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3話

3話までぎりぎり続きました。

「えと、暗いからランタン付けますね」

「ああ、お願いします」


 ガチッガチッと、森の静けさを引き立たせるかのように火打石の音が響く。

 気づけば空は真っ暗だ。いつの間に暗くなったのだろう。星も突然現れた。


「...では行きましょう」

「はい。...ありがとうございます」

「困っている人を見つけたら助けろと教えられているので、えへへ」


 後頭部を撫でながら照れたように言う。かわいい。

 ランタンの揺れる光を見ながら、今後を憂う。


 再び暫く沈黙が続く。どうやらお互いに話すのが得意ではないようだ。

 チラチラとこちらを見てくるので、嫌われている訳ではないようだが。


「あの...そういえば名前をお聞き...。あっ! ごっごめんなさい、記憶が...」

「あぁいえ、ハハハ」


 慌てながらわざわざこちらを向いて謝ってくる。

 多分癖で聞いてしまったのだろう。これは俺から言わなかったのが悪い。


「それで、貴方の名前は?すいません、聞きそびれてしまいまして」

「いえいえ! 私はメトフロといいます。これでも立派な騎士見習いです!」


 直立し、鳩尾に握りこぶしを当てる。騎士の挨拶みたいなものかな。


 そして騎士見習い...だから剣を持っていたのか。軽く流したが、普通に考えたら女の子が剣を持っているなんておかしいもんな。

 騎士がいるということは、文明的には中世程度なのか?


 固まった俺を見て、格好を不思議に思っていると思ったのか、メトフロはそのポーズのまま説明してくれる。


「えっとですね、本当は剣を持ってこの敬礼をするんです。体の真ん中の弱点を守る形、つまり全騎士共通の掟である弱者の守護を体現した、素晴らしい敬礼なんですよ!」

「へえ...」


 満面の笑みで、すごく嬉しそうな顔だ。余程騎士が好きなんだろう。

 ちゃんと由来を知ると全然違うポーズに見えてくる。不思議なものだ。


 その後も歩きながらメトフロは“記憶喪失”の俺に様々なことを教えてくれた。


 ここは世界にある四つの大陸のうち、三番目の大きさのトレ大陸であること。

 あんな広い草原を見せられて、ここは下から二番目の大きさの大陸です、なんて言われたらワクワクするに決まっている。


 この森は賢者の森と呼ばれる森で、知恵ある動物以外は入ることが許されない森だということ。どういう原理だ。しかし成程、だから動物も虫も見当たらなかったのか。

 ちなみに彼女の住む村は、森の性質を利用して安全な暮らしをしているそうだ。


 中でも気になったのは、魔法の話だ。どうやらこの世界には魔法が存在するらしい。


 空間に漂う魔力と自身の体に内包されている魔力を繋ぎ合わせ、意思の力を増幅させる。という、教科書に書いてある内容をそのまんま喋ったかのような語り口で教えてもらった。

 彼女は魔法が苦手なようで、そこに食いついた時は目を白黒させていた。


「魔法はすんごい難しいんですよ。でも相当剣の腕が立たない限りは、騎士は魔法が使えなければなれないので...日々の練習は欠かせません」


 と言って、ガッツポーズをしてみせる。

 魔法か...是非使えるようになりたい。見た目的に魔物形態の時は物理っぽいから、人間の体の時は魔法特化みたいにできたらかっこいいな。



「──だから村は結構排他的で、騎士を目指している私のことを敬遠してる人もいるって訳なんですよ...あっ! 見えましたよ! シルワ村です!」

「おおー...」


 茅葺き屋根の家が並んでいる。所々明かりはついているが、外に人影は見えない。


 少し待っててください、と言ってメトフロが走り去る。...なんだろう?

 ほんの少し経つと戻ってきた。どこに行ったかは知らないが早い。流石に騎士を目指しているだけはあって、体は鍛えているのだろう。


「ハア...ハア.....取ってきました、服です! その格好じゃ村の中を動けませんよ」

「あっ、ありがとうございます」


 なるほど確かに。...裸にマントだけの男を連れていたら、メトフロの評判まで下がってしまうだろう。

 後ろを向いてもらって着替える。無地の布の服だ。...着心地はいいとは言えない。


「じゃあ村長に報告に行くので着いてきてください」

「村長に報告?」

「森に何かが入ってきたら、村長の千里眼の魔法で場所が分かっちゃうんですよ。それで今回私が貴方のところまで行ったって訳です」

「へー」


 マホウスゴイ。...魔物だってことはバレてないよな?


 辺りを見回しながら進む。やはりあまり発展はしていなさそうだ。...いやどの程度が発展しているのか、この世界の基準が分からないと言えないのだが。

 村の奥まで進むと、一際豪華な家が。村長の家か。よく分からない飾りが沢山壁についている。

 手で待ってろと制される。確認を取ってくれるようだ。


「村長、入ります」

「はいよ」


 嗄れた声が聞こえる。なるほど、酸いも甘いも噛み分けていそうな声だ。村長ぽい。


「その、村長の魔法で見つかった“侵入者”なのですが」

「ああ、いいよ、入っておいで」


 ...千里眼の魔法か? ここに居るのがわかっているみたいだ。


「...失礼します」

「おやまあ...」


 シワシワの小さなお婆さんが軽く目を見開いている。

 周りには屈強な男が数人腕を組んで立っている。超睨まれてる。


「メトフロは下がっていなさい。少しこの者と話がある。...警護の者達もだ」


 メトフロを見てそう言ってから、少し考えて周りの男達にもそう告げる。


「しかし村長! こいつ...」

「そ、そうですよ! 私はともかく警護の者は...」

「これは村長としての命令じゃ。下がっておれ」


 突如周囲の空気が重くなる。心臓が、肺が潰れそうだ。


 冷や汗が止まらない。ただならぬ威圧感だ。もしかして、これも魔法の類なのか?


 渋々といった感じで男達は去っていく。メトフロは心配そうな顔をしてこちらを見るが、笑い返すと安心したのか出ていった。


 ...。


 お茶を黙って啜っている。本題に早く入って欲しいのだが。


 俺の焦れを察知したかのように、老婆の一言が静寂を痛烈に切り裂いた。


「お主、何者だ?」


 肌が粟立つ。

書いてて思ったのが、文字数を揃えるのが難しいということ。

今は適当に区切り良いところまで書いて終わりにしているのですが、文字数とか揃えた方がいいのでしょうかね。

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