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総務おじさん探訪記  作者: 中澤 悟司
総務おじさん、覇(歯)道を往く
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第72話 神霊の森と守り人

前回のあらすじ

愉快な仲間たちでお話しながら、西の森に向かい歩き旅をした

※本日2投目です

 目の前に、広大な森が広がっていた。


「ここが、エロフの森か…」


 10日程歩き続けて、俺たちは、目的地と思しき森の一端に辿り着いていた。


「神霊の森、ですね、アロイス様」

「いや、この煩悩の塊はわざと言ってるわよ、桜。エロフっていうのが何か分からないけれど、凄く汚らわしい響きがするもの」


 自分の体を抱き締めて身震いする春香さん。ちなみにきっちり着物を着ているってのもあるが、そうやっても乳はそこまで強調されないのが悲しいところか。感度はすこぶる良いんだけどなぁ。


「も、もちろん桜様もご存じですよ、春香様」


 笑いながら解説しなくてもよろしいがな、サマンサ嬢や。


 と、煩悩妄想全開で佇んでいると、目の前に人が現れた。見紛う事なき、エロフ様であった。


「お、おお、エロフの森のエロフ様だ、っ!!」


 エロフ様は、いきなり矢を放ってきた。矢は、俺の足元に突き立った。


「おいおい、相手の確認も名乗りもせずに、いきなりご挨拶だな」


 エロフ様は、俺の発言を、全く、完全に、完膚なきまでにスルーした。


「汚らわしき、不浄の気配を感じた」

「…否定できないわ」


 いやそこ、否定しようよ春香さんや、な。


「ここは神霊の森、旧き神や精霊がおわす場所なれば、不浄なるもの、近付くこと能わぬ。追いまではせぬ故、大人しく立ち去るが良い」


 エロフ様は、その雰囲気こそ凛々しい。腰まである栗色の髪を風に任せてたなびかせ、ハーフっぽい、とっても美しいお顔は凛として、ぱっちりおめめは俺を見据えている。

 が、首から下は、大胆に開いた胸元に、こぼれんばかりの盛り上がり、ミニ丈ワンピースっぽい服に、ニーソックス装備である。どこの痴女だと言わんばかりの、ある意味煽情的なまでにエロい恰好なんだが、それに似合わない、超が付くほどお堅い言葉で『汚いから帰れ、汚物』と宣われた。ああっ、何だろうか、このゾクゾクする感じは。


「お待ちください、守り人様」


 俺が新しい扉を開きかけていたら、後ろにいた桜さんが一歩前に出た。変化は、劇的だった。


「なっ、あなたは!」


 何かに驚いた、いや、怯えているようにも見えたエロフ様に、桜さんは続けた。


「我が主は、この森にも、旧き友にも、そして守り人様、あなたにも、邪な意図はありません」

「…むしろ邪な意図しか無いと思うんだけど」


 いやそこ、すっごい冷たい声で余計な突っ込みしなくてよいから春香さんや、な。


 あとツボにハマりすぎて必死に笑いを堪えている女子2名、いつかヒイヒイ言わせてやるからな!


◇◇◇


 場所が変わり、今は森の守り人が住むという集落、そこにある小屋の中である。

 ハル爺は、途中の工房の焼き物が気になったとかで、春香さんと一緒に別行動だ。サマンサ嬢は、小屋の外で待機中。というわけで、この場には俺と桜さん、夏織さん、そして、エロフ様。


 俺たちが椅子に座ると、エロフ様は一旦奥に消え、お茶と茶請けを持ってきた。


「先ほどは失礼したわ。お詫びと言うわけではないけれど、こちらをどうぞ」

「ありがとうございます、遠慮なくいただきます。…美味い」


 出されたお茶も焼き菓子も、とても美味かった。


「お口に合ったようで良かったわ、私が作ったから」

「おお、エ…守り人様のお手製ですか、お上手ですね」


 やばいやばい、うっかりエロフ様って言うところだった。いかんな、はよ名前を聞かないと。と俺が思っていると、彼女もどうやら同じことに思い至ったらしく。


「ああ、自己紹介がまだだったわね、私は守り人の秋音よ」

「あ、アカネ?」


 アカネ、だと?


「ええ、季節の秋に、音と書いてアカネよ」


 エロフ様の名前に反応した俺を、夏織さんが訝しげに見てきた。


「どうした?何か聞き覚えでもあるのか、アロイス殿」

「すまん、ちょっと叫びたい」

「は?」


 俺は、どうしても衝動が抑えられず、暫し席を辞した。小屋の外に出ると、サマンサ嬢が、これまた不可思議な顔でこちらを見てきた。


「どうされたんですか?」

「いや、ちょっと叫びたくて、すまん」


 そう言うと、俺は息を吸い込んだ。


「アカネちんは、寸胴で料理下手なんだよ!」


 認めん!ボンキュッボンで料理上手など、あれは断じてアカネちんではない!


 と、そこへハートフル主従がやってきた。


「何を叫んどるんだ、お主は」

「聞き捨てならない言葉を叫んでいたように思うのですけど?アロイス」

「ああ、心配しなくても、君のことじゃないよ、春香さん」


 軽く弁明をしていると、背後に強烈な殺気を感じた。


「誰が『寸胴で料理下手』なのかしら」

「あ、いや、あなたのことではなくてですね、秋音さん」


 まあ、扉一枚隔てただけで叫んだら、当然こうなりますよね。何でこんなことも我慢できないんだ、俺。穢れの影響なのか?


 我慢できないのは夜だけにしてくれよ…。

これがやりたかっただけかもしれない(えー)

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