幕間 イズール村の村長とごろつき魔術師
村のごろつき魔術師の話です。
「なんか、救われた気持ちになるのう。」
「そうですね。」
「ところでどんな魔法を教わったのじゃ?」
「土壌に手を加え作物が育ちやすくなる魔法を教わりました。」
「そうか、とりあえず1ヶ月で育つアマンス草をそれで育ててみるか。あと、今育てているユウ芋もできそうならやってみようか」
「そうですね、では早速準備しましょうか。」
そういって俺は農業が得意な村人と魔術が使える村人を呼び寄せアクアスに言われたことを言う。これで1ヶ月後沢山収穫できるといいのだが。
~~~1ヶ月後~~~
アマンス草はこれまでの2倍以上実り、効能も高かった。しかし、効能が高いが故にアマンス草として売ることは難しかった。
「さて、どうしたものかのう」
「これをアマンス草として売るのはできないですからね、いっそのこと突然変異したということにして新種として売り出すのはいかがですか?」
「いい考えじゃ、そうすることにしよう。名前は何がいいかのう?」
「アクアス草とかどうでしょうか?」
「それ、いいのう。そうしよう。値段は最上品のアマンス草の1.5倍というところでどうじゃろう。」
「そうですね、あまり安いと他の村の作るアマンス草が売れなくなる可能性がありますから。」
「よし、それじゃ頼めるか?」
「もちろんでございます。」
こうして俺は王都の商人ギルドに向かい、商品登録を行い早速アクアス草を納入する。とりあえず需要がわからないため、詳細の値段設定は商人ギルドに任せることにする。商人ギルドは値付けについてはものすごく的確で信頼に値する。その分何にでもお金を取ろうとしてくるが。
~~~さらに1ヶ月後~~~
アクアス草は結局最上品のアマンス草の2倍の価格で取引され既にかなりの数のアクアス草が売れている。これにはイズール村の村人達も大喜びだ。村人の中にはどこからか神話らしきものが伝わっているらしく
「(前略)女神アクアスがユスフル達を連れてこの村に来てこの村に幸福をもたらした(後略)」
「ねぇ、なんでアクアス様が女神だって分かるの~??」
「アクアス様は空を飛んできたからだ、人型で空を飛べる存在、それは神に違いない!!」
「そうなんだ~~ アクアス様に会いたいな~~」
「私もだ、初めてアクアス様を見たとき幽霊かと思って無礼な振る舞いをしてしまったからな、それにあの笑顔は本当に素晴らしいものだった。」
なんて会話も行われていたりした。村長の話を聞く感じ「アクアス教」なるものができているらしく我々の救世主であるアクアス様に迷惑がかからないかと心配していた。俺も心配だ。とにかくこれでこれ以上俺は手を汚さないですむ。
・・・恩に着るよ、アクアス様
幕間って言葉と幕末って言葉似ているよね。




