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気にくわない男 2




 だけど、予想に反してハルの反応は違うものだった。


「ごめんなさい。それは出来ない」


 彼女達もまさか、断られるとは思っていなかったのだろう。理解が追いつかないのか、反応が遅れている。


「は……? え、何で?」


 意味わかんない、と口々に言い始める。


「ユキと話したいなら自分で話しかければいいじゃない。ユキも話したいと思えば、私じゃなくても話してくれるよ」


「何それ。それじゃあユキ君が私達とは話したくないみたいじゃない!」


「そんな事は言ってないんだけど……」


 ――いや、実際その通りなんだけどね。


 話したければ話すし、話したくない時は話さないよ? そもそも俺、あの女子達と話したことあったかな……? って、俺のこういうところがハルに迷惑をかけてるのか。ハル、ごめんね。


「言ってるじゃない!」


 ハルの凛とした対応が、余計に彼女達の神経を逆撫でしてしまったらしい。もう、止まらない止まらない。


「っていうか、鳴瀬さんって冷たいよね」


「ホント、これくらいしてくれたっていいじゃない」


「私、聞いたことあるんだけど。ユキ君に手紙渡してほしいって頼んだ子達、みーんな断られたって」


「あっ、それ私も聞いたことあるー」


 うわ……、コレ完全に俺が巻き込んでるじゃん。


 ずっと前……、確か幼稚園の時だった。ハルが俺に女の子から預かったって手紙を持ってきた事があって――。その時に俺はハルに言ったんだ。


「こういうの止めて」って。


「そもそも俺と仲良くなりたいなら直接俺に来ればいいのに」って。


「それに俺と仲良くなるためにハルを利用するような奴、俺はごめんだから」って。


 始めは「きっとその子も恥ずかしかったんだよ」とフォローしていたハルも――


「逆に考えてみてよ。俺が他の男に頼まれたからってハルに手紙持ってきて、そいつと仲良くしてやって頼むんだよ? ソレ、嬉しい?」


 俺の言葉を聞きながら自分に置き換えて考えてみたらしい。そして――、


「うん、嫌かも。私も嫌やだ。ユキのこと利用するような子とは仲良くなれない」


 その結果、ハルは俺の言いたいことを分かってくれた。


 ごめんね、ユキ。コレ、私が返しておくねなんて言ってくれたけど、そんな事をしてハルが傷付けられるのは嫌だったから、俺は自分で返すと断った。そして、ハルに手紙を託した本人に直接俺から手紙を突き返した。ハルを巻き込んだことが許せなくて、結構キツいことを言ってしまった気がする。




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