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「おおい。都賀」

橘様の声が聞こえました。

私は腰を抜かしたまま「こ、ここです。橘様」と大声を出しました。

橘様が走り寄って来ました。

「すごい嵐だった。雷が落ちた様だ。驚いた。大丈夫だったか?私は風雨のために歩く事が出来なかった」

「こ、腰が抜けて、歩く事が出来ませぬ」

私は言いました。

橘様は泥だらけの私を助け起こしました。

「一体何が起きたのだ?」

橘様はそう問われました。

「あれ、あれを御覧なさい」

私はそう言って震える指で松が生えていた場所を指差しました。

橘様はぽっかりと地面に開いた穴を見て唖然となさいました。

「・・・松がない・・・都賀。松はどうした?」

私は空を指差し「龍になって・・東の空に昇って行きました」と答えました。


橘様は「はあ??」と大きな声を出されました。



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