もしものストーリー
蒼い空 もしも・・・
「ん?ライト?」
俺は目の前の光に自転車を止めた。
一瞬目の前に車が通った。運転手は見覚えのある顔・・・斉藤 誠?俺の中に嫌な想像が流れた。
「まさか・・・」
俺は自転車を恵の家に向けた。
「嫌な予感がする・・・」
心臓が痛い・・・恵、無事でいてくれ・・・。
着いた。玄関が開いていた。
「やだ!離して斉藤君!」
「うるさい!君はこんなところにいていい人間じゃない!」
「やだ!私は真と一緒に居たい!」
この会話・・・恵を連れ出そうとしてる?
「またお前・・・斉藤!」
俺は斉藤の前に出た。
「また君か・・・邪魔はさせない!」
斉藤は、俺に向けてナイフをかざした。
「・・・」
俺は持っていた鞄を前に出した。
「お前に・・・お前に恵は渡さない!」
「お前さえ居なければ・・・恵は僕の元に来たんだ!」
どっちも動けずその場にじっとしていた。
「どけ!僕は恵と一緒に新しい生活をするんだ!」
「お前は恵を殺そうとした!お前なんかに・・・お前なんかに渡すものか!」
「真・・・」
恵が嬉しそうで少し悲しそうな顔をした。
「・・・っ!」
斉藤は恵を引っ張った。そして、ナイフを恵の首元に突きつけた。
「どけ!さもないと・・・さもないと恵を殺す!」
「お前・・・恵が好きなんじゃないのか!」
好きな人にナイフを向けるだと・・・許せない・・・許せない!恵は俺が守る!
「うおおおぉぉぉーーー!」
俺は斉藤に向かって突進した。何も考えてなかった。ただ必死に恵を助けたかった。
「な!」
斉藤も想像してなかったらしい。ナイフを首筋から俺に向けた。ナイフが鞄に刺さる感触がした。俺の目の前に金属の刃が映った。
「あああ!」
鞄を上に上げてナイフの刺さった鞄ごと後ろに放り投げた。
「うわ!」
俺は恵ごと斉藤を押し倒した。
「この!この!この!」
押し倒し、俺は斉藤の顔を殴り始めた。
「恵は!お前の!物じゃない!」
殴る事を辞めれない。怒りも収まらない。今この場で殺してやろうかと思うくらい怒りが俺の中を満たしている。
「恵は!恵は!」
「真!」
不意に恵の声が聞こえた。
「もういいから・・・私はもう大丈夫だから・・・お願い彼を許してあげて・・・」
泣いている・・・なんで?俺はただ恵を助けたいだけなのに。
「私は・・・私はこんな真を見たくない!」
俺は恵みの部屋にある鏡に映る自分を見た。
笑ってる・・・顔が笑ってる。目は鬼のような目をしているのに顔は笑っていた。
「ハッ!」
俺は正気に戻り後ろに下がった。
「はぁはぁはぁ・・・斉藤!」
俺は斉藤に向かって大声を出した。
「ヒィ!」
情けない声が聞こえた。
「もう二度と・・・二度と恵の所に来るな・・・」
「な」
「今度来てみろ・・・次は殺す!」
「ヒィ!うわああああぁぁぁぁーー」
泣きながら斉藤は部屋を出て行った。
「はぁはぁ・・・ふぅー・・・恵」
「真!」
恵が俺に抱きついてきた。
「ごめん・・・ごめん・・・ごめんなさい」
謝りながら、俺の胸の中で泣いた。
「なんでお前が謝るんだよ」
俺は恵を連れ部屋に戻った。
「だって・・・だって・・・」
「本当に謝るべきは俺だよ。ごめん、怖かったよな・・・。今度はもっと早く来るから」
「違うの・・・私が・・・私が真を好きになっちゃたから・・・こんなひどいことに・・・」
そうか・・・それで謝っていたのか。馬鹿な奴だな。
「それは違う。俺はお前が俺を好きになってくれたから俺はお前を好きになれた」
「え?」
「・・・これでも俺は初めて人を好きになったんだからな!」
「真?」
「だから・・・だから、泣くな。俺はお前の泣き顔なんて見たくない!」
俺は恵を強く抱きしめた。
「真・・・」
俺はそれから何分だろうか?それとも何時間だろうか?恵を長い事抱きしめていた。今俺の腕から伝わってくる恵の温かみが落ち着く・・・
「真・・・」
「ん?」
恵が俺を見てる?顔を俺に向けて目を瞑ってる?これってまさか?
「おい・・・恵?」
「真!わかってるんでしょ?」
少しむくれて言った。かわいいけど・・・かわいいけど・・・それは・・・。
「ええと・・・そのー」
「駄目かな?」
うっ・・・卑怯だ・・・そんなこと言われたら・・・
「・・・・」
顔が真っ赤になってるのが自分でもよくわかる。どうしよう?俺はこのままキスをすればいいのか?
「真?」
恵は、まだ目を瞑って俺に顔を向けている。
「んー・・・やっぱ駄目だ」
俺は恵を突き放して言った。俺ってこういう時に限ってヘタレだ・・・チャンスだったのに・・・。
「もう・・・根性なし・・・」
恵が何かボソリと言った。まぁ聞こえてたけど。
「何か言ったか?」
「別に!」
恵はそっぽを向いた。まぁ仕方ないよな。この空気でキスをしなかったのだから。
「はぁー・・・で、恵」
「むー、何?」
むくれてる。その顔に少しドキッとした。あーこれがベタ惚れって奴なのかな?
「今日は泊まっていくから」
「え?」
予想してなかったのだろうか?目を丸くして俺を見ていた。
「さっきみたいなことがあったら大変だからな」
「・・・ほんと?」
ポケーとしていた顔が笑顔に変わった。
「ほんとに泊まっていくの?やった!」
「嬉しいのはわかったから強く抱きつくのは辞めろ!恥ずかしい!」
俺は恵から距離をとって言った。
「ウフフフ、恥ずかしいって誰も見てないから大丈夫だよ」
ううっ・・・なんだか調子が狂う。
「そりゃそうだけど。あーやっぱ駄目だ!」
恥ずかしくなってきた。そういえば、俺こいつの事を長い事抱きしめてたな。
「うーーー・・・」
思い出すとすごく恥ずかしくなってきた。
「どうしたの?顔ものすごく真っ赤だよ?」
「いや、なんだかお前を抱きしめてたのが恥ずかしくなった」
「ふーん、やっぱり真はかわいい」
恵が抱きついてきた。
「っーーー!」
俺は嬉しいのか恥ずかしいのわからない気持ちで恵を見た。
「・・・ねぇ、真」
さっきまでの声とは違う。真剣な声だ。
「どうした?」
「・・・うん、斉藤君の事なんだけど」
「ああ、大丈夫。今度来たらぶっとばしてやるから」
そう、もう二度とあいつの好きにはさせない・・・俺が恵を守る!
「私・・・婚約を断ろうと思うの」
「ん?」
「前に言ったよね?お父さんは好きな人ができたら婚約破棄してもいいって」
「ああ」
「まだ、真とは恋人同士じゃないけど破棄してもらうようお父さんに。だってこれ以上は私も嫌。斉藤君に好き放題させたくない!」
真剣な目で言った。
「そうだな・・・」
「だから」
急にいつもの声に変わった。ほんと、こいつのテンションには振り回される。
「ん?」
「明日の放課後私のお父さんに会って貰えるかな?」
俺はしばらく無言になった。
「・・・はい?」
「だからお父さんに会って欲しいの!」
え?何?この娘さんを僕にくださいな流れは?
「それって?」
「俗にいう、お父さん娘さんを僕にください的なやつだね」
元気一杯に言った。
「・・・!いやいや、待て待て!そんな仲にはなってないだろ!つか、俺たちまだ付き合ってすらいないだろ!」
「えー、お互い両思いでしょ?いいじゃん。それでさ」
クソッ!この笑顔ずるい・・・はぁー
「娘さんをくださいはなしだが恋人として行くのは了承しよう」
「ほんと!」
ピョンピョン跳ねながら俺に抱きついてきた。
「だぁー!だから抱きつくな!」
「いいじゃない!だって恋人同士なんでしょ?」
「だから恥ずかしいんだって!」
俺は、恵を引き離しながら言った。
「うるせーぞ!いちゃつくなら外でやれ!」
隣人の方が怒鳴った。
「・・・・」
「・・・・」
俺と恵は黙った。
「怒られちゃったね」
「お前の所為だけどな」
「ウフフフ」
「ハハハ」
俺と恵は小さく笑った。
「なぁ・・・」
「何?」
「愛してる・・・」
俺は小さくそういうと恵にキスをした。
その後、俺は恵のお父さんこと理事長に会った。ものすごい怖かったけどなんとか気に入ってもらったみたい。「君のような好青年になら恵を任せられそうだ」って言ってたけどまだ結婚するとは言ってないんだけど・・・。他の連中に付き合うとは言ったらみんな少し引いた。苗村達は「とうとう押し切られたか」とか「結婚式はいつ?」とかからかわれた。これからが恵と俺の物語が始まるんだな・・・楽しみだ。
完
これでこの作品は完全完結となります。ピクシブからこっちに投稿させてもらっているので書き方は少し変わっていると思います。




