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総務おじさん探訪記  作者: 中澤 悟司
総務おじさん、降り立つ
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第14話 戦明けて

随分間が開きましたが、やっと投稿できました。

 さて、三度の戦いを経てようやく賢者になった俺は、ベッドの上で改めて状況を整理した。


 まず、疲れたのか横で寝ている桜さんとの経験は、やはり現状は夢や幻覚の類では無く、実際の感覚を伴う現実であろうことを確信させてくれた。凄い経験をしたものだ。ただし、家に帰った際の、俺の身の安全は全く保証されないがな。状況だけ見れば完全に浮気だな、これ。どうするよ。

 あと、俺の身と言えば、ちょっとおかしい。幾ら好み直球ど真ん中の極上の女相手で興奮していたと言えども、流石に元気が良過ぎる。昨夜のことも夢ではないとしたら、この半日ほどの間で片手以上の回数をしているはずだが、疲れがほとんど無い。アラフォーなおっさんの精力では無い気がするのだが、自分の手や体を見る限りでは、別段変わった様子もない。

 しかしまあ、不思議は不思議、不可解なことではあるけども、考えたところで分かりそうも無いので、俺は自分のことを取り敢えず棚上げにしておくことにした。


 まあ、ここまではまだ良かった。問題はその後だ。


 俺は、改めて部屋を見渡した。安いビジネスホテルのような部屋だと思っていたが、そんなところでもあるはずの設備が何も無い。テレビは疎か、空調も、照明すらもない。雰囲気重視の民宿にしてもやり過ぎだろう、まるで安いログハウスか掘っ立て小屋だな。ふと、燭台らしきものが目に入った。そう言えば、蝋燭はあったな、雰囲気出すため、というわけではなかったらしい。いやー、あのゆらゆらとした光に浮かぶような桜さんのシルエットはヤバかった。理性が吹き飛びそうになるのを必死に抑えてたな、俺。思い出してたら元気になってきたよ、っておいおいまだヤる気か?

 思わず横で寝ている桜さんを見てしまう。ホント、キレイな子だな。こんな子が俺と、なあ、などと思いつつ、彼女の髪に触れ、手で梳いた。


 悶々としながら、桜さんの髪をしばらく触った後、思いっきり後ろ髪を引かれながらも、俺はようやくベッドを出た。やはり安らかな寝顔を見ると、無理矢理起こして、ってのはどうにも、ちょっと躊躇われる。まあ、それならさっきのアレとか昨日のアレとかどうなのよ、という気もするが、む、無理矢理じゃないし。

 やっぱり現実ではなくて夢なんじゃないのか、という思いが消えないまま、俺は部屋に一つだけある窓、これにしても窓ガラスなど入っていない、木の板で閉められた窓なわけだが、その窓を開けて外を見た。

 窓から外を覗いて見る限り、今いる場所は、どうやら眠る前に夢だと思っていた場所そのままのようであった。少なくとも、自分の住んでいた日本の地方都市ではなさそうであった。目の前には裏庭的な狭いながらも小綺麗なスペースがあり、その向こう側には生け垣があった。昨夜見た外観のままだとすれば、今居る建物は煉瓦造りの平屋といったところであろうか。確か左に見える、これまた赤茶けた煉瓦造りの建物に、使用人というか、メイドさん達が住んでいるはずだ。


「夢だけど、夢じゃなかった」


 現実逃避的に出た一言に、ドングリなんてどこにもねーだろ、と突っ込んでくれる人は、居なかった。


 桜さんが起きるのを待つ間、俺は自分の荷物を改めて見つつ、どうするか考えていた。ここが何処なのか、スマホでGPS測位でもすれば分かるかも、という淡い期待もあったが、そこで俺は重要な事実を思い出した。


「あ、そういやスマホ売ったんだった」


 そう、スマホは奴隷商であるメニカムさんのところにあるのだ。俺は頭を抱えた。


 災害や事故などの対応マニュアルで共通しているのは、まずは安全確保し、その上で状況の把握、情報の収集なわけだが、取り敢えず安全は確保されているとしよう。で、状況把握に情報収集であるが、これがスマホが無いと出来ないのだ。いやー、如何に便利に使ってたかってことだな。困った困ったコマドリ姉妹、とか思考が迷走しかけた時、俺はあることを思い出した。


「あー、そういや、メンテするとか何とか言ったんだっけ?」


 酒に酔ってたり、夢だと思っていたりで適当に話していたから、あんまり記憶に無いが、確かそんなことを言ったはずだ。とにかく一度、スマホの画面を確認する必要があるな、と俺は考えた。

 俺は、ベッドの端に腰掛け、桜さんの寝顔を鑑賞しながら、今後の動きを考えていた。そんな感じのところで、桜さんが目覚めた。


「……あ、アロイス様。申し訳ありません、眠ってしまいました」

「んあ、お、おはよう」


 掛け布で胸元を半分くらい隠しつつ、はにかむような素振りを見せるという、またまたあざとすぎるというか、相変わらず心臓と理性に悪い格好の桜さんを、出来るだけ意識しないようにしつつ、俺は会話を続けた。


「えーと、お、起きれる?大丈夫?」

「……あ、はい、大丈夫です」


 何故そこで若干頬を染めながら俯く、桜さんや。あかん、理性が吹き飛びそうで頭がクラクラするんだけど。しかしここは我慢だ。


「じゃ、じゃあ、服を着て、朝ご飯にしようか」

「はい、では準備いたしますね」


 俺は桜さんに背を向けると、自分も着替えることにした。部屋の隅には、今日着る分ということなのだろうか、服がカゴに入れて置いてあった。着心地は、正直そんなに良くない。というか、ゴワゴワしていて悪い。まあ、柔軟剤があるわけでなし、臭くないだけマシと思うことにした。


 桜さんは、昨夜着ていた巫女風衣装に着替えると、朝食の準備をすると言って部屋を出て行った。俺は、下手に動くわけにもいかず、部屋で待機していた。ふと腕時計の時間を見ると、時刻は10時を回った辺りで、朝食と言うには少し遅い時間であった。まあ、この10時というのも、合っているのかどうかも分からないのだが。


 しばらく待っていると、朝食の準備が出来たと、メイドっぽいエリーさんが呼びに来た。顔を若干赤らめていたのは、きっと気のせいだろう、うん。そういう事にしておいて欲しい。

 朝食は、これまた昨夜の夕食と同じく、桜さんと一緒に食べた。メニューは、ちょっと固い、バゲットをスライスしたようなパンと薄味で具の殆ど入っていないスープであった。まあ、特筆するほどのものは何も無かった。ちなみに、パンに塗るようなバターやジャムの類のものは無かった。ついでに言うと、食器はナイフすら出なかった。まあ、特に要らんかったけど。


 さて、取り敢えずスマホを見に、メニカムさんのところへ向かうことにしよう。

コンスタントに投稿するのは、思ってたより厳しいですね。

余裕が無さ過ぎる……。


ホントにまったりですが、続きます。

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