見えない攻撃
歩いていると遠くに緑が見えた。
「あれが森林フィールド」
江戸城は皇居をそのまま草原に変えていたが、この森林フィールドは住宅街を円状に切り抜いた場所に生えてきた様になっている。
いきなりコンクリが切れて草が生えてる。
隣の建物は半分が無くなり、木が生えていた。
「雑、運営雑すぎるだろ」
もう少し何とかならなかったのかと思いながら森に入っていく。
「森だな」
そこには現実と変わらない緑が広がっている。
歩いているとガサガサという音が聞こえた。
「なんだ?」
警戒しながら音の方へ視線を向けるとそこには角の生えたウサギがいた。
ーーーーーーーーーーーーーー
ホーンラビット Lv2
ーーーーーーーーーーーーーー
という情報を見ていたらウサギはこっちに飛び掛かってきていた。
「うおぁ」
飛んできたウサギをギリギリで避けるとウサギは真っ直ぐ木の真ん中ぐらいにぶつかった。
「びっくりしたぁ~」
ぶつかったウサギを見てみるとぶつかった所で止まっている、バグか?と思い近づいてみると。
「刺さってる」
ウサギは木に刺さっていた。
抜け出そうとジタバタと短い手足を動かしているが角が深く木に刺さっていて抜ける気配がない。
「大丈夫か?」
このまま倒すのはかわいそうだと思い助けてみるするとつぶらな瞳でこちらを見ている。
仲間になりそうにこちらを見ている。なのかと思い近づこうとしたら・・・
また飛び掛かってきた。
「なんで!」
また避ける。
避けたウサギの方を見るとまた木に刺さっている。
「またか、またなのか」
木に刺さっているウサギを見ながらスライムのことを思い出した。
「なんだ、このゲームはこんなモンスターばっかりなのか?」
なんどか木から助けてやるが助ける度に木に刺さる。
いっその事木に刺さる時にダメージを受けて死んでくれないかな、と思いながらとどめを刺すことにした。
「スゲー気分悪いわ」
気分を落としながら歩いているとまたウサギにあった。
運営はプレイヤーに精神的ダメージを与えるつもりなのか、と思いながら剣を抜き相対する。
「よし、避けずに飛び掛かってきたところを切るか」
木に刺さって居るのを倒すのは精神的にきついので飛んできたところを切る。
すると切られたウサギは地面を転がる。木に刺さっている時は首を切ったので一撃だったがお腹あたりを切ったのでたおせなかったみたいだ。
転がったウサギはフラフラしながら立ち上がりこちらを見る。
(ウルウル)
「やめろ!こっち見んな!やりずらい!」
精神攻撃を行う運営の本気度がうかがえる。
「これはさっさと倒した方がいいな、精神的に」
自分の精神の心配をしながらも素早く近寄り三度ほど斬りつける、すると
テッテレー
と音がなった。
ーーーーーーーーーーー
剣士 Lv2
ーーーーーーーーーーー
レベルが上がったみたいだ。
「見合わねー」
経験値と精神的ダメージの釣り合わなさに愕然とした。
ピコン
『強くなるためには犠牲が必要だ、
主に精神力だがな(笑) 運営より』
「狙ってこれなのか・・・・」
嫌気がさしてきた。
「普通の敵と戦いたい・・・」
当たり前のことを思いながらさらに森を進んで行く。