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不遇の姉は、未来を拓く  作者: きむらきむこ
乳母編

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 シーラ・メリア

 シーラ・メリア・ターラント子爵令嬢は、ターラント子爵家の長女ではあるが、跡取りではなかった。


 シーラの上にどうやら姉が居たようなのだが、シーラは会ったことがない。素行か何かに問題が有ったらしく、学園卒業後に縁切りとなったらしい。


 歳も二歳しか離れていないのに、そこまで姉の状況を知らないのは自分でもおかしな事だと思うのだけれど、あの母なら意に沿わない娘にそれくらいやりかねないな、と思うので捨て置いている。


 我ながら情のないことだと自嘲するが、姉だけではなくシーラ自身も母から、というか両親からは距離を置かれているので、人のことに関心を寄せるほどの余裕もなかったのだ。

  

 侍女頭によると、私が生まれた頃は一族中が大喜びしたというのだから、人というのは不思議なものだと思う。

 

 シーラの実母は、「父がもっとしっかりしていたら、私は侯爵家の姫だったはず」というのが口癖の不満の多い人だった。


 母方の祖父は先代の王弟殿下の三男だったらしく、シーラも実際には会ったことがないけれど、近衛騎士として貴族籍を確保しただけの、あまり才覚のある人ではなかったらしい。


 物心ついた時から、祖父への呪詛を聞かされたシーラは、出来る限り母の機嫌を損ねないように頑張った。


 父は息をするように不満を零す母を、冷静に見ながらも母の顔色を伺って家庭内の平穏を保つことに専念していた。


 父は武官系の伯爵家の三男で、近衛騎士の長であった岳父、つまりは母の父からのコネで騎士として出世し、その甲斐あってか実家の持っていた子爵籍を譲り受けたので、母に頭が上がらなかった。


 祖父も亡くなった今となっては、ただの習い性と惰性だろう。


 ターラント子爵家は、シーラの五歳下の弟エグバート・ステフが継ぐことになるだろう。


 シーラは近く学園に入学するこの弟のことが、あまり好きではなかった。幼い頃から母に可愛がられ、我儘三昧に育った彼は「小さい母」だった。


 シーラがターラント家の色合いや顔立ちをついでいるのと違って、エグバートは母によく似ている。茶系の髪色に青い目の彼は母の甘やかしもあって、ターラント家の祖父母たちから非常に心配されていた。


 シーラは学園で女性騎士になるべく、努力した。その甲斐あってか、しばらく見習い騎士として学んだ後近衛騎士として王宮に採用されることになった。


 数少ない女性騎士ゆえの特別採用だとしても、実家を離れ自立するチャンスでもあった。


 近衛騎士になって、またまた見習いよろしく先ほどお産まれになった第二王子殿下の姫様の護衛を任されることになった。


 同時に採用された学園の同級生グエン・リアナ・ディクスン子爵令嬢と共にシーラは王宮の一室で姫様に着任のご挨拶というのをした。


 セレスティン姫様に与えられた天井の高い一室で、私たちは姫様に、というか姫様のそばにいる乳母たちに挨拶をした。


「本日よりセレスティン様の護衛としてお使え致します、シーラ・メリア・ターラントと申します」


「同じくグエン・リアナ・ディクスンと申します」


「セレスティン様によく仕えてくれるように」と乳母たちの間でも一際位の高そうな金髪のゴージャスな美女がにこやかに、でも尊大に返答してきた。


 私たちは一礼して部屋を下がった後、上官に連れられて明日からの任務を確認して寮に戻った。


「今日のお仕事はこれだけなのよね?」

「そうね、明日に備えて今日は休むようにって言われたよね?」


 グエンと二人で近衛騎士寮に戻り、姫様の印象を話した。

 

「まだ眠っていらっしゃったし、お顔立ちを見ただけよね」

「王家の色彩を継いでいらっしゃるそうだから、お目は青よね?」

「まだどちらに似ていらっしゃるのかも分かんないわよね?」等と今日の出来事を話していたら、不意にグエンが言いました。


「あの乳母の偉そうな人って、イングリッド王子妃殿下のダウニング侯爵家から来た人でしょう?」

「ああ、そうらしいわね、ダヴァナー伯爵夫人だっけ」

「あの人、ちょっとシーラに似てるわ」

「は?ぜんぜん違うじゃない、私のこの銀の髪が見えないの?」

「髪の毛とか目なんかは色が違うけど、顔立ちがちょっと似てるわよ」

「え、あの方って、あれでしょ?エアルドレッド侯爵様の御縁があるって言う噂の方でしょ?」


 もう三年以上前になるでしょうか。マイロン王子殿下とイングリッド王子妃殿下のご成婚前の夜会でデビューした令嬢が、エアルドレッド侯爵家のお嬢様であるリプリー様とそっくりだと話題になったことがありました。


 その後リプリー様とダウニング侯爵家嫡男のミッチェル様のご結婚も発表となったので、おそらくはリプリー様に先立ってより縁を深める為にご親戚の方を養子に出されたのでは?と訳知り顔で語る人が居たとかなんとか……


 その線で行くと、先程の乳母様は私にとっても親戚なのかも。グエンの言う通りに顔立ちが似ていてもおかしくはありません。


 エアルドレッド侯爵様は、()()母の従姉弟で私とリプリー様は又従姉妹に当たるのですから。

 

 

私はタブレットでネット活動をしてるのですが、どうやらタブレットが寿命のようです。次回の更新は16日(火)の予定ですが、間に合わなかったらタブレットの不調と言うことですスミマセン。

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― 新着の感想 ―
丁度良い代替機があるといいですね 派手でかっこいい道具は要らねぇんだ、地味でいいから堅実に頑張ってくれ タブレットではまずないですけど昔ながらのコンセントや乾電池で動くものがとても安心感があります。 …
妹も妹で苦労してきたんだな…
 更新の件、承知いたしました。タブレットの良い物が見つかると良いですね。  シーラは、生き別れの姉の顔を見ても気付かないほどでしたか。改めてターラント家の闇深さを知りました。
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