とんでイズール村
「アクアス様本当にありがとうございます。ところでここがどこか分かる人はいますか?」
「・・・ここがどこか分からないけどイズール村はあっちの方角にある。距離は大体30キロから50キロメートル」
「イズール村に近い盗賊のアジトということは恐らくゴルゾの盗賊だわ、ゴルゾの盗賊は自分の縄張りに罠をしかけると聞いたことあるからここからはより慎重に進まないといけないわ。」
「私からみなに提案がある。一度ここでみなが何ができるか包み隠さず共有しておかないか、本来は御法度のことだが今は緊急事態だ。お互いの生存率をあげるためにそれが良いと私は思う。」
「私は賛成よ」
「私もです」
「・・・私も」
「私もさんせい~、レーミンは?」
「私も賛成です。」
「では共有していこうか。」
「まずは言い出しっぺの私からいこうか。私の名前はケニー。見ての通り剣士だ。ハンターグループ『トリケン』のリーダーで初級剣術の資格認定は受けている。今は主に中級剣術を習得しているが、魔法はからっきし。とそんな感じだ。」
ケニーは長い銀髪を後ろで結っており、顔立ちはキリっとして麗しい。ここにいる6人の中で一番背が高く、胸はそんなにない。
「次は私が言うわ、私の名前はラン。私も剣士でケニーと同じくトリケンのメンバー、初級剣術の資格認定は受けているわ。今は隼剣術を習得しているところ。身のこなしに自信あるから動きの遅い相手に対する囮とかなら任せて。一応毒針も扱えるけどそこまで期待はしないで。私も魔法は使えない。以上。」
ランは明るく短い赤髪で釣り上がった目が特徴の女の子だ。表情からは自信で満ちあふれているのが伝わってくる。背はここにいる6人の中で真ん中で胸はささやかにある程度である。
「次は私が言いますね、私の名前はユバです。私もトリケンのメンバーですがケニーやランと違って魔法剣士です。初級剣術と初級魔術の資格認定を受けていて今は魔法剣術を習得しているところです。得意魔法は火ですが、包み隠さずということなので言いますと多少の闇魔法も使えます。」
ケニーとランが驚いた表情でユバをみているがユバは構わず続ける
「ですので少し対象の意識を逸らすことやちょっとした目潰しなら可能です。では次の方どうぞ。」
ユバはボンキュボン、長い茶髪をお尻まで伸ばしていて背はここにいる6人の中で一番小さい。おっとりした雰囲気をしている。
「じゃあ次私ね、私はアクアス。ずっと魔術研究をしてお城に引きこもっていたんだけど自由が欲しくて外に飛び出してきたんだ~、主に生活魔法の研究をしてたから生活魔法が得意なんだ~、とそんな感じかな~」
「次は私がいきますね、私の名前はレーミンと言います、私は城に常駐している回復魔術師でしたがアクアス様が飛び出していったと聞いて私も飛び出してアクアス様のパートナーになりました。主に回復魔法の研究をしていたので回復魔法が得意ですが、アクアス様に生活魔法を教えてもらったりもしているので生活魔法も少しはできます。とそんなところですね。」
「・・・最後は私、私はユスフル。イズール村で生活魔法を研究しているけど、アクアス程ではないと思う。今はマナに色みたいのをつける研究をしている。イズール村の場所がわかったのはそのおかげ。・・・以上」
ユスフルは黒髪を肩まで伸ばし、前髪も眉の少し下まで伸びている物憂げな感じがする。目は両目とも水色。目が合うとドキっとするような魅力があると感じるのは私だけなのだろうか。それにしても生活魔法の研究をしている人が私の他にいるとは思わなかった。
「共有してくれてありがたく思う。ではどうやってこの山を越えるか考えようか。」
ケニーがそういうとユスフルが口を開いた。
「・・・アクアスのさっきの魔法で地下を掘って行くという手がある。それかアクアスが風魔法が得意なら今からアクアスに浮遊術を教えるからそれでいけるかも」
「浮遊術って」
「そんなことできるのか?」
私は、現時点浮遊術が使えるが正直発展途上なので自信がない、なので教えてもらえるなら私としても大歓迎だ。
「それじゃ教えてもらうよ~、レーミンも教えてもらう~?」
「アクアス様ありがとうございます、個人的には教えてもらいたいですがユスフルさんの判断に従おうと思います。」
ユスフルはレーミンの顔をじっと見つめ
「・・・レーミンにも教える」
ということで私とレーミンはユスフルに浮遊術を教えてもらうことになった。ユスフルの浮遊術は簡単に言うと、土魔法で円盤を作りお皿に適度な風を送り飛ぶというものだった。今回は6人いるので壁の土と土魔法で大きな円盤を作り私が主エンジン、レーミンとユスフルがお皿の強度を保ったり進行方向を調整することになった。そしてちょっと練習した後、
「それでは~レッツゴー~~~」
「「「「おー!」」」」
「・・・おー!」
6人を乗せた空飛ぶ円盤は宙に浮かび、イズール村へ飛んでいった。