第1話
その時、その瞬間、君と僕らの世界はぐるりと変わった。
始まりはそう、あの日。
舞台はここ、
「音守大学附属響新学校中等部」
そして私は”忍山奏”。
今日からこの学校に通うピカピカの新入生だ。
バシッ!!
「痛っ!」
ぼけ~とこの学校の名物の桜並木道を歩いていた私の右肩に
ピリリとした痛みが走った。
「おはよっ!奏!」
振り向くと幼馴染であり、大親友でもある”村園海音”が
満面の笑みを浮かべてたっていた。
「なんだ、海音かぁ~。」
「なんだってなにさっ!さぁさぁ、体育館行こう!」
少し頬をふくらませながら私の腕を強引に引っ張った。
「はいはい。わかったわかったぁ。自分で走れますぅ~。」
ひらひら舞う桜の花びらを横目に2人は入学式会場へと足を運んだ。
ざわざわとした入学式特有の体育館には私たち、新入生の他に
いろいろな楽器を片手におしゃべりをしている人々がいた。
「ねぇねぇ、あの人たち何するんだろうね。」
「さぁ・・・。楽器持ってるから演奏でもするんじゃない?
まぁ当たり前だけども。」
隣にちょこんと座っている海音と一緒にじっとその人たちを見ていると、
突然大柄の男の人がその人たちの前に立った。