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第7話 旅は道連れ。

ガタゴトと荷馬車に揺られて、北街道を南下する。そのまま進むと帝都を経て、大きな軍港のある海まで続いていく。途中の端道で西に折れて、北西街道に出て、そのまま進むとゲルダ国に着く。この帝都を中心とした東西南北に延びる街道は、各国の資金を枯渇させるため皇帝が始めさせた。帝国内の8割がたが完成している。

…これにより、併合国の軍資金が無くなることはもとより、各国の経済活動が活発になった。徴税もしやすくなった。


「なるほどね…皇帝も伊達、じゃないのねぇ」


きちんと整備された北街道を走っていると、アンナが感心している。


「…当たり前だろう?伊達や酔狂でやれる仕事じゃない。」


何度も死線をくぐっている。その度にあの人に代わって死にそうになっているのは俺だがな。おかげで俺は体中傷だらけだ。


途中、野宿になった。荷馬車の荷台に毛布を敷いて横になる。積んできた荷物を真ん中に置いて、壁を作る。


「お前さあ、国の王女だの聖女だの言ってる割に、流れ着いた時着てたのは農奴みたいな恰好だったよな?」


さっきまで馬車の近くで焚火をしていたので、少し煙のにおいがする。それ以外は真っ暗だ。ごろりと横になって、寝れそうにもないのでアンナに話しかけてみた。


「ええ。私が聖女として城を出発するときは、シルクのドレスに、これでもかってくらい、宝飾品をつけさせられた。国を代表しての生贄だものな。本当にそんなことで雨が降ると思っているのか?不思議だよネ。でも、一度火がついてしまったら、異を唱える者など一人もいなかった。」

「……」

「それでね、パレードよ。滑稽よネ。これから殺されに行くって言うのに、みんな跪いて祈っていたわ。それくらい…ひどい旱だったのよ。王城のあたりはまだよかった。どんどん山に向かっていくと、穂も付けれずに枯れた麦、ひび割れた大地…その度に私の持っていた麦と宝飾品を配ってきたの。」


さわさわと、夜風が吹いてきた。近くにつないだ馬が嘶く。


「山の…竜の泉に着くころには、もう与えるものが無くなってしまって、ドレスを。サンダルを。終いには、髪を切って渡したわ。本当に…王族や貴族は腹いっぱいご飯を食べているというのにね。」

「…おまえも、だろう?」

「そう。呆れるわよね。」

「……」


「さあ、私の生きてた頃の話は終わったわ。あんたの話でも聞こうかしら?あんた…よりにもよって皇后陛下に横恋慕してるのね?手を振られているとき、うっとりした顔しちゃって、耳まで真っ赤で。あははっ。大胆ね?」

「…言い方!あの方とは…幼馴染だ。もともと兄上の許嫁だった。」

「へえ。もともと不毛な恋だったってことね?あ、でも女に興味ないってことは…まだ未練があるわけね。」

「……」


こいつ…ぼーっとしたふりして、余計なことちゃんと聞いてたな…。

けらけらと笑う女の声が、荷馬車の幌の中で響く。


…そうだよ。悪かったな。もちろん、誰にも言ったことはない。皇帝陛下は…なんとなく察して面白がっているようだけど…。


「そう言うお前こそ、なんでまた21歳になって【乙女】なんだ?たいがいの貴族の娘は18ぐらいまでは嫁に行かされるだろう?」

「ああ…私はあんたと違って恋に破れたとか?そういうロマンチックな理由じゃない。後継者として育てられた優秀な姉がいたし、好きなことをやっていいと言われていたから、好きなことに夢中になっているうちに、21歳ヨ。そうよねえ…乙女、じゃなかったら泉に放り込まれたりしなかったんだろうけど。第三王女の異母妹はちゃっかり乙女じゃなくなってるし。まあ…どのみち、殺されてた。いわゆる、後継者争い?」

「ああ…姉上は誘拐されて行方不明、だっけ?」

「…まあ…そう。」

「……」

「ところで、他人の事情を暴いたあんたは…じゃあ、一人の人を愛して…童貞なのね?ね?あんたは30歳ぐらい?修道士にでもなるのか?」


「は?…26だ。」

「…ランベルトは老け顔だったんだな?」


感心して言うな!



あまり突っ込んでは聞かなかったが、こいつの姉が遊牧民族の一団に強奪された後の屋敷は、血の海だったらしい。一部の使用人は一部屋に押し込められていて助かったらしいが、警備兵も近しい使用人も、切りつけられて亡くなっていた。こいつの姉と側付きの小姓の行方だけがわからなかった。その後に、王城に身代金の請求があり、かなりの金額を払ったらしいが…誰も戻らなかった。


…まあ、陛下に以前に聞いた。




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