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カサブタ  作者: 悠
2/2

宝探し-前編-

「第一ゲームは、宝探しです。

言葉の通りこの屋敷全体に宝箱を隠しました。様々な財宝があります。

しかし、宝探しと言えばトレジャーハンター。危険は付き物。落とし穴があったり、上から岩石が起こってきたりします。もし、これで命を落とすことがあればその時点でゲームオーバー。あなたの人生は終了です。無事宝を見つけられたらこのゲームは終了。生き残っている全員がゲームクリアとなります。」

「宝探しなんて私には無理よ!木村、あなたがやって頂戴。」

「か、かしこまりました。お嬢様。」


少し、困ったような顔をしていたので、私は小声で木村さんに尋ねた。


「木村さん、それでいいんですか?」

「桃瀬さん…。いいんですよ、これで。」

「そうですか…」


苦笑いをしながら言った。


「では、ゲームを開…」


すると、亮がハクの言葉を遮った。


「ハク、お前まだなんか隠しってだろ!」

「あらあら、九十九様は勘が良いですね。そうです。まだルールがあります。このゲームは全員参加ではないのですが、その場にとどまり続けていても危険はやってきます。ご注意を。そして制限時間は3時間となります。他に何かご質問は。」

「え、何?ここに留まり続けても死ぬかもしれないってこと?」

「左様でございます、鮎川様。」

「ふざけんじゃないわよ!そんなに歩き回れる体力私には無いんだけど。」

「そうじゃわしも喜久子さんも歳も歳じゃ、ずっと歩くのは無理じゃよ。」

「そうでした、そうでした。では、追加ルールです。1人1回までは30分危険に見舞われることもなく、休憩できる場所を設けましょう。また、休憩しないと決めた人が休憩したい人に譲渡するのも可能とします。他に何かございますか?」

「ハク、ふざけてんじゃねーぞ!」

「あらあら、九十九様はさぞ頭の回転がよろしいようで、それでは宝探しの全容をお話ししましょう。」

「亮君はやっぱり頭良い~!私そんなの考えらんないよ。」


このよう逼迫した中では頭の回転が鈍ってしまう。でも、亮は違うらしい、これは頼りになる、これからは彼中心に動いた方がいいのでは。そう私は思ってしまった。


「今回探して頂くお宝は1つです。それに対してこの屋敷に隠された宝箱は4つ。ハズレの3つにはそれぞれ死に直結する危険な事が起こります。それはその場の人だけかもしれませんし、他の場所にいる人たちも被害を受けるかもしれません。ここは極秘事項なので、あまり情報を開示できないことご了承ください。危険は開けた瞬間に起こりますので、慎重に開けることをお勧めします。そして見つけていただくお宝はそこで死体となっている男女がしている指輪です。男性の方は付けてありますので、ご自由に拝見してください。そして、こちら制限時間がございます。制限時間は5時間。それまでに見つけられなければゲームオーバー全員がこの人生から『強制リタイア』となります。」


なんとも恐ろしいゲームだと私は改めて実感した。

このハクと言う人物は淡々と話しているため、それが一層私の恐怖心を掻き立てていた。


「やっぱりいろいろと隠してやがったか。」

「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。九十九様。他にご質問はありますか?」

「あの…俺からいいっすか?」

「立花様、どうぞ。」

「このゲームって…いや、ゲーム中質問ってできますか?」

「それは難しいですね。」


この時彼が飲み込んだ言葉を早くに出しておけばよかったと今の私は後悔をしながら、この場所で何があったのかを思い出そうとしていた。


「そうですか。分かりました。俺からは以上っす。」

「他の皆さんは何かありますか?」


そうハクが問いかけ、周囲を見渡した。

それぞれが暗い顔や焦った顔等をしていたが、誰も手を挙げなかった。


「それではゲーム開始(スタート)です。」

そう言うと急に鐘が鳴り始めた。


すると、翔君が真っ先に私の方へやってきた。


「どうしたんだい?」

「これ親父の指輪」


いつの間にか取っていたらしく翔君の手のひらには少し色のくすんだ指輪が辛うじて輝いていた。

私はすぐさま木村さんと亮を呼び4人で作戦会議をすることになった。


「これからゲームなんだけど、攻略の仕方を考えないと。」

「そうですね。」

「俺も賛成っす」


そう言って木村さんと翔君は賛成をした。

しかし、亮はどこかイライラしていた。


「亮はどうするんだ?」

「おっさんから亮って呼ばれる筋合いねぇんだけど」

「そ、そうだね…。なんて呼べばいい?」

「俺のことは九十九"様"と呼べ!」

「うん、じゃあ九十九"君"だね。」

「俺は君を付けられる年齢じゃねーんだけど。なぁ翔。」

「俺は翔君でいいっす。」


どこか物静かに話している翔君は少しうれしいのか恥ずかしそうに下を向いた。


「なんだよ、お前。そんなんで喜んでのかよ」

「喜んでないっす。」

「喜んでんじゃんか。」

「あの…お二人さん。今はそんなことを言ってる場合じゃ。」

「そうだよ。」


私と木村さんが間を取り持とうとした途端どこからが地響きが聴こえた。


「皆さん、こちらへ。」


私たち4人は急いで大前さん夫婦の近くに駆け寄った。

そして、恵と、暖炉のソファに座っていた鮎川さん、夏美さんを呼び寄せようとした。

恵は千秋をしっかりと抱きかかえながら小走りでやってきて、夏美さんは亮目掛けて猛ダッシュしてきた。しかし、鮎川さんはその場で動けずにいた。


「お嬢様!」

「危ない!」


木村さんが駆け寄ろうとしたので、私は彼の裾を引っ張った。

地震はものすごく大きく、1階のロビーの天井のシャンデリアがガッシャーン落ちてきた。

間一髪だった。


「きゃー!!亮君!怖い!」

「夏美、大丈夫だから。心配すんなって。」

「皆さん。危ないのでしゃがんでください。」

「ほら、木村さんも。」


目の前に危機が迫った衝動で顔が青ざめ、動けていなかった彼にそう促した。


「あ、はい。」


1分程自身は続いた。

私はその間鮎川さんの所在が気になった。

木村さんも同じ気持ちなのか、小声で「お嬢様。」と言いながら地震が収まるのを待っていた。

地震が収まり周りを見渡すと落ちたのはシャンデリアだけだった。

しかし、鮎川さんの姿が見えなかった。

ソファの近くまで行ったが、彼女の痕跡は先ほどまで座っていたことを物語る座敷に残った温もりだけだった。

先程まで動けずにいた彼女がどこか行く余裕があったのか疑問に思ったが、これ以上被害を出してはならないと思った。


「おっさん。この地震って実際に起きてるのか?」

「今揺れたからそうなんじゃないのか?」

「ハクが言ってたよな。その場にとどまり続けてても危険が来るって。これもそうなんじゃねぇのか?」

「そんなはずは…」


そう思い、スマホの電源を入れた。しかし電波が圏外になっており調べることが出来ないことを悟った。圏外になっているという事は緊急地震速報もならないので、真偽は定かではないが、その可能性は拭えないと私は思うようになった。

そこで、急いで作戦を考え、皆に伝えた。


まず2組に分かれて捜索を行う。

私、恵、千秋、翔、喜久子さん

亮、夏美さん、木村さん、宗一郎さん

に分けることにした。


まぁ言わずもがな亮は機転が利くのでここではリーダーとしての役割を果たしてほしいと思った。

一方で誰かの面倒を見るのは面倒臭がりそうだったので、喜久子さんは私が引き受け、ある程度歩けそうな宗一郎さんを任せることにした。

そして、翔君は私と一緒に行動したいとのことだったので、このような組み分けになった。


そして、作戦だが、まずそれぞれが2つの宝箱を見つけること。

また見つけた宝箱は印として私の持っていたペンで印を付けることにした。

また、時間はスマホで確認できるので、2時間したら今いるロビーに集合することを決めた。1つは安否確認。もう一つはいくつ見つけられたかの確認をするためだ。もし4つとも見つけられたら1つずつ丁寧に開けていくことにする。さっきの地震みたいに一体何が起こるのか分からない。そのため、周囲の仕掛けに充分注意しながら開ける。仕掛けがあっても開けることにした。理由はダミーの仕掛けもあるのではないかという亮の意見があったからだ。今までの言動から何か隠すという意味で逆に私は仕掛けが無いと安心させ、その後に大仕掛けがあるのではないかと感じているが、全てのことを考えられる状況下ではない現状では全て開けることが一番の方法だと思った。


「では、このような形で進めていきましょう。

今20分経ったので、残りは2時間40分。時間はあまりありませんが、道中気を付けて。」


「分かってるよ、おっさん。」

「亮君が、頑張ろうね!」

「了解っす。」

「木村さん、宗一郎さんのことお願いします。」

「はい、わかりました。」

「なんじゃ?お主。わしは平気じゃ!危険が来たときはすぐ30分の安全避難場所に行くわい!」

「そうでしたね、皆さん。危険だと感じたら絶対に安全避難場所に行ってください。あっ亮君と木村さん、翔君も。これだけは…。」


私は最終手段のことを4人にだけ伝えた。


「確かにそれがいいな、おっさんも機転が回るじゃんか。」

「私も賛成です。」

「了解っす。」

「でも、本当に危ないと感じたら使用するように。」

「うっす」

「分かりました。」

「了解っす」


そう言って二手に分かれて捜索を始めた。

地震があった割にはロビーのシャンデリアが落ちてきた以外の被害は見当たらなかった。

私はまず1階のリビングに向かった。


私の家の構造は

2階建てとなっている。

ロビーを南とするとまず東西に廊下が伸びており、3部屋ずつ軒を連ねている。

ロビーは吹き抜けとはいかないが、2階部分を失くし、シャンデリアを設置していた。

ロビーの正面には2つほど入り口があり、左は私たちの寝室右側はキッチンとリビングとなっている。

2階への階段は4か所あり、寝室に繋がる廊下に1つ。リビングに1つ。東西に伸びた廊下の一番奥にそれぞれ1か所となっている。2階にはリビングの上に水回りを集中させており、お風呂、洗濯機、トイレがある。そして、洗濯機、トイレ、洗面所は一緒になっており、広々しており、ドアを隔ててお風呂があるという構造だ。リビングから上がってくる場合順番としてお風呂、トイレ、洗面所、洗濯機となっている。洗濯機からすぐにバルコニーへと繋がる廊下があり、先ほどの3部屋分の広さと広々としたバルコニーが存在する。

そのため、東西に伸びた東側の廊下からはすぐにバルコニーへ迎える階段となっている。

一方寝室の方の階段を上がると寝室と同じくらいの物置があり、この中には非常食や友人等を招いた時の布団等が入っている。

そして、3部屋分の広さにはプライベートプールとしです。

言葉の通りこの屋敷全体に宝箱を隠しました。様々な財宝があります。

しかし、宝探しと言えばトレジャーハンター。危険は付き物。落とし穴があったり、上から岩石が起こってきたりします。もし、これで命を落とすことがあればその時点でゲームオーバー。あなたの人生は終了です。無事宝を見つけられたらこのゲームは終了。生き残っている全員がゲームクリアとなります。」

「宝探しなんて私には無理よ!木村、あなたがやって頂戴。」

「か、かしこまりました。お嬢様。」


少し、困ったような顔をしていたので、私は小声で木村さんに尋ねた。


「木村さん、それでいいんですか?」

「桃瀬さん…。いいんですよ、これで。」

「そうですか…」


苦笑いをしながら言った。


「では、ゲームを開…」


すると、亮がハクの言葉を遮った。


「ハク、お前まだなんか隠しってだろ!」

「あらあら、九十九様は勘が良いですね。そうです。まだルールがあります。このゲームは全員参加ではないのですが、その場にとどまり続けていても危険はやってきます。ご注意を。そして制限時間は3時間となります。他に何かご質問は。」

「え、何?ここに留まり続けても死ぬかもしれないってこと?」

「左様でございます、鮎川様。」

「ふざけんじゃないわよ!そんなに歩き回れる体力私には無いんだけど。」

「そうじゃわしも喜久子さんも歳も歳じゃ、ずっと歩くのは無理じゃよ。」

「そうでした、そうでした。では、追加ルールです。1人1回までは30分危険に見舞われることもなく、休憩できる場所を設けましょう。また、休憩しないと決めた人が休憩したい人に譲渡するのも可能とします。他に何かございますか?」

「ハク、ふざけてんじゃねーぞ!」

「あらあら、九十九様はさぞ頭の回転がよろしいようで、それでは宝探しの全容をお話ししましょう。」

「亮君はやっぱり頭良い~!私そんなの考えらんないよ。」


このよう逼迫した中では頭の回転が鈍ってしまう。でも、亮は違うらしい、これは頼りになる、これからは彼中心に動いた方がいいのでは。そう私は思ってしまった。


「今回探して頂くお宝は1つです。それに対してこの屋敷に隠された宝箱は4つ。ハズレの3つにはそれぞれ死に直結する危険な事が起こります。それはその場の人だけかもしれませんし、他の場所にいる人たちも被害を受けるかもしれません。ここは極秘事項なので、あまり情報を開示できないことご了承ください。危険は開けた瞬間に起こりますので、慎重に開けることをお勧めします。そして見つけていただくお宝はそこで死体となっている男女がしている指輪です。男性の方は付けてありますので、ご自由に拝見してください。そして、こちら制限時間がございます。制限時間は5時間。それまでに見つけられなければゲームオーバー全員がこの人生から『強制リタイア』となります。」


なんとも恐ろしいゲームだと私は改めて実感した。

このハクと言う人物は淡々と話しているため、それが一層私の恐怖心を掻き立てていた。


「やっぱりいろいろと隠してやがったか。」

「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。九十九様。他にご質問はありますか?」

「あの…俺からいいっすか?」

「立花様、どうぞ。」

「このゲームって…いや、ゲーム中質問ってできますか?」

「それは難しいですね。」


この時彼が飲み込んだ言葉を早くに出しておけばよかったと今の私は後悔をしながら、この場所で何があったのかを思い出そうとしていた。


「そうですか。分かりました。俺からは以上っす。」

「他の皆さんは何かありますか?」


そうハクが問いかけ、周囲を見渡した。

それぞれが暗い顔や焦った顔等をしていたが、誰も手を挙げなかった。


「それではゲーム開始(スタート)です。」

そう言うと急に鐘が鳴り始めた。


すると、翔君が真っ先に私の方へやってきた。


「どうしたんだい?」

「これ親父の指輪」


いつの間にか取っていたらしく翔君の手のひらには少し色のくすんだ指輪が辛うじて輝いていた。

私はすぐさま木村さんと亮を呼び4人で作戦会議をすることになった。


「これからゲームなんだけど、攻略の仕方を考えないと。」

「そうですね。」

「俺も賛成っす」


そう言って木村さんと翔君は賛成をした。

しかし、亮はどこかイライラしていた。


「亮はどうするんだ?」

「おっさんから亮って呼ばれる筋合いねぇんだけど」

「そ、そうだね…。なんて呼べばいい?」

「俺のことは九十九"様"と呼べ!」

「うん、じゃあ九十九"君"だね。」

「俺は君を付けられる年齢じゃねーんだけど。なぁ翔。」

「俺は翔君でいいっす。」


どこか物静かに話している翔君は少しうれしいのか恥ずかしそうに下を向いた。


「なんだよ、お前。そんなんで喜んでのかよ」

「喜んでないっす。」

「喜んでんじゃんか。」

「あの…お二人さん。今はそんなことを言ってる場合じゃ。」

「そうだよ。」


私と木村さんが間を取り持とうとした途端どこからが地響きが聴こえた。


「皆さん、こちらへ。」


私たち4人は急いで大前さん夫婦の近くに駆け寄った。

そして、恵と、暖炉のソファに座っていた鮎川さん、夏美さんを呼び寄せようとした。

恵は千秋をしっかりと抱きかかえながら小走りでやってきて、夏美さんは亮目掛けて猛ダッシュしてきた。しかし、鮎川さんはその場で動けずにいた。


「お嬢様!」

「危ない!」


木村さんが駆け寄ろうとしたので、私は彼の裾を引っ張った。

地震はものすごく大きく、1階のロビーの天井のシャンデリアがガッシャーン落ちてきた。

間一髪だった。


「きゃー!!亮君!怖い!」

「夏美、大丈夫だから。心配すんなって。」

「皆さん。危ないのでしゃがんでください。」

「ほら、木村さんも。」


目の前に危機が迫った衝動で顔が青ざめ、動けていなかった彼にそう促した。


「あ、はい。」


1分程自身は続いた。

私はその間鮎川さんの所在が気になった。

木村さんも同じ気持ちなのか、小声で「お嬢様。」と言いながら地震が収まるのを待っていた。

地震が収まり周りを見渡すと落ちたのはシャンデリアだけだった。

しかし、鮎川さんの姿が見えなかった。

ソファの近くまで行ったが、彼女の痕跡は先ほどまで座っていたことを物語る座敷に残った温もりだけだった。

先程まで動けずにいた彼女がどこか行く余裕があったのか疑問に思ったが、これ以上被害を出してはならないと思った。


「おっさん。この地震って実際に起きてるのか?」

「今揺れたからそうなんじゃないのか?」

「ハクが言ってたよな。その場にとどまり続けてても危険が来るって。これもそうなんじゃねぇのか?」

「そんなはずは…」


そう思い、スマホの電源を入れた。しかし電波が圏外になっており調べることが出来ないことを悟った。圏外になっているという事は緊急地震速報もならないので、真偽は定かではないが、その可能性は拭えないと私は思うようになった。

そこで、急いで作戦を考え、皆に伝えた。


まず2組に分かれて捜索を行う。

私、恵、千秋、翔、喜久子さん

亮、夏美さん、木村さん、宗一郎さん

に分けることにした。


まぁ言わずもがな亮は機転が利くのでここではリーダーとしての役割を果たしてほしいと思った。

一方で誰かの面倒を見るのは面倒臭がりそうだったので、喜久子さんは私が引き受け、ある程度歩けそうな宗一郎さんを任せることにした。

そして、翔君は私と一緒に行動したいとのことだったので、このような組み分けになった。


そして、作戦だが、まずそれぞれが2つの宝箱を見つけること。

また見つけた宝箱は印として私の持っていたペンで印を付けることにした。

また、時間はスマホで確認できるので、2時間したら今いるロビーに集合することを決めた。1つは安否確認。もう一つはいくつ見つけられたかの確認をするためだ。もし4つとも見つけられたら1つずつ丁寧に開けていくことにする。さっきの地震みたいに一体何が起こるのか分からない。そのため、周囲の仕掛けに充分注意しながら開ける。仕掛けがあっても開けることにした。理由はダミーの仕掛けもあるのではないかという亮の意見があったからだ。今までの言動から何か隠すという意味で逆に私は仕掛けが無いと安心させ、その後に大仕掛けがあるのではないかと感じているが、全てのことを考えられる状況下ではない現状では全て開けることが一番の方法だと思った。


「では、このような形で進めていきましょう。

今20分経ったので、残りは2時間40分。時間はあまりありませんが、道中気を付けて。」


「分かってるよ、おっさん。」

「亮君が、頑張ろうね!」

「了解っす。」

「木村さん、宗一郎さんのことお願いします。」

「はい、わかりました。」

「なんじゃ?お主。わしは平気じゃ!危険が来たときはすぐ30分の安全避難場所に行くわい!」

「そうでしたね、皆さん。危険だと感じたら絶対に安全避難場所に行ってください。あっ亮君と木村さん、翔君も。これだけは…。」


私は最終手段のことを4人にだけ伝えた。


「確かにそれがいいな、おっさんも機転が回るじゃんか。」

「私も賛成です。」

「了解っす。」

「でも、本当に危ないと感じたら使用するように。」

「うっす」

「分かりました。」

「了解っす」


そう言って二手に分かれて捜索を始めた。

地震があった割にはロビーのシャンデリアが落ちてきた以外の被害は見当たらなかった。

私はまず1階のリビングに向かった。


私の家の構造は

2階建てとなっている。

ロビーを南とするとまず東西に廊下が伸びており、3部屋ずつ軒を連ねている。

ロビーは吹き抜けとはいかないが、2階部分を失くし、シャンデリアを設置していた。

ロビーの正面には2つほど入り口があり、左は私たちの寝室右側はキッチンとリビングとなっている。

2階への階段は4か所あり、寝室に繋がる廊下に1つ。リビングに1つ。東西に伸びた廊下の一番奥にそれぞれ1か所となっている。2階にはリビングの上に水回りを集中させており、お風呂、洗濯機、トイレがある。そして、洗濯機、トイレ、洗面所は一緒になっており、広々しており、ドアを隔ててお風呂があるという構造だ。リビングから上がってくる場合順番としてお風呂、トイレ、洗面所、洗濯機となっている。洗濯機からすぐにバルコニーへと繋がる廊下があり、先ほどの3部屋分の広さと広々としたバルコニーが存在する。

そのため、東西に伸びた東側の廊下からはすぐにバルコニーへ迎える階段となっている。

一方寝室の方の階段を上がると寝室と同じくらいの物置があり、この中には非常食や友人等を招いた時の布団等が入っている。

そして、3部屋分の広さにはプライベートプールと大人が2~3人ほどは入れるジェットバスがある。

一番のお気に入りスポットはリビングと寝室から迎える庭園だ。

まだまだ作っている途中だが、ここに私たち好み庭園を造ろうと話し、1ヵ月に1回は庭園づくりのために来ている。


そして、捜索は私たちが右側を、亮たちには左側をお願いした。

庭園については2階から全て見えるため、目視での確認を提案した。


私たちはリビングの中を恐る恐る捜索し始めた。宝箱の大きさが分からないため、棚の中や机の下、テレビ台の裏など隅々まで探した。

しかし、何もなかった。そのためキッチンへ全員で入った途端に上の方から氷柱落としのように包丁が降ってきた私は完全に中に入ってしまっていたため迫りくる危険をよけながら引き出しにあった鍋を取り出し身を隠した。


「忍さん大丈夫っすか!?」


翔君がこっちに来そうな勢いだったため、私は大声で


「こっちに来るな!私は大丈夫だから!それよりそっちは…」


と聞こうとした瞬間

喜久子さんの悲鳴が聞こえた。


「大丈夫か!?」


鍋に包丁が当たる音はまるで黒板に爪を引っ搔いたような音を鳴らしており不快感を憶えそうだったが、それよりも向こうの状態が気になり、走って駆け寄った。


そこには体長およそ1.5mのライオンがおり、喜久子さんに襲い掛かろうとしていた。翔君もすぐさま駆け寄ろうとしているが、何しろ鋭い牙や爪を目の前にどうすれば良いのかとどまっているらしい。めげずに


「忍さん…、その足…。」


恵の青ざめた顔と震えている唇から私の身に何か起こっているのが分かった。

恵の視線の先の私の足を見ると包丁にあたりケガをしたのか出血をしていた。

その途端仕事をしていなかった神経が急に働き出し、痛みを感じ始め、地面に座り込んでしまった。

しかし、喜久子さんを何とか助けないとと思い、周囲を見渡すと2丁だけ包丁がリビングに転がっていたため翔にそれを使うように促した。


「翔くん!これを使って!」

「わ、分かりました。」


そう言って翔君はライオンの心臓めがけて包丁を突き刺した。

しかし、刃先は届かなかったのか致命傷とは行かずライオンが暴れ出した。

翔君はそれでもめげずにライオンの懐に潜り込みもう一突きした。すると今度は心臓に刃が届いたのか大量の血が流れ、ライオンはその場で倒れ込んだ。

私は安心したが、その瞬間に意識が無くなった。


次に目を覚ますと全員が私の為に看病をしていた。


「イタタ…」

「忍さん…!」

「忍さん、まだ動いちゃダメっす!」

「そうよ。安静にして。」


私は時間を確認した。

後1時間で戻らなければならないのにと思い、私は無理に立ち上がろうとした。


「桃瀬さん、ケガをしてるんだから…」

「ケガは後でどうにでも治療が出来る。でも、ゲームはクリアしないと…」

「忍さんの気持ちはわかるっす。でも…。」

「それでも行かないとなんだよ。」

「そこまで言うなら…。絶対に無理しないこと。俺を先頭にしてくれること。これが条件っす。

これを守れないようじゃこの先に連れて行くのは無理っす。」

「わ、分かった。では、そうしよう。それと、喜久子さん。あの時安全避難場所に退避してよかったんですよ。」

「そ、そうでした。すいません…。」

「いえ、私もそこまで頭が回っていなかったので、でも今度危険が迫ったらすぐに使ってください。」


そう言って立ち上がり、私たちは2階に上がった。

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