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総務おじさん探訪記  作者: 中澤 悟司
総務おじさん、降り立つ
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第5話 女神様

明けましておめでとうございます。


どこまで続けられるか分かりませんが、頑張りたいと思います。

 飲み物どうしよう、と悩みながらも、俺はまた、違うことに考えを巡らせていた。アラブさんが扱っている商品のことだ。彼が何を取り扱っているのか、俺は全然知らなかった。会話の中でも、商人だというのは分かったが、結局何の商いをしているのかさっぱり分からなかった。と言うか、彼はマジックアイテムの話ばかりしていたからな。まあ、何が出てくるのか、楽しみにしようじゃないか。夢だし、何だろうな。まあ、大量の胡椒とか出てきたら、それはそれで面白いけど。胡椒が出てきたらどうしようかな。別に要らんから金くれって言って、貰った金で遊びまわるのもいいかな。遊興施設って、コロッセオと劇場くらい?ローマ時代か、そりゃ。娼館とかあんのかね、風俗とか行ったことないけど。ゴムとか無いだろうから、病気が怖そうだな。まあ、夢だから関係ないか。


 などと他愛もないことを考えながらしばらく待っていると、アラブさんが戻ってきた。あれ、何も持ってないような気がするけど。商品は従業員に持たせて来たのか?人の気配がもう一つあった。そして、彼の後ろからついて入ってきたのは。


「……あ」


 BGM流れたね、いや、マジで。ホイッ〇ニーのラブソング。電撃だ、電撃。芸能人とかマジ勘弁、てレベル。いや、表現できない。筆舌に尽くし難い、これって悪い方だっけ?


『アヤ、ごめん、堕ちた』


 夢とは言え、核魚雷で撃沈された漁船のごとく俺の貞操観念はぶっ飛んだ。


 アラブさんとの会話が再開した。どうやら彼は奴隷商らしい。でかい屋敷とか、世界が変わっても、やっぱ人身売買のブローカーとか、黒い仕事ほど儲かるワケね。まあ、彼自身はポリシー持ってやってるとか言ってたけど、どこまで本気だか。まあ、そんなことはさして重要な問題ではない、関係ないわけで。

 途中から、アラブさんの話なんか聞いてなかったな。もうね、耳に入ってこないの。彼の隣に座っている女神様に釘付け。俺も結婚してるし、子供もいるしでいい歳なんだが、盛りのついた童貞の高校生のように無遠慮に舐めるように全身を見てしまった。いい女だ。それでも嫌な顔ひとつしなかった。気だてが良いのか、ポーカーフェイスなのか、鈍感なのか。いや、かなり見てたから視線には気付くはずだ。そこまで鈍感なのは逆にちょっと面白くない。ちょっと視線には気づきつつ、羞恥心に耐えるために伏せ目がちに若干頬を赤く染めつつも気丈に振る舞う、なんてのが俺の理想だけどまさにそれじゃないのか?ほんのり桜色に染まった頬をスベスベしたい。目は、くりっとしていて可愛い感じか、でも優しいだけの目ではなく、若干気は強そう?だが、若干M気のある俺にはまたそれも良いではないか。

 野球で例えれば、バッターボックスで何となく構えてたら、ストライクゾーンに時速500Kmでリニアモーターカーが突っ込んでくるようなもんだ。いや、それって死ぬだろ、そう、その通り。


 いやらしくはない、いや、いやらしく男を誘うボディライン、しかし清楚さも合わせ持つ。もう最強。服か?服のせいなのか?服は別段特徴のない、巫女さん?みたいなシンプルな服だ。着物っぽいと言えば、着物っぽい。この辺りでは珍しいのか?予備知識ゼロだからさっぱり分からん。しかしあの乳!あのけしからん乳にむしゃぶりつきたい。胸ではなく、あれは乳だ。もう一度言おう、あれは乳だ、決して胸ではない。ああ、あの乳が、あの乳があああ!乳神様が降臨されたのだ。きっとそうだ。あの無駄にデカ過ぎず、かと言ってボリューム不足で平たくもない、あの美しい均整の取れた乳、服の上からでも分かる、あれこそが美乳!ブラジャーなど不要!ということは、ひょっとして乳首様が降臨されているのではないのか!ファッ!

 ……いや、ここはやはり紳士として最低限の礼儀は尽くすべきだろう。後、すぐに座ってしまったので、下半身は殆ど観察できていない。これは期待大だ。


 だが、ムスコビンビン物語になりかけると同時に、俺の中では警鐘が鳴りまくっていた。この女、この存在は俺とは格が違いすぎる。なんだか超越した美なのだ。別にことさらに無機質な感じ、というわけではない。一般人がオーラを放った芸能人を捕まえて、気軽に『一緒にメシどう?』と言えるだろうか。いや、そんなことは出来ない。少なくとも俺は無理。


「この娘は東方の出のようでして」


 東方、という言葉に俺は少し反応した。女神様は、髪は黒髪、瞳も黒の、所謂日本人というか、東洋人的な配色の顔であった。肌も白人の様に白くはなく、黄色人種のそれだった。ああ、俺はこっちの方が好き。良く分かってるな、俺の夢。


「ご覧の通り怪我や病気もなく、しっかりと成長しております。もちろん生娘でございましょう」


 そう言って、アラブさんが女神様の顔を見た。彼女の頬が若干染まる。くううう、ウブではないか、良いではないか、良いではないか。俺も遂に初物ゲットなのか?とびきり初物かっ。嫁さんしか知らん俺にとっては、更にハードルが上がった感じが。何のハードルだ、何の。

 ちなみに、俺的統計では、現代日本の20代女性の生娘率は非常に低い。未婚率が上がっているのに、生娘率が下がるとは、これ性風俗の乱れと言わずして何というのかっ。まあ、何でも個人でゆとりの時代だしね、緩むよね、頭のネジもオマタの穴も。婚前交渉はイカンのだだだ!!なんて言ってるのは童貞をこじらせた魔法使いのおっさんか、教育業界のエロい人くらいのもんだ。センセイがセイトと繋がっちゃう時代だ、何でも繋がる、グローバルコミュニケーションなんです。そりゃ性徒だ!なんて言ってはいかんのですよ。てなオヤジギャグはさておき。


 住む家もくれるらしい。宿や貸家じゃなくて、一軒家くれるんだって。アラブさんてば、どこまでサービスが良いの?貴族街ではないから、金額は大したこと無いと言ってたが、現代日本の中流サラリーマンからしたら大したもんよ。

 今日泊まるとこ無いというのが分かったら、今すぐにでも入れるようにするとか言って準備させたってさ。つーか、俺この国?この市?の市民でも何でもないと思うんだけど。まあ夢だ、細かいことは気にしない。


「そう言えば、自己紹介するのもお名前をお聞きするのもすっかり忘れておりました」


 出会ってからずっと、腕時計やらスマホやらの話で我を忘れていたらしい。初めは若干訝しげで教えるつもりが無かったとか、そんなのかもしれないが、まあそれも気にしない。


「レアアイテムには目がないもので、申し訳ないことです。私はメニカムと申します」


 メニカムさんね、名字か名前か分からんが、どうしましょう。


「あちらは妻のレアです」


 先程飲み物を持ってきてくれた、部屋の隅に待機中の美人さんが頭を下げた。おお、あれ奥さんだったの。てか、奴隷座ってるのに奥さん立ちっぱなしでいいのかよ。商品だから良いのか?


「第二夫人のレアでございます」


 美人な若奥様レアさん、どうやらメニカムってのは名前なんかね。しかし、若奥様なんて、アラブさん、もとい、メニカムさんもやるねぇ。

 けれども、奥さんは第二ってわざわざ言うのね、第一夫人の手前もあるから、そうなってるのか?いちいち細かいな、この夢。


「特別な奴隷などは、私や妻が直接管理しているのです」


 お名前をいただいても?と促してくる。どうしよう、本名を言うか、でも夢だし、ヨーロッパっぽいし、違う自分もいいよね。後さ、若いおねーちゃんに本名で呼ばれるのは、こっぱずかしいと同時に、嫁さんにばれたときが恐ろしい。夢の中だろうと俺は嫁さんには勝てんもん。う、浮気じゃないもん、別の人だよ、別の人。我ながら完璧だ。

 となれば名前だ、名前。英雄っぽいのは格好良いけど名前負けだな。でもせっかくだからヨーロッパっぽいのを。うーん、でもあんまり時間をかけるわけにも。怪しまれるし、夢から覚める前にちょっとでもこの女神を観察したい。アニメやマンガ、ゲームのキャラ名も考えたが、権利的や倫理的な面を慎重に考慮した結果、俺は1秒後に答えた。


「アロイス、私の名前はアロイスだ」


 ちなみに息子は総統である。

あくまで主人公の心理描写ですよ。


まったり続きます。

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