第79話 遭遇その壱、いや、その弐
同行した行商人は、この集落で少し商いをしてから奥平に向かうという。俺たちはと言えば、特にこの集落に用もなく、行商人のアポを期待しているわけでもなく。
「ここから奥平の集落までは、ゆっくり歩いてもその日のうちに着きます。案内人が居なくても大丈夫なくらいですよ」
という彼の言葉を真に受けた俺は、女性陣と共に奥平へと向かった。
で、途中で昼休憩ということで、俺は用を足しに女性陣から離れ、道脇の茂みに入っていった。サバイバルとかだと、こういう茂みには何がいるか分からないから注意すべし、とか何とかだったかと思うのだが、正直気が緩んでいたのだろう。
なんせ、あの八甲田山の後に、ちょっと肌寒いとは言え、良い天気で陽気な感じである。冷凍死するかと思うくらいに辛く、もなかったな。まあそこまではいかなかったが、山道は険しかったし、天幕越しに結構な音はしていたしで、元々インドア派で体力がそこまであるわけではない俺には、しんどかったのには違いない。そんな行程を突破して、麓の集落では久し振りにハッスルしてスッキリしてしまったのだ。緊張の糸が切れないことを期待する方が何をか言わんや、である。
で、俺の目の前には、これまた『際どい』のが立っていた。茂みの中でボロンしている最中に、ウサギがやってきた。勿論、普通のウサギではない。定番のバニーさんである。この、時代設定?を全く無視した服装は、どうにも既視感はあるにはあるのだが、きっとそういうことなんだろうな。しかしまあ、際どい、思わずムスコが元気になってしまう際どさだ。
前がパンク大黒天さんだったので、七福神シリーズで来るのかな、とは思っていたが、何か分からない。確か女の神様が一柱だけいたと思うんだが、俺宝くじ買ってないから名前あんまり知らんのよね。もうビールの人くらいしか分からん。
そんなこんなで、俺が考え事をしていると、目の前のバニーさんが口を開いた。
「とりあえず、そ、それをしまってくれんか」
「それ?」
顔色は変わらないものの、若干戸惑いを感じるバニーさんのその声に、俺は御用中であったことを思い出した。御用中に「きをつけ」をしてしまったものだから、何か中途半端に残尿感があって残念な感じだ。先っちょが濡れちゃってテカってるのが何とも(以下自主規制)
「ああ、すみませんね、お見苦しいところを」
「いや、我も最中に来て悪かったな」
俺は元気なムスコをしまおうと頑張った。が、引っかかって上手く収納できない。しかも何か手についたし、困った、こんなエロ可愛いバニーさんを前にして、用足しの後に手が洗えないなんて、何たる羞恥プレイ。あ、でも森だから仕方ないよね。
そう言えば、森でウサギを見つけたら、捕まえて捌いて食うというのはサバイバルの基本じゃないのか、小説知識だが。ということは、俺もバニーさんをひん剥いて喰わないと駄目なんだろうか。俺はハンター、逃げるバニーさんを捕まえて、鮮やかな手つきで『皮』を剥き、自慢?のマグナムをお見舞いするのだ。何?狩りと順番が違う?そんなことは気にしないのだ。むふふ、それはそれで燃えそうなシチュだな、いやー、滾ってきたぞ~。
「あのな、わ、我も悪かったが、そろそろしまってくれんかな」
戸惑いから困惑に変わりつつあるバニーさんを、俺はじっくりと観察していた。バニーとしては奇をてらわない、オーソドックスでクラシカルなスタイルだ。頭には黒いウサミミ飾り、お顔も可愛い系で、とっても俺好みである。トラディショナルなバニーさんなので?肩は丸出しだが、肘より上まであるようなシルク調の手袋をしているし、程良いサイズ感で手の収まりが良さげなお胸はしっかり艶のある生地に隠れている。ただ、レオタードだっけか?ぴっちりと出た体のラインはなかなかにセクシーで、色の濃いタイツ?パンスト?がこれまた良い味を出している。総じて肌の露出はかなり少ない、しかしエロい。生足も良いが、このパンスト?もまた、良いではないか、剥き甲斐がありそうである。正面からは見えないが、きっとお尻には丸い毛玉も装備しているのだろう。ぜひ引っ張りたい。
格好は普通のバニーさん、普通のバニーって何だという話もあるが、それは置いておき、普通のバニー装備だからこそ、素材の良さが伝わってくるのだ。美味い肉は塩だけで充分美味いのである。そう、露出が少ないにも関わらず隠しようのないこの秘されたエロス、この格好に隠された『肉』も、さぞかし美味かろう、ぐへへ。
「!!な、なんか悪寒がするのだが、その邪な気配をなんとかしてくれないか」
「邪な気配と言われましてもね、こんな森の中で『ウサギ』がノコノコと『狩人』の前に出てきたら、それは狩って喰ってくれと言ってるようなもんですよね」
「あ、いや、そ、そのような意図はないんじゃが」
「意図があろうが無かろうが、そういうことなんですよ!」
「ひ、ひいぃっ!」
かくして、俺のムスコさんは、しまわれるどころか、火を吹くことになりました。俺のマグナムできっちり射留めてやるぜ、このエロウサギめ!
◇◇◇
「あの、桜様」
「何ですか?サマンサ」
アロイスが用を足しに場を外したため、女性陣は休憩していた。どこからともなく出てきた長椅子に座り、女3人、これまたどこからともなく出てきた茶と団子に舌鼓を打っていた。長椅子が出てきたのには、夏織も流石に驚いていたが、まあ桜のことだし、と手品扱いしてすぐに気にしなくなっているあたり、肝が据わっているのか何なのか。
「その、アロイス殿は、アレで良いのでしょうか?」
サマンサは遠慮しがちに桜に問うた。この、サマンサの主人は、おおよそ普通の人間の感覚ではないことは、ある程度は彼女も理解している。彼女自身も、普通の人間とはかけ離れた存在であるから、あまり気にしても仕方ないとは思ってもいる。しかし今、アロイスに起きている事態は、そのサマンサからしても、不可解というか、何と言うか、素直に受け入れられない、そんな事態であった。
「アレ、とは何ですか?」
「アレは、その、交わりと言いますか」
「ああ、それですか」
つい先ほどまで、美しい微笑みを湛えた表情とは裏腹に何の感情も乗っていなかった、桜の、サマンサを見つめる目が、慈愛に満ちた。
「彼女は、そうですね、契ったからには、私の元に来てもらいましょうかね」
サマンサは、まだ顔も見ぬ同僚が、少しだけ羨ましくなった。まあ、だからと言ってあの男に抱かれたいとは、微塵も思わなかったが。
今回のあらすじ
ウサギと出会ったら剥いて喰う、これテンプレよね。
疲れてると更に頭悪い展開にしかならないなぁ。




