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総務おじさん探訪記  作者: 中澤 悟司
総務おじさん、覇(歯)道を往く
88/107

第86話 再会

ストレス発散を兼ねて好き放題書いてる本作ですが、なんと、5年目にして総合評価3桁、100ptもいただきました~(パチパチ)

ありがたやありがたや。

 遠回りしたものの、夜間強行軍かつ大きな揉め事も起こらなかったので、行きと同じくらいの日程でエロフの森の里に帰ってきた。


「そう言えば桜、前から気になってたんだが」

「何でしょうか、アロイス様」


 俺はエロフの里が近付いてくるに連れて、どんどん膨らんでいく不安事項を桜さんに聞いた。


「春香さんには、何か影響が出たりしてないのかなぁ、俺の巫女さんだし」

「そうですねぇ、春香様は離れてましたし、法力の適性も冬華様ほどはございませんから、大きな影響は無いと思いますよ」

「そうか」


 まあ、脳筋だしな。ただ、同じく脳筋の夏織さんの身体能力が上がっているところを見ると、きっとそういう方向で影響が出てる気がするんだが。


「まあ、会えば分かるか」

「そうですね」

「ひょっとして、同志春香は、あれよりも強くなるのか?桜殿」


 気になったのか、夏織さんが桜さんに聞いた。この二人、仲も良いが、手合わせっぽいことも頻繁にやってたのだ。で、夏織さんが勝ったところは、まだ見たことが無い。

 それを分かってか、桜さんはにこやかに笑いながら答えた。


「そうですね、夏織様ほど体感上は変わらないかもしれませんが、恐らくそうなるのでは、と」

「そっか、まあ、同志春香は前からアロイス殿の情婦だしなぁ」

「誰が情婦よ!誰が!」


 って突っ込むんだろうなぁ、と思っていたら、本当に突っ込まれていた。というか春香さん、どっから湧いたんだ。


「おや、元気そうだな、情婦春香」

「全く、長旅からやっと帰ってきたと思ったら、挨拶がそれなの?」

「まあそう言うなよ、私が居なくて寂しかったんだろう?同志春香」

「…うん、まあ、そうね、話し相手が減って寂しかったわ」


 夏織さんの男前な台詞に、春香さんはツンを発揮しようとしたようだが、止めたようだ。春香さんはちょっとはにかむと、素直に認めた。なんかめちゃ可愛いんだけど。え、まさかの百合展開なのか?そうなのか?


「じゃあ、仕方がないから相手してやるよ、アロイス殿が」

「いや、それはいいから」


 なんで即答なんだよ春香さん、寂しいこと言うじゃないか。夏織さんの軽口に合わせて、俺のことを半目で見ていた春香さんが、何だか訝し気な表情で口を開いた。


「な、なんかあんた、イヤらしさが増してない?」


 失礼なこと言う娘だな、そんな悪い娘には、お仕置きが必要だなグヘヘ。


「ひいいぃ、と、鳥肌が、鳥肌が!」

「ん?寒いのか春香さん、仕方ないから温めてやろう、ほりゃ、こっち来い」

「て、手つきが猥褻なのよあんたは!そ、その手は止めて!」


 何を想像しているのか分からんが、真っ赤になりながら若干涙目の春香さん。俺を煽ってどうするんだ。


「…で、アロイスの背中に背負われてるのは、どちら様なのかしら?桜」


 気を取り直した春香さんが、桜さんに聞いた。


「こちらは、奥平の冬華様ですよ」

「も、もしかして」

「ええ、春香様お察しのとおり、アロイス様の巫女様です」

「高いところから失礼いたします。冬華と申します、以後お見知りおきを」


 そう言うと、俺に後ろ向きに背負われていた冬華さんは、顔を隠すように被っていた布をまくり上げた。火傷に覆われた、痛々しい顔が晒される。


「私は、東青青龍守信昭の娘、春香と申しますわ。よろしくお願いいたしますね」


 冬華さんの痛々しい顔を見ても、春香さんは全く動じなかった。冬華さんは、少し驚いたようで、つい、という感じで言葉を続けた。


「春香様は、私の素顔を見られても、平気なのですね」


 冬華さんの、やや自虐的とも取れる言いぶりに、春香さんが目を釣り上げた。


「平気なわけ、無いですわ」

「え?」

「お顔のその痕、火傷かと思いますが、さぞかし熱く、痛かったでしょうに。それを思うと、平気でなどおれましょうか」


 一転、優しそうな眼差しで冬華さんを見つめる春香さんに、俺はハル爺から聞いた話を思い出していた。


 春香さんは、領主たる東青家息女としての役割として、成人前より戦で傷を負った負傷兵達の慰問や世話をしていたという。彼女が会った兵の中には、顔面を斬りつけられ、大の大人でも恐れたり驚いたりしてしまうような容姿になってしまった者もいたらしいが、彼女は最初こそ少し涙を浮かべていたが、大きくは動じなかったという。そして、その涙の理由も、先の話と同じく、見た目なぞ気にしておらず、その痛みを思って、そして闘い半ばで倒れてしまった無念さを思って涙したというから、ハル爺も感極まって男泣きを止めるのに必死だったらしい。根っからの武人、と言えば聞こえは良いが、なかなかに教育関係者的には際どい内容だな、おい。


「…アロイス様の巫女様は、良い方ばかりですね」


 俺にしか聞こえないくらいの小さな声で、冬華さんは、そっと呟いた。

今回のあらすじ

エロフの森に帰ってきたよ

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