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ep.1-1 まだ高校1年生です
3月も終わり、暖かな春の空気が俺を満たしていた。
「よし」
今日は始業式。体のサイズにぴったりの制服は確かな成長を感じさせた。
「じゃあ母さん。行ってくるよ」
あと数時間で高校2年生になる俺、『関城 裕』は乗り慣れた電車に揺られていた。
「……」
窓から見えるこの景色ももう1年経つのか
交差点を行きかう車や人々、それらを取り囲むようにそびえ立つビル群。何の面白みもない人の営みを見ながらそんなことを思っていた。
『まもなく、東旧都です』