表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の姉は、未来を拓く  作者: きむらきむこ
学園編
8/9

 8

 メアリーは、イングリッド様にハンドマッサージを数回させていただいた事があるそうです。


 かなり気に入って下さったようだと、メアリーから聞いています。その経験があっての「足へのマッサージ」だと思うので、イングリッド様の期待値もさぞかし大きいかと、私も身が引き締まる思いがしました。


 膝下から足の先に向かって軽く揉んで解し、足裏を順序よく指を滑らせる。


 やはり普段から緊張状態でいらっしゃるのか、肩や目が凝っているようです。


 イングリッド様は既にウトウトとされていらっしゃるので、指の強さも問題はないようです。こうして私の施術で気持ち良さげにウトウトとされていると、その度にマッサージの勉強をして良かったなぁと思う。


 病気で眠りも浅くなっていた家人に、少しでも休んでほしかった前世の私の気持ちが蘇ります。今の世での家族との繋がりがない私には、こうしたマッサージが薄くなってきている前世の家族の記憶を思い出す縁となっているのです。


 ……?この辺りにちょっと違和感……?リンパの流れが悪いのかな?ここはちょっと念入りにしておこう。


 手順通りに足を揉みほぐして、マッサージを終えた私は濡らしたタオルでイングリッド様の足を拭いた。


 イングリッド様は、ぐっすりとお休みのようだったので、サンダース夫人に目を向けると、大きく頷かれました。


 静かに部屋をでた私とサンダース夫人は、侍女の控えの間で夫人にお褒めの言葉を頂いた。


 「最近イングリッド様も眠りが浅く、お疲れの様子だったので良くやってくれました、アメリア」


 「お役に立てて、光栄です」軽く淑女の礼をとり、私も応えました。


 それからはほぼ毎晩イングリッド様のマッサージを行うこととなりました。放課後にはメアリーを含めた侍女同士で、マッサージの練習をすることになりました。


 私個人の手技として、将来のために秘密にしたい気持ちもあったけれど、元々前世の家族の為に、と思って身につけた事です。ダウニング侯爵家の中で広める分には守秘義務もあることだし……と思うことにしました。


 サンダース夫人やもう一人の侍女であるナディアに、マッサージをするようになって感じたのは、二人にもリンパの詰まりがある事です。


 イングリッド様のリンパ腺と比べると小さくはあるけれど、私やメアリーと比べるなら大きい。


 サンダース夫人とナディアにお願いして、全身のマッサージを試みることとなりました。


 私やメアリーがナディアとサンダース夫人を、マッサージするとリンパ腺の詰まりのようなものを感じるのだけれど、ナディアがサンダース夫人を、サンダース夫人がナディアをした場合は、分からないようでした。


 そのリンパを流すようにマッサージをすると、夫人もナディアも術後に身体が軽くなるらしいのです。二人はイングリッド様ほどの詰まりはないようなので、イングリッド様との違いは試してみないと良くわからない。


 私たちと夫人たちとの違いは、魔力の有無(メアリーには少しは魔力があるけれど)……


 夫人やナディアが、イングリッド様のハンドマッサージや全身のマッサージをした場合も、これかしら?という程度にしか感じないらしい。


 イングリッド様は夫人やナディアなど目じゃないくらいの魔力量なので、薄ぼんやりとその魔力を感じ取れるようです。


 ただこれは、私が勝手にそうかも知れないと考える仮説に過ぎないので、サンダース夫人にお願いして、魔力の少ない人を呼んでもらうことにしました。


 そう、同じ学年の男子三名です!

派閥の関係もあって、だめだと言われるかと思ったのだけれど、魔力の少ない息子など娘と違い、貴族家からすれば何かしらの価値もないらしい。


 彼ら三人は、ほとんど縁切りされた状態で学園生活を送っていたようでした。


 時折そんな境遇の学生が存在するのを学園側も知っているので、寮の下働きなどをする事で少しばかりの賃金に有りつけるように手配していたらしい。


 ……私に薬草の知識がなかったら、彼らと同じようになっていたのか……


 そんな彼らの状況に、ダウニング侯爵家からの仕事の斡旋ということで、一時的なものだとしても大変有難がられた。


 上手く行けば、彼らも男性向けのマッサージ師として生活できるようになるかもしれないので、私としてばぜひとも頑張ってもらいたい。


  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ