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Prologue.


「俺と取り引きをしないか?」

「取り引き……?」


繰り返したその言葉に彼は頷く。


「そう。勿論、これはお互いにとっての利益の為だ」


彼は続けて取り引きの内容を提示した。


「君は俺を死の運命から守り、無事にホープ・ブルーが示したその場所へと連れていく。その代わりに俺は君の身分を保証し、これまで通りの船での生活を約束しよう」


提示された取り引きの内容。

それを聞いて、やっと分かった気がした。


借金まみれで女ったらし。ろくに戦いもせず、重要な局面ではいつも後ろに下がってばかり。

船長としての、上に立つ者としての威厳とか尊厳とか。そんなものなどありもしない。そんな彼が海賊の船長たるその理由。


お尋ね者。無法者。悪党。海賊。

そんな無秩序極まるその世界で、海賊として生き拭く上で。

物を言うのは決して金や力だけではない。金や力だけが全てではない。


言葉巧みに人の心を揺さぶり、煽り、扇動して誘因する。

先を見通し、得られる結果を計算して意図的に有利な状況を作り出す。

人を欺き騙して無利益な争いを避け、決して抜け目なくその利益を得る。

狡猾でずる賢くも鮮やかで巧みなその才覚。


これが海賊船・クロート号船長。海賊、アレン・ヴァンドール。


「どうだろう、ハル?お互いの為、悪くない条件だろう?」


彼との取り引きの内容に対し私は静かに頷く。


私は呪われた海賊を守る事になってしまった――



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