GMと説明1
無粋な音がなった。
ゲーム開始を喜んでいるのになんだ、と思いながらカナタはウインドウを開いた。メールの送り主は【運営】開いてみると内容はたった四文字[上を見ろ]だった。
ウインドウを閉じて上を見ようとすると、近くにいたユト達や周りの人たちも上をみている。
カナタも彼らと同じように上を見た、すると上空に巨大なウインドウが開き白衣を着た不健康そうなメガネの男を映し出した。
そしてその男は両手を広げて
『レディースアンドジェントルマン!ようこそ僕の世界へ!』
不健康そうな容姿に似合わないウザいテンションでプレイヤー達を歓迎した。
『初めまして僕がこの世界を作った。鈴木 伊月だ、GMもしている。ベータテスターの人たちとはテスト開始時以来だね!久しぶり!』
と嬉しそうに言った。
『さてさて、なんでこんな事をしているかと言うと君たちにこの世界の事を説明しようと思ってねっ!あっもし質問があれば今送ったメールの返信に書いてくれれば答えるよ!』
なぜだろうイライラが止まらない、隣を見てみると、ユミの目はすでにゴミを見ているような目だ。
彼はそんなこと気にしないと言わんばかりに話を続けいていく。
『周りを見てもらえば分かると思うけど、この世界は一部を除いて現実世界をそのまま再現している。なんでこんな事をしたかと言いばぶっちゃけフィールドを一から作るのが面倒だからだ!』
なぜか自慢げに胸を張った。
『まあまあ、そんな呆れた目で見ないでくれ、他にも理由がちゃんとあるから!』
指を一本立てて
『理由その一、このゲームはこの正式スタートからリアルマネートレードを採用してるから』
プレイヤー達がざわついた。
あたりからは「マジか」「キタこれ」「ベータの時からか」「いや、ベータの時はそんなのなかった」などと言う声が聞こえた。
パンパンという音と共に『はいはい、静粛に』と言う声がしてざわついていたプレイヤー達は少し静かになった。
『なぜリアルマネートレードを採用しているかと言うと、仕事しなくても生活できるようにするためだよ、ゲームするだけの生活いいよね!』
と言った。だがここで一つ疑問がわいた、このゲームはソフトを購入しプレイするのだが素人考えでもそのお金だけで賄えるとは思えない。
すると、『あっ』と声がした。
『質問が来たみたいだね!なになに?』
[ソフト購入と課金のお金だけだとすぐに資金不足になると思うのですが?]
『いい質問だね!確かにその二つだけだとすぐに資金不足になるね!でも大丈夫、このゲームには多くのスポンサーがついてるから!』
確かに多くのスポンサーがついていれば大丈夫なのだろうが、なぜこのゲームにスポンサーがついているのかが謎だ。
と、思っていると
『ハハ、みんななんで多くのスポンサーがついていのか分からないって顔してるね?』
可笑しそうに笑った。
早く説明しろ!というプレイヤー達の気配を感じ取ったのか。すぐに
『この世界の建物を現実世界の企業に売っているんだよ』
と答えた。
『この世界を作る時に現実世界をそのまま再現したけど再現していない物もあるんだ。その一つが建物の中と看板だ。建物の中まで再現すると大変だし、看板をかってに再現なんかしたら訴訟問題になるかもしれない、だから僕はそれを売ることにしたんだ。元でゼロだしね!』
と笑いながら言った。
『このゲームの建物や土地は売っているんだ、ゲーム内マネーでもいいしリアルマネーでもいい。企業だけじゃなくプレイヤーにも売っている。だから現実にある企業が宣伝目的で購入してそのままスポンサーにもなってくれている。おかげでこのゲームは運営されているだけでお金が入ってくるようになっている』
と区切り『質問の答えはこれでいいかな』と言った。
『じゃあ、理由その二、このゲームはの名前の通り「旅」を勧めている。「だったらファンタジックな方がいいんじゃない?」と思う人も多いと思うでも、そんなゲーム巷にあふれかえっている。逆に現実世界を旅するのは大変だ。時間もお金も掛かるでも、ここならソフトを買えばすぐに来れるし、お金だってモンスターを倒せば手に入る。それが嫌だと言う人はリアルマネーをゲームマネーに変えればいいよ、この世界のお金は現実世界の日本の千分の一だ千円分も変えれば十分に旅を楽しめると思う。馬車もあるし駅と駅はポータルになっていて移動も簡単。建物内は見れないが風景を楽しむことはできる。
あとこのゲーム内の時間は現実の半分になっている、この世界で一時間過ごしても現実では三十分しか経っていない、なぜ半分かと言うとそれ以上の時間加速は精神に多大な障害を与えると言われているかだ』
そもそも時間加速システムなどと言う物自体初めて聞いたが、
『まあ、何の実証結果もないんだけどw』
と言いながら『念の為にね!』と苦笑した。
『さて、これでこの世界の世界観の説明は以上だけど、何か質問あるかな?』
と首を傾げながら聞いてきた。
誰も質問がないのを確認し『じゃあ次の説明いくね!』また一段とテンションを上げた。