

そして惨劇を目の当たりにすると息を呑み。

変わり果てたマルリン大司教を見て大きく頷いた。

「ココナ アカナ アカナノーニネ!!アカナノーニネ!!!!」

メルポの王子がそう叫び、その声にマルリン大司教は頷いた。



───ゴウン!!────


───ゴウン!!────


───ゴウン!!────


遂に塔の鐘が鳴らされ、それは床に晒された異世界の勇者達の死骸を震わせた。


「アカナ!!ココナ アカナ!!アカナ ヴェスティ!! ココナ アカナ!!アカナ ノーニネ!!!」

青の修道女もマザーアカナに対する尊敬と奇跡を叫ぶ。

その勝利宣言とも取れる叫びは、異世界の勇者達を心の底から震え上がらせた。


シムラも顔面が蒼白になり、歯が鳴るほどガタガタと震え、ハルバートを落として戦意を完全に失っていた。

シムラ:「コード!!『マウスロード』!!」


V CAN:「マウス・・ロード!?!?」

シムラ:「“マウスロード”だよ!!!!もうこれしか無い!!!!」

シムラは松明のかかっている壁に身体を押し付けるように這わすと、大盾を素早く装備して着脱を繰り返した。

すると次の瞬間、壁を突き抜け、どこかに消えてしまったのだ。


────

この奇怪な現象は、メルポ史の最も信頼のおける著書である『アカナ教とその使徒達 シャルクリヌ メルポ著』にも記述があった。

『我がメルポの王が大マルリンの為に祝福と勝利の声を上げた。しかしその時、彼らは大マルリンの前で忽然と消えたのだ』

と。


またアカナ教の聖典『アカナの聖典〜近代〜』ではマルリン大司教そのものが登場しなかった。

“マルリン”は軍団の集まりであり、青の修道女を意味するとされていたのだ。

『メルポの王子は見た。

選ばれた修道女は冥界の魔法である『黄泉の開門』を放ち、信仰なく欲望の欲しいままに暴れまわる異世界の者達を連れて行ってしまった。メルポの王子は勝利を確信すると、塔に登り、鐘を鳴らしたのだ』


また、アカナ教以外では

戦いの神 メルル・ヴィアスを信仰する者の

『メルヴィア聖典〜獄炎の光〜』において

『シムラとマルリン大司教は戦い、最後の一兵となったシムラは精魂尽き果て、自ら『黄泉の開門』を懇願し、ここに散ることを決意した』

とあった。


いずれもシムラとそのパーティー達はこの瞬間に忽然と消え、その他のアカウント達はマルリン大司教の『黄泉の開門』で1人残らず全滅した。

この鳴らされた鐘は渇きの王に対する反撃の鐘であり、メルポ王国の国内で必死に籠城していた貴族達は鐘の音と共に堅牢な門を開け放ち、一気に兵を解き放った。


──────


深夜に場違いとも思える大きな鐘の音が響く。

ゴウン!!


ゴウン!!


ゴウン!!!


サクトルの父は聖なる銀の首飾りと女神メルヴィアの刺繍された戦闘用の前掛けを羽織った。

魔法の杖には外付けのスパイクが付けられるようになっていて、万が一魔法を外して敵が間合いに入ってもそのスパイクで貫けるようになっていた。

「僕も準備するよ、お父様」

サクトルも鐘の音を聞きながらセラ魔法学院の灰色のローブに袖を通し、クラス別の赤い帯を下げ、2学年を意味する金の2つの羽根をあしらった冠を頭に嵌めた。

そしてスパイクを腰帯に差し『水晶の水筒』や『知力の林檎』『乾燥肉の挟まった黒パン』など持てる限りのアイテムを装備した。


ゴウン!!

ゴウン!!

ゴウン!!


「戦いの女神メルル・ヴィアスよ。どうか2人を無事に帰したまえ」

「お母様、それでは敵と相対できないよ!」


「良いのよサクトル…!どうか、どうか無事に帰って来て!!美味しいパイを焼いておくわ!!」

母は、サクトルの額に目一杯の口付けをする。


「サクトルは学園隊だ。メルポの軍勢は優先と聞くし大丈夫だろう!」

「お父様!」

「サクトルよ。お前は学園隊の後方にいなさい。母さん、念の為に扉は固く閉ざしておくのだぞ?」

「うん!2人とも無事でね!」


サクトルの父が先に外に出て群衆の雑踏に消える。

学園隊の集合場所は外壁前。

街の中心ではかがり火が絶えず燃やされていた。

外はまるで新年のお祭りの時のように明るく、花火が打ち上げられ。

砥石の滑車が忙しなく回され、様々な役職の兵士達が自分達の刃物を研ぎ澄まし血気に満ちていた。


様々な司祭や神官や巫女、修道女がひっきりなしに武装した兵士に祝福をし。

兵士達はこぞって護符やお守りを買い漁った。


みな他人には目もくれず、己の武具を研ぎ澄ます事に余念がない。

その不気味な賑わいにサクトルは鼓動が早まった。


「サクトル君!こっち!」

「アーシア!」


そこにはアーシアや他の生徒達も居た。

城壁の松明の下で顔色が悪く、杖を抱きしめて震えている生徒や、男女で肩を寄せ合い抱きしめ合っている生徒も居た。


「サクトル!!俺らもいるぜ!!」

「アボク!!君達が居れば心強い!!」


「ハッハーー!!異世界のよそ者なんで、全員やっつけちまおうぜ!!」

「うん!!」


重武装した騎兵隊がサクトルの横を通り過ぎ、足早に城門から出る。


サクトル達はいつものように引率の先生に号令を受けて整列した。

そして今回引率する先生の他に、見慣れぬ1人のエルフの戦士も居た。

白銀の鎧とオールバックにした白髪。

そして尖り耳は、人間族の中では特に目立った。


「セラ魔法学院のみんな!初めまして!エルフの戦士アストレンだ!メルポの初代国王が『ここに国作ったら良いんじゃない?』って呟いた時から横に支えてる優所正しいエルフだよ。年齢は356歳だ!!どうぞよろしく!」

アストレンはフワリと生徒達の周りを歩くと握手して回る。

サクトルは緊張とヴェルクの仇討ちの怒りに震えていたが、握られたアストレンの温かい手にサクトルは顔を見た。


「世界樹の種を心に、サクトル。共に頑張ろう」

しばらくサクトルは握られたアストレンの温もりを想った。

ヴェルクの仇をとると誓った手前、1人では太刀打ちできないのは明白で、共に戦わなければならないのだとサクトルは実感した。

そして今、アストレンの言った温かい種が心に宿るのを感じる。


その苗は麦のように嫋やかで、やがてエルフ族の寿命のように長い年月をもって空を目指して葉を伸ばすだろう。

ウンと月の天宮まで伸びた時、マザーアカナは微笑んでくださるだろうか?

太陽に伸びた時、メルヴィアは頷いてくださるだろうか?

ヴェルクは・・・ノーノタルタで喜んでくれるだろうか?


アストレンは、セラ魔法学院の生徒160人に顔合わせすると、遂に演説を交えた作戦の話を始めた。


「諸君!こうして一人一人に握手と会話を交わしたのは私が未来永劫君達を覚えていると言う証拠なのだ!

確かに君達は戦闘経験は皆無で、魔法の技術も並とは言えないだろう!!しかし、君達はどの兵士よりも素直で、どの種族よりも勇敢だ!

メルポの城砦都市から解き放たれた聖なる軍勢は大マルリンの鐘の音の合図でミネラウルに攻め入った"異界の軍勢”を叩きに向かっている!

我々は、ミネラウル城から撤退する異界の軍勢を街道からワッと脅かし、援軍が街道からやってくると錯覚させるのだ!

そしてメルポ王国の海岸に誘導して、潜伏しているギアーテ王国の軍勢が完膚なきまでにこれを叩き潰すだろう!分かったかね!?」


「「「はい!!!!」」」


「よし!さぁ!!進軍だ!!セラ学園隊前へー!!!」

「前へーー!!」

「前へー!!!」


太鼓とラッパが鳴らされ、サクトル達は進軍するための縦二列に素早くなった。

引率の先生ら4人は杖の先端を灯りにしてアストレンと先頭を行き、1クラスに2人の旗持ちと5人の太鼓や笛を持った吹奏楽部の生徒が立った。


ドン♪

ドンドン♪


太鼓の音と共に生徒は足踏みを始め、杖を担いで進軍を始めた。

アストレンも背筋をピンと伸ばし、腕を振りながら歩いた。


「オオ♪ ノーノタルタディ マテラ マカダヌリア!!(あぁ、黄泉の扉が開く)


アヌ ウォタナ マテラ キュルリ・キュルリア(私達は開かれた流れる水) ♫


エッラ バルバルリ ウォタナ キルキルリアエラ(その水は容赦なく敵を流すだろう!!)

エラ!ウォタナ!!ウォタナ!!ウォタナテルリア!!

(そう!水のように!水のように!水のようにだ!!)♫」

セラ魔法学園の子らは街道を歩き、ミネラウル城を目指して進軍した。



───


サストテール山脈から水を引いた巨大な水道橋をくぐり、川を越え、石工や木こりなどの労働者が使っている共同施設を通った。

労働者を運ぶワゴンが規則正しく停められ、舎屋にいるヌオ達の唸り声が響いた。


サクトル達は、湖や広場で訓練をする意外は壁の外には出る事が無い為、こうした施設を興味ありげに見た。


「…将来ここで採掘師をしたいんだ」

暗闇で、前に行進していた誰かが会話をする。


「掘削の魔法を知ってるの?」

「うん。勉強をしてる」


「じゃあ、早く終わらせて帰ろうな」

「そうだね」


サクトルは自分の”やりたい事”を考えた。

もちろん父と同じ調味料の卸しや、母と同じ調香師の道を進む手もあるだろう。

しかし、それでいいのだろうか?

ヴェルクは・・ヴェルクは将来の夢もあるのに潰されたのだ・・。


「・・あの。ヴェルクが死んだんだよ?」

サクトルはいてもたっても居られずに隊列の2人に注意した。

2人は“言ってしまった”とやや肩をピクンとして、1人がこちらを見た。


「ごめんサクトル。ヴェルクの配慮が足りなかったよ。謝る」

「・・すまん」


2人は謝るもサクトルは不満そうだ。

それを見て思う所があるのか生徒が口を開いた。

「ただ、言わせてくれよ。君は少し落ち着いた方がいいぞサクトル。神経質すぎだ」


「なんだって!?」

サクトルは少しムッとし、生徒の1人にくってかかった。

「そう言う所だサクトル。君は死に急いでいるように見える。少し落ち着いた方がいい!」

「僕らもヴェルクが亡くなって胸が痛いんだ。サクトルと一緒だと言うことを忘れないでくれ」


2人の生徒の顔には怒りというよりも悲しみの方が大きそうだった。

サクトルは納得し

「分かった・・分かったよ・・食ってかかるような言い方をしてゴメン」

と、サクトルは落ち着きを取り戻して行進した。


・・・・。


サクトルの心はサストテールの川の濁流のように荒れていた。

しかし取り乱したら最後、魔法効果は乱れ、敵に当たる前に分光してしまうだろう。

サクトルは深呼吸をして手のひらに落ち着きの紋様を描いて呑み込んだ。



───────


日がのぼり、僅かに大地が温かくなった。


曇天模様の空の下、名もなきエルフの統治していた時代の遺跡を通る。

メルポの王国が建国される前の物であり、遠い古の時代からここは街道として使われていたのだ。


農奴が麦畑の番をするために鞭を持って見回りをしていて、生徒達を見て挨拶をした。


なんの変哲もない麦畑の風景だが、道には真新しい足跡が沢山付けられていて、様々な街から大量の人が移動した事を物語っていた。

セラ魔法学院の生徒達の足跡が、ぬかるんだ足跡の上に新たに刻まれる。


旅人や農奴は、メルポ王国の民である子供達すら戦闘に駆り出される事に眉を顰め、吟遊詩人がその様を観察して唄を作った。


セラ魔法学院の生徒達は周りが見つめる中、毅然と行進を続けた。



──

「・・・・?」

サクトルが鼓膜に違和感を感じて口を開き、耳の中の空気を逃した。

前を歩いていた生徒がサクトルを見つめると、前方を指差す。


丘陵を登り終えた先、ミネラウル城があるであろう場所だけが暗雲になっていて、雷のような閃きが起きていた。

閃きが起きる都度に鼓膜が揺れ、ギュッと圧迫させる。

気付けば商人や旅人すら歩いておらず、不気味なまでの静寂の中で一本の道がのびていた。


生徒は緊張で震え、冷たくなる手を無理やり息で温めた。



見れば幾重もの魔法陣が上空に展開し、隕石や火炎や光や爆発を降らせていた・・。


あそこでどれ程の戦いが行われ、どれ程の人々が死んでいるのだろうか。


「ケンタウロスだ!!」

後方を歩いていた生徒の1人が後ろを指差す。

ケンタウロスは銀の鎧を纏い、軍旗をはためかせてやってきた。

見ればそれは200体くらいの軍勢で、まるで競うように旗の後ろをついてくる。


「どけ!!!!人の子!!!ここは『暴れ野郎軍団(デタバルティ・ナウタイ)』の進む道ぞ!!!!」

旗を持ったケンタウロスがブルブルと鼻を振るわせて言う。

気付けばケンタウロスが一斉に生徒達の後ろに集結し、進めない事に地団駄を踏み、怒号や叫び声が響いた。


アストレンは臆する事なく彼らに話しかけた。

「君達に問う!我が軍の状況は如何か!?」

「我が崇高な一族に戦況を聞くとな偉そうだな!

さすがは人の子!」


「私はエルフの子だ。お前よりずっとずっと歳上のな!」

「なんだと!?進軍を邪魔する者は踏み潰すぞ!」


旗を持ったケンタウロスは槍をアストレンに向ける。

その時だった。




「おや?その声は“浅漬けのアストレン”じゃないか!?」

ケンタウロスの軍団の中に、一際大きなケンタウロスがやってくる。

大きく蓄えた髭と、巨大な斧を持ち、様々な家紋の軍旗と勇者の刺繍のイラストを背中にさしていた。


アストレンが臆する先生の間から割って出る。

「ケンタウロスの王“アルルゴ”か!!“浅漬け”とはごあいさつだな!」

「昨日の事の様に覚えてるぞ?お前がドラゴンの襲来に怯えて、村の漬け物壺に隠れた事を・・!!俺様は振り返り、お前がいない事に気付いた頃には、ドラゴンの一撃を頭に喰らったのだ!!」

アルルゴンは兜を脱ぐと、頭に刻まれた傷跡を指でなぞった。


「ハン!100年前の事を昨日の事の様に引き摺るとは!ケンタウロスはこうも根に持つタイプに成り下がったものかね!?」

「根に持つとも!!浅漬けのアストレンよ!」


「100年も経てば漬け物も美味しくなってるぞアルルゴ!!深漬けだ!!」

「なんだと!?!?」

アストレンとアルルゴンは睨み合いながらお互い譲らずに対峙した。


そして

「ハーーーハッハーー!!!」

「ハハハハハハ友よ!!!」

アストレンとアルルゴは固く抱きしめ合い、お互いの健闘を讃えるようにバンバンと肩を叩いた。

アルルゴンの強さにアストレンは何度もよろめき、一触即発かと思われた空気が一気に穏やかになり、教師達はホッと胸を撫で下ろした。


「仲直りしたのはざっと去年だ!!」

「それまで口を聞かなかった!!」


「「“不屈のガンロ”が居なければな!!」」


「もうガンロを乗せて居ないのか?」

アストレンがアルルゴに聞く。


「ああ!!今やガンロは僧兵だからな!既に戦場に赴いて、異界の軍勢の首取りよ!!」

「アルルゴも行くのか?」


「当たり前だ!ギアーテの軍師が何を考えているか知らんが、俺らは俺らのやり方でやさせてもらう!!アストレンもそうだろう??」

「いや。私は軍師に従うよ。大マルリンの意向がかかっているのだ。私は生徒達を使って異界の軍勢を脅かし、海岸に誘導するつもりだ。

大マルリンより託された生徒達が、敵にとっては強力な増援に見え、訓練された精鋭達のような鉄壁な壁に化けるのだ」


「フン。まぁ、お偉方の策は分からん。俺が正面から踏み破ってくれるわ!」


ギュン!

と言う空間が圧縮されるような爆発音がして鼓膜が圧迫され、ケンタウロス達が蹄を鳴らした。


「大マルリンが戦っておられる。つい長話をしてしまったな。アストレンよ、死ぬなよ!!」

「ああ!」

アストレンはVサインをアルルゴにした。(※弓兵が行う勝利のポーズ。「人差し指と中指のみで勝利する」と宣言する為に用いられた。そこから派生し、投擲兵や魔導士も使用するようになった)



アルルゴ率いるケンタウロスの軍勢が駆けて行き、セラ魔法学院の生徒達の行進が始まった。

曇天模様の雲がサストテールの風で動き、太陽の光の筋がいくつも平原を照らす。


緩やかな丘陵地帯を登り、一際大きな丘をようやっと下り始めたあたりで、街道の分岐を示す大地の女神ミミエ・アルマの巨像が両手を広げて大地を祝福していた。


「みんな止まれー!!」

アストレンが右手をあげ、旗を持った生徒が上に高らかに挙げ、太鼓がドン!っと鳴らされる。


アストレンが先に進んで大きな岩に登ると、折りたたみ式の望遠鏡を持ってミミエ・アルマの巨像の向こう側にある森を見た。

その更に向こうには相変わらず激しい戦闘を物語る魔法陣が展開され、風向きが変わった時に生臭い血と、焦げた臭いがした。


耳の違和感。

嵐の前のような静けさと生暖かい風。

そして清々しいまでの草原の絶景が不気味に交差している。


───死────

 

サクトルの手が震え、水晶の水筒の蓋を開ける。

水晶の蓋とボトルが当たり、カタカタと音がして水を呑み込んだ。

正常に聴こえる耳。

アボクは杖を袋から取り出して、油を塗って仲間と手入れをしている。


アストレンは岩に登りながら教師達と話し合い、遠くを指差して待ち伏せするに適した場所を考えているようだ。


そしてストンと望遠鏡をしまい、生徒達に言った。 

「うむ!場所はここに決めた!!敵の軍勢は確実に近づいて来るぞ!」

先生:「横隊!!!!」


「横隊!!」

「横隊体制!!!」


すぐさま旗と太鼓が鳴らされ、生徒達160人が横2列になる。

街道を塞ぐ形で展開された横隊は、丘陵地帯の見下ろしも相まって圧巻だった。

そして、それに遭遇した敵対は、窺い知れぬ丘の向こう側に居る更なる大群を想像して絶望するだろう。


「みんな!!杖を袋から出してスパイクを付けよー!!」

そうアストレンが号令した瞬間、近くの森の巨木がバキバキ音を立てながら倒れた。


「いいいっ!」

横にいた生徒が恐怖からか、歯を食いしばりながらスパイクの付いたソケットを杖に嵌める。

それは近接戦闘に有利な刺突用の槍になり、魔力を用いて突き刺せば様々な属性攻撃もできた。

サクトルもスパイクを杖の先端につけると、動かないようにソケットを叩いた。

その間も、向こう側から悪臭と、怒号や剣を打ち鳴らす音が聞こえ始めた。


森にギラギラと雷が走り、凄まじい閃光と共に雷撃の槍が森から不数飛び出し、ミミエ・アルマの拡げられた腕と周辺の大地を破壊した!


「わっ!!」

雷撃の槍は生徒達の近くでも炸裂し、土砂の混じった土煙りが生徒達に降り注いだ!


「臆するな、人の子よ!!!まだ遠い!!」

アストレンが叫びながら勇敢に列の一番前で指揮をする。

サクトルの前にいた旗持ちの女子や吹奏楽部の子らも敵の雷に臆する事なく演奏や旗振りを始めた。


破壊に耐えきれなくなったミミエ・アルマの像が崩れ落ちる。

森の木々が激しく動き、幾万の兵士の怒号や悲鳴が大気を満たし、近づいてきた。


「距離3000フィート!光属性魔法の用意!!!!」

アストレンが叫び、旗持ちと楽器で指示が出る。

「光魔法の用意!!」

「光魔法の用意ーー!!!」


サクトルも杖を森に向けライトニングアローの準備をする。

敵こそ見えないが、アストレンは背筋を伸ばし白い聖なるレイピアを空に掲げている。

周りにキラキラ飛んでいるのは使い魔か、妖精の類かもしれない。

エルフ族は人間族よりも聖魔の扱いに長けていると聞く。

それは長寿がもたらした経験と言う名の知恵であり、人間がいくら知恵書を読み解いたとしても得られるスキルでは無かった。


「・・・!!」

森から数人の兵士達が出てくる。

アストレンの軍勢を見ると飛び上がり、警戒するようにこちらを見た。



「放てーーー!!!!!」

そんな兵士を無視して生徒達の杖から閃光が走り、複数のライトニングアローが放たれた!!


しかし、生徒の大半が2メートル先で分光し、アボクや仲間達も10メートルで失速して落ちた。

兵士達は怯えるように森の陰に消え、アストレンが望遠鏡を覗いた。

「不的中だ!!」

「不的中!!」

「不的中!!」


(おかしい、もっとできる筈だ!)

サクトルは絶句しながら周りを見た。

周りの生徒達は手を摩り、今までの鍛錬は何だったのかと困惑したように首を傾げる者もいた。


サクトルが退き、次の生徒達のライトニングアローが放たれる。

しかし、結果は同じだった。


アストレンが皆に言う。

「おそらくさっきの者達は敗走を手助けする偵察隊の兵士だろう!

私達が突破されたら、彼らはギアーテ王国を伏兵ごと素通りし、タントリの丘(現ツェトリ村)に陣地を構えているエスダム王国(現アマダヌンド)の軍勢と合流する事になるでしょう!!」


サクトルの横に居た、魔法がうまく放てなかった生徒が唇を何度も舐める。

“突破されたら”

それは何より、生徒達の敗走か、死を意味していた。

その瞬間、杖の先端のスパイクがカタカタと鳴り、明らかに動揺をしている生徒が増えた。


「なぁに!!臆するな!!君達の目の前には356歳のエルフが居る!!!何を言いたいのか分かるかね??君達はこれからも、生き続けると言うことだ!!」

生徒達の動揺を察したアストレンがひょうきんに冗談を交えて演説した。

356年の歳月でアストレンは人間が発見した様々な叡智を会得した。

そして全てを達観し、人間と交流するにつれて驕ることは大変な損失であると悟ったのかもしれない。

しかし相手は10代の人間の子らだ、彼らは初めて人を乗せたヌオのように臆病で、それでいて産まれたてのジャイアントモアのように獲物を狩らず、優しかったのだ。

(そうだ・・みんな優しいのだ)

サクトルはふとそんな事を思った。


アーシアはきちんと飛ぶが、彼女は素直で実直で『これはあくまで命令なのだ』と信じて疑わず、それでいて命令にはなんの躊躇いも疑問も無かった。

アボクは正義感が強く、負けず嫌いで、悪にはとことん容赦が無かった。


サクトルは、自分はどうなんだろうと考えた。

そしてここへ来て、臆する生徒達には無い感情を改めて理解した。

「怒りだ・・」


「え?」

サクトルの呟きに横の生徒が聞き返す。


「みんな聞いてくれ!!!!」

サクトルが飛び出し、アストレンの前に来た。


「みんな!!僕の友達・・ヴェルクと先生をどうか思い出して欲しい。僕らは自主練中に異世界の勇者と対峙し、先生は僕らを逃がすために時間稼ぎをして破片となって消えてしまった。僕は逃れる事が出来たが・・ヴェルクは・・ヴェルクは・・最後の最後まで抵抗し・・両足が無くなり・・腕が砕かれていたんだ!!それでもなお、杖の方を見つめたまま、両断された大木に寄りかかって死んでいたんだ!!」


サクトルの叫びに、震えて泣き出す生徒や動揺する生徒も居た。

ヴェルクと先生の惨状は士気に影響するため、あえて深くは語られていなかったのだ。


「ヴェルクもこの日のために皆と進軍したかっただろう!!!ヴェルクも将来を語りたかっただろう!!ヴェルクも平和な明日を夢見ただろう!!!!どうか、魔法を唱える時・・皆の信じている神々の傍らに無惨に亡くなったヴェルクと先生を思い出して欲しい!!」

ヴェルクが泣きながら生徒達に訴える。


生徒達はお互いの顔を見ながら、目前に迫る敵と死。

そしてヴェルクと先生の無念を考えた。

ここを突破されて、エスダム王国の軍勢と合流したら本格的な街の殺戮が始まるだろう。

それは抗う事もできない事実なのだ。


「・・俺はヴェルクを忘れない!」

アボクが胸を叩いて前に出る。


「俺も!!向こう見ずのヴェルクを忘れた事なんてねーよ!!」

アボクの仲間も前に出る。

「わ、私も忘れないわ!!同じクラスだし!!」

アーシアも前に出て顔を赤くしながら叫ぶ。


「俺も忘れない!!」

「忘れるものか!!」

「戦おう!!」

「やってやろうぜ!!」

「セラ魔法学院の力を見せよう!!」

辺りから声が上がり、杖が高らかに掲げられた。


アストレンがサクトルの肩に触れ、声をかけようとした・・その時だった。


「敵の軍を発見!!!!」

「敵の軍を発見!!」


「・・来たぞ!!」

アストレンが素早く振り返り、戦闘体制に入る。


サクトルが持ち場に駆けながら見ると、エスダム王国の旗と赤い立髪がついた兜を被った鎖の鎧の騎士が見えた。

そして歩いている兵士に耳を傾け、携えている槍で指し示して何かを会話をしている。

皆、鎧こそ磨き上げられているものの額当てや脛当てほどしか装備が無く、極めて軽装だった。


旗を付けた軽装の騎士が1人。

軽装歩兵が30人。

エスダム王国の偵察隊は警戒するように散会し、こちらの行動を伺うように歩いてくる。


「焦らないように!!こちらの出方を伺っている!!射程内に入るまで確実に引き寄せよ!!」


ガラガラガラッッ


森に稲妻が走り、こちらの存在を補足した雷撃の槍が無数に飛んできた!!


「ワァ!!」

雷撃の槍が丘陵地に炸裂し、生徒達に土砂を含んだ土煙りが降り注ぐ。

命中率は悪いものの、光の槍はここまで届くのだ!


「(・・・・!!・・・・!!)」

騎士が叫び、森の向こうの誰かに指示しているのがわかる。

そしてガラガラと稲妻が走るとセラ魔法学院の生徒達を直撃した!!


「ウワァ!!」

直撃した瞬間、雷撃の槍を中心に生徒達が放射線状に倒れる!

旗を持った女子も倒れ、太鼓が吹き飛び、ラッパとそれを持つ生徒が電気の柱で繋がった!


「堪えるんだみんな!!まだ撃つな!!!」

アストレンが叫び、足を負傷して倒れた女子から別の女子が旗を拾った。


軽傷の生徒達は杖を頼りに立ち上がり、みな負傷者を顧みる事なくアストレンの指示を待った。


「距離2500フィート!光属性魔法の用意!!!!」

アストレンが叫び、旗持ちと楽器で指示が出る!

「光魔法の用意!!」

「光魔法の用意ーー!!!」


生徒達が杖を前に出し、光魔法の魔法陣を描く。


「魔法詠唱!!」

「詠唱!!」

「詠唱ーーー!!」


サクトルは高まる鼓動の中でヴェルクを思い出し、より長く遠くに敵を貫く光の矢をイメージして詠唱した!

「ノーノタルタへ届きし聖なる光よ!!邪悪なる使いと野望を今こそ打ち砕け!!」


「放てーーー!!!!!」

アストレンがが叫び、幾数ものライトニングアローの光の矢が頭上を飛んだ!


サクトルの光の矢は2つの螺旋を描き、皆の放つ矢と並び、兵士達の所へ飛んで行った。


アストレンは望遠鏡を伸ばして損害を見る。

森から出てきた兵士達は、頭上を飛んできた光の矢に動揺し草に伏せるように隠れた。

「不的中だ」


「不的中!!」

「不的中ー!!」

生徒達の間で残念がるため息が出る。

しかし、落胆のため息では決してなかった。


「やや右下だ!!ちゃんと矢は届いていた!!見事な進歩だぞ諸君!!!」


生徒達の顔は晴れやかだった。

先程よりは矢が射出されるようになり、間違いなく敵の頭上には届いたからだ。


お返しとばかりに敵のいる方角から光の槍が飛んでくる!

まだ油断はできない!


「次をお見舞いするぞ!!距離3000フィート!光属性魔法の用意!!!!」

アストレンが叫び、旗持ちと楽器で指示が出る!

「光魔法の用意!!」

「光魔法の用意ーー!!!」


サクトルが屈んで後続の生徒に任せる。

呼吸を整え、杖を握り。

そして小さくエールを送りながら…。


「放てーーーー!!!!」


矢が兵士達の付近に降り注ぎ、分光する事なくキラキラと矢の花畑ができた。

確実に良くなってる!!もう少し左だ!!


「放てーーーー!!!!」

間髪入れずに次の光の矢が放たれる!

(ウワッ!!)

降り注ぐ光の矢の何本かが兵士に命中し、草やミミエ・アルマの破片に隠れていた兵士が飛び出した。

兵士のマントには光の矢がぶら下がり、額から鮮血を流す者や太腿に刺さって倒れ込み、動けない者もいた。

騎士の乗っているヌオの後ろ脚にも突き刺さり、悲痛に叫びながら何度も空を蹴ると、騎士は必死に手綱を引いて森へ撤退した!!!


「命中だ!!!!損害評価は負傷者5名!!偵察隊の騎士の動きを止めたぞ!!」

「ウオーーーッ!!!!」

生徒達から歓声が上がり、勝利の雄叫びを上げたのだった。


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