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総務おじさん探訪記  作者: 中澤 悟司
総務おじさん、降り立つ
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第3話 It's Magic

「マジックアイテムが、こちらにもあるのですか?」


 夢だけど、あんまり何も知らないでなめられるのは気分的に良くないので、俺は知ったかをして探りを入れてみることにした。


「ええ、そこまで精巧なものではありませんが、幾つかは私も持っておりますよ、趣味で収集しておりましてね」


 そこから、アラブさんのマジックアイテム蘊蓄話が始まった。どうやらこのおっさんは、カメラとか、盆栽とか趣味にしてる人にありがちな、興味の無い人間にとってはどうでも良い細かい話を延々と繰り広げるタイプであるようだ。有閑紳士、ってやつなのかね?しかし、ここは貴重な情報源であることも確かだと思い込み、気分良く話をしていただくことにした。

 彼の話によると、マジックアイテムと言っても、何かこう、ファンタジー世界の魔法みたいなものが封じ込めてある道具というものではなく、魔力を含む特殊な素材で魔法のように高度な技術で作られた精巧な工芸品、といった程度の意味のものらしかった。本当に魔法が封じ込められている物もあるようだが、そちらは本当にレアで結構値が張るらしい。彼はどうやら何か商売をしていて、結構羽振りが良いようで、取引先含め色んなところからマジックアイテムの情報を集めているらしい。安い物でも、持っているだけでステータスになる的な話であった。

 しかし、魔力に魔法って何やねん。


「んー、あなたのお話を聞いて、是非ともお伝えしたい提案があるのですが」


 ひとしきり話し終わったのか、アラブさんは、途中でマジックアイテム談義を切り、何だか提案をしてきた。言っておくが、俺はほとんど話していない。ひたすらニコニコと聞いていただけである。


「何でしょう?」


 何となく続きが予想できたが、一応聞いてみた。


「その腕時計、私に譲っていただけませんか?」


 さあ、来た。この譲るという言葉が危険だ。ヤクザな方々は非常に言葉には厳しい方が多いので、下手なことを言うと言質を取られてドツボにハマりかねない。何故この腕時計にそんな価値を見出しているのか、さっぱり不明だが、私にとっては嫁様からの頂き物であり、結婚指輪と並んで重要なアイテムなのだ。いかに夢とは言え、結婚指輪を紛失している以上、この腕時計まで失うわけには絶対にいかないのである。

 俺は、覚悟を決め、強く出た。


「譲る?って、タダでですか?」


 アラブさんは、俺の強い意志を感じたのか、驚いた、若干怯んだような態度を見せた。そうだ、俺はこの腕時計を渡すわけにはいかないのだ。例え相手が強面のヤクザだったとしても、それなりの対応をしなければ、後で嫁さんに何を言われるか分かったものではない。


「いやいや!!そんな滅相もない。そんな貴重なマジックアイテムをタダでなんて、提案することすら商人としての矜持が許しませんよ。正当な、いやその価値に十分に見合った対価で、そうですね、聞いたこともない遠方の国からの舶来の品で、マジックアイテムで、この精巧さで、この、価値が計れませんな。元値が20万、とおっしゃいましたね」

「ええ、そうですね」


 アラブさんは、意外と?筋は通す人であるらしいようだ。まあ、ヤクザな方々も、本物の極道は筋さえ通せば話が通じる方も多いと聞いたこともあるが。まあ、その筋が一般的とは言い難いことも多いんだろうけれども。

 で、どうやら『商人の矜持』とか言うあたり、やはり何かの商売人なのだろう。


「では、その5倍、100万でとりあえずいかがでしょう?」

「とりあえず、とは?」

「ああ、対価として少ない額を提示してしまっては申し訳ないので、ひとまず、ということです。もちろんこれ以上の提示も可能ですが、いかんせん価値が計り知れないものですから」


 それとも、しかるべきところで鑑定させていただいて、その査定で、いや、それだとそこに買われてしまうな、などとアラブさんは1人で言い始めた。うん、ここで切らないとマズイな。


「あ、いや、これは売るつもりはないです」

「やはり金額が安すぎましたか、ならば……」


 だが断る!と言ってみたい気もするが、それだと襲撃フラグが立ちそうな気がする。襲撃は嫌だな。


「いや、金額の問題では。これは私にとっては非常に思い入れのある品でしてね」


 なんせ、嫁から貰ったもんだしな。夢の中とはいえ、売ったなんてことがバレたら殺される。


「そうですか、残念です」


 アラブさんは意外にあっさりと引いた。でもやっぱり襲撃フラグで追い回されるのは夢とは言えごめん被りたいのと、ちょっと思いついたことがあったので、俺は意気消沈しているように見える彼に提案してみた。


「時計と言う意味では、こんなのもありますよ」


 俺はスマホを取り出し、アラブさんの目の前で画面操作しアナログ時計を表示する。まあ、デジタルでもいいんだけどね。


「……、そ、それは?」

「いわゆる『タブレット』ってやつです」


 スマホっても分からんだろうし、小さい石版の方がイメージしやすかろう。まあ夢だからどうでもいいけど、イメージってやつで。


「おお、おおお」


 なんか凄い反応だ。目が点になる、っていうのはまさにこんな感じなんだろうな。アラブさんは、食い入るようにスマホの画面を見ていた。

レイアウトとか、難しいものですね。


始めたばっかりで、試行錯誤です。

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