表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の姉は、未来を拓く  作者: きむらきむこ
乳母編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/61

 3 

 今回イングリッド様のお子様の乳母となり、王宮に呼び出されたのは、無魔力のマイラの力を見込まれたのだと思う。


 王家などの魔力が強い方々の近くに居ることで、マイラまたはマルセルは、力の中和をはかることが出来るようなのです。


 AかBとかどちらかに偏りがちな魔力持ちの体質を、中性に整える性質があるようなんです。前世で言うなら、マイナスイオンを発生させる空気清浄機みたいなものでしょうか?


 以上がダネル医師の仮説なんですが、マイラやマルセルが準王族として扱われ、更に王室に縁付いていた過去の実績から見ても、あながちデタラメとも言い難いですよね。


 実際にエヴァレット・マイラ様が嫁がれてから、王家には眠りに就かれた方がいらっしゃらないのですから。


 イングリッド様のお子様の乳母となって、自然に王室に出入りすることで、高性能の空気清浄機としての責務を果たすことになるのでしょう。



 クィンシーからの領地の報告書を見てもわかる通り、ポーション作りの方も中々に良いものが出来ているので、イングリッド様のご出産がいつ起こっても対応できそうです。


 私とダネル医師との協力ダッグで、イングリッド様(お子さまも)を眠り病につかせることなど、万が一にも起こりえません。



 私とダネル医師は侍女たちと協力して、王家の出産マニュアルを調べ、不足を補いブラッシュアップをする毎日を送っておりました。


 そんな中、とうとうイングリッド様の陣痛が始まりました。


 我慢強いイングリッド様の性質上、お産は静かに進みました。少し前にお産をした私の経験から、思い出せた事、例えば呼吸法とか産後のケアといったことを伝えました。


 前世、多分自分では経験していないと思うので、大したことは伝えられません。実質、ハワードを産んだ自分のお産が、経験値の一つとなっている。


 とはいえ、お産は一人一人違うらしいので、私の例がみんなに当てはまるわけでもない。


 ダネル医師や産婆さんに言わせると、私のお産はめちゃめちゃ軽かったらしい。私も他人に聞いた彼女たちの出産から想像するに、かなり痛みや出血の少ない安産だったんだろう、と思う。


 前世の記憶でおぼろげに覚えている妊婦生活の過ごし方、というのを実践したお陰かも知れません。


 だって、今世のスタンダードが、食っちゃ寝なんだもん。栄養のあるものを食べて、怪我をして治癒魔法のお世話にならないよう安静に過ごす、って言われてもねぇ。


 こんな過ごし方をするのは、きっと魔力が高くて労働しなくても暮らせる貴族や富裕層だけだろうけど。


 魔力がないために、治癒魔法を受けたところで眠り病にかかる可能性もない私は、ダネル医師の監督の元、結構好き勝手させてもらいました。


 その結果が超安産だったので、私というテストケースをモデルに、ある程度イングリッド様の妊娠中にも、散歩程度の軽めの運動とマタニティヨガを試してもらいました。


 重いドレスを着てのカーテシーやダンスなどで鍛えられているので、貴族令嬢は持久力にかけるものの、足腰や体幹の強さは中々のものなので、ヨガのポーズなんか私よりイングリッド様のほうがよほどお上手でした。


 王宮の侍女たちのこれまでの常識からすれば、臨月に入られたイングリッド様はあまり体重増加もなく、周りをヤキモキさせたようです。


 医師の診断によると、イングリッド様の体調はかなり良いらしく、妊娠出産のモデルケースの一つとして、今後の産科医学に影響を与えることになりそうです。


 大げさよね?まだ私とイングリッド様の二例しかないんだから。まぁでもマッサージとポーションを使って体調を管理できるというのは、今までには無いアドバンテージになるでしょうね。


 イングリッド様のお産は驚くほど粛々と進み、数時間後にマイロン様に似た姫がお産まれになったのでした。


 私といえば、その間中え?え?お産ってこんなんだった?イングリッド様、痛みに強すぎない?と、あまりにも淡々と進んでいく出産に、産みの苦しみってなんだっけ?等と困惑していたのでした。


 後からダネル医師に、産科医が痛みを緩和する魔法が使っていたというのを聞いて、またまた驚愕したのでした。


 無痛分娩?!私がハワード産んだ時は、そんなの使わなかったよね?なんで?


 「アメリア様のご出産時は、産科医から見ても手を出すまでもない安産だったと聞いてます」


 ダネル医師が、麻酔の魔法をご存知なかったですか?と言う顔をして、私に言った。


 えぇ〜、そんなのあったんなら、早く言ってよ〜。安産とはいえ、やっぱり痛かったんだから!


 その時に聞いたのですが、妊婦と胎児の両方をケアしながら使う魔法なので、その魔力の質なども考慮しなくてはならず、家庭医扱いの産科医がいないと使えないのだそうです。


 貴族家に生まれた女児は、産まれたその日から家庭医に魔力の質を確かめられ、第二次性徴後はしっかりと診察を受けて、出産に備えるのだそうです。


 とはいえ、産科医を囲い込める財力のある貴族家というのは、やはり限られていて、そうでないお家での出産は普通に痛いものだそうです。


 そういう意味で言えば、確かに私には使えないよね?医師にかかったことなんか無くて、ポーションで生き延びた野生児なんだから。


 

家庭医に産科医が含まれない貴族家においては、出産は普通に痛いものとなってます。

産科医を囲い込めるのは、やはり財力と権力が物を言うのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ