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ダグラスとコナーは、初夏の社交パーティーの準備に追われています。コナーに至っては、そのパーティーでの結婚披露を行うことになっていたので、その前準備も同時進行でしないといけないからね。
ま、披露といったところで、ミッチェル様ご夫妻とかイングリッド様のご成婚とは違って、ちょっといい衣装を夫婦で揃えて挨拶回りをするだけ、なんだけどまず、その衣装を作る、というのが物凄く面倒くさいのだ。
私とダグラスの結婚がこんな感じだったから、その様相は身を持って知っている。
基本的に全部手縫いの注文品、ちょっと縫ってはサイズ合わせ。このサイズ合わせに時間を取られる上に体力も削られる。
新郎新婦の衣装だから基本的にコナーは添え物なんだけれど、やっぱり二人お揃いに見えるように意匠を凝らすことになるので、新郎側も結構大変らしい。
もちろん新婦側は言うまでもなく、大変。一応パーティー会場を闊歩しなくてはならないので、引きずるほどの長さはないものの、それなりに重さはある。
しかもそれを来て、ダンスもこなさないといけない。どう考えても辛いよね。おしゃれは我慢とはよく言ったものよね。
よく考えてみたら、現世的にはコナーとシーラはダウニング侯爵家のパーティー準備に自分たちの結婚披露を便乗させてるんだけど、その準備をしているのはコナーなわけで……
コナーとシーラの結婚披露宴が、ダウニング侯爵家のパーティーと言う名目になっているのでは?と言う私にしかわからないバカげたことを考えちゃってたりする。疲れているのかしら?
社交パーティーの規模がどう考えても、王家水準的にデカいのよ。というか、ポーションとかマッサージ師の派遣とか薬草茶の販売とか色々感が合わせた結果、お付き合いの範疇が広がってしまったのよね。
ダウニング侯爵家の販売部門はメイヴィス商会として立ち上げることになりました。メイヴィス様というのは、ダウニング侯爵家の二代前の侯爵夫人で、一族の女性にはこの方にちなんだセカンドネームをお持ちの方が非常に多い。
つまりはそれくらい庇護のお力をもっていて、尚且慕われていた方なので、商会もそのように広がって欲しい、というのが由来です。
マッサージ師の方なんだけど、育成は少しずつではありますが進んでます。ケイリーの報告によると、なんだけど。
私が乳母となって王宮で暮らすことになってしまったので、マッサージ師育成に関わるのが難しくなってしまったのよね。今の私は王家の専属マッサージ師なのです。
ダウニング侯爵様とダグラスにケイリーが話し合いの上、王国内の貴族家にマッサージ師を派遣してます。眠り病で今も眠りについていらっしゃる方というのは、公に語られないけれどそれなりにいらっしゃるみたいです。
ただ、その方々全員に派遣出来るかというと、申し訳ないけれど出来ないでいるそうです。
この話を聞いたときには、私がダグラスに文句を言ったのだけれど、彼の答えに私は仕方ないと思いながらも落胆してしまいました。
ダウニング侯爵様はご自身がミッチェル様という、眠り病になってしまったご家族がいらっしゃったので、出来る限り派遣したいとお考えなんだけれど、まだそこまで派遣できるレベルのマッサージ師が揃ってないのです。
そうなると必然的に、優先順位というの生まれてくるでしょう?長く眠りについている方から、としたいところなんだけど、「病」と名がついているせいで声高に語られません。つまりは、どの家にマッサージ師を必要とされる方がいらっしゃるのか?が分かりません。
ミッチェル様という成功例を社交界に大々的に見せてきたのですが、侯爵家という格の高い貴族家に声をかけて来られるのは、やはり同家格か元からのお付き合いのある家、となってしまうのです。
それも内々の話ということでの話し合いなので、緊急性の高いものかどうかの判断をしたくても、そこまで立ち入ることが出来ません。
実際に患者を見て初めて判断するしかないのですが、患者の家族側からは「来たのになぜ治してくれないのか?」となるのです。
ダウニング侯爵様も、全員をなんとか治してやりたいと言うお気持ちはありつつも、現状それが出来ないで悶々とされているのだそうです。
位の高さのせいで、そのつもりはなかったのに、「紹介制」となってしまったマッサージ師派遣……
制度の立ち上げって、ホント泥縄式に問題が湧いて出るわね。
という諸々の事情から、作ってしまいました「病院」
派遣にこだわるから、大変なのであって、もう一箇所に集めてしまえよ患者を!という私のちょっと乱暴な意見が通ってしまいました。
ダネル医師が先頭に立って、病院開設です!その名も「フルール・イングリッド療養所」
かつて眠り病が原因でお亡くなりになってしまった、ダウニング侯爵様の妹姫のお名前です。




