表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇の姉は、未来を拓く(仮)  作者: きむらきむこ
学園編
2/9

 2

評価、ブックマークにリアクションをありがとうございます。

励みになります。

 入学して一年、学園は思ったよりも暮らしやすい場所でした。魔力持ちの一部平民を含む貴族たちは、有り難いことに他人に構っている暇はなかったのです。


 いわゆる教養一般と言うやつに加えて、魔力の練り方、練った魔力を魔法として出力したり、どう使うかの研究をしたりと、大変忙しかったので。 


 極端に魔力の少ない、または魔力無しの、将来はおそらく平民になるであろう私のような貴族家出身の子女は、私の学年には私を含めて五人いました。


 学年全体で百人居ることを考えると5%……

おそらく王国全体を見てもその割合は、同じようなものでしょう。


 五人のうちの一人が、私アメリア・ターラント子爵令嬢。もう一人は寮で私と同室のメアリー・ダイソン伯爵令嬢。このメアリーは私のように全く魔力がないわけではなく、貴族としては極端に少ない、という人でした。


 私から見ると然程変わらないのですが、貴族的には私よりも格段に価値が上がるのです。


 本人にはあまり魔力はなくても、その子どもは通常量かもしれない、という風に判断されるので。


 その所為で、メアリーには将来的に結婚という道が残されていました。これも家同士の話し合いの元決まるわけであって、惚れた腫れたの結果等というものではないのです。


 それに関しては、貴族の結婚自体が基本的にそういったものなので、基本的に逆らう者はいません。


 それでもやはり極稀に駆け落ち等という醜聞が、メイド達の休憩時間を賑わせることもある、というか実家の下働きのランドリーメイド達は騒いでいました。


 人間っていうのは、生まれた世界が変わっていてもその在り方と言うのは変わらないものよね?ゴシップもあれば、俗物も普遍的に居るものなのよ。


 将来はさておき、結婚するまでのメアリーには、ダイソン伯爵家の寄親であるイングリッド・アナ・ダウニング侯爵令嬢の将来の侍女候補としての役割が課せられていました。


 イングリッド・アナ・ダウニング侯爵令嬢は、第二王子であるマイロン・ニコラ殿下の婚約者候補として最有力とされています。


 イングリッド様には四つ違いのお兄様がおられるのだが、お兄様は学園卒業後に事故に遭われて以来寝たきりになられたとかで、一切表舞台に出て来られていません。


 もしイングリッド様が婚約者として立たれない場合でも、ダウニング侯爵家の跡継ぎとしてそのまま領主となられるのは確実とされています。


 第二王子は、第一王子が立太子された後は王家から一代限りではあるが公爵となられる予定です。その後の世代は侯爵家となるのです。


 それでもまだ第二王子には、王太子殿下の控えといった名目で大事にされていますが、三男以降の王子殿下はご自分で縁をつなぎ婿入りするか、ご自分で身を立てられるかを選択することになります。

 


 王家のお生まれとは言え、中々に世知辛い仕組みとなっているのです。そんな中での魔力無しに生まれた私となれば、推して知るべし、というところ……


 私とメアリー以外の魔力の少ない男子三名は、おそらく本人たちの血の滲む努力の末に、試験を受けて文官や騎士として身を立てることとなるでしょう。


 もしくは全く貴族から身を引いて、平民として生きる道もある。この場合は将来的に結婚することも可能かもしれないけれど、元貴族の平民が平民の中で上手く生きていくには貴族社会に属していく以上に立ち回りの良さが必要になるでしょう。


 このあたりは本人の資質と状況次第ですね。


 そういった状況の中で私は同室のメアリーと助け合って、比較的穏やかに生活をしていました。


 メアリーは既にイングリッド様の侍女見習いとして、日々働いています。学園に入って一年ほど経ち、本職の侍女について走り回るメアリーは、今までの子ども時代とは全く違う生活にそろそろ疲れが見えていました。


 私アメリアは生活を共にするメアリーの疲れた様子に、前世のとある特技を思い出したのでした。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ