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今日からめっちゃホリディ♪

 


「アクアス、貴方にはこんなこと言いたくなかったが魔王軍をやめてもらえないか、このままでは魔王軍が二分されてしまう」


 魔王城の王の間に呼び出された私は、我が主である魔王アルスよりそう告げられた。


 理由は分かっている、私が軍の統率を乱しに乱したからだ。

 どう考えてもこれは私の過失だ、だから言う言葉も決まっている。


「仰せのままに」


「アクアス・・・反論はないのか??いつもは私が命令しても意見するではないか」


「アルス様、私は意見することでよりよい結末を迎えられる可能性があると判断した時だけ意見させていただきました、私は現状、私が魔王軍いることが望ましくないと自分自身でも思っております」


「そうか、アクアス・・・達者でな」

「魔王様こそいつまでもお元気になさってください、それでは失礼します。」



 こうして、私、アクアス・リンは魔王城を出て行った。




 ・・・ガッツポーズしながら♪



  ★  ★  ★



 私はアクアス・リン、元魔王様の幹部でたった今魔王様から追放された。


 追放理由は軍の統率を乱したから。

 魔族は誰だって人間を絶滅させようとする、なぜなら魔族だけの世界こそが魔族のゴールだから。

 当然魔王様だって同じ考えのはずだ。


 だが私はそれに異を唱えた。そして「人間を一定数生かしておくべき」と述べた。

 これをそこら辺にいる魔族が同じ事を言っても誰も相手にはしてくれない。

 しかし私は幹部だった。幹部が言ったら影響力が全然違う。

 

 魔族は私の意見に同意するものとそうでないものに分かれた。もちろん私の意見に同意しないもの・・・つまり人間を絶滅させるという意見に同意するものの方が多かった。それでも私の意見に同意するものも小数はいた。

  

 小数とはいえ影響は大きかった。魔王軍は少しずつ統率が乱れだし、私を反乱分子とみなす魔族も多くなった、そうなってくると魔王様も私を追放()()()を得なかった。




 まぁ、こういうわけで私は追放されたのだが、別に私は全然気にしていない。

 本当は私の意見に同意した魔族達のことは心配だが、慈悲深き魔王様のことだから大丈夫だろうとふんでいる。

 それどころか今から自由の身だと考えるととても胸がわくわくする。

  

「ふん、ふん、ふ~ん♪」と鼻歌交じりに魔王城からあてもなく歩く。


  

 あてもないまま歩いて3時間、辺り一面が橙色に染まっていく、どうやら夕方になりつつある

ようだ。


「夕方だねぇ~ちょっと休憩しようか」

アクアスはそういうと土魔法でそこら辺にある土でドームを作り、炎魔法で焼き固めたのであった


 そしてドームに入って一休みしようとしたそのとき

「アクアス様~!!」

と声がしたので、声がした方向に振り返るとそこには一人の魔族がいた。彼女の名はレーミン。

その容貌はというと知性を感じさせる優しい目に、エルフのような尖った耳、髪の色はピンクで後ろにゴムで縛っている。身長は160cmと魔族にしては少し高め、華奢な身体をしておりすべてを愛してくれるお姉さんオーラが身体中から漂っている。

  

「レーミンじゃん、どうしたの~?」

「もう、アクアス様ったら~、魔王城から出て行くなら私に一声かけてくださいよ~」

 え~別にいいじゃんと言いかけた時ふと彼女の服を見ると濡れていることに気づいた

 よく見たら足もぷるぷるしてる。

 おそらくはレーミンは私のことを泣きながら探し回ったのだろう。

 それに気づいた私は

「心配かけてごめんね、ありがとう」と声をかけた。

 レーミンは私の「人間を一定数生かすべき」という考え方に賛同する数少ない魔族の

 一人である。

 そんなレーミンは魔族の中でも人一倍優しい。様子を見るに相当心配をかけたのだろう。

  

「とにかくご無事でよかったです・・・」

 といってレーミンは私に抱きついてきた、そして腰に手を回したかと思ったら

 その手はいつの間にかお尻に到達していた。

「レーミン・・・そんな邪な気もちで私に抱きついてきたの?」

   

「ち、違いますよ! アクアス様を抱きしめていたらつい手がお尻に」


「毎回それ言うね、レーミン。まあいいけど~」

  

「え!?またお尻触らせてくれるんですか???」

 

 レーミンはすごく優しいのにドのつく変態である。私限定で。なんでかは知らない。

 どっちにしろレーミンに一つ言わないといけないことがある

 

 「そういう意味じゃなーーい」

 私がまあいいといってるのは抱きついた時ついお尻に手を伸ばすことである、お尻目的でお尻を触られるのは話が別である。


 「残念です、ところでこれからどうするんです??」

 言われてみればそうだ、私は自由の身になったはいいが、どこが行くあてがあるわけではない。でも一人で洞窟でも作って引きこもって魔法の研究でもするのもありかなーとか思ってるしなんのあてもなく自由気ままにその日その日を過ごしていくのもいいなぁと思ってる。

  

 う~ん、どうしようか、返答を考えていると

「もしよければ一緒にリノの街に行きませんか?」

 レーミンから予想外の申し出が飛んできた。

 まず一緒に行くというのが予想外である、私と一緒に行くということはレーミンが魔王軍から少なくともしばらく離れるということである。魔王様がそんなこと許可するか?少なくとも引き留めると思う気がするのだけれども、もしかしてスパイか・・?なんて頭を働かせていると

「あ、言うの忘れてましたが私魔王軍から追放されたんです~」

 さすがは察しのよいレーミンである、疑問をすぐ答えてくれる、というか

「え、魔王軍から追放されたの?」

 正直レーミンが魔王軍から追放されたのはびっくりである。

 魔王様は私みたいな首謀者はともかく、計画に巻き込まれた魔族の者を咎めるということはしないからだ。

 かつて魔王様暗殺を試みた魔族も首謀者こそ殺されたが、共謀者にはお咎めはなしだった。

 魔王様曰く「魔族は宝、一人を一人を丁重に扱ってこそ最強の魔王軍ができる」とのこと。

 お人好しだなとは思うんだがこれで魔王軍がまとまってるんだからすごいなと思う。

 でもだからこそレーミンが追放されたのが謎だがそれはしょうがない、私の質問への返事を聞こう。


 「はい、そうです、なのでアクアス様と運命を共にしたいのです」

 レーミンからそんなこと言われるなんて正直思ってなかったけど、すごくいい気分で、若干上の空になって

 「いいよ、運命を共にしよ」

 とつい言ってしまった。

 「よかったです~」

 レーミンがそういうのを聞いて、流されて決めちゃったけど大丈夫かなと不安になるアクアスだった。



  




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