表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/48

アプリでご飯を注文してみよう

早速ブクマしてくださった皆様。ありがとうございます。

更新頑張ります。


 兵士の皆さんが出ていくのを待っていたかのように、キュルルーとお腹がなった。


 そうだった。昨日から何にも食べていなかった。

 むむむ! 出番だぞ、デリバリー館!


 でも、アプリが、まんまアレなんだよな。逆に心配になる。異世界仕様じゃないけど大丈夫? こっちの世界にデリバリーできんの?

 まあやってみるしかない。俺はベッドから出ると、椅子に座って、()()()()()を唱えた。


「ステータスオープン」


 おうおう。頼もしいアイコンめ。この画面がタップできることは確認済み。

 ええい!


 アイコンをタップすると――開いた! おっほ! 

 TOP画面もまんまだよー! マジか!


 えっへっへ。それじゃあ、うーん。どうしよっかなー。前から気になっていたやつにしようかな。このタワーみたいなハンバーガー。ポチッと。


「え?」


 メニューの中から肉厚のハンバーガーをタップした途端、足元に紙袋がばさっと落ちてきた。


「どっから?!」


 紙袋を持つと、ずしっと重みを感じる。

 中には今タップしたばかりのハンバーガーが入っていた。


「最っ高ー! フー!」


 ああ、俺って小躍りするんだ。こんな興奮は人生初かも。

 よっし! よっし! よっし!


 あれ? 支払い画面にいかなかったけど。いいの? いいんだね? 食べ放題ってこと?


 ――ってことは、ダウンロードしたアプリは無料で使いたい放題っていうことだ。

 それってすごくない?


「うわあー! スマホの神様ー! マジでありがとうございます! 超、超、感謝です!」


 おっと。ドリンクもいるな。アイスコーヒーにしよう。


「おおおお。あぶなっ。でもナイスキャッチ」


 この、ボテッて落ちてくるのは要注意だな。


 いつでもなんでも食べられると分かると、あれもこれもと欲張って一気に注文したりはしないもんだな。


 ところで今って何時頃なんだろ。そもそも食事についての説明がなかった気がする。

 でもま。当面の衣食住は確保できたしね。


 ああ、部屋と服は、使用人として働かないともらえないかも、だけど。


 この先も必要なものはアプリで取り寄せできるはずだから、もう怖いもんはないなー。

 異世界楽勝だなー。


 むむむ。アプリでキャンプ用品一式とか注文すれば、「宮殿で働かないなら出て行け」って追い出されても、生きていけるんじゃない?


 となったら、次にダウンロードするのは、アレだな。いや待てよ。魔力がいるじゃん!


 しかも俺の予想が正しいなら、ウン万円するアウトドア用品のアプリって、デリバリー館の何十倍も必要なはず。

 万が一、読みが外れたらあの世行き……。こわっ。怖すぎる。


 でもま、ちょっとだけ見てみよう。まだ「ご飯」しか検索していなかったし。

 じゃ、「アウトドア」で検索っと。


 ほう。ほう。ほう。

 キャンプ場じゃないんだよ。あ、いいのがあった。

 これ。これ。キャンプ用品。高級アウトドアブランドもいいな。


「うおお!」


 なんだ。ちゃんとあるじゃん。アプリの横に数字が表示されている。これがダウンロードに必要な魔力なんじゃ……?

 デリバリー館を検索すると100! ちょうど100だった。やばかった。かなり危なかった。


 魔力を使い果たしたせいで、体力まで持っていかれたことを考えると、余力を残してダウンロードしなきゃだめだな。

 じゃ、このキャンプ用品は3,300だから、魔力は3,500か4,000はあった方がいいってことだな。


 ん? ん? 

 魔力の上限って、どうやって増やすんだ? これこそ異世界あるあるの「レベル上げ」ってやつですか?


 よっし。早速聞きに行こう。


 と、その前に。ゴミを片付けておかないと。こっちの人たちに紙コップとか見られたら大変だ。驚かすっていう意味じゃなく、「さすが、召喚者様! はははー」とか平伏されてしまいそう。


 教会のローブ連中は、いけすかない奴ばっかだったけど、宮殿の兵士の皆さんは、いい人たちだったからね。


 おっとっと。そうだゴミだ。ゴミ箱ないなー。まあ、あったとしてもそこに捨てる訳にはいかないよね。

 うん? ゴミ箱……。俺、持ってたじゃん!


「ステータスオープン」


 一か八かだけど。紙袋をゴミ箱に押し当ててみた。


「うおおお。入ったー!」


 一応、確認してみよう。ゴミ箱をタップ。すると、「紙袋」とある。

 おっほ? これはもしかして? 紙袋をタップすると、「元に戻す」メニューが表示された。


「一緒じゃーん!」


 タップすると、また足元に紙袋がポトンと落ちた。


「ふっふっふっふー」


 もう一度紙袋をゴミ箱に入れて、「ゴミ箱を空にする」をタップ。

 やった。ゴミ箱が空になってる。


「いやっほー!」


 俺ってこんなにテンション高い人間だったか? もう自分が怖い。異世界来るとテンションが上がるのか? あるあるか?


「これでよしっと。アドルフを探そう」


 部屋のドアを開けて廊下に出てみた。


 広っ! デカッ!


 廊下は車が余裕ですれ違えるほどの幅だし、天井が博物館とか並みに高い。うん、宮殿というより博物館っぽいデザインだな。柱も太いし。

 ベルサイユ宮殿みたいなコッテコテの装飾はないけど、白を基調にしたシンプルなデザインが格好いい。


 頭をぐるぐる回してぶつぶつ呟いていたせいか、周囲の視線を集めていた。あはははは。

 とりあえず一番近くにいた若い男性をつかまえる。


「あの、すみません。アドルフを探しているんですけど」


 アドルフと同じ兵士の制服みたいなのを着ていたので、気軽に聞いてみた。


「ひゃっ。ふぁ。はい!」


 ……あれれ? もしかして緊張している?

 ああそうか。召喚者が宮殿にいることが広まっていたんだなー。そんでもって、宮殿で見たことない奴がいた。「うわっ召喚者様だーっ」てな感じかな。


「居場所を知っているなら、案内してもらえると助かるんですけど」

「はいっ! 承知しました。こちらにどうぞ!」


 居酒屋で元気いっぱいの店員に、席まで案内されているみたいだ。なんか恥ずかしいぞ。




 なんとアドルフは食堂にいた。


「あ、ちょうどよかったです。食事を取られていないので、今からお持ちしようと思っていたところです」

「えっと。俺ってどれくらい寝ていたんですか? それって朝食ですよね?」


「ああ、いいえ。もうお昼はとっくに過ぎています」

「そうだったんですね。ええと。食欲はないので大丈夫です。っていうか。召喚者って、お腹減らないみたいです。多分、今後も食事は不要――かな」


「え? ええっ?! さ、さすがです。救世、じゃなくてよしつね様」

「い、いやあ。あははは」


 食堂にいる全員が俺たちの会話に耳を澄ませていた。

 あちこちから湧いた、「おおー」という低い声が集まって、どよめいて聞こえる。


「じゃ、じゃあ、アドルフも昼食は済んだんですね」

「はい」

「それじゃあ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


 召喚者に興味津々なのは分かるけど、あからさまが過ぎるっていうか。もうちょっと、嘘でも知らんぷりしてくれないかなー。話しづらいよ。


「じゃあ、せっかくですので、宮殿の外に行ってみますか? 案内がてらお話を聞きますので」


 アドルフ、ナイス! 一杯奢ってやりたいくらいだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載始めました!
『追放された悪辣幼女の辺境懺悔生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜』

カドコミで『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です‼︎
フォローよろしくお願いいたします‼︎

『転生した私は幼い女伯爵3 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
⭐️⭐️⭐️⭐️アース・スターノベルから3巻発売中!⭐️⭐️⭐️⭐️
あらすじや口絵イラストはこちらの特集ページをご覧ください。
ご購入はこちらから。amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i988178

『転生した私は幼い女伯爵 2 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
コミカライズ企画も進行中です!
各サイトで発売中amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i928141

①巻はこちら
あらすじ等はこちらの特集ページをご覧ください。
amazon 楽天 紀伊國屋書店ヨドバシカメラ
i901832

『私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~』
DREノベルスから2巻発売中!
i929017
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ