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Another Life to End  作者: 綾高 礼
第四章

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大賢女(5)


 セルフォース?

 何処かで聞いたような……いや、知らない言葉だな。


「そのセルフォースってなんだ?」

「セルフォースとは、細胞力さいぼうりょくのことを指す。アイ・ジーは使用者のセルフォースを瞬時に読み取り、向き不向きを判断してそれを力に変換する」


 つまりゲーム世界で言うところのSPやMPなんかと同じが類か。

 でも細胞を使って、なんてゲーム聞いたことないけど……。ていうか人生シミュレーションゲームだよね、これ?


「その、細胞を力に変えるって意味で合ってるか?」

「あぁ。人は細胞の数や色、DNA遺伝子、染色体などがそれぞれ微妙に違う。細胞分裂により日々変化もする。それに力にも差がある。それを細胞力、つまりセルフォースと呼ぶ。それがアイ・ジーとリンクする」

「おぉ、なんか凄いな」

「だから能力に個性が芽生え、それがスキルとなって発現する。お主は、お主達のような人間と私達のようなAIに違いはあると思うか?」


 この世界に住むAIは、本当にリアル過ぎて見分けがつかない。この前の十億戦でもAIの兵は血を流していた。違いを探す方が難しい間違え探しみたいだ。

 俺は一瞬、変な違和感を覚えたが、先に質問に答えることした。


「……うーん、分かんないな。呼び方くらい? 俺達は生まれた時から『人間』と教えられ、師匠達は『AI』と教えられた。案外、生きてれば違いなんてどうでもいい事なのかもな」


 コクリと頷く師匠は、どこか嬉しそうに見えた。


「――――そうか。ならその気持ちは大切にしておけ。お主、アイ・ジーを開け」


 俺は言われるがまま「アイ・ジーオン!」と唱え、アイ・ジーを起動させる。

 いつも通り、完全転移モードのメニューウィンドウが開く。


「どっちでもいいからスキルを選択してみろ。すぐに分かる」

「…………あのさ、師匠。先からずっと思ってたんだけど、スキルなんて項目、メニューウィンドウにないんだけど?」


 目が点になる者を人生で初めて見た気がする。


「……お、お主、スキルコマンドの出し方も知らずにモンスターと戦おうとしていたのか⁉」

「え、何、スキルコマンドって?」


 はぁ~と溜息をつく師匠は、困り果てたようだったが、何とか教えてくれた。

 通常、アイ・ジーのメニューウィンドウには【スキル】という項目はない。しかし、裏技というか抜け道というか例外があるらしい。


『エクセプションコマンド・オープン(解除時はリリース)』と唱えると【スキル】という項目がメニューウィンドウから見れるようになるらしい。

 ・・・・・・ってこれ本当に人生シミュレーションゲームだよね?

 とにかく【スキル】をタップする。二つのアイコンが選べるようになっていた。


武器ウェポンスキル】と【魔法マジックスキル】。


 とりあえず魔法スキルを選択してみる。

 別に魔法に憧れていたからとかでは大いにない。

 映し出されるスクリーンに、巨大な樹とそれに連なるように八本の枝がそれぞれに分かれていく。どれも今にも折れてしいそうな細い枝は、薄っすらと赤や青、緑や黄色などの色が明滅を繰り返している。


「魔法スキルを選んだけど」

「そうか。ではお主に見えているのは巨大樹に連なる枝が八本あるだろ。それが一つ一つの属性魔法マジック。通称“魔法マジックスキル・ツリー”だ」


 何そのクリスマスツリーみたいなノリ。


「その枝をなぞるとスキルの詳細が見れる」


 俺は薄っらと赤色が見える枝をなぞる。それに反応するように電子音が鳴り、枝が巨大樹に吸収されていく。その後、様々な技名が載ったリストが巨大樹から開かれた。


 火属性魔法ファイヤーマジック


どの技にもロックのような鍵が掛かっており、詳細が確認できなかった。


「先に言っておくが、細胞力セルフォースには勿論、個人の使用許容量が決まっている」

「なるほど、じゃあそれを使い過ぎるとスキルが使えなくなるっていう仕組なのか」

「ちゃんと疲れを癒せば、再び使えるようになるが、もし無理をしてスキルを使えば……」


 師匠の真剣な眼差しが少し怖いが、恐る恐るその先を聞いてみる。


「……使い過ぎるとどうなるんだ?」

「許容量を超えると、身体が立つことも出来ないくらいの反動でスキルを使えないような仕組みがアイ・ジーに施されている。しかし、その負荷を超えてスキルを使うことを『オーバーヒート』と言う。オーバーヒートすると、細胞が身体の異常事態に耐え切れなくなれば死ぬ。少々大げさだが、身体に後遺障害が残ったり、脳死するなど色々だ。

 稀にオーバーヒートを起こす奴がいるが、そんなものに頼るのは未熟者の証。修行が足りんということだ。スキルを上手く利用すれば、許容量を超えずとも十分にモンスターと戦える」


 いやそんな無理してまで頑張るってどんな奴だよ。

 まぁ要は安全装置セーフティー機能はあるがそれ以上の無理をしたら、細胞がパンクして死ぬって仕組みなのか。

 無理、しない、ダメ、絶対にだ。


「一つ気になったんだが、細胞力セルフォースは数値化されたり、スキルに熟練度とかないのか?」


 その質問に師匠は、意味が分からないとばかりに首を傾けた。


「はて、お主の言っていることはあまり理解に苦しむが、技を覚えたら使う。何度も、死ぬまで。それだけだが」


 いやそれは何となく察していましたけど。何か本当にゲームっぽくないなこの世界。


「まぁ話は戻るが魔法マジックスキル・ツリーの枝は、精度や技量が上昇する度に枝の色が濃く、太くなっていく。つまり自分が何の属性が得意か一目で分かるから便利だぞ」

「なるほど……。細かい数値が見れる熟練度はないけど、そういうのはあるのか。因みに師匠は、魔法スキルの技をどれくらい使えるんだ?」


 さっき武器スキルは全部使える的な発言してたから、一応聞いてみる。

 しかしというか、やはりというべきか、師匠の発言は大方予想通りの答えが返ってきた。


「魔法スキルはコツを使えば簡単でな、百年たらずで……」

「はい、わかりました。もういいです」


 つまりカンストみたいなものだった。チートかよ。そら大賢女なんて言われるな。

 話を途中で遮られたことが不満なのか、師匠の頬は微妙に膨らんで見えた。こういう所は自然に可愛いんだよな……って俺は美魔女なんかに騙されないぞ。

 そこでふと、俺はある一つの出来事を思い出した。


「そうだ、師匠が俺の肉離れを治してくれた回復補助魔法オグジュアリーマジックってのは何だったんだ?」

「あぁ。あれはな……。魔法スキルの中でも別枠でな。お主、ツリーを見てみろ」


 俺は言われるがまま画面に目を移す。


「真ん中の巨大樹を指でなぞってみろ」


 無色な巨大樹をなぞると、今までの枝とは違うハーブの電子音が鳴った。

 巨大樹は全ての枝を吸収し、開かれるのは回復補助魔法オグジュアリーマジックのスキル一覧。

 こちらも同様に全ての技にロックが掛かっているはず……だったのだがもう既にロックが外れている技が一つだけあった。


「なんだ、これ」


 俺は技名を確認しようとタップすると。


《フィジカルエンハンス・アジリティー》詳細 敏捷性が上昇


「なぁ師匠。この《フィジカルエンハンス・アジリティー》って技のロックが外れてるんだけど」


 師匠は少し呆れた顔をして。


「あぁそれは。やはりお主、無自覚だったのか……」

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