第90話 すわ!やらいでか!!
俺のツボを押さえまくったコスプレ姿の桜さんが、何故か目の前でルーズソックスを脱ぎ、ハイソックスにはき替えるという暴挙に出たため、危うく俺のファトスが暴走しそうになったが、何とか堪えた。冬華さんは、それ以前から固まっていたが、こちらも何とか現世に復帰したようだ。
「さ、桜様、その、何ですか、その、あ、あまりにも肌の露出の多い服装は」
冬華さん、混乱し過ぎて法力がうねっているようだ。いや、これは俺が『穢れのせいで』我を忘れたせいなのかもしれんな。
「これがアロイス様のお好みなのです、冬華様」
なんか真正面からそんなこと言われてしまいました。女子〇生とか、好きだから!とか叫んでた教員がいたな、そう言えば。いや、俺は別にセーラー服じゃないと萌えない、ということはないぞ。ブレザーでも大正袴でも大丈夫派なのだ。
ただしルーズソックス、お前は駄目だ。
「ですよね、アロイス様」
「あ、うん、お好みかと言われれば、お好みです、ハイ」
ここはちゃんと答えておかないと後が怖いパターンです。パターン青!
で、俺は、桜さんを見て慄いている冬華さんに向かって言った。
「ただな、冬華さん。露出と言っても、度合いは夏織さんのエロ道着や秋音さんのミニスカハンターと大して変わらないはずなんだが…」
改めて桜さんを見る。うん、駄目だ、どこ見ても安全な場所が無い。おかしいな、普通に着てるだけなのにも関わらず、この制服姿はどうだ。もう理性なんぞアンドロメダ星雲の彼方に吹き飛びそうである。もうね、似合い過ぎ、ヤヴァいよコレ。しかも紺ハイソだとっ。これがニーハイなんかをはかれたら、そんな女子現実にいるわけねーだろ、とコスプレ感満載になるわけだが、それが紺ハイソになるだけであら不思議。やたらと艶めかしい女子こ(以下自主規制)
「お触りは二次元だけに厳禁以前の話だ、真の紳士とは愛でるだけなのに、愛でるだけなのにっ」
突っ込み要員の春香さんが不在のため、俺はどこまでも堕ちていくのであった。
「桜、どうして君は桜なんだ」
「あ、アロイス様?」
「ああっ、目の前に追い求めていた偶像があるというのに、触れることも敵わないとは!愛ゆえに、愛ゆえに、なぜ人は苦しまねばならぬ!」
「ふぉっふぉっふぉ、それはな、坊やだからさ」
爺店員の合いの手に、俺は、カッと目を見開いた。
「何だとっ、俺が坊やだから、苦しむのか!」
「そうさ、君の実力はそんなものかね」
「いや、まだだ、まだ終わらんよ!」
…ちなみに、この掛け合いは止める人がおらず、10分近く続いた。
「ふう、いい汗かきましたな」
「ふぉっふぉっふぉ、ここまで盛り上がる人も珍しいですぞ」
だって、旅の恥は搔き捨て、と言うではないですか。旅行先でアニソン縛りのカラオケ大会やって、周りから大注目浴びたのが懐かしい。
「久しぶり過ぎて、『穢れに引きずられて』しまったようです、いやはや、不甲斐ないことです」
困ったときの穢れ転嫁制度発動中なのかって?ちゃんと適正転嫁しないとな、インボイス導入する意味ないだろう?ん?
「ふぉふぉふぉ、まあ良いでしょう」
俺はやっと『穢れの波動から解放された』ので、改めて周囲の状況を顧みた。桜さんと冬華さんは、えーっと、ビデオコーナーにいるな。何か二人して食い入るようにモニター見てるけど、何流してるんだろう。ああ、あの不滅の歌劇団じゃないか。ゲームは持ってたが、積んでたので実は内容あんまり知らないんだけど、袴姿だから親近感があるのかねぇ?
「さて、そろそろ自己紹介させていただきますかな、纏いし者、アロイス殿」
「そうですね、あなたのお名前と」
俺は、大体予想が付きつつも、爺店員に伺うように聞いた。
「ご担当の穢れをお聞きしても?」
爺は、エプロンをばさっと翻すと、仰々しく名乗りを挙げた。
「我は戦闘力18万を超える毘沙門天。穢れ色欲を庇護する者なり」
何となく武士っぽいこと言ってるが、その数字は凄いのかどうなのか、判断に迷うところだ。んで、色欲を庇護?何かまた、微妙な言い回しだな。
あ、これってもしかして。
「ちなみに対象は?」
「うむ、13歳以下も可能じゃ」
お巡りさん、こっちです。
◇◇◇
ア〇〇〇ト改め、ショップの雇われ店長だという毘沙門天さんは、ガチでオタクだった。正直、どちらかというと積み上げカジュアル派だった俺には付いていけない話題もあったが、年の功なのか、無駄に煽られることもなく、非常に気持ちよく会話できた。うん、共通の話題で話が出来る人がいるのは、やっぱりいいなぁ。
…とか考えながら、ふと書籍のコーナーに目を向けると、桜さんが猛然とコミックスを読み込んでいた。ってか、その速度で読めてるのか、相変わらず人外だなぁ。でも、それって売りもんじゃないの?
冬華さんは相変わらずビデオコーナーに張り付いているようだ。うん、もう別世界だからね、色んな意味で。彼女はきっと、世界の境界線を3つくらいは一気に超えていったのだろう。ちゃんと戻ってこなきゃ駄目だよ。
しかし、強欲ハ〇ト様大黒天、傲慢エロバニー弁財天の次は、色欲二次元ヲタ爺毘沙門天とか、もう世界観とは一体。
問い詰めたい、佐久夜さんを問い詰めたい。
あとね、大黒天さんもエロバニーさんも、桜さんを見て卒倒していたが、毘沙門天さんは平気だった。何だか気になったので、ちょっと聞いてみた。
「あの、毘沙門天さんは、桜さんと会っても平気なんですか?」
「ん?ああ、かの御仁は通り過ぎておっての、我の目には入らんのじゃよ」
毘沙門翁は、それはそれは穏やかな表情で言った。
は?通り過ぎる?
混乱している俺を前に、毘沙門爺は『キリッ!』とか言いそうな表情で声を上げた。
「我の前にはZ座標など不要!」
「な、なんと」
ガチだ、この人マジのガチ勢だ。
「ちなみに、フィギュアは大丈夫なんですか?」
「うむ、フィギュアと抱き枕はギリセーフじゃ」
駄目じゃねえか、この爺(喜)
今回のあらすじ?
疲れてます、ええ、疲れてますとも。




