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不遇の姉は、未来を拓く  作者: きむらきむこ
乳母編

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 色々と考え合わせて、充填魔力での納税を認めるということに落ち着いた。魔力での納税は、税の10%までというのも決めた。


 魔力だけが集まっても困るものね、何事もバランスは大事よね。


 納税とは別に、侯爵領全体でも領民には、役場で週に二度までなら魔力充填をする代わりにお食事券の発行する、ということになった。

 これは、スイフト領のやり方を参考にしたのだけれど、流石にクズ魔石を揃えるのも大変だったので「お食事券」となった。

 

 お食事券と言っても侯爵家の印の入った木の板なんだけど、それを持って領内の食事処に行くと、ある一定料金までの食事が食べられる、というもの。

 

 食に切羽詰まった層もちょっと節約したい層も、「領の方針だから」と言う名目でやってくれるかも?と考えてのことだった。


 侯爵様たちにとっては意外なことに、この施策の施行後は平民側からもっと回数を増やして欲しいという声が出たらしい。


 私やクィンシーたち元「手元不如意な層」からすれば、意外ではないけどね。残念なことに魔力がまったくない私には無理だけれど、平民にしては多いと言う人達にとっては、自分では使い切れない魔力が食費になるなら!と考える人は多かったのだ。


 貴族ほど、見栄を張る必要もなかったしね。それこそクィンシーのところみたいに、子どもを養いきれない貴族家の次男三男のような子たちもこっそりと魔力を納めにきた。それに関しては、みんな知らないふりをしていたけれど。


 たちまち充填する魔力量に合わせて、小=一食、中=三食といったレートが成立するようになった。


 それから、これはスイフト領を始めとする農業を専門にしている領に開墾と開発を行うことになった。


 開墾の方は、農地を切り開いて薬草畑を、ハーブティーの原料となるハーブを育てることになったからだ。


 でもって、交通の便の良さそうな古い畑のあった場所を転用してポーション工場を建てることになった。


 工場と言っても私の記憶にあるようなものではなくて、どっちかと言うと大きめの家庭内手工場という感じのものだけど。


 これも将来もっと規模が大きくなることを見越して、余裕のある作りにした。小さい領では、新たな開墾に人手にも金銭にも難儀したらしいが、侯爵家が金銭的に援助をして、領の他の地域から出稼ぎを募り開墾作業にあたらせて、不満を封じた。


 その甲斐もあって、不満どころではなく、出稼ぎ期間が終わってもその土地に家族を呼び寄せて移住するものも出たりして、生活の安定に一役買ったようだった。


 人手が足りなくて、でもこれからの発展の見込まれる土地では、出稼ぎからの移住は大変喜ばれた。


 集まった充填魔石で侯爵家は、道路の整備をし物流を整えた。地方で出来たポーションや薬草茶を集め、他領に届けるという輸送手段を講じたのだ。


 ダウニング侯爵領では、急速な発展に湧いた。


 馬車も馭者も薬師も領内からかき集められ、計画に沿って振り分けられ、地方に送られた。


 問題は、薬草が常に生えているとは限らない、ということだったが適度な品不足は、より一層の購買意欲を掻き立てた。


 過剰な在庫を抱えることもなく、適正な人数調整と生産計画を立て、ダウニング侯爵家はポーションと薬草茶を領の名産としたのだった。


 私が口を出すまでもなく、ダウニング侯爵家は上手く舵を取った。口を出せ、と言われたところでここまでの経営の知識がないので無理な話だったんだけど……


 王宮で、乳母だとかマイナスイオンを発生させたりしながら、コナーやダグラスからの報告を聞いて知ってはいたけれど、ダウニング侯爵領の発展具合というのは、ビックリするくらいにあっという間だった。


 裏側を知らない人たちからしたら、やっぱり王子妃のお引き立てが……とか考えるんじゃないかしら?


 でも眠り病への対策としてのマッサージ効果と、治癒魔法ではなくポーションだとか薬草茶と言った代替策を、きちんとモノを用意して広めていったのは、ダウニング侯爵家が打ち出した施策なんだからね。


 現実にダウニング侯爵領のポーションは効き目が高いと評判だし、薬草茶に至っては後味の良さで茶会で扱わないところはない、というくらいに引き合いが多かった。ダネル医師の長年の研究成果よね。


 ま、茶会に関しては、ちょっとは王子妃の権力を使ったかも知れないけどね。


 なんていうかやっぱり頭のいい人というのは、いるんだなあ……と思ってたのだけど、今回の発展の指揮を取ったのが実はミッチェル様だったのが分かって、私は地味にショックを受けたのでした。 


 そりゃ、侯爵様たちも息子に期待するよね。前回のクーデターもお粗末にすぎるもん、前提としてミッチェル様には今何かの問題があるのでは?と考えるよね。


 私は今になって、あの時にミッチェル様がお飾りとはいえダウニング家に残された意味を理解したのでした。


 ミッチェル様が目覚めて五年、私は初めて本来のミッチェル様を知ったのです。


 そんな折、私のもとにコナーとシーラの結婚の話が舞い込んできたのでした。

 

 

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