気にくわない男 6
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それからというもの、俺達は何だかんだ三人で一緒にいることが多くなった。小学校を卒業し、中学校に上がってからもそれは続いていた。俺と一が直接話すことなんて滅多になかったけど。大体はハルが俺達二人の間で話していることが多かったから。
三人じゃない時もハルは俺か一のどちらかと一緒にいた。他に友達を作ることはなかった。
そして、相変わらずハルは女子達から嫉妬の対象にされることが多かったようだ。俺も一も自分で言うのもアレだが、女子達から色々と関心を持たれることが多かった。それは年齢と共に分かりやすく増えていった。
一も男子達の間では嫌厭されていたみたいだが、その“一匹狼”感が女子達の間では密かにウケていたらしい。本人が気付いていたかどうかは、知らないけど。
俺も一もそんな女子達を相手にすることはなかった。
俺も一も“ハル”にしか興味がなかったから。
ハルにちょっとした嫌がらせをする奴は定期的に現れていた。その度にハルは闘っていた。時には落ち込みながら――。時には笑い飛ばしながら――。
それでも一には絶対言わなかった。
「彼奴には言わないの?」って聞いたら「言わないよ」って即答された。
“はじめ君はね、私のヒーローなの。何があってもいつも毅然としててね、本当にすごいなって思う。別に助けられたい訳じゃなくてね、一緒に隣を歩ける存在でいたいっていうか。私、はじめ君みたいに強い人になりたい。はじめ君の前では私も強く在りたいって思うの”
“可愛いって思われたい”
“かっこいいって思われたい”
“素敵な女の子だって思われたいの”
そんな風に言われたら、そんな顔して言われたら、俺からは何も言えないじゃんか。俺から余計なことを言うのも何か違うし、ハルの気持ちも分からなくもないから。
今、思えば三人揃って馬鹿だった。呆れるほどに馬鹿だった。
“はじめ君”に気付かれたくないハル。
気付けよ、お前と彼奴に思いながらも何も言えない俺。
ハルしか見えてなくて驚く程に他に気が向かない彼奴。
――ホント、馬鹿ばっかり。
「私は、はじめ君とユキと一緒にいられて嬉しいの。楽しいの。だから、それだけでいいの」
こんなにも幸せそうに言われてしまっては、本当に何も言えなかった。
どんだけ“はじめ君”が好きなんだよ、と何度も呆れた。でも、ハルのこんな姿を見られるなら多少気に食わなくてもまぁいっか、と俺が思ってしまうほどにハルが幸せそうに笑っていたから。
“ハルのヒーロー”
“ハルの心の支え”
“ハルの大切なひと”
このままじゃ、ハルが悲しんでしまう。
だから、いつまでも夢の中に閉じ籠られてちゃ、迷惑だったんだよバカはじめ。




