優しさは嘘吐きの始まり
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嘘は嫌われる。
嘘吐きも嫌われる。
だったら僕は如何だろう。
嘘は吐いてないと言えるだろうか。
言ったところで嘘だとバレるだろう。
バレなければ良いのか? いや、バレない嘘ほど怖いものはないだろう。
だが、嘘はバレない様に仕立てあげる。
誰かを元気付ける為に――自分が元気でいるフリをする度。
誰かに失望されない為に――自分を他人から偽る度。
誰かを庇う為に――自分が犠牲になる度。
嘘は大きくなっていく。
『どうしたんだ、コクリ』
『おにいちゃんはしなないよね?』
『ん? コクリはしんじゃうドラマのみすぎだな』
『なによ~、ほっんきでしんぱいしてるんだけどなぁ』
『ぼくはしなない――しぬわけがない』
『そっか、ならあんしんだね』
『ってうらないの人がいっていた』
『む、あんしんしてそんしたぁ……』
僕は嘘を吐いた。
占いなんて子供だったから、やった事なんて無い。
死なない訳なんて無い。
死ぬ訳――僕の死因。
轢死――ただコンビニまで歩いていて、轢かれて死ぬ。
走馬灯は見終えた――終わった。
後は死ぬだけ――それだけ。
「嘘……だろ――嘘だった……だろ」
雨が一層強くなる中、嘘はバレなかった。
血の気が引いていたのに――血の池が出来ているはずなのに。
僕は膝を付いて、起き上がれた。車に轢かれて、痛覚が振り切れる程の痛みと共に、死ぬはずだったのに。
君は誰だ。