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躊躇った先の未来

 空飛ぶ円盤は難なくイズール村に到着すると、そこにいた住民が驚いた目でこちらを見てくる。そして


「ユスフルが化けてでた~~~~~」


 と大声で叫びながら私たちから逃げる


「ユスフル、何が起きてるの~?」


 私がユスフルに聞くと


「・・・まさか、私をわざと? アクアス、私多分死んだことになってる。長老の家に行ってくる。みんなはここで待ってて。」

「いや、私たちも行こう。私たちが盗賊に捕まったことと関係があるかもしれない。」

「中はケニー達に任せて、外はアクアス様と私で見張ってましょう。」

「・・・ありがとう、それじゃ行くね」

 

そう言って4人は長老の家に入っていった。そして一分後のことであった、地下から長老の家へ向かうマナの気配がある。


「地下から長老の家にむかってる人がいるっぽいからちょっと行ってくるね~レーミンはここお願い~」


 そう言って私は地下に向かって土魔法で穴を掘り地下通路らしき場所に到達した。地下通路はいかにも土を掘っただけのような本当にただの通行用という感じだった。


「地下通路到達~人が来るまで待ってよっと」

 少しして向こうから全身黒の衣装で身を包み装飾の入った杖をもつ中背の男がやってきた。

「お主ここに何の用だ?」

「穴掘ってたらここに着いちゃったんだ~、あなたこそどうしてこんなところにいるの~?」

「教える必要などない、どちらにしろここを知った者は葬らなければならぬ。悪く思うなよ」

「葬るって、私を殺す気ってこと?」

「そういうことだ、ブリザードラッシュ」


 氷の刃が四方八方から私目がけて降り注ぐ。私はそのすべてを火の魔法で溶かし無力化する。しかし何故この男は初対面の私を殺そうとするのだろうか、まさか


「私の正体を知っているの?」


 人間と魔族は戦争中だ、いきなり初対面で殺そうとするとなると私が魔族だとばれたからか、この男がフードマンの一味かだ。ちなみにまた赤い粉攻撃を受けても嫌なので私の表面は薄い風の幕で覆ってある


「お主が誰だとうと関係ない、ここの存在を知られたからには死んでもらう。クロスウィンド」


 次はものすごい勢いのものすごい風の刃が二つクロスしたものが私の身体に飛んできた。私は土魔法で土の壁を展開し相殺する。


「死にたくないんだけど」

「うるさい、ファイヤーバーン」

 

 そんな感じで、男に攻撃されては防御を繰り返すこと20分


「お主、一体何者なんだ・・・。」

「別に誰でもいいじゃん。それよりなんで私を殺そうとするの?」

「教えたら命をとらないでくれるか?」

「もちろんだよ、そもそも私はあなたに敵意ないんだから。」

「確かにお主はこれまで一切我に攻撃してこなかったな。我はここの村の長老に雇われているごろつき魔術師だ。人に言えないような仕事をしている。そしてここは長老と我が秘密裏にやりとりをするための地下通路だ。ここの存在が割れると長老がやましいことをしているとが村じゅうに広まる。だから我はお主を殺さなければならぬのだ。」

「それじゃどうすれば私は助かるの?」

「我を殺せばお主は助かる。我はどんな状況であれお主を殺さなければならないのだからな。」

「人を殺すなんていやだよ。」

「ならどうするのだ。」

「今考えているところ」

「お主の人を殺したくないという気持ちは分かるが、あまりそれに固執しすぎると大事なものが救えなくなる。」

「ありがとう、肝に命じておくよ。ところであなたはなんでごろつき魔術師?になったの?」

「我のせいで盗賊に息子が殺されたからだ。盗賊が我の息子に手にかけようとした時、我はやろうと思えば盗賊を殺し息子を助けることができたのだが、人を殺すことに躊躇してしまい、息子は殺された。それから我は荒れに荒れた。最初の頃は周りからも同情されたが、どんどん周りの目は冷たくなってやどうしようもなくなった時に偶然そのとき我がいた街にいたここの長老が我を引き取ってくれたわけだ。それで恩に報いるために色々なことをやってきた。最初の方は文書の確認や、病気の村人に回復魔法をかけたりだったが、村の財政状況が苦しくなってきてからは誘拐や殺しに文書の偽造も行った。我にはそういうことに躊躇がなかった。躊躇したらどんなことが起こるか身をもって体験しているからな。我にとってここの長老もここの村も我の命よりも大事だ。それを守るためならなんだってする。もう二度とあんなことにはさせたくないんだ。」


 私はもしも自分が躊躇したせいでレーミンやアルスが死んだらというのを考えた。想像しただけで苛立ってくる。自分に対しても、レーミンやアルスを殺そうとしてきた相手にも。もしもそんなことになったらそこの魔術師みたいになるかもしれない。


「あなたにとってさ、誘拐や殺しとかって大事なものを守る手段なんだよね、誘拐や殺しをしたい欲望ってあるの?」

「それはないな。」

「そっか。レ~~ミ~~~ン 野菜の魔法教えてもいい~~??」

「いいですよ~~アクアス様~~~」

「それじゃ、一ついい魔法を教えるよ、その前にちょっとここあけるね、スティアドリル、それじゃいくね、ウィンドアップ」


 私がウィンドアップを唱えると土が何度も火山の噴火のように舞い上がる。


「地面を風魔法で上に吹き上げるんだ、これを畑を耕す時に1時間位置きに5回位やればいいよ~あと作物が育ってきているときに土に風を吹き込むのをたまにやるといいかも~ っとそんな感じかな~」

「助かる。やってみるよ。」

「うん、そうしてみて。それでさ、今日は一度私のことを見逃してほしいんだ。」

「分かった。そうしよう。」

「ありがとう。それじゃまたね!」


 そう言って私は自分の掘った穴から地上に戻ると穴を土魔法で塞いだ。




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