第88話 せんたく
その見た目の印象と違い、反応がとても初心で可愛い冬華さんに、俺の嗜虐スイッチが入りかけたそのとき、背後で彼女を支えていた桜さんが口を開いた。
「アロイス様、冬華様への御寵愛は、しばしお待ちいただけますか?」
「何でだ?こんなに可愛いのに、お預けになるのは俺としても辛いのだが」
俺が不服を訴えると、桜さんは頬を染めつつ、戸惑うように言った。
「あ、あの、アロイス様、先ほどの冬華様のお話、お聞きになられましたよね?」
「ん?ああ、聞いたよ。見た目の問題は多少のことなのか、って問いだったな」
「いえ、あの、その前なのですが」
「その前?」
俺は、先ほどの会話を遡るが、いまいち分からない。冬華さんに聞こうかと、彼女の顔を見ると、もう湯気が出るんじゃないかというくらい真っ赤になっていた。
「冬華さん、どうしたんですか?」
冬華さんの、あまりにもの狼狽えように、俺は若干冷静さを取り戻していた。そして、気付く。ああ、彼女を間に挟んで、彼女の意思を無視してするような会話じゃなかったな。俺は、改めて冬華さんに言った。
「冬華さんは、嫌かい?」
「い、嫌とか、そういう問題ではなくてですね…」
冬華さんの目が泳いでいる。どう答えたら良いのか分からないのだろう。まあ、そういう経験が無いのであれば、不安になるのも無理はない。
などと、俺が考えていたら、桜さんが、それはそれは言いにくそうに口を開いた。
「あ、アロイス様、その…、お、御菊様は、まずは私でお試しいただいてからの方が」
「は?」
何を言っているのか分からないのだが、何故そこで菊のご紋の話になるのかね。問い詰めたい、非常に問い詰めたい。俺が頭を悩ますこと数秒、不意に天啓が舞い降りた。
「ふぁっ!!い、いや、いやいやいやいやいや、そういうことでは、……あるのか?」
思わぬ天啓に取り乱しかけたが、今の今まで忘れていた冬華さんの身体的前提条件と、今までの俺自身の発言を思い起こせば、そういう発想になるな、うん。ただ正直なところ、俺はキューバの有名人プレイにはあまり興味は無いんだがなぁ。
「流石に飛躍し過ぎです、アロイス様」
この件に関しては、麗しき奴隷様の突っ込みは鋭かった。
ちなみに、全く意味が分かっていなかったらしい冬華さんは、桜さんに何やら耳打ちされて目を回していた。何を言ったんだ、桜さん…。
◇◇◇
「さて、改めまして、アロイス様」
色々刺激が強過ぎたのか、うんうん唸っている冬華さんを寝かせると、桜さんは俺に向かっていつもの刺激強めの微笑みを浮かべた。この笑顔の時は、斜め上の話になりそうな予感しかしないんだけどなぁ。
俺は努めて冷静を意識して、彼女と向き合った。
「何だい?桜」
「既にお気付きのこととは思いますが、冬華様は相当な力量の術者であられます」
「…そうだな」
「その冬華様ですが、アロイス様の巫女として穢れの波動に最も影響を受けておられます。危うい均衡を保っている、というのが現状です」
前にも桜さんから聞いてはいたが、法力への適性が高い故に、とか何とか言ってたな。
「春香様がアロイス様の傍に戻られましたから、少し安定はしましたが、今のままではアロイス様の昂りに耐えられないかもしれません」
「何か、解決策はあるのかい?」
「はい、3つほどございます」
おお、珍しい、選択肢があるなんて久し振りだな。どれどれ、聞いてみようじゃないか。
「一つ目は、4人目の巫女様を手に入れられることです」
「…ひょっとして」
「はい、アロイス様のご想像のとおりですよ」
あー、あのけしからんエロフハンター様ですかー、そうですかー。虫けらでも見るような目で私のことを見てくる、あの歩く公然猥褻物ですかー。かおりんより際どいときあるからなぁ、目が釘付けになるのは、男のサガというやつですよ。あんな美味しそうな太もも、目の前に置かれたら触りたくなるよね、味わいたくなるじゃないですか。そして、あのふくらはぎが良い!何を隠そう、俺はふくらはぎフェチなのである。女子の太ももや胸元は見てると嫌悪されるが、ふくらはぎはガードが薄いので、夏など堪能しまくりなわけですよ。あのふくらはぎから足首にかけての滑らかなラインこそ至高の美!良い脚を見つけると、それはそれは嬉しいわけです。だからこそ声を大にして言いたいのだ、ルーズソックスなんぞあり得ない、と!!あれは足首様に対する冒涜だ!謝れ、足首様に謝れ。
話が逸れた、春香さんも夏織さんも良い脚、春香さんの鍛え抜かれた脚も、夏織さんのスラリとした御美脚も垂涎モノだが、あのしなやかな狩人の脚と言うべきか、カモシカのような、って狩られる方だな、カモシカ。はっ、やっぱりあのシカは俺が狩る獲物なのかっ。ウサギも美味かったが、シカも締まりが良さそうだな。さぞ美味かろうて、ぐひひ。そういう意味では、冬華さんのはまた、こう柔らかさが伝わってきて、また違う味わいが。
あ、桜さんの御脚も勿論良きものですよ、ええ勿論ですとも。だからそんな目で見ないの。
「…取り敢えず、次聞こうか」
「はい、二つ目は、今の3人との契りを強くすることです。ただ、冬華様とは現状難しいですし、春香様とは、その、もう充分な関係を築かれておいでですから」
「そうか、じゃあ夏織さんと、ってことか」
「そうなりますね」
あの心を無理矢理こじ開ける、俺の方に向かせるってこと?うーん、調教っていう意味ではありなのかもしれんが、なんか違う気がするなぁ、こう。時間もかかりそうだけども、そんなに余裕も無いんだろうし、どうするの、どうしちゃうの、うへへ、ってか。
「…奴隷じゃないしなぁ、流石に無理矢理は」
「では私なら大丈夫ですね」
桜さんを調教、か。俺が調教されてる図しか見えないな、うん。しかも現在進行形。
「まあ、アロイス様ったら」
いや、そこ照れてもじもじするところじゃないから、ああもうあざといなこの子。
「………ああ、それで、三つ目は?」
「三つ目はですね…」
全て聞いて、俺は思った。選択肢とは、何なのか…。
今回のあらすじ?
議長とは、流石に書いたらマズそうな気がしたので止めました(おあ




