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不遇の姉は、未来を拓く(仮)  作者: きむらきむこ
学園編
9/9

 9

  魔力の少ない彼らに、ハンドマッサージや足のマッサージを教え込み、指使いの大切さを叩き込みました。


 問題は、全身のマッサージを教える為に私が彼らに施術する際、彼らにほぼ裸になってもらう事でした。


 未婚の男女が、そのような薄着で密室に籠もるというのは、非常に体裁が悪いということで、ダウニング侯爵家の本家からたくさんの侍女や侍従を呼び寄せての、授業となったのです。


 そのうち侍従の中から希望者を募って、クインシーやケイリー、コナーの練習台になってもらう予定です。


 クインシー・ディクスン子爵令息にケイリー・トルーマン子爵令息、コナー・ニックス伯爵令息というのが、同級生の男子三名の名前で、ケイリーがトルーマン子爵家の長子でありながら私と同様に縁切りされているのが、少しばかり珍しい例ではありました。


 他の二人は次男だったか三男だったか、余程魔力量が多くない限りは卒業後の自活は、他の貴族子息と変わりません。


 それでも学園在学時から、家からの援助がないのは魔力量の問題が原因なんでしょう。この問題は家族間の関係や家の方針にも拠るので、みんながみんなクインシーたちのように扱われるわけでもないのです。


 それでも、こうして技術を得ることで卒業後にはダウニング侯爵家で、マッサージ師として働くことが出来そうで私も仲間として少しばかり安心しました。


 ところで、なぜ彼らが専門職として仕事を得られたか、というと、やはり魔力量の少ない、もしくはない私たちのような者は、イングリッド様を始めとする魔力量の多い上級貴族の方々の、リンパの滞りがはっきりと感じられるから、です。


 ダウニング家の医師であるユルゲン・ダネル先生によると、私たち()()()()()()()()()()()()()()「リンパの詰まり」は、どうも「魔力の滞り」であるらしいのです。


 ダネル先生の研究では、年齢と魔力治癒などで余分に身体に蓄積された魔力が体内に滞ることで、健康な体を損なって居るのではないか?という仮説を立てていたそうです。


 今回の私のマッサージで、その仮説の正しさを証明できるかもしれないと、ダネル先生には大変喜ばれました。


 ダウニング侯爵にも、この話は通っているらしい。今まで秘匿されていた、上級貴族にしか現れない体の不調の解明がなされるかもしれない、ということで侯爵様もこの研究には乗り気でいらっしゃるとのことです。


 こうして私たち魔力の少ない、低魔力の貴族子女にダウニング侯爵家だけが知る付加価値がついたのでした。


 


「アメリア、あなたの学園卒業後ですが……」


 サンダース夫人に呼び出されたダウニング家を訪れた私の目に前には、イングリッド様となんと侯爵夫妻がいらっしゃっいました。


 わざわざダウニング家に呼び出されて、大きめの部屋に連れてこられた時点で、なんとなく予感はしてたんですが、さすがにこのシチュエーションは緊張します。


「ご実家のターラント子爵家とは疎遠となっているのよね?」侯爵夫人から問われました。


「はい、卒業後は家族籍からも外されると聞いております」


「そういうことであれば、こちらの方であなたを養女に迎え入れる家を用意いたします。卒業後はダウニング家の親族として働いてもらいますから、よろしくね」と侯爵夫人は優雅に扇を手に仰言った。


「……そういうことなので、これからも励むように」と一言、侯爵が仰言ったことで、この「謁見」は終了しました。


 私の返事など必要とはされないまま、私は侯爵家の遠縁の伯爵家の三女となることが決定したのでした。


 救いは、縁付くことになった伯爵家がサンダース夫人の婚家だったことでしょうか。少なくともサンダース夫人とは、それなりにコミュニケーションが取れていて、キツめの顔とは裏腹にお気持ちの優しい方であることが分かっています。


 サンダース夫人はサンダース伯爵家の次期伯爵夫人であるから、私の扱いもそう無碍にはされないでしょう。


 とりあえず、働いた分の報酬を得られるかどうかは不明だけれど、伯爵令嬢として今までよりも良い生活を送れるようになることだけは、保証されたと思っていいのでしょう。


 

評価、ブックマーク、イイねありがとうございます。

学園編終了です。


続編は、しばしお待ち下さい。

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