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第30話 F11:明日に向かいます! Mi dirigerò verso domani!

「ごめん、待った?」

「あぁ、俺たちも来たばかりだ」

「まだ夜が明けたばかりだ。焦ることはない」

建国2年祈月(いのり・つき)2日 (2/Preghiera/Auc.02) 第一昼刻、三人が広場で顔をそろえる。

 広場の左側の出口からフィールドに出る。向かう先は西。BGMも軽いリズムのあるものに変わる。

 右は森林、左は草原。状況が変わるといっても、そう極端ではなさそう。

 いつものように、ゲッツ、サヤ、ボクの順で進む。


 オオヤンマが数匹、編隊で襲って来る。

 サヤが弓で応戦するが、こちらも武器屋で買った新しい武器を使う。

 接近される前に全て叩き落とす。

「アルフィは新兵器か?」

「あ、これはスリングショット。指で弾くのは威力が低いから買ってみた。少し大きい石も使えるしね」

「おぅ、良さそうだな。射距離も伸びそうだ」

「今日は移動が目的だから、なるべく戦闘は控えた方が良いと思う」

「了解だ! 敵が見えても威嚇して引き付けるのは止めよう」


 土の道が続く。状況はあまり変わらない。

 時々出て来るモンスターを排除しながら慎重に進む。

「ねぇ、サヤ。野宿(campeggio)地って、どんな所なんだろ?」

 突然、草の間に隠れていたフタバアケビが襲って来る。

 ゲッツの槍が薙ぎ払う。

「炎(palla)の(di)球体(fiamma)!」

 地属性は火に弱い。炎を浴びたフタバアケビが黒く焦げ崩れて行く。

「奇襲とはいえ、単調な攻撃だな。油断は禁物だが」

「そう言うな。未だ見ぬ強敵が待ち受けていると思えばいいだろう」

「拝承……と言っておくか」

 ゲッツは槍を担ぎ直して悠然と歩く。

「アルフィ! さっきの話だが」

 サヤはあまり表情が変わらない。

「うん」

「人間が普通に歩く距離というのは、それほど変わらない。それで、みんな大体同じ所で野宿(campeggio)することになる。そのため、冒険者たちが適当な地を探して、使いやすい野宿用の場所を造ったということだ」

「先人たちは偉いね」

「後に続く俺たちが楽を出来るな」

 この世界は冒険者が街まで造ることができるらしい。


 第二昼刻を過ぎた頃、森林側から滑空する獣が次々と襲って来る。

 風属性と判断して地魔法をぶっつけたが当たりだ。

 撃退後、生命の腕輪のモンスター図鑑で確認したが、モモンガとあった。こういう敵もいるのか、油断できない。


 第三昼刻が始まった頃、道は森から離れ、何処までも続く草原の中へと入って行く。

「環境が変わった。敵も変わって来るかもしれない」

「そうだな。道幅もあまり広くないし、両側の草も背が高い。奇襲に注意しよう」

 と、その時草の間を何かが動く。

「何か居る!」

「むっ!」

 ゲッツが槍を構える。

 草叢からトカゲのような爬虫類がのそっと這い出して来る。

 銀地に黒の縞が頭から尻尾まで続いている。長さは一メートルくらい。

「シマトカゲのようだな。毒はないと出ている」

 サヤが確認したらしい。

 シマトカゲはこちらを見て威嚇を始めた。

「よし、始末するか」

 ゲッツが一歩踏み出す。

 スリングショットの石弾で牽制

 トカゲがかわした瞬間を狙って、サヤの攻撃

「二重(colpo)撃(doppio)!」

 ひるんだ所をゲッツの追打ち

「おうりゃぁ!」

 ゲッツの槍は見事にヒットするが、トカゲの戦意は衰えない。

「しぶといな。旅立ちの村付近の敵とはかなり違う」

「炎(muro)の(di)壁(fiamma)!」

 サヤの矢攻撃を躱す方向に火魔法を展開したが、トカゲに吸い込まれるように炎が消えて行く。

「こいつは火属性だな」

 よし! 遠慮はいらない。覚えたばかりの新技を披露する。

「水(attacco)の(di)連弾(acque)!」

 水球がボクの周囲に多数展開される。

「行け!」

 トカゲに向けて、次々に水の粒が襲い掛かる。

 合わせてゲッツが踏み込む。

「連(attacco ) (con)撃(secutivo)!」

 槍の激しい連続突きにトカゲは弾ける。黄色の光を放ちながら消えて行く。

「やっぱり槍は破壊力あるね」

「いまのところ俺の切札だが、この辺の敵は手強そうだ」

「火属性というのも、この辺では珍しい。少しゆっくり進むことにしよう。しかしアルフィの水魔法は強力だな」

「ウン、何だか水に相性良さそうなんだよね」

 警戒を強めて歩む速度を落とす。


 しばらく進むと、少し見通しの良い開けた場所に出る。

 遠くで何か角のある獣が群を成して草を食んでいる。

「何だろ?」

「オリックスのようだな。肉は美味らしい」

 どこかの会社名を思い出したが、こっちがオリジナルだよね。

「どうだ。夕飯(ゆうめし)用に肉を狙うと言うのは?」

「群だと面倒だよね。一頭引き出して来る」


 身を伏せてそろそろと接近する。

 近くで見ると、二本の長い角が確認できる。あれにやられたらタダではすまなそうだ。

 群の端にいる一頭の近くに、石を投げる。

 狙い通りこちらへ近づいて来る。

 続けて石を転がすように投げる。よしよし、こっちに来い!


「二重(colpo)撃(doppio)!」

「連(attacco ) (con)撃(secutivo)!」

 サヤとゲッツの連動(コンボ)攻撃!

 倒れた所で追撃を重ねる。 ふぅ、何とかやっつけた。

「おう、オリックスの肉をゲットだ」

「ボクは、皮と肉だね」

「わたしは皮だけか……」

「夕飯(ゆうめし)分は稼いだということだ。結果オーライだろ」

 美味しい夕飯が食べられる……かもしれない。


 日も傾き、第六昼刻に入った頃

「あれのようだな」

 ようやく野宿(campeggio)地を見つけた。


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